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第六章
マリッジブルー 12
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「まさかここでお会いすると思いませんでした。改めまして、ご結婚おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「私、実は月経過多で、薬を飲んで生理痛を調節しているんですよ。そろそろ薬が切れそうになってたので、処方してもらおうと思って」
桜田さんは、自分から受診理由を話してくれた。ここはレディースクリニックだけあり、デリケートな部分もある。それだけに、こちらから受診内容なんて踏み入って聞くものではない。
「そうなんですね、お仕事が大変だから、くれぐれも無理はなさらないでくださいね」
桜田さんにそう告げた途端、突然また吐き気に襲われた。
「藤川さん、顔色がよくないですよ。気分悪いなら、トイレ行きましょう? 立てますか?」
私の異変に気付いた桜田さんが、私を支えてくれる。私は桜田さんに付き添われてトイレに行くと、トイレで嘔吐した。吐けるものなんてほとんどなくて、胃液が上がってくる。桜田さんは私の背中をさすりながら、「大丈夫ですよ、もうすぐ先生に診てもらえますからね」と声を掛けてくれた。
桜田さんの存在に、私はどれだけ勇気づけられただろう。嘔吐しながら涙が止まらない。
きっと普段ならここまで感情のふり幅はないと思う。これが妊娠時のホルモンの影響かと思うと、妊娠って本当に凄いことなんだ……
ある程度嘔吐して、身体が少し楽になったので、私は桜田さんにお礼を伝えた。
「そんな体調だと一人でおうちに帰るの大変でしょう? 私、藤川さんの診察が終わるまで待ってますね。おうちまで送ります」
桜田さんからの申し出に私は恐縮したけれど、たしかにこの状態では一人で帰宅できるか不安しかない。私は素直に桜田さんの厚意に甘えることにした。
そして私の診察の順番が回ってきた。私は看護師さんに促され、診察室へ入った。
席に着くと、女性の先生が私に笑顔でこう言った。
「おめでとうございます、ご懐妊されてますよ。今が妊娠七週目ですね。内診で、中の様子を診てみましょうね」
先生の言葉で、看護師さんに内診台へ移動するよう促された。
テレビドラマなどで見たことのある座ると開脚する椅子に、下着を取って座ると、準備ができたことを確認後、椅子が自動的に動く。
カーテン越しに、先生と看護師さんが私の股間に器具を入れる準備をする。
ふと顔を上げると、私の目線が届く先に子宮内の様子が見えるモニターがあったので、私はそれに視線を向けた。
そのモニターに映し出されたのは、袋に入った小さな豆粒みたいな塊だった。
「これが胎嚢、赤ちゃんが入っている袋ですね。で、その中の塊は、赤ちゃんですよ。心拍も確認できましたので、次回の検診時には母子手帳をもらってきてくださいね」
先生の言葉に、つわりのような症状が、本当につわりだったことを自覚する。
異常な眠気も、この吐き気も、妊娠特有のものだったんだ……
じわじわと、喜びが込み上げてきた。
先生にしっかりと検査してもらい、先ほど見た画像はプリントアウトして、会計時に手渡してもらった。
桜田さんは、私が会計を終わらせるまでクリニックに残ってくれていて、母子手帳をもらいに行かなければならないと伝えると、一緒に区の保健センターに付き添ってくれた。
「ありがとうございます」
「私、実は月経過多で、薬を飲んで生理痛を調節しているんですよ。そろそろ薬が切れそうになってたので、処方してもらおうと思って」
桜田さんは、自分から受診理由を話してくれた。ここはレディースクリニックだけあり、デリケートな部分もある。それだけに、こちらから受診内容なんて踏み入って聞くものではない。
「そうなんですね、お仕事が大変だから、くれぐれも無理はなさらないでくださいね」
桜田さんにそう告げた途端、突然また吐き気に襲われた。
「藤川さん、顔色がよくないですよ。気分悪いなら、トイレ行きましょう? 立てますか?」
私の異変に気付いた桜田さんが、私を支えてくれる。私は桜田さんに付き添われてトイレに行くと、トイレで嘔吐した。吐けるものなんてほとんどなくて、胃液が上がってくる。桜田さんは私の背中をさすりながら、「大丈夫ですよ、もうすぐ先生に診てもらえますからね」と声を掛けてくれた。
桜田さんの存在に、私はどれだけ勇気づけられただろう。嘔吐しながら涙が止まらない。
きっと普段ならここまで感情のふり幅はないと思う。これが妊娠時のホルモンの影響かと思うと、妊娠って本当に凄いことなんだ……
ある程度嘔吐して、身体が少し楽になったので、私は桜田さんにお礼を伝えた。
「そんな体調だと一人でおうちに帰るの大変でしょう? 私、藤川さんの診察が終わるまで待ってますね。おうちまで送ります」
桜田さんからの申し出に私は恐縮したけれど、たしかにこの状態では一人で帰宅できるか不安しかない。私は素直に桜田さんの厚意に甘えることにした。
そして私の診察の順番が回ってきた。私は看護師さんに促され、診察室へ入った。
席に着くと、女性の先生が私に笑顔でこう言った。
「おめでとうございます、ご懐妊されてますよ。今が妊娠七週目ですね。内診で、中の様子を診てみましょうね」
先生の言葉で、看護師さんに内診台へ移動するよう促された。
テレビドラマなどで見たことのある座ると開脚する椅子に、下着を取って座ると、準備ができたことを確認後、椅子が自動的に動く。
カーテン越しに、先生と看護師さんが私の股間に器具を入れる準備をする。
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「これが胎嚢、赤ちゃんが入っている袋ですね。で、その中の塊は、赤ちゃんですよ。心拍も確認できましたので、次回の検診時には母子手帳をもらってきてくださいね」
先生の言葉に、つわりのような症状が、本当につわりだったことを自覚する。
異常な眠気も、この吐き気も、妊娠特有のものだったんだ……
じわじわと、喜びが込み上げてきた。
先生にしっかりと検査してもらい、先ほど見た画像はプリントアウトして、会計時に手渡してもらった。
桜田さんは、私が会計を終わらせるまでクリニックに残ってくれていて、母子手帳をもらいに行かなければならないと伝えると、一緒に区の保健センターに付き添ってくれた。
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