ハッピーエンドを待っている 〜転生したけど前世の記憶を思い出したい〜

真田音夢李

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朝陽に照らされて

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 暁色に空が染まる頃、リリィベルの首にテオドールはそっと手を当てた。
 少し眠りはしたが、浅い眠りを繰り返し、時折体温を確かめた。
 発熱はない。治癒魔術で病を治したのは初めてだったから不安だった。
 それが一時的なものかどうかが分からなかったからだ。

 幸い熱はないようだ。相変わらずリリィベルは眠っている。
 ずっと、テオドールの腕に包まれていた。

「・・・・ふぅ・・・・・。」
 ほっとして息をついた。治癒魔術は成功で問題ないだろう。
 きっと・・・。

 リリィベルは本当によく寝る。寝返りもあまりしない。

 そんな所まで、同じだった。


 もう少し寝て居よう・・・。せめて目を瞑って居よう。
 そうしたら、この浅い眠りも役に立つだろう・・・。
 今日の執務に影響が出ない程度には、身体も休まるだろう。
 長く、少しでも長く幸せな温もりを感じていたい。

 リリィベルの頭に顎をそっと預けて瞳を閉じる。慣れたこの寝相。

 リリィベルが目を覚ますまで、このままで・・・・。


 温かな温もりの中で、リリィベルは目を覚ました。
 長い睫がゆっくりと瞬きをした。目の前に広がったのは見慣れた愛しい人の胸だった。
「・・・・・・・・・。」
 リリィベルは、ぼーっとしていたが、ゆっくりと頭を上げた。

 綺麗な寝顔が枕に預けられて寝息を立てていた。

 あぁ・・・・そうだ・・・・・。


 部屋に帰る途中倒れて、ベッドに横たわっているとテオドールが来てくれた・・・。

 熱がある私を抱きしめて・・・移るかもしれないのに、口付けをしてくれた。

 温かな腕に包まれ、体の熱が奪われるような口付けをしてくれた・・・。


 こんなに身体が軽いのは・・・治癒魔術を施してくれたからだろうか・・・・。


 ぼやける意識の中、彼だけが見えた。

 心配そうに見つめる瞳・・・・触れてくれる手、抱きしめる腕・・・。


 安心できた。もう大丈夫だと・・・・。もし熱が下がらなくても、彼が側に居てくれるだけで


 熱が下がらなくてもいいとすら思えた。

 私だけを見つめる瞳が・・・・嬉しくて幸せで・・・・。

「・・・・・・・・。」

 でも、きっと執務を・・・中断させてしまったかもしれない。迷惑をかけてしまった・・・。


 倒れる寸前・・・・。グレンと会った・・・・。


 その事は・・・彼は知っている・・・・?


 グレンは・・・何を話したかったの・・・・・?



 今は、ただ、テオドールの腕に包まれて、何も・・・考えたくない・・・。
 彼の腕の中では・・・彼だけを・・・・。

 リリィベルは再びテオドールの胸に顔を埋めた。


「リリ・・・・・」
「・・・テオ・・・?」
 名を呼ばれてハッとした。顔を上げたけれど、名を呼んだはずのテオドールは目を閉じたままだった。


「・・・寝言・・・・?」
 少しだけ開いた形の良い唇が、自分を呼んだ。

 夢の中にも、私がいるの・・・?

 自然と笑みがこぼれて、愛しさが溢れた。


 愛しい・・・。

 私はやっぱり・・・・あなた以外では愛を知る事が出来ない・・・。

 私の愛は、あなただけのもの・・・・。


 私は、あなたに会う為に産まれた女・・・・。

 腕の隙間から腕を入れて、彼を包んだ。
 私だけの居場所、私だけの彼・・・。私だけの愛・・・・。


 混ざってとけてしまいたい・・・・。ずっとくっついてしまいたい・・・・。

 あなたのすべてになりたい・・・・。

「ん・・・・・・。」

 テオドールはうっすら目を開けた。習慣はいつも容赦なく目を覚まさせる。
「テオ・・・・・」
 テオドールは、その声に自分の腕の中を見た。
 そこにはいつもの笑顔が眩しいリリィベルが居た。

「リリィ・・・具合はどうだ?」
 テオドールは心配そうに目を細めて頬に手を当てた。
「はい。もう平気です・・・。テオ・・・ずっとそばにいてくれたのでしょ?」
「当たり前だ・・・。リリィ、すまなかった。気付いてやれなくて・・・。」

 そう言ったテオドールの表情は苦し気だった。リリィベルは幸せそうに微笑んだ。
「そんな顔しないで下さい・・・。テオが側に居てくれて、嬉しいです。」
「バカ・・・そんな呑気な・・・俺はお前が苦しんでると思うと・・・・。」
「テオ・・・愛してます・・・。」
 リリィベルはテオドールの頬を包んでそう告げた。

「愛してます・・・。私はもう平気です・・・。」

 リリィベルの笑顔の鼻先と、心配そうな顔のテオドールの鼻先がくっついた。
「ひょっとして治癒魔術を・・・・?それとも愛のお力ですか・・・?」
 ふふっと笑ってリリィベルはそう言った。テオドールはその穏やかさに負けて軽く笑みを浮かべた。

「愛の力だ・・・。と・・・言いたいが・・・。」
「ふふっ・・・何であろうと・・・私が元気なのはテオのおかげです・・・・。」
「ははっ・・魔術も・・・お前の為のものだ・・・。それが出来るだけも良かった。

 お前を・・・苦痛から解いてあげられるなら・・・。」


「テオが居れば、私はいつも元気になれますよ・・・。ありがとう御座います・・・。
 私を、側においてくれて・・・。」

「リリィ・・・。」
 テオドールはリリィベルをぎゅっと抱きしめて瞳を閉じた。

「それは、当然だ・・・・。お前は俺の妃だ・・・・。愛してる・・・リリィ。」


「その言葉だけで・・・胸が痛いくらい幸せです・・・・。」

 2人は笑顔を浮かべて見つめ合い、そっと口付けを交わした。



 完全に二人が微睡みから抜け出し、呼び出しのベルを鳴らした。
 そうするとベリーとカタリナがやってきた。

「リリィベルお嬢様。」
 ベリーとカタリナが心配そうにリリィベルの手に触れた。
「お加減はいかがですか?」
 そんな2人にリリィベルはにっこりと笑みを向けた。
「心配かけてごめんなさい。もう大丈夫よ。熱もないわ?」
「ご無理されておりませんか?」
「本当よ?テオと一晩休んだらすっかり元気なの。ふふっ。」

 魔術の事はまだ明かされない。これは愛の力と言うしかなかった。

「カタリナ、リリィベルの支度を。入浴の準備をしてやってくれ。
 あと今日の妃教育は休みだ。今日は一日部屋でゆっくりしてくれ。な?」
 テオドールはリリィベルの頭を撫でてそう言った。

「でもっ・・・。」
 リリィベルは慌てた顔をした。理由は言わずとも結婚式が早まった事が原因だ。
 だが、テオドールは少しだけ怒った顔でリリィベルに顔を寄せた。

「でもじゃない。ここで無理をすれば引きずってしまうかもしれない。きちんと休むんだ。
 昼にまた様子を見に来るからここに居てくれ。」

「来て・・くれるの?」
 リリィベルは自然と笑みを浮かべてテオドールを見つめた。
「あぁ、夜までお前を放っておくわけないだろ?昼食も一緒にしよう。お前の食事量しっかり見てるからな?消化にいいものを用意させるから。な?」
「はいっ。お待ちしてます。」

 リリィベルは嬉しそうに笑った。その顔を見てテオドールは微笑んだ。

「俺も支度してくるから、2人とも後は頼んだぞ?」
 そう言って、テオドールは自分の私室へと戻った。
「「はい殿下。」」

 ベリーとカタリナがテオドールに頭を下げる。
「ベリー!カタリナ!聞いた?お昼にも来てくれるって!嬉しいっ。」
 リリィベルは両手で頬を包んで本当に嬉しそうに笑った。

 そんな彼女に2人は満面の笑みを浮かべた。
「さぁリリィベル様、お支度しましょう?殿下とまずは朝食を食べなくてはお昼は来ませんもの。」
「そうね!実はお腹が空いてるの。」
 照れくさそうにリリィベルは笑った。
「消化の良いものをゆっくり召し上がって下さいね。殿下が心配なさいますから。」
「えぇ。」

 入浴の前に髪を梳いた。リリィベルは少しだけ気恥ずかしかった。
 入浴も済ませず、熱で汗をかいたぐしゃぐしゃな髪。そんな姿のまま夜を明かしてしまった。

「二人とも・・・綺麗にしてね?」
 恥ずかしそうにリリィベルは呟いた。
「リリィベル様はどんな時もお綺麗ですよ。」
「ダメよっいつもテオの前では綺麗でいたいものっ・・・。」
「ふふっ、あまり長湯して熱がぶり返してはいけないですが、畏まりました。」

 そんな会話をして三人はバスルームへ消えていった。


 一方で、テオドールも私室でいつもの様に前髪をくくって顔を洗った。
「ふぅ・・・。」
 鏡に映る自分の顔、幸い泣いた後は見えない。
 そんな顔をじっと見つめて、少し恥ずかしそうに頬を染めて鏡から目を逸らした。


 俺・・・泣きすぎ・・・・。


 リリィベルの事となると、感情が抑えられない。もう今更かもしれないが。

 もう一度鏡をじっと見つめた。


「・・・もっと・・・強くならないと・・・・。」

 そう呟いて、目に力を込めた。少しだけ充血していたけれど許容範囲だろう。


 それよりも・・・・


 やっぱり、グレンだ・・・・・。


 あいつがどんな用でリリィベルに会いに来たのか・・・・・。


「・・・まぁ・・・俺にとっちゃ、胸くそ悪い話なんだろうな・・・・。」

 タオルで顔を拭って、ペチンっと頬を叩いた。

「ひよってなんかいられるか・・・。」



 清潔なシャツに袖を通し、首元をゆったりと開けたまま。
 髪をガシガシとタオルで乾かしてランドリーボックスにタオルを放り投げる。

 ベリーがリリィベルの支度をしてる間は、テオドールに仕える者はいない。
 朝の紅茶だけを運ばせて、すぐにメイドを下がらせるのが流れだった。

 紅茶も自分で淹れる。手慣れたものだ。何年もの習慣だった。

 温かい紅茶を一人掛けのソファーで飲みながら、ぼーっとしてリリィベルを待つのが日課となった。
 今日は朝から入浴するからいつもより時間がかかる事だろう。

 テオドールは、温かい紅茶に和まされて、うっとりまた眠気がやってきた。

「ふー・・・やっぱ、浅いとねむてーな・・・。」
 ふわぁぁっと欠伸をして目を擦った。


 今日も秋晴れ、朝の陽射しがテオドールを更に気持ちよくさせた。
「あー・・・・・・」
 抗うように声を出したが、抵抗虚しくテオドールはカクンっとソファーの背に頭を預けてしまった。


 朝日に照らされながらも、テオドールは眠りについた。


 リリィベルの支度が整い、少しラフなドレスに着替えて続き部屋の扉を開けた。
 見渡した限りではテオドールの姿は見えない。ベッドにもいない。

 窓に向かって置いてある一人掛けのテオドールのお気に入りのソファー。
 覗き込むと、テオドールが眠っていた。

「・・・・・・・。」
 綺麗な銀色の髪が陽に当たってキラキラ輝いている。

 やっぱり疲れちゃったのだろう・・・・。


 リリィベルは静かに寝顔を見つめながらそっとテオドールの髪に触れた。


 以前、黒髪は好きかと、テオドールは聞いた。


 もちろん、その時答えた言葉に嘘はない。


 彼がどんな髪色だったとしても、テオドールの存在そのものを愛しただろう。


 お忍びで帝都に行った時、2人で黒髪になった事があった。

 その姿もとても似合っていた。


「・・・・・・・・・・・。」
 目尻を下げて、リリィベルはうっとりと笑みを浮かべた。

「・・・どんな姿でも・・・あなたを愛します・・・・・。」

 しゃがみこんでソファーのひじ掛けにちょこんと両腕を乗せて、テオドールを見上げた。

 この銀色の髪もとても愛しい。陽に照らされて輝く色。サラサラの髪質。



 黒髪じゃなくても・・・あなただと分かる。



「・・・・・ん?」


 心の声に、ふと疑問が浮かんだ。

 私は何を?



 黒髪じゃなくても?



 ・・・デートで前に見たから・・・?


 夢で・・・会ったから・・・・?



 泣いてる黒髪の、あなたを見たから・・・・・?
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