侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ

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36話 森へ行く為の条件

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「クラウス様、次の休暇を利用して、姉の居なくなった森にギルと行ってきていいですか? 」

一ヶ月半後にまとまった休暇が貰えるので、そこでギルと森に行こうと言う話になった。
僕が一人で行けたのは森を二日歩いた所まで、それ以上はまだ行けてない。

ギルと、今の僕達ならもっと奥まで行けるだろうと、話して決めた。
クラウス様も協力してくれると言っていたので、クラウス様の都合が合うかは分からないけど、とりあえず報告をする。
それに、団長の許可が無いと王都から出ることが出来ないから、クラウス様には話さないといけない。

「一ヶ月半後か・・・私も同行してもいいのか? 」

「もちろんです! 一緒に来て貰えますか? 」

ギルとクラウス様が居てくれたらもっと奥深くまで入れる。
今まで探せなかった所を探しに行ける。
そう思うと嬉しくなる。

「ただし、一つ条件がある。これはお願いでもあるんだけど・・・」

クラウス様が「お願い」と言って少し言い淀む。

「なんですか?」

「一ヶ月後にあるパーティーに一緒に出て欲しいんだ・・・こんな事クリスに頼むのもどうかしてるけど、女性に頼むとややこしくなるから避けたいんだ。」

クラウス様は何を言いたいんだろう?
一緒にパーティーに出る?

「なんかあるんですか?」

「実は・・・今回のパーティーは私と兄上がいつまでも婚約者を決めないからという理由で開かれる、言わば私と兄上の婚約者探しのパーティーなんだよ、もちろん、呼ばれるのは名のある貴族令嬢だけでなく、隣国からも候補者がやってくる。」

「へー、凄いですね! 綺麗な女性がいっぱい集まるんだろうなー。」

そっかー、クラウス様は今恋人がいらっしゃらないから、クラウス様の恋人候補の人が集まるんだ。

「そこで、クリスに私と一緒来て欲しいんだ。」

「はい? 」

僕が一緒に行ってどうするんだろう?
なんか意味があるのかな?
あ、僕にも彼女を作れみたいな?

「クリスに女装・・して私の恋人役を演じて欲しい。」

「な、何言ってるんですか? 僕が女装? 嫌です! 」

クラウス様の言葉に即座に反応してしまう。
僕が女装? そんな事したら本当に女だってバレちゃうかもしれない。

「何でそんな事をするんですか? 」

僕に女装させて何がしたいんだろう?
僕が女みたいだからドレスを着せようとしてるの?

「私はまだ誰とも婚約する気が無いんだ。クリスが私の恋人として一緒にパーティーに参加してくれると、しばらくは周りも何も言わないだろう。こんな役、女性に頼むとややこしい事になるし、クリスなら何処の令嬢なのか誰も分からないだろう? 男に頼むのもどうかしてると思うけど、お願い出来ないか? 」

クラウス様の言いたい事は分かるけど、僕は嫌だ。
いくら僕の胸がまだまだ成長期(と思いたい)だからって、引き締まったドレスを着たら膨らみくらいは出る。
女性だとバレる危険をおかしたくない。

「クラウス様、ごめんなさい。僕には無理です。」

僕が頭を下げると、クラウス様はため息を着く。

「やっぱりダメかな・・・私の理由は建前で、クリスにドレスを着させたかったんだけどね。」

その言葉に、僕の目が点になる。
クラウス様は何を言っているんだろう?
僕にドレスを着せたい?
クラウス様にはそんな趣味があったのかな?
クラウス様を少し変な人を見る目で見てしまう。

「クリス、私に着せ替え趣味はないよ。」

くすくす笑いながら僕を見るクラウス様。

「・・・ですよね? 」

じゃあ、何で?
首を傾げる僕を、クラウス様は微笑みながら見つめる。

「クリス、私は君が女性だって知ってるんだよ。」

「え? 」

クラウス様の言葉に、一瞬思考が停止した後、驚くと共に焦りが出る。

「クラウス様、今なんて言いました? 」

「私はクリストファー、君がレティシアだと知っているんだ。黙っていてすまない。」

クラウス様にバレてた? いつから? 本当に? 実は疑ってるだけで反応を伺っているのかもしれない。
バレたら僕どうなるの? 騎士団辞めさせられちゃう?

「クラウス様、何言ってるんですか? 僕クリストファーですよ? 」

とりあえず否定してみたけど、僕の顔が明らかに引きつってしまう。

「クリス、隠さなくてもいい、私は他の者に君の正体を明かす気は無いから安心して。」

クラウス様の笑顔に、ちょっと気持ちがほぐれる。

「本当に? 僕、女の子だけど、騎士団辞めさせられちゃわない? 」

「本当はこんな危ない所には居て欲しくないけど、それはクリスが8年間頑張ってきた事を無かったことにしてしまう事になるだろ? だから誰にも言わない、私が君の支えになるから、無茶はしないで欲しいんだ。」

クラウス様に真剣な目で見つめられながらそう言われて、安心したのと、今までの僕を認めてくれた事に気持ちが高ぶる。

あ、ヤバい、泣いちゃいそう。

「クラウス様・・・ありがとうございます。でも、女性として社交界に出るのは嫌です。誰かに僕だってバレたらどうするんですか!」

「バレないように、ウイッグは君の髪と違う色を用意する。騎士は参加しないし、唯一危険人物は兄上だけど、私が君のことは守る。」

そう言って貰えるのは嬉しいんだけど、やっぱり嫌だ。
どう断ろう・・・

「断ると、森へ行く件も保留になるけどいいのかな? 」

クラウス様が珍しくニヤリと笑いながら言う。

「あ、クラウス様ずるい! 」



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