侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ

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番外編 レティシア

9話 私の騎士

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「・・・なに? 婚約者がいたの? それなら早く言ってよね」

サーヤ様がブツブツと呟く。
そして、その影でジョセフがそっと下がろうとしていた。

そして、何かにぶつかって足を止める。
ジョセフは何にぶつかったのか分からないでキョロキョロしてるけど、それより先に進めない。

「何逃げようとしてるんだ? レティシアに何か言うことあるだろう」

ギルがジョセフに向かって話しかけた。

「俺は何も言うことは無い」

そう言って自分の前に手を出してみて、何か壁のような物があるのに気が付いたようで、空を触っている。

「なんだ? 何かある? 」

「お前がレティシアにちゃんと謝るまで出してやらないからな」

ギルがジョセフを睨みつけながら言う。
ギルがなんかしてるの?

「これはお前がなんかしてるのか? 」

ジョセフが叫んでギルを見る。


「さすがギル、凄いね」

突然背後から声がして振り返ると、クラウス様とカルロス様が立っていた。

「クラウス様、カルロス様・・・」

「何をやったんだ? 」

「ジョセフの周りに障壁を張っただけです」

カルロス様の質問に、ギルが簡単そうに答える。
障壁? もしかして、魔法を使ったの??

「ギル、魔法が使えるようになったの? 」

私の質問に、ギルはにっこり笑って私を見る。

「うん、レイ曰く、俺の魔力は魔族並にあるらしい」

「凄い・・・」

ギルはこの2年で魔法も習得してきたんだ、本当に凄い。

「ジョセフ、君はレティシア嬢を陥れる為の嘘を言い触らしたね? しかも、数人で本当にレティシア嬢をレイプしようとした。たまたまレティシア嬢が逃げ出せたから良かったものの、逃げ出せなければ、本当に酷い目に合わされるところだった」

クラウス様がジョセフに向かって話しかける。

「俺はそんな事してません」

ジョセフは少し目線を逸らしながら無実を訴える。

「へぇー? 俺は誰の指示でそんな事したのかまで知ってるんだが・・・なあ、サーヤ嬢? 」

サーヤ様は突然カルロスに話しかけられて、顔を赤らめながらも驚いた表情になって私を見る。

「な、何の事でしょうか? 私と兄は何も関係ありませんわ」

私を見る目がとても冷たい。
これは・・・私が言ったと思われてるな・・・

「もし、君が兄のジョセフに頼んでそんな事をしたのなら私は心から君を軽蔑するよ」

クラウス様の言葉に、サーヤ様が焦ったようにクラウス様に近づく。

「そんな事してませんわ、本当です。レティシア様とはお友達ですもの。ねぇ? レティシア様? 」

焦って私に助けを求めて来るけど、私も素直に頷くことは出来ない。

「レティシア様! なんとか仰ってください! 」

少し威圧的に僕に返事を促すサーヤ様からギルがそっと間に入って庇ってくれる。

「君たち兄妹がレティシア嬢にどんな酷いことをしたのか、証言者が居るんだけど、それでもしらを切るの? 」

クラウス様の言葉に、明らかに2人が動揺する。

「証言者? そもそも、そんな事していないのにいるわけないでしょ! 」

ジョセフが噛み付くと、カルロス様が後ろに向かって顎を動かした。
私たちの周りはザワザワと、事の成り行きを見守る人達で大きな輪になっている。
その間から、リオさんと何人かが入ってきた。
リオさん達が捕まえている3人は見覚えがある。
・・・私をジョセフと一緒に襲おうとした人達だ。

その3人の登場に、2人は明らかに焦りの色を出す。

「この3人から全部聞いたよ? ジョセフが3人に声を掛けて、レティシア嬢をおそ襲おうとした事、その裏にはサーヤ嬢がいた事、全部話してくれたよ」

クラウス様はニッコリと微笑みながらサーヤ様に話しかける。

「その3人に私が貶められているのですわ! 」

サーヤ様はこの期に及んで、自分は悪くないと、まだしらを切る。

「サーヤ嬢、君が私に思いを寄せてくれているのは知っていたよ。だけど、私の愛するレティシア嬢を傷付けるような者を愛する事は出来ない」

クラウス様の言葉に周りが反応してざわめきが起きる。
クラウス様、何もこんな所でそれ言わなくても・・・

「クラウス様がレティシア様を? でも、レティシア様には婚約者が・・・? 」

戸惑居ながら私とギル、そしてクラウス様を交互に見る。

「クラウスだけでなく、俺もレティシア嬢に惚れてる」

カルロス様の言葉に、更に周りのざわめきが大きくなる。
これは・・・私また皆から妬まれるのでは?
そんな私の肩を、ギルがそっと抱き寄せてくれる。

「レティシア嬢を助けて森を出るまで、俺たちは数日一緒に過ごす中で、誰もがレティシア嬢に惹かれた。
彼女の懸命さと真面目さ、目の前で弟のクリスを亡くし、泣き崩れる彼女を支えながら、儚く見えて強い心を持っている事にも気がついた。
そして、俺たちに向ける優しさと笑顔、一緒に居た俺たち3人とも彼女の虜だった。
その中で、彼女はギルを選んだ。
俺たち2人が王子であると知りながら、彼女は本当に心から愛する人はギルと決めた。
それがどういう事かわかるか? 」

カルロス様に話をふられてサーヤ様が口篭る。

「・・・分かりませんわ・・・」

「・・・俺たちの事を、王子と言うフィルター無しで、一人一人の男として見てくれてたって事だ。
俺たちの周りで騒ぐ女性達が悪いって言ってる訳じゃない。だが、レティシア嬢には王子という飾りも目に止まらなかったようだ。
そんな彼女だからこそ、俺たち3人は惹かれ、一人を選んだ今でさえ、守ってやりたいと思っている。
これは、ギルも同じだ。もしレティシア嬢が選んだのが俺だとしたら、ギルも同じようにレティシア嬢を守ろうとした」

カルロス様の言葉に、ギルも頷く。

「私達の愛する姫に何かあれば、第一騎士団長カルロスと、第二騎士団長クラウス、そして、今は私の部下だけど、ギルには騎士団総隊長を務めてもらう事になっている。この3人を敵に回すことになると思っておいて欲しい」

クラウス様がみんなを睨みつけるように話す。

ギルが総隊長?

「総隊長? そんな職あったか? 」
「総隊長って事はカルロス様たちより上の立場? 」

皆も口々に疑問を話し合っている。

「これは国王とも話して新しく設けた地位だ。立場は公爵と同じになる。ギルは行方不明になっていた2年間で強くなって帰ってきた。助けられたという魔族から魔法を教わり、俺たち人間の中で唯一の魔法騎士になった。俺もクラウスも、昨日手合わせしてギルに叶わなかった。これからは全体の指揮をとってもらう職を設け、騎士団全体の士気を上げる働きをしてもらう予定だ」

その言葉に1番驚いたのは私だ。
驚いてギルを見上げる。
するとギルは照れたように私にほほ笑みかける。

「なんかそんな事になった」



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