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㉚初めての気持ち
しおりを挟むゔ・・・どうしよう・・・
今俺はグレンの膝の上にいる。
グレンといっぱい濃厚なキスをして、グレンも少し落ちついたみたいで、今はぎゅっと抱きしめておでこにキスしてる。
「シンラ、ありがとう。またこうしてキスしていいか?」
「う、うん・・・」
とろけそうなキスの後で俺の顔真っ赤になってる。そんな顔を見られるの恥ずかしいんだけど、どうしよう、グレンの膝の上が居心地良すぎて離れたくない・・・
そう思っていると、ドアがノックされて、グレンの部下と思われる人が入って来た。
「失礼致します。魔王陛下、少しお時間よろしいでしょうか?」
そう言われて、グレンは俺を見る。
「もう戻るか?迎えをよこそう。」
「ヤダ。」
俺は思わずグレンの胸にしがみついていた。
仕事の邪魔しちゃいけないって分かってるけど、離れたくない・・・
そんな俺をグレンはびっくりしたようにしばらく見つめてから、おでこに軽くキスを落とす。
「このまま話を聞こう。なんだ?」
グレンは俺を膝の上に乗せたまま仕事を始めた。
「グレン・・・ごめんね?」
俺は小さく呟く。
それからグレンが色んな人と話すのを俺はグレンの膝の上で聞いていた。
俺ってこんな甘えたさんだったっけ?ってちょっと考えたけど、元々ねーちゃん達に甘々に甘やかされてたから、これは女の子になったからじゃない。元からのものだと思い至った。
そう思うと、俺が女の子に近づいてるんじゃなくて、元々俺には男を好きになる要素があったってこと?
でも、そう思うのはグレンだけだ。
ユリアンさんの事も好きだけど、付き合いたいとか、そういう感情じゃなくて、頼りになるお兄ちゃんなんだ。
グレンは特別。
俺はグレンの横顔を眺める。
グレンは元男の俺から見ても本当に綺麗な顔をしている。
シルバーの髪から覗く柘榴色の瞳が妙に色っぽいんだよね・・・
声もすごく好きな声だ。
この声で囁かれたらそれだけで赤面しちゃう。それに、エロ発言ばかりするけど、基本優しいんだよね、今も他の人と話してる間、俺が落ちないように片手でさりげなく抱いてくれてる。
こういう優しさに、俺は惹かれたのかな・・・
「シンラ、やっと二人きりになったぞ。」
ぼんやりグレンを眺めていると、突然グレンが俺を両手で抱きしめる。
「今日はどうしたんだ?急に甘えるなんて何があった?」
そう聞かれて、俺も何でか考える。
何で離れたくないって思ったんだろう?
・・・あ、・・・グレンの事好きだって自覚したからだ。
グレンの優しさと温もりが心地よくて離れたくなくなっちゃったんだ。
「ん?」
俺が黙り込んでると、グレンが俺の顎を上げて目を合わせてくる。
「キスしていいのか?」
「・・・うん・・・」
「熱でもあるのか?」
俺の返事を聞いて、グレンが俺のおでこに手を当てて熱を測ろうとする。
「なんで?」
「やけに素直だから熱でもあるんじゃないのか?俺から離れたがらないし。」
そうだよね、今までこんなこと言われたら逃げるか、即お断りしてたもんね。
「違うよ。」
「じゃあ、どうした?」
グレンは優しく見つめる。
「ただ・・・甘えたくなっただけ。」
俺は素直に言葉に出すのが恥ずかしくて、照れながら目をそらす。
「そろそろ戻るね、わがまま言ってごめんね、」
ダメだ。急にグレンに触れられてるのが恥ずかしくなった。
これ以上一緒に居たら俺、変になる。
グレンの膝の上から降りると、俺はそそくさと出ていこうとした。
だけど、グレンに手を取られて止められてしまう。
「一人で行くな、送ってやる。」
グレンがそう言った瞬間、辺りが揺らいで俺は自分の部屋に戻ってきていた。
そっか・・・俺、こうやって移動すれば危険無かったんじゃん。
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