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第七章
マタニティブルー 12
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こちらにもアンテナショップがあるし、いざとなれば実家からクール便で送ってもらうことも可能だけど、これまでつわりでろくに食事ができなかった私のために、千早さんがわざわざ買って帰ってくれると言ってくれたことが素直に嬉しかった。
身体を冷やすと大変だからと、早々に帰宅した私たちは、久しぶりに肌を重ね合った。
私のお腹に負担がかからないよう、浅い抽挿だったけれど、お腹の中にいる赤ちゃんと三人が繋がっている気がしてとても幸せな時間だった。
それまでは私のつわりがつらくて、ずっと千早さんには我慢してもらっていたことが申し訳なく思っていたけれど、千早さんも私とお腹の子をいたわって、それまで以上に優しいふれあいとなった。
千早さんは安定期に入ってからの夫婦の営みについて、事前にクリニックで先生や看護師さんにいろいろと真剣に聞いていた。隣に座る私は、恥ずかしさのあまり顔が熱くなって下を向いていたけれど、千早さんがきちんと話を聞いてくれていたおかげで、こうして安心して身体を繋げることができる。
そしてクリスマスイブの夜、千早さんは約束通りじゃこ天や松山揚げ、松山の銘菓など私になじみのものをたくさん買って帰ってくれた。
今年は東京で年越しするけれど、年が明けたら里帰り出産の相談で一度松山へ帰省するつもりだった。しかし一足先に地元の美味しいものを堪能できて、最高のクリスマスプレゼントだった。
そして年が明け、私たちは予定通り松山へ里帰りをした。
バスと電車を乗り継いで実家へ戻ると、実家には姉夫婦と桜子も駆けつけてくれ、一家団欒を楽しんだ。
千早さんは仕事の都合で一泊しかできないけれど、私は一週間、実家で滞在することにしたので、久しぶりの松山を楽しむつもりだった。
夕食を囲んでいる時、母が私に問い掛ける。
「ねえ梢子、今、妊娠五か月なんでしょう? 戌の日の安産祈願、どうするの?」
「あ、まだ行けてないや。里帰り出産のできる病院を探すことばかり頭にあって、すっかり忘れてた」
私の返事に、姉がスマホを取り出して、直近の戌の日がいつになるかを検索し始めた。
「あ、明後日が戌の日みたいだよ。せっかくだし石手寺にお詣り行ってきたら? あそこ、安産祈願やってるし」
道後から少し東にある石手寺は、薬師如来と鬼子母神が祀られており、安産祈願でも有名なお寺だ。
「明後日か……、事前にきちんと調べておけばよかった。せっかくなら千早さんと一緒に行きたいのにな……」
私が残念そうにしていると、千早さんが口を開いた。
「梢子、ありがとう。でも俺の都合に合わせていたら、お詣りできなくなるから、せっかくだし明後日みんなで行っておいで」
身体を冷やすと大変だからと、早々に帰宅した私たちは、久しぶりに肌を重ね合った。
私のお腹に負担がかからないよう、浅い抽挿だったけれど、お腹の中にいる赤ちゃんと三人が繋がっている気がしてとても幸せな時間だった。
それまでは私のつわりがつらくて、ずっと千早さんには我慢してもらっていたことが申し訳なく思っていたけれど、千早さんも私とお腹の子をいたわって、それまで以上に優しいふれあいとなった。
千早さんは安定期に入ってからの夫婦の営みについて、事前にクリニックで先生や看護師さんにいろいろと真剣に聞いていた。隣に座る私は、恥ずかしさのあまり顔が熱くなって下を向いていたけれど、千早さんがきちんと話を聞いてくれていたおかげで、こうして安心して身体を繋げることができる。
そしてクリスマスイブの夜、千早さんは約束通りじゃこ天や松山揚げ、松山の銘菓など私になじみのものをたくさん買って帰ってくれた。
今年は東京で年越しするけれど、年が明けたら里帰り出産の相談で一度松山へ帰省するつもりだった。しかし一足先に地元の美味しいものを堪能できて、最高のクリスマスプレゼントだった。
そして年が明け、私たちは予定通り松山へ里帰りをした。
バスと電車を乗り継いで実家へ戻ると、実家には姉夫婦と桜子も駆けつけてくれ、一家団欒を楽しんだ。
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「あ、明後日が戌の日みたいだよ。せっかくだし石手寺にお詣り行ってきたら? あそこ、安産祈願やってるし」
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「明後日か……、事前にきちんと調べておけばよかった。せっかくなら千早さんと一緒に行きたいのにな……」
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