異世界はどこまでも自由で

メルティック

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ホロトコ村

2-11.ただ、守るためだけに、生きるためだけに、殺すためだけに

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 地面に転がったのは――青緑の鱗を纏った大口の化物の首だった。シトレアは気付けば突き飛ばされたように尻もちをついている。

「オトコ、様――」

 赤い影は、己の鎌が引き裂いたその対象を見つめながら呟く。

「何を考えてたか知らんが、間抜けだったな」

 再度その刃先がシトレアへと向けられた時、彼女はただ身を守ることだけを考え、後ろへと退いた――何かにぶつかり、よろけて振り向くとまたそこには黒い影がいた。双方から構えられた鎌に気付いた頃、まとめて対処する方法が瞬時には思い浮かばずただ斧を一回転させるように振り回した。
 黒い影はするりと斬り飛ばされ霧散するが、赤い影はがっちりとその刃を鉤爪で挟み込み捕らえていた。

「お前の割には随分動きが冷静、いや鈍いじゃねぇか」
「ほっ、本当に――」

 その影に斧を掴まれている事など露知らず、シトレアが困惑の声を上げている内に影の刃先が首元に忍び込んでいた。
 ――刹那、横から飛んできた裸足の蹴りが腕を退け鎌は宙を裂く。それを成し、即座に着地し体勢を整えたのはミューゼだった。

「……私が嗅いだ血のにおいは、やっぱり姉ちゃーからなんかじゃない。お前だ、

 ミューゼのぼんやりとした瞳に宿った緑の光、そして身体から発する翡翠の光が更に輝きを増した。

「本当に、ヴィルシスなの……?」
「姉ちゃーあいつじゃなかったら何なの、どっちみちこいつは村を攻撃してる」

 シトレアの手に強大な力がこもり、挟み込んだ鉤爪から無理やり斧を取り戻した。

「ヴィルシス……どうして――」
「さぁな」

 彼女の瞳孔がかっと開き、一瞬にも満たぬ時間でその脳天に斧を叩き込んでいた。影の頭がすっぱりと裂けていき、丁度腹の所にまで斧が食い込む。

「痛ぇな」

 少女は何も発さず、ただ無言で更にそこから力を込めた。影は一刀両断されるが、すぐに引っ付く。

「諦めた方が良いと思うがな。お前も、俺を化物扱いしてくれたガキも」

 散々ミューゼにいじられていたヴィルシスに、最初こそ違和感を覚えていたものの遂には呆れて何も言わなくなったあの記憶。それら全てが蘇り、さらにふつふつと、彼女の頭が熱くなっていく。
 動じぬ赤影に向かって、再度斧を叩きつけるも素早く左に回避される。ぴたりと斧が止まり、予めそうインプットされていたかのように影のいる方へと薙ぎ払われる。それもまた影が跳ぶことで回避され、横たわった斧刃に乗っかった影はそのままシトレアの鎖骨の下を貫くように鎌を突き出した。瞬時に身体が下がり刃先が空振ると、シトレアの右脚が下から思いっきりそれを蹴り上げた。
 鎌先は勢いで弾け飛んでいき、霧散した。液体のようにどろどろになった切り口は、徐々に再生を始めていく。

 一方、ミューゼはその周りを飛び交う黒影を処理していた。そして、シトレアに向かってくる影の数が増えてきている事に気がついた。このままでは処理が仕切れない――
 ――姉のため、村のため。彼女の身体はますます輝き、更に動きが加速した。そこにオトコ様も加勢するようになると、シトレアが戦う際の障害は全くなくなった。

 赤影から舌打ちが鳴る、お互いの力は互角――否、赤影が遅れをとるように、何度も何度も身体が切り裂かれている。断面を即座に再生しようものならそれすらも切り飛ばされるようになっていき、次第にそれが間に合わなくなってきた。

「おいおい、ちょっと待て、話し合おうじゃねぇか」

 シトレアの動きは全く止まらない。攻撃を仕掛けず、戦意が無いことをアピールすると彼女の動きは――全く変わらず、薙ぎ払われた斧が影を叩き飛ばしていき、赤影は大きな衝撃音を立てながら家屋にめり込んだ。
 ――すると、影の色は徐々に黒みを増し赤黒くなる。するりと家屋から抜けた赤黒の影は、先ほどと比にならない速さでシトレアに飛びついていく。これには彼女も驚いたが、的確に頭を切り裂いていくように斧を振り下ろした。
 ――しかしそれが追いつかず、大きな爪に胴体をがっしり掴まれた。シトレアの手元から自然と大斧が離れる。低い唸りをあげながら抵抗するが全く歯が立たず、影の手にはどんどん握り潰していくように力が込められていく。

「俺はできるだけ面倒な事はしたくねぇんだ、さっさと死んでくれねぇか」
「あ、がっ……だっ、黙れ……」

 身体全体を包み込まれるようにして握り潰されるシトレアは、徐々に声もか細くなっていき、発声するのすら精一杯な状態になってくる。
 影の後ろから翡翠の光が発光すると、シトレアの身体は手から放されわけの分からぬ方向へと吹き飛んでいった。地面までどれくらいの高度があるのか、それすら分からず放り出されたシトレアは受け身を取りながら地面を転がった後、すぐさま起き上がって目の前を見据え辺りを見回す――右後方から近付いてきた黒影はハエを殺すように軽々と殴り飛ばされ、霧散した。

 吹き飛ばされた先では火を持ちながら影から逃げ回る者、殺されている者がちらほらいた。突然飛んできたシトレアに気をかける暇すらなく、ただ生きるためだけに、必死に逃げていた。
 赤黒い影も近いところまで飛ばされてきたらしく、そこに追撃をかけるように、ミューゼが飛ぶようにして跳んでくる――手元に大斧を携えながら。その斧はすぐさま影を打ち抜き、地面に激しい亀裂を作った。振動が、シトレアの身体を僅かに浮かすほど響いてきた。

「姉ちゃー、大丈夫?」
「ミューゼ――うん、私は大丈夫」

 表面上そう言ってのけたが、身体中に走る激痛を脳内麻薬でかき消している状態だった。それでも内臓を所々潰されたような痛みがずきずきと走り、こちらが与える一撃と向こうの与える一撃の差があまりにも激しい事に気付く。そして、あの影を攻撃したところで本当に効果があるのか、疑問に思っていた。
 ――新たな可能性を見出した彼女は、何処へともなく走り出していった。ミューゼはそんな姉の様子を見て、この場を任された事を悟る。

「お前のその力は、どこから湧き出ているんだ?」

 赤影は何度も叩き潰されてもなお冷静に、ミューゼに対して問うた。

「それを教えたら、村への攻撃をやめるの?」
「興味があるだけだ。そして村を攻撃しているというのは、少し違うな」

 斧が再度振り下ろされ、赤影はまた抵抗する暇もなく無残に千切れていく。再生はとっくに追いついていない状態で、遂に頭だけが残った。

「――ただ、殺したいだけだ」

 目の前の頭からそう聞こえ――後ろからも、そう聞こえた。
 いつからか首元にかかっていた赤黒い鎌に気付き、なんとか引き剥がそうと掴んで鎌の動きを止める。刃先は既に首に食い込んでおり、血が細く流れ出ている。反対側から掴んではいるものの徐々に首を切り裂いていき、刃から下の首一面から血がどくどくと滲み出てきた。今まで無気力そうにみえていたミューゼの表情にもじわじわ焦りが浮き出し、歯を食いしばり始めた。

「じゃあな、俺のにおいを嗅ぎ取れた事だけは褒めてやるよ」

 鎌はそのまま首にずぶずぶと食い込んでいく――事なく、首を掠める辺りでミューゼの抵抗力と拮抗した。

「誰が負けるかっ……お前みたいな化物に……!」

 目の前の頭だけになった赤黒の影がじわじわと再生していき、いよいよ身体まで回復し、腕が生えだしていた。ミューゼはただそれを、ぎりぎりの所で抵抗しながら見つめることしかできなかった。

「かっこいい姉ちゃーに置き去りにされちまっていなければ、こんな事にはならなかったよな、なぁ?」

 双方から響く声がどこまでも気色悪い。そこにまた一つ、新たな声が混じった。

「こんっの野郎!」

 野太い声でそう聞こえたと同時に鎌の力が緩み、ミューゼは隙間を作ってするりと抜ける事ができた――そして、咄嗟に落とした大斧を拾い上げ、目の前の再生中の身体を思いっきり斬り潰した。霧散したかどうかは重要などでなく、とにかく再生を遅らせるためだけに一撃を加えたのだ。それから振り返り、新しい声のもとを確認する。
 そこには二体目の赤黒影がいて、後ろには――自前の斧を携えた、髭の多い山賊……アーケラスがいた。

「ふぅっ、間に合ったか――」

 その斧が鎌のある腕に切り込みを入れたようで、おかげでミューゼは生き延びる事ができたようだ。影がすぐさま薙ぎ払うようにして振り向くと、アーケラスは鎌に引っ叩かれてそのまま横へと飛ばされた。

「ぐぅっ! なんだこいつ、そこらの影と比になんねーぞ……」

「山賊、山賊が来たのか」

 赤黒影はそう呟いてから、低く唸るように笑う。

「どうやら、上手いこと――」

 次に呟いた時には、影の頭がすっぱりと切り飛ばされていた。影は向き直り、目の前にいる少女を鷲掴むような素早い引っ掻きを繰り出す。身長差があるおかげか彼女は軽々回避し、棒でも振り回すかのように大斧を振り回し続けた。赤黒影はしっかりその動きに対応し、彼女の白い肌に細かな引っかき傷を何個もつけていった。彼女の白い寝間着は既に血塗れだ。それでも、生まれた一瞬の隙をついたミューゼが影の身体を上半身と下半身に切り離した。
 切り離された身体は瞬時に吸いつくようにして戻ろうとするが、その間に挟み込んだままの大斧が上半身を真っ二つに掻っ捌いた――突然、トカゲのような、影の足がミューゼを蹴り飛ばすようにして動く。それを真っ向から食らってしまうと、衝撃を和らげるために後ろへと吹っ飛ぶ力に身を任せた。
 すぐさま地面に足をつけ詰め寄った頃には鎌のある右半身だけが再生していた――飛んでくるように振り下ろされた斧を防ぐようにして鎌が構えられると、起き上がっていたアーケラスが鎌の生え際に向かって思いっきり斧を叩きつけていた。微かにめり込んだそれは鎌に込められた力を緩めることができたようで、鎌はそのまますっぱりと大斧によって切り落とされ、霧散した。

「なぁ、シトレアは何処にいるんだ?」

 唐突にそう発したアーケラスに対してミューゼは一言「どっかいった!」とだけ返して影の下半身を両断する。その時のミューゼの鬼気迫るような表情にアーケラスは圧倒される。

 残った影はそのまま何度も大斧による追撃が加えられ、遂に霧散した。翡翠色に光るミューゼの輝きが僅かに落ち着き、それからアーケラスにお礼をした。

「あのよ、首、大丈夫なのか? 血が出まくってるがよぉ」

 そこでミューゼは初めて首に手を当て、その傷の深さを認識し、そこに手をかざした。

「ちょっと大きいから、回復してみる」
「で、できんのか? ゆっくりでいいぞ――おらぁっ!」

 近付いてきた黒影をアーケラスは瞬時に処理する、どうやら彼は既にこの黒影に慣れているらしい。
 魔法による回復を試みるもずぶずぶと音を立てるだけであまり効果はないようにみえたが、出血は次第に収まっていった。

「山賊の方にも、この影って出てるの?」
「あぁ。音も立てねぇし気配もしねぇしで、不意打ちで殆どのやつが死んじまった。生き残ったのは数人の見張りともう数人くらいだ。外に出てみると村の方が明るかったからよ、すぐに駆けつけたぜ――」

 周りで倒れ、血を流している村人に目をやったアーケラスの顔が悲しげに曇った。

「遅かったみてぇだがよ」

 ミューゼの心にも複雑な気持ちはある。しかし今は生き残れたはずの人が死んでしまうという事態を避けるために動くべきだと判断し、その為にはどうするかを考えた――

「この影はどこから出ているのか……」
「何かあるのか、心当たりが」

「――あの二人が、泊まっていた場所?」
「……あの二人って誰だ?」



~~~ ~~~ ~~~~~~~



 村一番の大きな屋敷、その二つ隣にある空き家、ヴィルシス達が旅立つまで泊まっていた家の一室をシトレアは漁っていた――彼女がまず考えていたのは遠隔自動魔法のような類のもの、自動で何らかの結界を貼りつけるものだ。もしかしたら彼が何かを仕掛けていて、それによりこの影が発生しているのかもしれない。
 家の中の備品は把握していなかったため、怪しいものは全て破壊し貼り付けられていた札は全て粉々に引き裂き、あらゆる死角を探った。影に襲われようとも、小蝿を処理するように頭を飛ばして撃退していた最中――

「よぉ、シトレア」

 柱をぐちゃぐちゃの鷲掴みにして顔を覗き込むようにして現れたのは、先程見たあのヴィルシスの影――その赤黒い身体の周囲が歪んでおり、シトレアが気圧される程の強い殺意、気配を放っていた。
 シトレアは負けじと――否、それに呼応するように理性を打ち崩し、ただ本能だけに身を任せた。そうしなければ、この化物に勝てないと判断し、他一切の思考を消し飛ばし、ただ目の前の存在を殺すためだけに理性を捧げた。
 ――しかしその身体はすぐさま吹っ飛び、家屋を打ち抜いて外に放り出されたシトレアは、大量の血を吐いた――妹と山賊に、その一部始終を目撃されながら。

「姉ちゃっ!」

 ミューゼは吹き飛ばされたシトレアに大斧を投げ渡す。反応したシトレアはしっかりとそれを掴み、また家屋の中へと飛ぶように駆けていった。
 ミューゼはこの状況を一瞬で判断し、大斧を彼女の元へと返した。もしかしたら自分自身が襲われるかもしれない、という恐怖など微塵もなかった。自分の大好きな姉を信頼し、託したのだ。
 家の中から幾つも瓦礫が吹き飛んでくる、ぐらぐらと揺れる家の中でどのような戦いが繰り広げられているのかは知らない――ミューゼ、そしてアーケラスの背中には冷や汗が伝った。



 ――家屋が崩れると同時に、彼女の最愛の姉が目の前に放り出される。瓦礫の一つが降り注ぎ、その腹を貫くようにして突き刺さった。
 ミューゼの目が自然と見開く。弱い足取りで覚束ないまま近寄る。熱い、血塗れの手を握る――鎌で切り裂かれたようにずたずたになった指がぽろりと千切れた。

「姉、ちゃ……」

 がたがたに歯が震え、涙がぽろぽろと湧き出す。無残な姿になった姉の顔をちらと見ると、その目は朧気ながらも愛しい妹の目をしっかり見つめていた。

「逃げ、て」

 たった一言だけ言うと、彼女は妹の動作に何の反応も示さなくなった。どこを触っても血しか滲み出ないシトレアの身体、ミューゼが必死に回復魔法をかけようとするも、ただ虚しくずぶずぶと音を立てるだけだった。

「シ、シトレア……」

 ――アーケラスもまた、がくりと膝をついていた。彼の心に渦巻いていたのは空虚感だった。そしてその心を突き刺すような激しい痛みが彼を襲った。
 アーケラスが視線を下げると、己の左胸から黒い鎌が突き出ているのが目に映った。彼には、抵抗する気力などなかった。



「おっと、事故っちまったな」



 瓦礫をものともしないように飛び出てきたのは、鋭い殺意を具現化したかのような歪んだ大気に覆われた赤くそして黒い影だった。ミューゼもまたそれに気圧されたが、姉が死んだかもしれないという悲しみ、憎しみ、怒りが上回る。

「なぁ、気付いてるか? もうここら一帯に残ってるの、お前だけなんだ」

 ミューゼの耳には届かなかった。

「お前で最後って事だ。そこの姉ちゃーみたいに抵抗しなければ、一瞬で楽に逝かせてやる。俺もさっさと終わらせたいからな」

 ただ目の前の憎い存在を消し去りたい、その気持ちだけがミューゼの心を占めるようになった。もしかしたら、姉の強い攻撃性をミューゼが受け継いだのかもしれない。若しくは、ただの遺伝なのかもしれない。
 大きな影が、近付いてくる。

 ミューゼの心の内が灼けるように熱くなり、ぽろぽろと落ちる大きな涙が――黒い液体となって漏れ出る。頬を伝って流れていき、地に落ちると――



音を立てて、燃えた。
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