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⑱俺の知識の理由(ラルフレッド)

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この前俺が帰るとリリアーナが着物メイド服を着ていた。
めちゃくちゃ可愛くて、恥ずかしいのを隠すためにわざと素っ気ないふりをしてるのも可愛すぎて、思わずツンデレメイド最高!と呟いてしまった。

それからリリアーナが足を出すのは恥ずかしいと言うので、長めの着物ドレスを作ることにした。
色々考えてたら、どうしても和服が作りたくなって、本物の着物も作ってしまった。
着物の知識についてはけっこう自信がある。
ブラック企業の社畜だった俺に何でそんな知識があるのか、それは俺が前世も結構なボンボンだったからだ。

父は茶道家元で母は華道家の家に生まれた。
俺は前世でも次男だったから普通にサラリーマンになったけど、休日などのイベントがある時は常に駆り出されていた。
着物が自分で着れない生徒さん達の着付けをするのは俺の担当だったから着物の着せ方も知っている。
手伝いが転じて着付け師の資格も持っていた。
着物に馴染んで育ってきた俺はやっぱり着物を見ると落ち着くようだ。

ただ、このドレス社会では受け入れられにくいと思い、作ったのが着物メイド服なんだけど、まぁ、かなり俺の好みが出てるかな・・・
まさかリリアーナがあれを着てくれるとは思ってなかったから意表をつかれてしばらく固まってしまったけど、ヤバいくらい可愛かった。

あれを着て和室で膝枕とかして貰えたら最高なんだけどな・・・って、俺かなり変態?
変人扱いされるのは慣れてるけど、変態は嫌だな・・・気を付けよう・・・


リリアーナに作った着物ドレスを着てもらったけど、綺麗過ぎて思わずキザな事を呟いてしまった。

その後、リリアーナを誘って庭を散歩したんだけど、リリアーナと庭を散歩したのも、手を繋いで歩くのも初めてだったから、初めてのデートみたいでドキドキしてとても楽しかった。

東屋について落ち着いてから、リリアーナが本当に俺の奥さんなんだと実感していると、リリアーナがまだ奥さんじゃないと言う。
どういう事か聞こうとしたら顔を赤らめて恥ずかしそうに俯くので、ピンと来てしまった。

思わず声に出して言うと、サーシスが咳払いをする。
俺とした事が気遣いが抜けていた。
でも、良く考えると、リリアーナは俺の元に来た時には覚悟してきているのだから、俺が何時までも抱かないのは俺の言い訳なんじゃないかと不安だったのではないだろうか?
それに、好きにならなければという焦りもあったと思う。

改めて、リリアーナに俺の事をどう思っているのか確認すると、好いていてくれると答えた。
俺の容姿にでは無く、俺自身をを見てくれてると思う。
とても嬉しかった。

なのに、突然訪問者が現れた。
俺の張った結界に誰かが入れば、つまり、門を潜ればわかるようになっている。魔力のある奴は魔力で誰なのかもわかる。

門を通り過ぎたのは俺の姉、セリーヌだ。

セリーヌは俺の二つ上で、小さい頃はよく一緒に遊ばされた。
小さい頃から大人の記憶のある俺には苦痛だったけど、大人びた反応をする俺にセリーヌは恋していたようだ。

わざと周りからおかしく見える行動をしてもセリーヌは「何がおかしいの?」とよく俺を庇っていた。
俺はおかしく見られたいから庇ってくれるのはありがた迷惑だったんだけど・・・
俺が12歳になるまでよく付きまとっていたけど、俺が出ていくと知ると、自分もついて行くと言って聞かなかった。

言い聞かせて置いてきたけど、ことある事に俺の元を尋ねてくる。
18で侯爵の元に嫁がされると知った時もしばらく俺の所から離れなかった。

結局侯爵の元に嫁いで幸せそうなんだけど、たまにヤキモチを焼いては俺のところに転がり込んでくる。

今日もどうせそのパターンだろう。

俺はいつも冷たい態度しかとらないのに、どうして俺についてくるのか分からない。

それで、きっとリリアーナにもヤキモチを焼くだろう。
でもいい機会だ、俺がリリアーナしか愛していない事を分かってもらおう。

そう思ったけど、リリアーナに嫌な思いをさせたな・・・




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