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28話 クリスの手当 (クラウス)
しおりを挟む兄上に呼び出された帰り、どこかの隊のヤツらが喧嘩してるのが目に入った。
何処の奴らだと思った瞬間、白い騎士服が見え、クリスが両腕を羽交い締めにされ、殴られている姿が目に映った。
相手は第七の奴らだ。
私は駆け出そうとしたが、それより早く兄上が止めに入った。
兄上が入ったら奴らも手出し出来ないだろう。
ただ、既にキレてる兄上を止められるか分からないけど・・・
解放されてへたり込むクリスの元へはギルが向かった。
ギルもかなりやられているけど、倒れてるやつが多いからギルもかなりやったんだろう。
ギルと少し話した後、クリスが気を失うのが見えた。
私もクリスの元へ行きたいと思ったけど、クリスの顔を見てしまったら、私も平常心を保てず切れてしまいそうだったので、あえて距離を取って兄上に任せた。
兄上もクリスが気を失ったのに気が付いたのか、奴らを追い払った。
クリスの手当が先決だと思ったんだろう。
その後、兄上が無理やり自分の所に連れていこうとしているのを、ギルが抵抗している。
私の可愛い部下が兄上に手篭めにされるのを黙って見過ごすわけにいかないし、可哀想なのでそろそろ行くか。
私が姿を現すと、ギルがほっとしたようだった。
強引な兄上に焦っていたんだろう。
私はクリスの顔を見て胸に怒りが込み上げるのを感じながら出来るだけ冷静に話をする。
クリスの綺麗な顔をこんなに殴りやがって・・・!
とりあえず、兄上は引き下がってくれたので、私達は寮に急いだ。
寮に付くと、ギルとクリスの状況を見た奴らが、何があったのかと騒ぐ。
「あまり騒ぐな、医療班をギルの部屋に呼んでくれ。」
私はそう指示してギルと一緒に彼らの部屋に入った。
部屋に入ると、ギルがそっとクリスをベットに寝かせてやる。
「ギル、お前も酷い怪我だ、医療班が来るまでに服を脱いで身体を拭いておけ。」
私がギルに血の着いた服を脱ぐように指示すると、ギルも素直に従って服を脱いでバスルームに身体を洗いに入って行った。
私はクリスの血の付いた服もぬがせて、体の傷を確認しようと服を脱がせた。
クリスは寒がりなのか、沢山着込んでいた。最後のシャツのボタンを外して開いた瞬間、私の手が止まる。
・・・・・・この子は・・・女の子?
私は慌ててシャツを閉じながら混乱していた。
クリスが女の子? という事はやはり私が見たあの少女はクリスなのか?
でも何故? クリスがレティシアだとしたら、何故クリスのふりを・・・男のふりをしている?
死んだのはレティシアではなく、クリスの方だったのか?
シャツのボタンを半分まで閉じた所で、腹の大きな青アザに手が止まる。
ギルが言うには、何度も膝蹴りを入れられていたと言っていた。
・・・女の子の体にこんな酷いことをしやがって・・・!
女の身でこれを耐えるのがどれほど苦痛だったか・・・
声を上げるでもなく、泣くでもなく、ただ耐えていた。
どれほど痛かったか・・・
どれほど怖かったか・・・
クリスが何故こんなことをしているのか、疑問がいっぱいだが、何か事情があるのだろう。
どんな事情があるにしろ、女の身で男と偽るのがどれほど大変だったか・・・
クリスの青く腫れた顔を見ながら、
私の頬に自然と涙が零れる。
「クラウス様?」
ギルがパウダールームから出て来て私に話しかけてきた。
私はギルに見られないようにそっと涙を拭う。
「クリスは大丈夫そうですか?」
「ああ、体に傷はなかったよ、ただ、腹にかなり蹴りを入れられたようだな・・・」
そう言って私はお腹だけが見えるように、シャツをめくって見せた。
「アイツら・・・!」
それを見てギルも怒りが込み上げるのを我慢している。
「クリス、痛かっただろう?よく耐えたな・・・」
ギルがクリスの頭をそっと撫でながら寝ているクリスに話し掛ける。
・・・ギルはクリスが女の子だと知っているのだろうか?
「ギル、クリスの裸は見たことあるのか?」
「いえ、クリスは貧弱な体を見られるのを嫌うので見たことはありません。どうしてですか?」
私の質問に訝しげな顔をするギル。
「いや、確かに、細い体だったから、よくこんな体で訓練について来れてるなと感心してたんだ。」
「そうなんですよ、クリスは体のハンデをカバーしようと、かなり努力してますよ。クラウス様にそれがわかって貰えて俺も嬉しいです。」
クリスの事なのに、自分の事のように喜ぶギル。
だけど、クリスが女だとは思っていないようだな。
ギルが駆けつけた医療班に治療をしてもらっている間に、別の奴がクリスの顔の傷も治療する。
「クラウス様、お腹のアザにはどうすることも出来ませんが、とりあえず軟膏を塗っときましょうか。」
そう言われて、私も「そうだな」と頷く。
そいつが軟膏を手にクリスの腹に触ろうとした時、私はその手を止めていた。
「クラウス様? どうしたんですか?」
「薬は私が塗っておく。貸してくれ。」
自分でも驚いたが、クリスの肌を他の男に触らせたくないと思った。
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