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㉔ミカの試練ー2(ミカエル)
しおりを挟む俺はレイラお嬢様の可愛い寝顔をしばらく眺めていた。
レイラお嬢様の可愛い手は俺の手を握ったまま、離す様子はない。
安心しきって眠るレイラお嬢様の姿に、俺は内心ほっとしていた。
今日は悪い夢を見ないといいけど・・・
俺は眠るレイラお嬢様の頭をそっと撫でる。
すると、レイラお嬢様の表情が、笑みを浮かべた表情に変わる。
嫌な思い出を消してあげたい。
消えてなくなれ・・・
そんな願いをかけながら、俺はレイラお嬢様の頭をそっと撫でる。
それにしても、可愛い寝顔はいつまで見ていても飽きないな。レイラお嬢様は寝相がいいのか、さっきから俺の方を向いて横向きに眠ったまま動かないし、俺の手を離す様子もない。
これでは、自分が眠ったら俺も寝ていいと言うレイラお嬢様の言葉は守れないな・・・
寝てなければ寝ていないで、またレイラお嬢様が心配するだろう。
・・・しょうがない。
俺は少しだけ身体を動かして、片足をベッドに載せると、天蓋付きベッドの柱を背もたれにして身体を休めることにした。
この状況、グレイシス侯爵様には言えないな・・・
レイラお嬢様のベッドで手を繋いで一緒に寝ていたなんて、知られたらなんと言われるか・・・
俺は眠るつもりはなく、しばらく目を閉じて休んでいたけど、レイラお嬢様の手から伝わる温もりに、次第に微睡みに落ちていったーーー
誰かが近づく気配に、思わず握っていた手を引き寄せる。
すると、俺の膝の上にレイラお嬢様が倒れ込んできた。
「何をしているのですか?」
俺の膝の上に乗るレイラお嬢様にそう言った後で思い出す。
あ、しまった。俺はレイラお嬢様のベッドに座ったまま寝ていたんだった。俺とした事が、一瞬、寝ぼけていたな・・・
「おはようございます。レイラお嬢様。まだお目覚めになるには随分早い時間ですが?」
とりあえず、平常心で誤魔化す。
「お、おはようございます、ミカ、ちょっと目が覚めちゃって。」
レイラお嬢様の様子からして、悪夢で目が覚めたって感じではなさそうだな。
「で、何をしようとしていたのですか?」
「ちょっとミカの寝顔を見てただけなんだけど・・・」
レイラお嬢様は俺の膝の上から、おどおどとした表情で俺を見上げる。
レイラお嬢様、それ、男には悪影響です。
俺は物だ。男じゃない。と、自分に言い聞かせる。
「そうですか、では、もう少しお休みください。」
とりあえず、このままは不味い。
まだ夜も空けてないんだから、もう一度寝てくれた方が助かる。
俺はそんなことを思いながら言ったのだが、レイラお嬢様は素直に頷く。
「うん。」
そう言って布団に入り直すレイラお嬢様を手伝った後、レイラお嬢様は、また俺の手を取る。
これはお決まりのお休みポーズになったりしないだろうな・・・
レイラお嬢様が俺の顔を眺めているので気まずい。そんなに可愛い顔で俺を見て、俺に何を期待している?
まあ、何も期待なんかしていないんだろうけど、耐えるのも限界なんだが・・・
俺はいたたまれなくなって、目を瞑ることにした。
すると、しばらくしてレイラお嬢様が寝息をたて始める。
眠ってくれたか・・・
あのまま見つめられると俺、耐えれる自信無かったわ・・・
天使を前に、俺はかなりの俗物だったんだと気付かされる。
それから俺は、きゅっと握られた手を離すこと無く、レイラお嬢様がお目覚めになるまでの、もうしばらくの時間を、同じベッドで過ごすことになった。
(この言い回し、変に誤解されそうだな。レイラお嬢様が目覚めるまでに、落ち着け、俺!)
夜が開けて、太陽の光が窓から差し込み始めた頃、レイラお嬢様が少し動いてから、ふっと目を開ける。そしてまだ微睡みから戻りきらない綺麗な紫の瞳が俺を捉える。
「おはようございます。レイラお嬢様。」
「おはよう、ミカ。」
俺が話しかけると、吊られてレイラお嬢様も言葉を返す。
「ご気分はどうですか?」
「うん、大丈夫よ。」
まだ覚めきらないほわんとした表情でレイラお嬢様がこたえる。
うん、大丈夫そうだな。
「では、お目覚めのお茶を用意致しますね。失礼致します。」
そう言って、繋いでいた手を離すと、俺はそのままレイラお嬢様の部屋を出た。
ずっと繋いでいた手がレイラお嬢様から離れた瞬間、少し寂しさを感じたが、そんなセンチメンタルな事を思っているのは俺くらいだろう・・・
さぁ、仕事だ!
俺は最速で自室へ戻ると、さっと着替えを済ませ、身支度を整えると、また走ってキッチンに向かう。
アーリーティーの用意をしてレイラお嬢様の元へ戻ると、意識がハッキリしたようで、いつものレイラお嬢様に戻っていた。
「今日はお部屋でゆっくり過ごされますか?」
今日のスケジュールは何も入っていなかったので、レイラお嬢様にはゆっくり過ごして頂くつもりだ。
「そうね、今日は特にすることは無いし、そうさせてもらうわ。何か面白い本はないかしら?」
レイラお嬢様は、時間があれば何時間でも読んでいらっしゃるほど本好きだ。
本を読んで嫌な記憶を塗り替えれるならいくらでも読んでいて欲しい。
「では、後で何冊か見繕ってきますね。」
「うん、・・・あ、お父様にご挨拶しなくては、心配してるわよね、後でミカも一緒に行ってくれる?その後書庫で本を見繕うわ。」
レイラお嬢様の言葉に、そうだな、俺としては今グレイシス侯爵様に会うのはなんか怖い気もするが、レイラお嬢様の仰る事も最もだ。
「でしたらご朝食を侯爵様とご一緒されますか?」
俺の提案に、レイラお嬢様は元気に答える。
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