クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい

小田恒子

文字の大きさ
113 / 124
第七章

マタニティブルー 11

しおりを挟む
「仕事上、これからの季節は大雪が心配だな。特に日本海側のルートを飛ぶ時は、下手したら一泊は覚悟しなきゃだし……」

 千早さんの言葉にハッとした。たしかに大雪が降れば、飛行機は欠航せざるを得ない。その時はその地で宿泊しなければならないこともわかっている。その頃に私のつわりが落ち着いていれば問題ないけれど……

 私が不安な表情を浮かべていることを気にした千早さんが、そっと私の背中に手を回し、ぎゅっと抱き寄せた。

「そのためにも、またこの見守りカメラが活躍するんだからな」

 そう言って、見守りカメラの位置を指差した。
 ああ、そうかと私は頷いた。

「でも、千早さん側からこちらの行動が丸見えでも、私からは見えないです……」

 ちょっと唇を尖らせて、子どものように拗ねた口調でそう言うと、千早さんは私の背中をポンポンと優しく叩きながら口を開いた。

「ああ、でも俺も、こうして梢子を抱きしめることができない……」

 千早さんの鼓動を聞いて安心した私は、そっと目を閉じた。


 翌日から、千早さんは朝早い出勤、夜遅い帰宅が続いた。
 スタンバイの日は比較的早い帰宅だったけれど、乗務の日は、帰宅時に疲れた表情を浮かべている。

 そんな中でも妊婦検診の日は、どうにか都合をつけて休みを取ってくれた。

 妊娠十五週目を迎えたこの日、おなかの赤ちゃんの性別がまだ断定はできないけど、女の子ではないかと告げられた。そして検診の際、里帰り出産について質問された。

 千早さんとは妊娠がわかった時に、里帰り出産が安心だねと話し合っており、その旨を伝えると、二十週になるまでに受け入れ先の病院を探して、必ず予約を入れるようにと指示を受けた。

 年明けに帰省する予定だったので、その時に里帰り出産ができる病院を探そう。
 NIPT検査の検査の件については、今回は見送ることを返事して、私たちは病院を後にした。

 検診が終わると、久しぶりのデートだ。

 ようやくつわりも少しずつ落ち着いて、食事も以前のように取れるようになった私は、少しでも気分転換できればとウインドウショッピングをした。そして小腹が空いたころを見計らって、事前に予約をしてくれたレストランへ向かう。

 赤ちゃんの性別は、次回の検診の時にほぼ確定すると言われたので、その日を楽しみに食事を楽しんだ。

 食事が終わる頃に、ちょうどイルミネーション点灯し、私たちの目を楽しませてくれる。

 数日後に迎えるクリスマスイブの日は、松山便の乗務を担当するとのことで、松山空港でじゃこ天などのご当地食材を買って帰ってくれると約束してくれた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...