侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ

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26話 ボコリ決定

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会場に戻ると、さっきギルと話していた子達とも合流して色んな話しをした。
同年代の女の子達とこうして話をするのは初めてだったので楽しかった。

フローラ嬢が、さっき僕に助けられたとみんなに話すと、みんなが目をキラキラさせて僕を見ていた。

「物語の王子様のような姿なのにとてもお強いんです!」

と、恥ずかしい形容で僕の事を自慢するように話してくれていた。

話をしていると時間が経つのはあっという間で、気が付くと終わりの時間を迎えていた。


「今日楽しかったです。またお話してくださいね。」

フローラ嬢達はそう言って帰って行った。


僕とギルは彼女たちを見送った後、顔を見合わせる。

「楽しかったね!」

僕の言葉に、ギルも頷く。

「ああ、そうだな、女性と話したのは久しぶりだ。」

「うん、僕初めてかも。」

「そうなのか?」

僕の素直な感想に驚くギル。

「だって、僕は剣と体術の練習ばかりであんまり遊ばなかったから。」

「そうか、そう言えばそうだな。」

僕の言葉に納得したのか、ギルが僕の頭を撫でる。
その後、何か言いかけたけど、黙り込んで僕の頭をくしゃくしゃと撫で続けた。

どうしたんだろう?
僕は不思議に思いながらもいつも通り、ギルの手を払い除ける。


僕らは城を出て城の西側にある寮へ向かいながら歩く。

「そう言えばクリス、カルロス様に誘われても絶対ついて行くなよ。」

ギルが厳しい顔で忠告してくる。

「うん、ついて行かないけど、どうして?」

カルロス様は危ないって聞いてるからわざわざ自分の正体がバレるかもしれない身の危険がある人には近付きたくない。

「さっき聞いたんだけど、カルロス様がお前に惚れたらしい。」

「は?」

惚れた? 惚れたって言うのは好き嫌いの好き?
男の僕を? ヤリたいとかじゃなく、恋愛対象として?

「お前、また何か変な捉え方してないか?」

僕の間抜けな顔に、ギルが呆れたように聞いてくる。

「あ、やっぱり男同士で恋愛なんてないよね?」

「は?」

僕の言葉に、今度はギルが何を言っているんだ? という目で見てくる。

「お前、前に教えてやったよな?男同士でも出来るって、」

「うん、ムラムラしてたら男でもいいからヤリたくなるのかと・・・でも、恋愛とは違うよね?」

僕の答えに、ギルが大きなため息をついて頭を抱える。

あれ? 僕またなんか間違えたのかな?

「男同士で付き合ってるやつもいるよ。」

ギルのその言葉に僕は衝撃を受けた。

「え・・・?・・・マジで?」

女の子と付き合うみたいに男同士で付き合うってあるの?

「・・・そうなんだ・・・」

「カルロス様はお前の事を恋愛対象として見てるんだ、絶対関わるなよ!」

「うん、分かった。」

僕、カルロス様好きじゃないし、危険な事には近付かなければ大丈夫だよね?
そんなことをぼんやり考えていると、

「クリス!」

突然ギルが緊張した声で叫んで僕の前に立ちはだかる。
何があったのかと前を見ると、紫の隊服に身を包んだ男達が僕達の前に立ちはだかっていた。

ざっと12人、何人かは見た事ある顔もあるけど、面識はない。
多分訓練所にいた頃に顔を見た事があるんだろう。
歩いてきた方を見ると、そっちにも5人ほど立っていた。
囲まれてる。

「さっきはよくも恥を描かせてくれたな、女みたいな奴に負けたとあっちゃ、先輩にも情けなくて報告できないからな、仕返しさせてもらうぜ。」

真ん中に、さっきフローラ嬢の前で痛めつけた奴らが立っていた。

「大勢でボコボコにしたら先輩に報告できるのか? そっちの方が情けないと思うけど?」

ギルが返す。

「うるさい! ケンカは強いみたいだけど、この人数相手でも涼しい顔してられるかな?」

確かに、この人数はヤバい。
それをギルも分かってるからか、何故か僕を庇うように立つ。
本当にギルは過保護だな・・・僕もケンカ出来るのに・・・

「クリス、隙があったら逃げろ。」

ギルがそっと僕に話す。

「な、そんなこと出来るわけないだろう!」

そう言ってると、前のヤツらが一斉にかかって来て、ギルがそれを受けるために1歩前に出た。
同時に後ろにいたヤツらが僕を後ろから抑えようと、そっと近づいてきていて、両腕を脇から抱えられてしまった。
だけど、僕は身をかがめるとそのまま相手を投げ飛ばす。

僕の体術舐めんな!
その後何人かを投げ飛ばしたけど、人数が多い上に強いやつも紛れているので、結局羽交い締めにされてしまった。

「クリス!」

ギルが殴り合いをしながらも僕を気にかけてくれる。

「ギル! 僕のことは気にするな!」

そう言ったけど、お腹に蹴りを5発入れられて、立っていられなくなった。

「カッコイイこと言ってられるのも何処までかな? 」

膝を着いた僕の顔を見下ろしながら優越感に浸る奴に、僕は睨みつける。

「こんな事してタダで済むと思ってるの?」

「うるさい! お前、ずっと目立ってて鬱陶しかったんだよ!」

そいつは言葉と同時に僕の顔を殴った。
両腕を羽交い締めにされてるから動けない。

くそ、・・・口の中切れた。

4発目を殴られた時、ギルが他の奴を振り切って走ってくるのが見えた。
馬鹿だなぁ、自分も結構殴られてるのに、何で僕の事を心配するんだろう。

5発目が入ると思った時に、その振りかぶった腕が誰かに受け止められた。

ギル? はまだ間に合わないよね? 誰?

「お前ら・・・俺のクリスに何してくれてんだ!」

俺のクリス? 僕は誰かのものになったつもりは無いけど・・・

「誰だ? お前?」

腕を掴まれたやつが不快そうに見る。

「おい、この人!」

僕を押さえつけてるやつが焦った声を出す。

「クリスを離しやがれ! お前ら、俺のクリスにこんな事したんだ、ボコリ決定な!」

僕は開けづらい目を開けて顔を上げて声の人物を見た。

黒い騎士服・・・カルロス様?!



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