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第二章 愛される末っ子姫
第10話 ダイヤモンド宮にお泊まり
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ローランド兄様とマリー姉様との戦い?の末に、マリー姉様の宮に泊まることになった。
「ここがダイヤモンド宮よ」
姉様が指差した宮は、私のところとは違ってかなり豪華なのはすぐにわかった。
それは外装だけではなかったようで、内装もそれなりに高そうなのがわかる。中に入ると、侍女の人達がすれ違い様に頭を下げてくる。
そして、最終的にはマリー姉様の部屋に来た。そこには、一人の女性がなにやら掃除をしている。
「ミジェール。今帰ったわ」
「お帰りなさいませ、アマリリス皇女殿下。今日はフィレンティア皇女殿下をお連れしたのですね」
「ええ。ティアにお茶の用意を」
「かしこまりました」
ミジェールと呼ばれた人は、頭を下げると、掃除道具ごと部屋を出ていった。
「……?どうしたの、ティア。何か気になるの?」
「あのひと、だれ?」
「ああ。彼女はミジェールよ。私の側つき見習いなの」
「そばつきみならい?」
そういえば、何人かそういう人に会ったような気がする。あまりよく覚えていないけど。
「そうよ。いずれ私たちの専属になる人のこと。まぁ、そんな専属の側つきはお父様を除けばお姉様たちとフェルお兄様くらいだけどね」
「ねえさまたちと……にいさま?」
ねえさまたちというのは、おそらくトリリウム姉様とフローラル姉様。そしてフェリクス兄様のことだろう。
「ええ。トリーお姉様は、いずれ自分は他国に行くのだからと、ギリギリまで拒否していたけどね」
「……たこく?」
「あら、言ったことなかったかしら?トリー姉様は、学園を卒業されたら、隣国に嫁ぐのよ。時期王妃としてね」
「……そうなんだ」
王妃ということは、王様のお妃様ということだろう。ルメリナと同じような立場になるのか。
……あれ?胸がチクッとする。……最近、こんなことが増えてきたような気がする。一体、なんでなんだろう。
「お茶をお持ちしました」
「ありがとう。もう下がっていいわ」
「かしこまりました」
ミジェールさんはペコリと頭を下げて、部屋を出ていく。
ここには、マリー姉様と私の二人きりとなった。
「そういえばティアは、まだ感覚と感情が戻ってないんだったわね」
「……うん。よくわかんないけど」
本当によくわからない。わかっているのは、これは私が無意識のうちに発動してしまった魔法のせいというくらい。
「私ね、別にティアがそのままでもいいのよ。むしろ、話せなくなったとしても全然いいの」
「……ねえさまは、ティアがわらうとうれしい?」
「そりゃあ、嬉しいは嬉しいわよ。ティアが笑っているところは見たいし。でも、だからといって無茶をしてほしいわけじゃないの」
マリー姉様はそう言って撫でてくる。
前までは、この行動がよくわからなかったけど、今はなんとも思わなくなってきた。これが慣れというやつなのだろうか。
「でもね、皇女として気になることはあるの。私もお兄様達やローラほどではないけど、皇族だから魔力は強いわ。でも、無意識に扱うなんてまずは無理なの。正確には、ちゃんと発動ができない」
「でも、ふかんぜんって……フェレスいってたよ?」
「そうね。でも、不完全であろうと発動できたところが疑問なのよ」
「……ぎもん?」
私は、前世では魔法なんてものは存在しなかったし、今世でも魔法の勉強はしていないから、いまいち何がおかしいのかよくわからない。
「普通はね、衝動的に魔力を使えば、魔力が暴走するだけなのよ。魔法が発動することはないの。もちろん、魔力の暴走で精神を病んでしまう例はあるにはあるけどね。でも、魔法は、それだけ扱いが難しいのね」
「じゃあ……なんでティアはつかえたの?」
「そこなのよ。お兄様達やフェレスに聞いても、みんなそこが疑問だったらしくて、わからないとしか言わないし……」
……なんか、私も引っかかる。
この理由を、私は知っているような気がする。でも、わからない。いや、思い出せない。
思い出してみようとすると、なぜかもやがかかる。それは、思い出したくないと思っているわけじゃなくて、まるで思い出すなという他の誰かの意思がそうさせているみたいだった。
私が、あまり前世をあまり覚えていないのもおそらくそれが理由。そんな気がした。
「あっ、でも、フェルお兄様とトリーお姉様は、精霊たちは何かを知ってそうだったって言ってたわね。それで、フェレスを中心に尋問しているけど、なかなか話さないみたい」
「……かいわ、できる?」
「できるみたいよ?知らない人から見れば、何もいない空中に話しかける危ない人にしか見えないでしょうけど」
……危ない人。
なんとなく、フェル兄様やトリー姉様はそんな危ない人って感じはなさそうに思える。
同じく、フェレスも。
どちらかといえば、危なそうな人は……
「……?ティア、どうしたの?じっと見て」
マリー姉様が首をかしげた。
私の気のせいかな。
「ここがダイヤモンド宮よ」
姉様が指差した宮は、私のところとは違ってかなり豪華なのはすぐにわかった。
それは外装だけではなかったようで、内装もそれなりに高そうなのがわかる。中に入ると、侍女の人達がすれ違い様に頭を下げてくる。
そして、最終的にはマリー姉様の部屋に来た。そこには、一人の女性がなにやら掃除をしている。
「ミジェール。今帰ったわ」
「お帰りなさいませ、アマリリス皇女殿下。今日はフィレンティア皇女殿下をお連れしたのですね」
「ええ。ティアにお茶の用意を」
「かしこまりました」
ミジェールと呼ばれた人は、頭を下げると、掃除道具ごと部屋を出ていった。
「……?どうしたの、ティア。何か気になるの?」
「あのひと、だれ?」
「ああ。彼女はミジェールよ。私の側つき見習いなの」
「そばつきみならい?」
そういえば、何人かそういう人に会ったような気がする。あまりよく覚えていないけど。
「そうよ。いずれ私たちの専属になる人のこと。まぁ、そんな専属の側つきはお父様を除けばお姉様たちとフェルお兄様くらいだけどね」
「ねえさまたちと……にいさま?」
ねえさまたちというのは、おそらくトリリウム姉様とフローラル姉様。そしてフェリクス兄様のことだろう。
「ええ。トリーお姉様は、いずれ自分は他国に行くのだからと、ギリギリまで拒否していたけどね」
「……たこく?」
「あら、言ったことなかったかしら?トリー姉様は、学園を卒業されたら、隣国に嫁ぐのよ。時期王妃としてね」
「……そうなんだ」
王妃ということは、王様のお妃様ということだろう。ルメリナと同じような立場になるのか。
……あれ?胸がチクッとする。……最近、こんなことが増えてきたような気がする。一体、なんでなんだろう。
「お茶をお持ちしました」
「ありがとう。もう下がっていいわ」
「かしこまりました」
ミジェールさんはペコリと頭を下げて、部屋を出ていく。
ここには、マリー姉様と私の二人きりとなった。
「そういえばティアは、まだ感覚と感情が戻ってないんだったわね」
「……うん。よくわかんないけど」
本当によくわからない。わかっているのは、これは私が無意識のうちに発動してしまった魔法のせいというくらい。
「私ね、別にティアがそのままでもいいのよ。むしろ、話せなくなったとしても全然いいの」
「……ねえさまは、ティアがわらうとうれしい?」
「そりゃあ、嬉しいは嬉しいわよ。ティアが笑っているところは見たいし。でも、だからといって無茶をしてほしいわけじゃないの」
マリー姉様はそう言って撫でてくる。
前までは、この行動がよくわからなかったけど、今はなんとも思わなくなってきた。これが慣れというやつなのだろうか。
「でもね、皇女として気になることはあるの。私もお兄様達やローラほどではないけど、皇族だから魔力は強いわ。でも、無意識に扱うなんてまずは無理なの。正確には、ちゃんと発動ができない」
「でも、ふかんぜんって……フェレスいってたよ?」
「そうね。でも、不完全であろうと発動できたところが疑問なのよ」
「……ぎもん?」
私は、前世では魔法なんてものは存在しなかったし、今世でも魔法の勉強はしていないから、いまいち何がおかしいのかよくわからない。
「普通はね、衝動的に魔力を使えば、魔力が暴走するだけなのよ。魔法が発動することはないの。もちろん、魔力の暴走で精神を病んでしまう例はあるにはあるけどね。でも、魔法は、それだけ扱いが難しいのね」
「じゃあ……なんでティアはつかえたの?」
「そこなのよ。お兄様達やフェレスに聞いても、みんなそこが疑問だったらしくて、わからないとしか言わないし……」
……なんか、私も引っかかる。
この理由を、私は知っているような気がする。でも、わからない。いや、思い出せない。
思い出してみようとすると、なぜかもやがかかる。それは、思い出したくないと思っているわけじゃなくて、まるで思い出すなという他の誰かの意思がそうさせているみたいだった。
私が、あまり前世をあまり覚えていないのもおそらくそれが理由。そんな気がした。
「あっ、でも、フェルお兄様とトリーお姉様は、精霊たちは何かを知ってそうだったって言ってたわね。それで、フェレスを中心に尋問しているけど、なかなか話さないみたい」
「……かいわ、できる?」
「できるみたいよ?知らない人から見れば、何もいない空中に話しかける危ない人にしか見えないでしょうけど」
……危ない人。
なんとなく、フェル兄様やトリー姉様はそんな危ない人って感じはなさそうに思える。
同じく、フェレスも。
どちらかといえば、危なそうな人は……
「……?ティア、どうしたの?じっと見て」
マリー姉様が首をかしげた。
私の気のせいかな。
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