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㊴やっぱり俺が原因(ラルフレッド)
しおりを挟む安心して穏やかな顔で眠りについたリリアーナをしばらく眺めてから、そっとリリアーナから離れる。
「リリアーナ、ごめん。そばに居るって言ったけど、少しだけ離れるね。」
一人にするのは怖いけど、俺の屋敷の中なら大丈夫だ。
目が冷める前には帰ってくる。
俺は空間を繋げて父上の執務室に向かった。
「うおっ!ラルフ様!どうしたんですか?」
最初に声を出したのはアレクだ。
「ラルフ様がそんな顔をするなんて、リリアーナ嬢に何かあったんですか?」
そんな顔・・・俺の顔はかなり怒り狂った顔になっていたんだろう。
「リリアーナが殴られていた。」
「え?、どこを?」
「腹を殴られて気絶させられたようだ。」
「な、!女性を殴るなんて!」
「リリアーナの身体が真っ青になるくらい殴ってる。殴った奴は絶対許さない!」
どれほど痛かったか、考えると怒りで腸が煮えくりかえる。
もちろん、リリアーナの傷は治癒してある。
青くなった部分にキスした時に治癒したのを、リリアーナは気がついてなかったみたいだけど・・・
「ラルフレッド、リリアーナ嬢は?」
兄上も父上の元に来ていたようで、声をかけてくる。
「今は眠ってる。」
これも少し魔法を使った。
精神安定剤の代わりになる魔法を施してあるから、怖い夢は見ないと思う。
「そうか、それにしても、女性を殴るなんて、なんて奴らだ。」
「ライアンは?」
俺は兄上に問いかける。
「捉えてそのまま地下牢に入れてある。
まさかライアンが私を刺すとは思わなくて油断してしまった。申し訳ない。ラルフレッドがあの時気が付いて来てくれなかったら私は死んでいた。ありがとう。」
「いや、兄上が刺される前に気がついていれば良かった・・・死ぬほどの痛みを味あわせてしまいました。」
頭を下げる俺の背を兄上が叩く。
「何を言ってるんだ、ラルフレッドの力があったから私はこうして生きている。ラルフレッドが謝ることは無い。胸を張れ。」
「・・・はい。」
兄上には叶わないな・・・
「それで、バドルドは?」
「今コーデリア侯爵が向かっている。」
父上が答える。
「父上、今回の件、ライアンとバドルド伯爵だけの企みだと思いますか?」
「いや、バドルドだけではこんなに早い動きは出来ないだろう。まだ協力者がいる。」
父上の言葉に俺含め三人が頷く。
皆同じ事を思っていたようだな。
「今まで兄上を狙った動きはあったの?」
「いや、今までこんなことは無かった。」
「・・・て事は、俺が原因?」
俺が城に来た事が原因じゃないのか?
その質問に、父上が頭を下げる。
「すまない。今回の件は私がラルフレッドを城に呼んだのが原因かもしれない。」
「父上が頭を下げる必要はありません。恐らく、ライアンは俺が結婚して、しかも父上が紹介の為に城に呼んだ事で、焦ったんじゃない?」
今まで俺が城に表立って行っていなかった事で、ライアンは自分を俺より上位に置いていただろう。
だけど、結婚と同時に皆の前に姿を出した俺に焦ったんじゃないのか?
自分の2番目という立場を取られると・・・しかも、何処かで兄上を狙っていたライアンは俺に罪をなすり付ける事も考えた。
だけど、想定外な事が起こった。
俺が兄上を助けたからだ。
俺の力を目の当たりにしたライアンはさらに焦っただろう。
ライアンも大した魔力は持っていなかったからな。
ライアンは協力者で、城に出入りしていてもおかしくない人間にすぐに相談しただろう。
そして、俺たちを監視した。
俺が屋敷に帰ってしまうと、俺に罪をなすりつけることも出来なくなるからな・・・
俺に罪を擦り付けたいけど、俺が邪魔でもあった。
だから、リリアーナを攫ったんだ!
俺がリリアーナを探すと踏んで、兄上を地下まで連れて行き、刺した。
俺がリリアーナの元に運良くたどりつけたとしても、リリアーナの命と引き換えに、兄上殺害の罪を被らせるつもりだったのか、たどり着けなくても、同じ交渉をするつもりだったんだろう。
予想に反して、俺は兄上を助けに行った訳だが、そこでもライアンがリリアーナと兄上の命どちらか選べと言った。
俺の力を見くびりすぎた為、計画は失敗に終わったけどな。
多分そんな所だろう。
「バドルドを連行したら取り調べをする。バドルドだけでは昨日の今日でこんな動きはできない。」
「そうだね、父上、奴らの処分はお任せします。俺が処分してやりたい気持ちだけど、今は殺しかねないから近づかない方がいい。やっぱり俺は屋敷から出ない方がいいみたい。」
そう言うと、俺は父上の執務室を後にした。
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