『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

文字の大きさ
26 / 71

26話 乱れる心

しおりを挟む


「あの、通していただけますか? 」

突然道を塞がれてしまったので、通してもらえるようお願いする。

「うお! めちゃくちゃ美人じゃん! 」
「ラッキー、お嬢さん、ちょっと俺たちと来てよ 」

「は? いえ、急いでいますので 」

何この人達、ナンパ? 鉱山の人達なのか、身体が大きくて少し怖い。

「そんなこと言わずにさ、ちょっと付いてきてよ 」

一人がそう言って私の腕を掴む。

「ちょっ、離してください 」

嫌だ、怖い!

そう思った瞬間、私を掴んでいた男の腕が離れる。

「痛っ、なんだてめぇ! 」

見ると、男は誰かに腕をひねり揚げられていた。

「お前らこそ何してるんだ? 」

私の腕を掴んだ男の腕を捻りあげて私の前に立ちはだかったのはヨシュア様だった。

「ヨシュア様! 」

めちゃくちゃ不安だった所に現れたヨシュア様の姿に安心したけれど、相手は強そうな三人、大丈夫かしら。

「なんだ? お前にゃ関係ないだろ! 」

「ある、俺はこのお方の護衛だ。このお方を守る義務がある 」

え? 護衛? ヨシュア様が? なんの事を言ってるのかしら?

「ちっ、大人しく渡しやがれ! 」

そう言うと男達は一斉にヨシュア様に向かってくる。

「きゃっ! 」

私はヨシュア様の後ろで怖くて目を閉じてしまった。
ヨシュア様一人では負けてしまうわ、私はどうすればいい? 今のうちに逃げる? ヨシュア様を置いて逃げるなんて有り得ない! 一瞬でそんな事を考えて目を開けると、目の前で男が投げ飛ばされていた。続けて2人目のお腹に蹴りを入れて吹き飛ばしたあと、最後の一人のパンチを避けてその腕を取るとまた投げ飛ばす。

「え? 」

ヨシュア様、めちゃくちゃ強い。
その後ももう一度掛かってくる三人を相手に渡り合っている。

「なんだ、こんな強いボディーガードが居るなんて聞いてねえぞ! 」

しばらくボコボコにされた後、そう言うと三人は悔しそうに逃げていく。

「ちょっと待て! 聞いてないってどういう事だ! 」

ヨシュア様は追いかけようとして、私が居ることを思い出して足を止めた。
そして、私の方を振り向いた時には笑顔を浮かべていた。

「エリシア様、大丈夫ですか? 」

「ヨシュア様、ありがとうございます。ヨシュア様こそ、お怪我はございませんか? 」

ヨシュア様が来てくれたお陰で私は無事だった。もし来てくれなかったら私は何処かに連れていかれてたかもしれない。

「俺は大丈夫です。エリシア様は優しいですね 」

そう言ってまたにっこり笑うヨシュア様。
その笑顔に心からほっと安心する。

「ヨシュア様が来てくれましたので助かりました。どうしてこちらに? 」

なぜこんな所にいたのか分からないけれど、本当に助かった。

「レオンハルト様よりエリシア様にお付してお守りするよう申し付けられていましたので、失礼ですが陰ながらお付させて頂いておりました 」

「え? レオンハルト様が? 」

「はい 」

そうなんだ、知らなかった。

「ずっと付いていてくださったのですか? 知らなくて申し訳ございません 」

ヨシュア様がずっと私の近くにいてくださったなんて、気が付かなかった。

「ディアルド王国に入ってからは少し離れた所からお守りさせていただいていました。レオンハルト様から私がお守りしていることは話すなと言われていましたので、知らなくて当然です 」

「何故ですか? 」

「戻りながらお話しましょう 」

そう言われて、みんなの所から離れてから随分時間が経っている事を思い出した。

「ええ、ごめんなさい、そうね 」

歩きながらヨシュア様の横に並んで話す。

「俺がお守りしているのをエリシア様が知ったら気を使われるだろうから言うなとレオンハルト様が仰っていましたので、お話していませんでした。これからも陰ながらお守りさせて頂きますのでご安心ください 」

レオンハルト様がそんな事をしていたなんて、結構私に気を使ってくれてる?
ちょっと見直したかもしれない。

馬車の前まで戻ると、レオンハルト様が入口で待っていた。

「遅かったじゃないか、何かあったのかい? 」

「申し訳ございません。少し道に迷ってしまいまして 」

ここは他の方々の目もある。私が襲われたなんて言うべきじゃないわね、そう思って笑顔で謝った。

「それなら良かった、エリシアの帰りが遅いので心配したよ 」

レオンハルト様はそう言って、ふわりと私を抱きしめた。

「レオンハルト様、本当に申し訳ございません 」

私はもう一度謝ってレオンハルト様から離れると、待っていただいていた他の方々に頭を下げた。

「お待たせしてしまい申し訳ございませんでした 」

「いや、いいんだよ、では出発しようか 」

シュナイダー国王様の言葉で、馬車は次の目的地に向けて出発する。

私は席に着いてから、自分の乱れた心と戦っていた。

さっき、レオンハルト様に抱きしめられた瞬間、泣きそうになった。あれは何? 
ほっとしたから? レオンハルト様に? レオンハルト様は油断出来ない人だと思っているのに、ほっとしたのは何故? 





しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

湊一桜
恋愛
 王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。  森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。  オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。  行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。  そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。 ※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。

【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る

水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。 婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。 だが―― 「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」 そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。 しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。 『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』 さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。 かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。 そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。 そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。 そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。 アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。 ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

処理中です...