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番外編
忘れられない人─SIDE和範─
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君を見つめるだけしかできなかった高校時代。
あの日、勇気を出してクリスマスを一緒に過ごしたいと伝えていたら……、君に告白していたら……
もしかしたら、違う未来が待っていただろうか。
そして、忘れもしない僕の二十歳の誕生日の夜。
光里──だれかが彼女を話題にするだけで、胸が切なくなる。
会いたいよ……
もし会えたなら、今度こそ、僕は君に自分の気持ちを伝えたい。そしてもし、君の一番近くにいられるなら、何があっても引き下がらない。今度こそ、間違えない。
* * *
それは、社会人二年目の晩秋のことだった。
仕事が終わり、帰宅してポケットの中に入れていたスマホを取り出すと、待ち受け画面のバナーに通話アプリの受信通知が表示されていた。画面を開くと、懐かしい友人の名前が目に飛び込んでくる。高校、大学と一緒だった田中貴志からだ。
田中は大学を卒業後、地元の銀行に就職し、現在は実家近くにある支店の融資担当窓口を担当している。
『この度、加代子との結婚が決まりました。近いうちに会えないか?』
おめでたいメッセージに、思わず顔が綻んだ。すぐさま祝福の言葉と了解の返事を送り、週末の夜に約束を取り付けた。
田中とは高校入学時に同じクラスで、出席番号が前後だったことから話すようになり、バスケ部に誘われて入部するとすぐに仲良くなった。
僕は中学を卒業してすぐ、隣町から今の家に引っ越してきたため、僕と同じ中学校出身で同じ高校に進学した子は数えるくらいしかおらず、親しい友人はいなかった。
田中は市内の少し遠方にある中学校からこの高校に入学したと言うけれど、小学生の頃はこの近所に住んでいたとかで友達が多い。そんな田中と話をするようになり、僕もすぐにその仲間に加えてもらったのだった。
そのメンバーの中にいたのが田中の婚約者、千葉加代子で、二人が付き合い始めたのはちょうどこの頃だ。
田中が加代子に一目惚れして告白し、加代子がそれを受け入れて以来高校、大学を卒業後も付き合いが続き、結婚まで話が進んだのだ。本当にすごいことだ。
加代子は大学を卒業後、地元の会計事務所に就職している。もしかしたら、この週末は二人揃ってやってくるのだろうか。
学生の頃は、いつも理由がなくてもみんなでよく集まっていた。けれど社会人になってからは、休日の都合がなかなか合わなくて、学生の頃のようにみんなで集まることはなくなった。同窓会も、昔みたいに集合率は高くない。
親しい友人の一人でもある同級生の宮田灯里も、高校を卒業後、調理師になるため専門学校へと進学した。けれど、実習が多いとかで、みんなで集まろうと声が掛かってもなかなか参加しない。
専門学校を卒業して就職してからは、調理師の資格を活かして飲食店に就職した。
不規制な勤務のせいで、学生の頃以上にみんなとの集まりに顔を出すことがなくなった。だから灯里の双子の妹で、僕が片思いしている光里の消息を聞くことができないでいた。
元々光里と僕たちは入学した科が違うから、僕たちとの接点は灯里を通じてしかなく、連絡先も誰一人として知らない。
高校時代、違う校舎のせいでなかなか会う機会がないながらもお互い顔を見れば話をするくらいに親しくなれた時に、連絡先を交換すれば良かったと悔やまれる。
僕の二十歳の誕生日、酒に酔った僕は、コンビニで光里と再会した。
高校を卒業して一年と数か月、髪の毛を伸ばしてパーマをかけていたから、後ろ姿を見た時は灯里かと思ったけれど、すぐに光里だと気付いた。
光里は僕が酔っ払って「灯里?」と声をかけたせいで、自分が光里であると気付いていないと思ったのだろう。その後もずっと灯里の振りをしているし、いつの間にか田中と加代子も現れて、二人も光里を灯里だと思って話をしているから僕はそのまま黙って様子を見ていた。
酒に酔った僕を、田中が車で送ってくれた。あの日は地元の花火大会があり、田中は加代子と郊外の見晴らしがいい場所で花火を見るために出かける予定だった。
僕を家に送ると、二人は予定通り花火を見るためうちを後にした。
家に残った光里と結ばれた僕は、自分が爆ぜた後、己の致命的な過ちに気付かず能天気に眠ってしまっていた。
そう、光里だと気付いていることを伝えた上で、きちんと光里のことが好きだと告白することを失念したまま行為に陥ったのだ。
酒に酔っていたことで自分の理性が働かず、早急に身体を繋げてしまっていた。後から言い訳しても仕方ないことだけど、目が覚めたら改めてきちんと告白するつもりだったのに、部屋には光里のいた形跡はどこにも見当たらなかった。
使ったはずの避妊具や避妊具が入っていたフィルムも、ゴミ箱の中やベッド周辺にも落ちていない。それらは跡形もなく消えていた。シーツには、僕が転んで出血した血液の染みらしきものが付着しているけれど、どす黒く変色したそれ以外にもうっすらとしたものも付着していた。
前日の記憶を辿りながら、どうしても光里に自分の気持ちを伝えたくて、僕は灯里に光里の連絡先を教えてほしいとお願いした。けれど灯里は、急に光里の連絡先を知りたいと言い出した僕を警戒したのだろう。連絡先を知りたい理由を告げない僕に、光里は自分が直接連絡先を交換した相手じゃないと、登録していない番号には通話は出ないと言って仲介すらしてもらえなかった。
成人式には戻ってくるはずだから、その時直接本人に聞けばいいと言われ、その日を待ったけれど……
光里はインフルエンザに感染して、帰省は叶わなかったと聞かされて、僕は言葉を失った。
部屋の掃除をしていた時、机の下に高校時代光里へプレゼントしたスマホのイヤフォンジャックカバーが落ちているのを見付けて、涙が止まらなかった。
あの日、きちんと自分の気持ちを伝えられなかった後悔を引きずったまま、今に至る。
そして迎えた週末。
僕は、田中と約束した店へと向かった。
田中が指定したのは、地元でも流行りのダイニングバー、『彩』。
店に入ると、カウンター席に座る田中と加代子、他にも当時仲の良かった数人の同級生の姿が目に映る。みんなと久しぶりの再会に驚いて立ち尽くしていると、さらに驚くことがあった。なんと、カウンターの向こう側に、灯里の姿があったのだ。
ここで初めて、灯里がこの店で働いているから、集合がここになったのだと悟った。
僕げ灯里に会うのは、成人式の日以来だ。
僕の姿を見つけた田中が手を挙げて合図を送ると、みんなが久しぶりだと声を掛けてくれるので、挨拶をしながら空いた席に腰を下ろした。
ボックス席はすでに満席で、カウンター席も僕が座ったらそこにもう空いた席はない。名実ともに満員御礼状態だ。
後から何組かお客さんが訪れるも、店員さんがすみませんとお断りをするくらい大繁盛だ。
灯里も仕事中だから、みんなと込み入った話などすることもなく、席に頼んだ品を運んできた時に少し世間話をする程度だ。僕とも挨拶だけで、灯里はすぐに奥の厨房へと下がって行った。
これだけ繁盛している店だから、私語をする暇もない。僕たちの会話に混じることはなかったけれど、二人のお祝いにと腕によりをかけて運ばれてきた料理は、どれも美味しかった。
ここで二時間くらい時間を費やし、そろそろお開きとなった時、通話アプリにメッセージが入った。メッセージの送信主は、田中だ。
『話したいことがあるから、この後店を変えよう』
話したいこと……? 一体何だろう。
僕はみんなにスマホを見られないように了解のスタンプを押すと、すぐに既読がついた。
会計を済ませて店を出ると、昔だったらこの後二次会に行くぞと大騒ぎになるところだけど、みんな社会人になると翌日は予定があるからと言って早々に解散した。この場に残ったのは、僕と田中と加代子の三人だけだ。
みんなを見送ると、僕たちは駅近くにあるバーへと向かった。
駅前の雑居ビル二階にあるそのバーは、隠れ家的なお店で、入口に看板が出ていない。知る人ぞ知るという店だ。
階段を上がり、店の扉を開くと、ブラックライトに照らされた水槽が置かれているカウンターがある。カウンター席は座席数は少なく、ボックス席は1つだけという、十人も座れないくらいの狭い店だ。店の看板も外に出さないくらいだから、一見客がこの店に来ることは滅多にない。
「こんばんは」
田中がマスターに声を掛けると、田中の顔を見たマスターが笑顔で迎えてくれた。田中はマスターと顔見知りらしく、親しげに話している。
「おう、貴志、いらっしゃい。好きな席どうぞ」
「ありがとう。ねえ兄ちゃん、ボックス席いい?」
「おい、ここでは『マスター』って呼べって何度も言っただろ? 好きな席座っていいぞ」
田中の言葉にマスターが頷くと、田中は奥にあるボックス席へと向かった。僕と加代子は、その後に続く。
僕たちが席に着くと、マスターが水を入れたグラスを持ってきてくれた。
「俺はジントニック、加代子はどうする?」
テーブルの上にあるメニューを見ずに、田中が飲みたいお酒を注文すると、加代子も即答する。
「じゃあ、私はカシスオレンジで。カズは?」
「二人とも即答だな。……って、じゃあ僕は……、このトムコリンズで」
マスターがオーダーをメモすると、再びカウンターに戻って行った。
店内には、懐かしいJーPOPの曲がオルゴールにアレンジされて流れている。ボックス席だから仕切りもあり、もし他のお客さんが来たとしても、大きな声を出さない限りカウンター席まで話の内容は聞こえないだろう。
僕の正面に、二人が並んで座っている。
マスターがお酒を運んでくるまで、マスターが田中の家の近所に住んでいる人で昔からの知り合いであることや、先ほどまでの集まりの話など、僕は聞き役に回り相槌を打っていた。けれど、マスターがテーブルにお酒を運んでくれ、カウンターに下がったタイミングでようやく田中が本題を切り出した。
「今さらこんなこと聞くのもアレだけど……。カズ、答えたくないなら答えなくてもいい。でも、どうしても俺と加代子の中で気になってることがあって……」
加代子は黙って田中の言葉に頷いている。思い当たることと言えば、あの夜のことだろう。それ以外に考えられない。
僕は、目の前に置かれたトムコリンズに口をつけると、口を開いた。
「……あの夏のこと?」
僕の言葉に、二人が息を呑むのがわかった。
「ああ……、こんな立ち入ったことを聞いてもいいか、ずっと悩んでたんだ。俺たちもいい大人なんだから、口にすることではないことはわかってる。でも……」
田中の言葉に続いて、加代子が口を開いた。
「あの夜、私たちが灯里にカズのことを任せて先に家を出たでしょう? 灯里にも悪いことしたと思って、次の日にカズの様子を聞こうと思って灯里に連絡したんだけど、ちょっと話が噛み合わなくて……」
加代子はそう言うと、田中に視線を向けた。田中は加代子に話を続けるようにと促している。
加代子は深呼吸をすると、再び口を開いた。
「後日、別の子から、あの日灯里を花火大会の会場で見たって聞いたの。灯里、浴衣を着てたって」
「なあ、あの日、カズと一緒にいたのって……」
二人の疑問に、僕はゆっくりと頷きながら答えた。
「多分、光里ちゃんだと思う」
僕の返事に、二人は再び息を呑んだ。
しばらく沈黙が流れた。店内に流れるオルゴールの曲が、偶然にもあの夏に流行っていたメロディーを奏でている。
間が持たないのか田中がグラスに手を伸ばし、ジントニックをひと口飲むと、再び口を開いた。
「あの時、俺たちは全然見分けがつかなかった。光里ちゃんは昔から、髪の毛はサラサラのストレートボブだったよな。髪型一つ変わるだけで、一卵性の双子なんじゃないかと思うくらいそっくりに見えたけど、カズはあれが光里ちゃんだと気付いてたのか?」
口に出したことはないけれど、田中は僕の気持ちを知る数少ない友人だ。田中の彼女である加代子だって、田中から話を聞いていても不思議ではない。
「僕は、コンビニで声を掛けた時点で気付いてたよ。後ろ姿が灯里かと思って灯里って声を掛けたから、もしかしたら違うと言い出せなくなって、灯里の振りをしてたのかも知れないな」
僕の言葉に納得したのか、二人は頷いた。
「二人とも知ってると思うけど、私、宮田姉妹とは小学校から一緒でね」
加代子は徐ろに話を始めた。
加代子の声に、僕たちは加代子に視線を向けた。
「灯里は、誰とでもすぐに打ち解ける子だから、よく話をしてたんだけど……。光里ちゃんは、昔からおとなしい子だったから、こっちから話し掛けてもなかなか会話が続かなくて。それは、誰が話し掛けてもそうだった。学生の頃、みんなで灯里の家に行った時、光里ちゃんが飲み物を運んでくれたこと覚えてる?」
僕が初めて光里と話をした日のことだ、忘れるはずがない。
僕が頷くと、加代子は言葉を続ける。
「私が知ってる光里ちゃんは、昔からあんな感じ。高校に入って、少しは人慣れ……って言い方はおかしいけど、少しずつみんなに打ち解けてるって灯里が嬉しそうに話してたの」
たしかに光里は人見知りが他の人より激しいとは思うけど、そういう性格の人は、世の中にたくさんいるから、僕は特別気にならなかった。
「人の性格なんて、すぐに変わるなんてことはないから、あの日、光里ちゃんがあんな風に普通に喋っていたことが信じられなかったの。だから私、あれは灯里だと信じて疑わなかった」
加代子の言葉に、田中がフォローするように言葉を付け加えた。
「あ、これは悪口じゃないからな。大人になって、いい意味で性格が変わることもあるし。社会人になれば、コミュニケーション力は必要なんだから」
「うん、そうだな……」
再び沈黙が流れる。
僕たちは、それぞれが頼んだお酒のグラスに手を伸ばし、それを飲んだ。
グラスの中の氷がぶつかる音が聞こえる。時間が経過したグラスの表面は、少し結露していて、触れると指先が濡れた。
しばらくして田中が再び話を始めた。
「灯里な……、カズと一緒で、成人式の日以来、こんな集まりとか声を掛けてもずっと不参加だったんだ。ダイニングバーに勤務してるから、みんなと時間が合わないって理由だったけど。何となく、俺たちを避けてるんじゃないかと思って」
田中の言葉を、僕は即座に否定した。
「いや、それはない。避けられるなら、僕一人だけだ。今日だって、仕事の合間にみんなとは軽く雑談してたけど、僕とは最初に挨拶しただけで、灯里が僕に話しかけたりしなかっただろう?」
「どうしてだ? あの日、何があったんだ?」
田中の問いに、僕はしばらくの間考え込んだ。
田中は僕の恋心を茶化したりするようなやつじゃない。加代子だってそうだ。あの日の当事者なんだから、何があったか話をしてもいいだろう。
「あの日、光里ちゃんを抱いた。ずっと、好きだったんだ……。酔った勢いもあって、好きだと告白した」
僕の告白を、二人は黙って聞いている。
「でも、僕はきちんと光里ちゃんのことが好きだとは言ってなかったんだ」
僕の言葉に、加代子が噛み付いた。
「そんなの……! それじゃ、きっと光里ちゃんは、カズが灯里のことを好きなんだと誤解してるよ⁉︎」
「だから翌朝、僕は光里ちゃんにきちんと告白しようと家に行ったんだ。だけど……玄関に出てきたのは灯里で、光里ちゃんはひと足先に、大学の寮に戻ったって言われた」
僕の返事に、今度は田中が口を挟む。
「灯里に、光里ちゃんの連絡先聞いたのか?」
「ああ。でも、教えてくれなかった」
「「はぁ⁉︎ 何で?」」
二人の声が重なった。
「光里ちゃんは、自分が登録してる人しか通話しないって。それに個人情報だから勝手に教えられないって。成人式の時に帰ってくるから、直接本人に聞いてくれって言われた」
僕の返事に、再び加代子が口を開いた。
「灯里ったら、何でそんなこと言うんだろう。知らない相手じゃないんだから、光里ちゃんにカズの連絡先教えてあげて登録してもらったらいいだけじゃない?」
「普通に考えたらそうだよな」
加代子の意見に田中も頷いている。僕もあの時そう思ったけれど、言えなかった。
「僕が光里ちゃんを傷付けたと思って、きっと灯里は僕に対して怒ってるんだろう……。結局、成人式の日も、光里ちゃんは帰って来なかった」
インフルエンザに感染したと灯里が友達に話をしているのが耳に入ったけれど、多分それは嘘だろう。
「え、じゃあ、光里ちゃんにはあれからずっと誤解されたまま……?」
加代子の言葉に、僕は頷いた。
「マジか……。ところでカズ、光里ちゃんが今、どこにいるか知ってるのか?」
「いや、知らない……」
あの頃の夢を叶えたなら、きっと本に携わる仕事をしているはずだ。それに、再会して彼氏がいたりしたら、僕はもう立ち直れない。
「私から灯里に聞いてみようか?」
加代子の申し出に、僕は藁にもすがるような気持ちになったけれど、灯里のことだから急に光里の話題に触れたら警戒されないだろうか。
「上手く聞き出せたとしても、俺たちカズと繋がってるから、灯里に警戒されないか?」
僕の不安を田中が指摘すると、加代子はそれならと言葉を続ける。
「もしこっちに帰ってるなら、同級生の誰か消息を知ってる子がいるかもね。……でも、光里ちゃんって、親しくしてた子いたかなぁ?」
結局そこで、暗礁に乗り上げるのだ。
「でも、とにかく、カズはまだ光里ちゃんのこと、好きなんでしょう? なら、絶対思いは伝えなきゃ! 女の子ってね、好きな人とじゃないとそんなことできないんだからね」
加代子の言葉に励まされ、僕は頷いた。
そしてあの日、最悪の再会を果たすこととなる。
光里、君の心の中に他の人がいるとしても、もう後戻りなんてできないくらい、好きなんだ。
いつか、この思いを受け入れて……
あの日、勇気を出してクリスマスを一緒に過ごしたいと伝えていたら……、君に告白していたら……
もしかしたら、違う未来が待っていただろうか。
そして、忘れもしない僕の二十歳の誕生日の夜。
光里──だれかが彼女を話題にするだけで、胸が切なくなる。
会いたいよ……
もし会えたなら、今度こそ、僕は君に自分の気持ちを伝えたい。そしてもし、君の一番近くにいられるなら、何があっても引き下がらない。今度こそ、間違えない。
* * *
それは、社会人二年目の晩秋のことだった。
仕事が終わり、帰宅してポケットの中に入れていたスマホを取り出すと、待ち受け画面のバナーに通話アプリの受信通知が表示されていた。画面を開くと、懐かしい友人の名前が目に飛び込んでくる。高校、大学と一緒だった田中貴志からだ。
田中は大学を卒業後、地元の銀行に就職し、現在は実家近くにある支店の融資担当窓口を担当している。
『この度、加代子との結婚が決まりました。近いうちに会えないか?』
おめでたいメッセージに、思わず顔が綻んだ。すぐさま祝福の言葉と了解の返事を送り、週末の夜に約束を取り付けた。
田中とは高校入学時に同じクラスで、出席番号が前後だったことから話すようになり、バスケ部に誘われて入部するとすぐに仲良くなった。
僕は中学を卒業してすぐ、隣町から今の家に引っ越してきたため、僕と同じ中学校出身で同じ高校に進学した子は数えるくらいしかおらず、親しい友人はいなかった。
田中は市内の少し遠方にある中学校からこの高校に入学したと言うけれど、小学生の頃はこの近所に住んでいたとかで友達が多い。そんな田中と話をするようになり、僕もすぐにその仲間に加えてもらったのだった。
そのメンバーの中にいたのが田中の婚約者、千葉加代子で、二人が付き合い始めたのはちょうどこの頃だ。
田中が加代子に一目惚れして告白し、加代子がそれを受け入れて以来高校、大学を卒業後も付き合いが続き、結婚まで話が進んだのだ。本当にすごいことだ。
加代子は大学を卒業後、地元の会計事務所に就職している。もしかしたら、この週末は二人揃ってやってくるのだろうか。
学生の頃は、いつも理由がなくてもみんなでよく集まっていた。けれど社会人になってからは、休日の都合がなかなか合わなくて、学生の頃のようにみんなで集まることはなくなった。同窓会も、昔みたいに集合率は高くない。
親しい友人の一人でもある同級生の宮田灯里も、高校を卒業後、調理師になるため専門学校へと進学した。けれど、実習が多いとかで、みんなで集まろうと声が掛かってもなかなか参加しない。
専門学校を卒業して就職してからは、調理師の資格を活かして飲食店に就職した。
不規制な勤務のせいで、学生の頃以上にみんなとの集まりに顔を出すことがなくなった。だから灯里の双子の妹で、僕が片思いしている光里の消息を聞くことができないでいた。
元々光里と僕たちは入学した科が違うから、僕たちとの接点は灯里を通じてしかなく、連絡先も誰一人として知らない。
高校時代、違う校舎のせいでなかなか会う機会がないながらもお互い顔を見れば話をするくらいに親しくなれた時に、連絡先を交換すれば良かったと悔やまれる。
僕の二十歳の誕生日、酒に酔った僕は、コンビニで光里と再会した。
高校を卒業して一年と数か月、髪の毛を伸ばしてパーマをかけていたから、後ろ姿を見た時は灯里かと思ったけれど、すぐに光里だと気付いた。
光里は僕が酔っ払って「灯里?」と声をかけたせいで、自分が光里であると気付いていないと思ったのだろう。その後もずっと灯里の振りをしているし、いつの間にか田中と加代子も現れて、二人も光里を灯里だと思って話をしているから僕はそのまま黙って様子を見ていた。
酒に酔った僕を、田中が車で送ってくれた。あの日は地元の花火大会があり、田中は加代子と郊外の見晴らしがいい場所で花火を見るために出かける予定だった。
僕を家に送ると、二人は予定通り花火を見るためうちを後にした。
家に残った光里と結ばれた僕は、自分が爆ぜた後、己の致命的な過ちに気付かず能天気に眠ってしまっていた。
そう、光里だと気付いていることを伝えた上で、きちんと光里のことが好きだと告白することを失念したまま行為に陥ったのだ。
酒に酔っていたことで自分の理性が働かず、早急に身体を繋げてしまっていた。後から言い訳しても仕方ないことだけど、目が覚めたら改めてきちんと告白するつもりだったのに、部屋には光里のいた形跡はどこにも見当たらなかった。
使ったはずの避妊具や避妊具が入っていたフィルムも、ゴミ箱の中やベッド周辺にも落ちていない。それらは跡形もなく消えていた。シーツには、僕が転んで出血した血液の染みらしきものが付着しているけれど、どす黒く変色したそれ以外にもうっすらとしたものも付着していた。
前日の記憶を辿りながら、どうしても光里に自分の気持ちを伝えたくて、僕は灯里に光里の連絡先を教えてほしいとお願いした。けれど灯里は、急に光里の連絡先を知りたいと言い出した僕を警戒したのだろう。連絡先を知りたい理由を告げない僕に、光里は自分が直接連絡先を交換した相手じゃないと、登録していない番号には通話は出ないと言って仲介すらしてもらえなかった。
成人式には戻ってくるはずだから、その時直接本人に聞けばいいと言われ、その日を待ったけれど……
光里はインフルエンザに感染して、帰省は叶わなかったと聞かされて、僕は言葉を失った。
部屋の掃除をしていた時、机の下に高校時代光里へプレゼントしたスマホのイヤフォンジャックカバーが落ちているのを見付けて、涙が止まらなかった。
あの日、きちんと自分の気持ちを伝えられなかった後悔を引きずったまま、今に至る。
そして迎えた週末。
僕は、田中と約束した店へと向かった。
田中が指定したのは、地元でも流行りのダイニングバー、『彩』。
店に入ると、カウンター席に座る田中と加代子、他にも当時仲の良かった数人の同級生の姿が目に映る。みんなと久しぶりの再会に驚いて立ち尽くしていると、さらに驚くことがあった。なんと、カウンターの向こう側に、灯里の姿があったのだ。
ここで初めて、灯里がこの店で働いているから、集合がここになったのだと悟った。
僕げ灯里に会うのは、成人式の日以来だ。
僕の姿を見つけた田中が手を挙げて合図を送ると、みんなが久しぶりだと声を掛けてくれるので、挨拶をしながら空いた席に腰を下ろした。
ボックス席はすでに満席で、カウンター席も僕が座ったらそこにもう空いた席はない。名実ともに満員御礼状態だ。
後から何組かお客さんが訪れるも、店員さんがすみませんとお断りをするくらい大繁盛だ。
灯里も仕事中だから、みんなと込み入った話などすることもなく、席に頼んだ品を運んできた時に少し世間話をする程度だ。僕とも挨拶だけで、灯里はすぐに奥の厨房へと下がって行った。
これだけ繁盛している店だから、私語をする暇もない。僕たちの会話に混じることはなかったけれど、二人のお祝いにと腕によりをかけて運ばれてきた料理は、どれも美味しかった。
ここで二時間くらい時間を費やし、そろそろお開きとなった時、通話アプリにメッセージが入った。メッセージの送信主は、田中だ。
『話したいことがあるから、この後店を変えよう』
話したいこと……? 一体何だろう。
僕はみんなにスマホを見られないように了解のスタンプを押すと、すぐに既読がついた。
会計を済ませて店を出ると、昔だったらこの後二次会に行くぞと大騒ぎになるところだけど、みんな社会人になると翌日は予定があるからと言って早々に解散した。この場に残ったのは、僕と田中と加代子の三人だけだ。
みんなを見送ると、僕たちは駅近くにあるバーへと向かった。
駅前の雑居ビル二階にあるそのバーは、隠れ家的なお店で、入口に看板が出ていない。知る人ぞ知るという店だ。
階段を上がり、店の扉を開くと、ブラックライトに照らされた水槽が置かれているカウンターがある。カウンター席は座席数は少なく、ボックス席は1つだけという、十人も座れないくらいの狭い店だ。店の看板も外に出さないくらいだから、一見客がこの店に来ることは滅多にない。
「こんばんは」
田中がマスターに声を掛けると、田中の顔を見たマスターが笑顔で迎えてくれた。田中はマスターと顔見知りらしく、親しげに話している。
「おう、貴志、いらっしゃい。好きな席どうぞ」
「ありがとう。ねえ兄ちゃん、ボックス席いい?」
「おい、ここでは『マスター』って呼べって何度も言っただろ? 好きな席座っていいぞ」
田中の言葉にマスターが頷くと、田中は奥にあるボックス席へと向かった。僕と加代子は、その後に続く。
僕たちが席に着くと、マスターが水を入れたグラスを持ってきてくれた。
「俺はジントニック、加代子はどうする?」
テーブルの上にあるメニューを見ずに、田中が飲みたいお酒を注文すると、加代子も即答する。
「じゃあ、私はカシスオレンジで。カズは?」
「二人とも即答だな。……って、じゃあ僕は……、このトムコリンズで」
マスターがオーダーをメモすると、再びカウンターに戻って行った。
店内には、懐かしいJーPOPの曲がオルゴールにアレンジされて流れている。ボックス席だから仕切りもあり、もし他のお客さんが来たとしても、大きな声を出さない限りカウンター席まで話の内容は聞こえないだろう。
僕の正面に、二人が並んで座っている。
マスターがお酒を運んでくるまで、マスターが田中の家の近所に住んでいる人で昔からの知り合いであることや、先ほどまでの集まりの話など、僕は聞き役に回り相槌を打っていた。けれど、マスターがテーブルにお酒を運んでくれ、カウンターに下がったタイミングでようやく田中が本題を切り出した。
「今さらこんなこと聞くのもアレだけど……。カズ、答えたくないなら答えなくてもいい。でも、どうしても俺と加代子の中で気になってることがあって……」
加代子は黙って田中の言葉に頷いている。思い当たることと言えば、あの夜のことだろう。それ以外に考えられない。
僕は、目の前に置かれたトムコリンズに口をつけると、口を開いた。
「……あの夏のこと?」
僕の言葉に、二人が息を呑むのがわかった。
「ああ……、こんな立ち入ったことを聞いてもいいか、ずっと悩んでたんだ。俺たちもいい大人なんだから、口にすることではないことはわかってる。でも……」
田中の言葉に続いて、加代子が口を開いた。
「あの夜、私たちが灯里にカズのことを任せて先に家を出たでしょう? 灯里にも悪いことしたと思って、次の日にカズの様子を聞こうと思って灯里に連絡したんだけど、ちょっと話が噛み合わなくて……」
加代子はそう言うと、田中に視線を向けた。田中は加代子に話を続けるようにと促している。
加代子は深呼吸をすると、再び口を開いた。
「後日、別の子から、あの日灯里を花火大会の会場で見たって聞いたの。灯里、浴衣を着てたって」
「なあ、あの日、カズと一緒にいたのって……」
二人の疑問に、僕はゆっくりと頷きながら答えた。
「多分、光里ちゃんだと思う」
僕の返事に、二人は再び息を呑んだ。
しばらく沈黙が流れた。店内に流れるオルゴールの曲が、偶然にもあの夏に流行っていたメロディーを奏でている。
間が持たないのか田中がグラスに手を伸ばし、ジントニックをひと口飲むと、再び口を開いた。
「あの時、俺たちは全然見分けがつかなかった。光里ちゃんは昔から、髪の毛はサラサラのストレートボブだったよな。髪型一つ変わるだけで、一卵性の双子なんじゃないかと思うくらいそっくりに見えたけど、カズはあれが光里ちゃんだと気付いてたのか?」
口に出したことはないけれど、田中は僕の気持ちを知る数少ない友人だ。田中の彼女である加代子だって、田中から話を聞いていても不思議ではない。
「僕は、コンビニで声を掛けた時点で気付いてたよ。後ろ姿が灯里かと思って灯里って声を掛けたから、もしかしたら違うと言い出せなくなって、灯里の振りをしてたのかも知れないな」
僕の言葉に納得したのか、二人は頷いた。
「二人とも知ってると思うけど、私、宮田姉妹とは小学校から一緒でね」
加代子は徐ろに話を始めた。
加代子の声に、僕たちは加代子に視線を向けた。
「灯里は、誰とでもすぐに打ち解ける子だから、よく話をしてたんだけど……。光里ちゃんは、昔からおとなしい子だったから、こっちから話し掛けてもなかなか会話が続かなくて。それは、誰が話し掛けてもそうだった。学生の頃、みんなで灯里の家に行った時、光里ちゃんが飲み物を運んでくれたこと覚えてる?」
僕が初めて光里と話をした日のことだ、忘れるはずがない。
僕が頷くと、加代子は言葉を続ける。
「私が知ってる光里ちゃんは、昔からあんな感じ。高校に入って、少しは人慣れ……って言い方はおかしいけど、少しずつみんなに打ち解けてるって灯里が嬉しそうに話してたの」
たしかに光里は人見知りが他の人より激しいとは思うけど、そういう性格の人は、世の中にたくさんいるから、僕は特別気にならなかった。
「人の性格なんて、すぐに変わるなんてことはないから、あの日、光里ちゃんがあんな風に普通に喋っていたことが信じられなかったの。だから私、あれは灯里だと信じて疑わなかった」
加代子の言葉に、田中がフォローするように言葉を付け加えた。
「あ、これは悪口じゃないからな。大人になって、いい意味で性格が変わることもあるし。社会人になれば、コミュニケーション力は必要なんだから」
「うん、そうだな……」
再び沈黙が流れる。
僕たちは、それぞれが頼んだお酒のグラスに手を伸ばし、それを飲んだ。
グラスの中の氷がぶつかる音が聞こえる。時間が経過したグラスの表面は、少し結露していて、触れると指先が濡れた。
しばらくして田中が再び話を始めた。
「灯里な……、カズと一緒で、成人式の日以来、こんな集まりとか声を掛けてもずっと不参加だったんだ。ダイニングバーに勤務してるから、みんなと時間が合わないって理由だったけど。何となく、俺たちを避けてるんじゃないかと思って」
田中の言葉を、僕は即座に否定した。
「いや、それはない。避けられるなら、僕一人だけだ。今日だって、仕事の合間にみんなとは軽く雑談してたけど、僕とは最初に挨拶しただけで、灯里が僕に話しかけたりしなかっただろう?」
「どうしてだ? あの日、何があったんだ?」
田中の問いに、僕はしばらくの間考え込んだ。
田中は僕の恋心を茶化したりするようなやつじゃない。加代子だってそうだ。あの日の当事者なんだから、何があったか話をしてもいいだろう。
「あの日、光里ちゃんを抱いた。ずっと、好きだったんだ……。酔った勢いもあって、好きだと告白した」
僕の告白を、二人は黙って聞いている。
「でも、僕はきちんと光里ちゃんのことが好きだとは言ってなかったんだ」
僕の言葉に、加代子が噛み付いた。
「そんなの……! それじゃ、きっと光里ちゃんは、カズが灯里のことを好きなんだと誤解してるよ⁉︎」
「だから翌朝、僕は光里ちゃんにきちんと告白しようと家に行ったんだ。だけど……玄関に出てきたのは灯里で、光里ちゃんはひと足先に、大学の寮に戻ったって言われた」
僕の返事に、今度は田中が口を挟む。
「灯里に、光里ちゃんの連絡先聞いたのか?」
「ああ。でも、教えてくれなかった」
「「はぁ⁉︎ 何で?」」
二人の声が重なった。
「光里ちゃんは、自分が登録してる人しか通話しないって。それに個人情報だから勝手に教えられないって。成人式の時に帰ってくるから、直接本人に聞いてくれって言われた」
僕の返事に、再び加代子が口を開いた。
「灯里ったら、何でそんなこと言うんだろう。知らない相手じゃないんだから、光里ちゃんにカズの連絡先教えてあげて登録してもらったらいいだけじゃない?」
「普通に考えたらそうだよな」
加代子の意見に田中も頷いている。僕もあの時そう思ったけれど、言えなかった。
「僕が光里ちゃんを傷付けたと思って、きっと灯里は僕に対して怒ってるんだろう……。結局、成人式の日も、光里ちゃんは帰って来なかった」
インフルエンザに感染したと灯里が友達に話をしているのが耳に入ったけれど、多分それは嘘だろう。
「え、じゃあ、光里ちゃんにはあれからずっと誤解されたまま……?」
加代子の言葉に、僕は頷いた。
「マジか……。ところでカズ、光里ちゃんが今、どこにいるか知ってるのか?」
「いや、知らない……」
あの頃の夢を叶えたなら、きっと本に携わる仕事をしているはずだ。それに、再会して彼氏がいたりしたら、僕はもう立ち直れない。
「私から灯里に聞いてみようか?」
加代子の申し出に、僕は藁にもすがるような気持ちになったけれど、灯里のことだから急に光里の話題に触れたら警戒されないだろうか。
「上手く聞き出せたとしても、俺たちカズと繋がってるから、灯里に警戒されないか?」
僕の不安を田中が指摘すると、加代子はそれならと言葉を続ける。
「もしこっちに帰ってるなら、同級生の誰か消息を知ってる子がいるかもね。……でも、光里ちゃんって、親しくしてた子いたかなぁ?」
結局そこで、暗礁に乗り上げるのだ。
「でも、とにかく、カズはまだ光里ちゃんのこと、好きなんでしょう? なら、絶対思いは伝えなきゃ! 女の子ってね、好きな人とじゃないとそんなことできないんだからね」
加代子の言葉に励まされ、僕は頷いた。
そしてあの日、最悪の再会を果たすこととなる。
光里、君の心の中に他の人がいるとしても、もう後戻りなんてできないくらい、好きなんだ。
いつか、この思いを受け入れて……
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