陛下の溺愛するお嫁様

さらさ

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㉔旅の相談(クロード)

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なんとかレイラ嬢ただ一人を妻にすることを丸め込めた。
後は結婚式の日取りを決めるだけだ。

俺はその報告をするために離宮へ向かった。 



「お兄様!」

俺が離宮へ行くと、アイリスが遊びに来ていた。

「アイリスも来ていたんだな、ちょうど良かった。」

「ミカ、嬉しそうだけど、どうしたの?」

俺がレイラ嬢の隣に座ると、レイラ嬢がすかさず聞いてくる。

「分かるか?」

「ええ、いつものミカの顔じゃないもの。」

レイラ嬢はよく見てるな。
「実は、レイラ嬢との結婚を、俺がレイラ嬢としか結婚しない事を納得させられた。」

「本当に?」

レイラ嬢よりも先に、アイリスが喜びを露わにする。

「お姉様、良かったわね!」

「え、ええ、」

アイリスの勢いに押されているのか、レイラ嬢はあまり嬉しそうじゃない。
いや、元執事の感が、これは自分一人でいいのか戸惑っている表情だと告げる。

「レイラ嬢、どうした?あまり喜んでもらえないか?」

「嬉しいのだけど・・・本当に皇帝陛下の妻がわたくしだけでいいのかしら・・・」

やっぱり・・・

「レイラ嬢だけがいいんだよ、他の誰かなんて俺は要らない。愛しているのはレイラ嬢だけだ。」

俺がレイラ嬢の目を見て言うとレイラ嬢は顔を赤らめながらぽつりと呟いた。

「ありがとう。」

ふと、アイリスを見ると、アイリスも赤い顔で俺達を見ている。

「お兄様、さすがですわ!お姉様との愛のために頑張られたのですね!」

アイリスがキラキラとした瞳で興奮気味に話す。

それを聞いてレイラ嬢がさらに顔を赤くして俯いて俺の手を握りしめる。

「わたくしの為にミカはいっぱい頑張ってくれたのよね、本当にありがとう。」

言い終えた後に上を向いて俺を見るレイラ嬢の笑顔は本当に可愛くて思わず抱きしめたくなるほどだ。
この笑顔が見れるだけで俺は満足だ。

「また日取りが決まったらすぐに知らせるよ。その前に、アイリスのイルザンド王国行きだな。」

「ええ、そうね。」

そう言ってレイラ嬢がアイリスを見る。

「今日はレイラお姉様にヘンリー様の事を聞いていたの。会うのが楽しみだわ。」

アイリスは本当に楽しみだという風に笑顔を向ける。
アイリスにはヘンリー王子は以前レイラ嬢の婚約者だった事を話してある。
手違いで婚約を破棄してしまい、結果的に俺と婚約する事になった事も。
その上で、ヘンリー王子と会うことも承諾してくれている。

「お姉様を愛していらっしゃった方だし、とても優しい方だと聞いているからきっといい方よね。」

「ミカ、本当にわたくしも行ってもいいの?」

アイリスの喜ぶ姿を眺めてからレイラ嬢が問いかける。

「当たり前だろう。レイラ嬢も久しぶりにグレイシス侯爵と婦人の顔を見たいだろう?」

本来、アイリスだけが行って、あちらから来たレイラ嬢は行かないのが普通なのだろうけど、レイラ嬢もたまには息抜きをしていいと思う。
それに、俺も息抜きがしたい。なんとか時間を作ってレイラ嬢とイルザンド王国に行きたい。

今回の訪問は非公式なものだ。 
国同士の政略結婚の場合、事前にお互いの気持ちを確認なんてしない。甘いと言われるだろうが、俺はアイリスにもヘンリー王子にもお互い納得して一緒になって欲しい。
今回はイルザンド王国に十日間滞在してお互い親睦を深めてもらう予定だ。
俺は十日間も滞在を許して貰えないだろうから途中で帰ることになるだろうけど。

「俺も行きたいから一緒に行こう。」

「皇帝陛下自ら出向かれるなんて・・・」

「今回は非公式だし、俺はお忍びで行くから大丈夫だ。」

レイラ嬢の心配に俺はウインクをしながらおどけてみせる。

「出た、陛下のお忍び好き!もう皇子の頃とは違うんですからね!」

レイラ嬢の後ろに待機していたシドが話に入ってくる。
それに反応してレイラ嬢がシドの方へ振り返る。

「お忍び好き?」

「陛下は皇子の頃から良く平民になりすまして市井を見に行ったりしてたんです。あの頃の陛下も息抜きがしたいと仰っていました。今と同じです。」

シドがペラペラと説明をする。

「シド、お前は本当におしゃべりだね。」

俺がにっこり笑いながらシドを見ると、シドがしまったという顔をする。

「まぁ、ミカもお転婆だったのね、わたくしの所にいた時は全然そんな感じしなかったけど。」

「レイラ嬢の執事をやってる時は毎日新鮮で楽しかったからね。」

レイラ嬢の隣でずっと一緒にいられる時間は本当に楽しかった。
レイラ嬢の為なら何でもしてやれる。
懐かしく思いながらレイラ嬢を見る。

「私もお姉様と一緒の方が心強いわ、旅も楽しいと思うの、是非一緒に行って欲しいわ。」

アイリスの頼みには断れないようで、レイラ嬢も嬉しそうに分かったと答えた。









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