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27話 カルロス様 (ギルバート)
しおりを挟む「クリス!」
クリスが羽交い締めにされて殴られてる!
クリスに何してくれてんだ!
俺は完全に切れていた。
周りのヤツを何人かのした後、慌ててクリスの元に向かった。
また殴られそうになってる。
やめろ! そう思った時、1人の人物が入ってきてクリスを殴ろうとしている奴の腕を止めた。
止めた奴は「俺のクリスに何してるんだ」とかほざいている。
・・・カルロス様だ。
カルロス様の登場に、相手の奴らは怯み出す。
「カルロス様・・・」
そう言いながら逃げようとするやつらにカルロス様は掴みかかる。
「おい、どこ行くんだよ! クリスの十倍殴られてから行け!」
カルロス様もかなり切れている様子だ。クリスに群がってたヤツらを片っ端から殴っている。
その間に俺は解放されたクリスの元に向かった。
「クリス、大丈夫か?」
クリスの可愛い顔が青く腫れて、口からは血が出ている。唇も切れて血が出ている。
この姿を見ると、俺も怒りで狂いそうになる。
唇の血をそっと拭ってやると、クリスはにっこりと笑う。
「ギルこそ、大丈夫?」
クリスの方が明らかにやられてるのに、何で俺の心配なんかするんだ。
「俺は大丈夫だ。」
そう言うと、クリスはヘラっと笑った後、気を失った。
「おい! クリス!」
俺は慌ててクリスを受け止めた。
その様子をチラリと見たカルロス様が、捕まえていた奴を離す。
「お前ら! 団長のシュバルには俺から報告させてもらうからな、覚悟しとけよ!」
カルロス様はめちゃくちゃ強い。半数を立てないくらいボコボコにした後怒鳴り散らしている。
王子に立てつけないってのもあるだろうけど、圧倒的だ。
ボコられたヤツらは慌てて逃げていった。
俺は気を失ったクリスを抱えて立ち上がると、カルロス様の元へ向かった。
「カルロス様、助けて頂いてありがとうございます。」
俺は敵だと認識していた奴に助けられてしまった事への情けなさと、自分の不甲斐なさに打ちのめされていた。
「たまたま通りがかって良かった。もっと早く来ればよかったな、お前もボロボロじゃないか、私の所に来なさい、手当をしてやろう。」
男らしい鍛え抜かれた逞しい体、俺とタッパは変わらないのに、俺が細身に見えるくらいだ。
黒色の髪にクラウス様と同じグリーンの瞳、力強さを感じる男前だ。
コイツに抱かれたくて入団を希望する奴もいると聞いた。
分かりたくはないが、確かにこれならそういう奴もいるだろう。
俺には関係ないけど、それよりクリスを守らないと。
「いえ、ここからだとうちの寮の方が近いので、このまま帰ります。」
カルロス様について行くなんてとんでもない。
「遠慮するな、クリスを抱いてやろう。」
そう言って俺からクリスを奪おうとする。
そんな事させてたまるか!
「いえ、お気遣いありがとうございます。」
俺がカルロス様の手から逃げていると、離れたところからくすくす笑う声が聞こえた。
「兄上、さっきも言いましたが、クリスは渡しませんよ、うちの団員を助けて頂いた礼は言いますが、二人を連れて行くのは許せません。」
笑いながら現れたのはクラウス様だった。
「なんだ、お前がなかなか出てこないから連れてっていいのかと思ったんだが、違うのか?」
「そんな訳ないでしょう、ケンカは兄上に任せようと思っただけです。」
そう言いながら気絶して眠るクリスの顔を見て止まる。
「私も、可愛い団員をこんな目に遭わされてキレそうだったよ、だけど、冷静な奴が一人はいないといけないだろ? 」
カルロス様に対して敬語だったクラウス様がタメ語になる。
クリスの顔をそっと撫でる手は優しいけど、かなり怒ってるな。
「お前の判断はいつも正しいよ、俺はすぐキレるけど、冷静にその場を判断してくれるお前が居るから暴れる事が出来る。」
嘆息した後、カルロス様は俺とクリスを見る。
「今日は諦めてやるよ。」
そう言うと、カルロス様は反対方向、東のカルロス様の寮に向かって歩いて行った。
「兄上、ありがとうございました。」
カルロス様が見えなくなってから、俺達は寮に向かって歩いた。
「ギルも酷い怪我じゃないか、クリスは私が抱いてやろう。」
クラウス様が、気遣ってくれるけど、この人も信用ならない。
「いえ、いいです。このまま部屋まで運びます。」
そう言って早足で寮を目指す。
「・・・クラウス様は、さっきカルロス様ととご一緒だったんですか?」
「ああ、そうなんだ、もう少し早く来ていればよかったね・・・」
「なんの話しをしていたのか聞いてもいいですか?」
さっきクラウス様はカルロス様にクリスはやれないって言っていた。
「兄上に、クリスをくれって率直に申し入れされてね、もちろん断ったよ、安心して。」
にっこり笑うクラウス様に、最初に俺たちの事を守ると言ってくれた時の事を思い出す。
クリスをカルロス様から守る為には、クラウス様に協力してもらうのが最善策だと思った。
「クラウス様、カルロス様はクリスを狙っています。クリスを守るのを協力して貰えませんか?」
僕の申し出にクラウス様はにっこり微笑む。
「当然だ。」
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