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12. お出かけの準備
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短編のときの感想に、宝石眼のチートさが知りたいというのがありましたので、それに関する新エピソードを導入します。なので、極端に更新が遅いです。
ーーーーーーーーーーー
ルークとの距離が少し縮まって、公爵家の居心地がよくなってきたころ。朝食の時間に、養父さまがとある提案をしてきました。
「近いうちに、領地に顔を出してこようと思うのだが、ルークとエリスも来ないか」
「僕と……」
「わたくし……ですか?」
ルークはまだわかります。次期公爵となるのですから、領民に顔を覚えてもらう必要はありますし、領地の特色や暮らしを知っておく意味はあるでしょう。
ですが、なぜわたくしまで?
ルークも同じようなことを思っているのか、わたくしのほうを見ています。
「ああ。ルークはちょうど学園の休暇に入るし、エリスも帝国の文化を知る必要がある。直接経験すること以上に深く学べるものはないからね」
確かに、養父さまの言う通りです。ルミナーラ公爵令嬢となってしまった以上、それ相応の振る舞いが求められます。
それなのに、その令嬢が無知なのはいけません。学びの機会を与えてくださるというのであれば、それに甘えることといたしましょう。
「かしこまりました。同行させていただきますわ」
「ぼ、僕も行かせていただきます!」
「では、一週間後に出発するから、準備しておくように」
わたくしとルークは、「はい」と返事をしました。
それから、屋敷は騒がしい日々が続きました。
公爵だけでなく、わたくしとルークがしばらく屋敷を開けるということで、ついていく使用人の選別や仕事の引き継ぎ、持っていく荷物の整理など、使用人の仕事が普段以上に増えているので、当然のことではあるのですが。
わたくしはというと、やることがなさすぎるので、お父さまへの手紙を出しておこうと、文を認めておりました。
領地に向かってしまっては、あまり手紙が出せなくなりますものね。
わたくしは、まだ手紙で伝えていない近況や、領地に出かけるため手紙を出せなくなることを記し、封をします。
印籠を押し、わたくしは近くに置いてある四角い魔術具を手に取りました。
これは、養父さまがくださった小規模転移魔術の魔術具で、お父さまの屋敷にも同じものがございます。
今のわたくしは、ルミナーラ公爵令嬢。実の父とはいえ、あまり頻繁に交流を持つのは褒められる行いではございません。
そのため、手紙を送るときはこれを使うように言われました。本来なら、距離が広がれば広がるほど魔力を消費し、国境を超えるほどとなると、ほとんどの者は一ヶ月に一度使うのが限界のようですが、わたくしはそれなりに高い魔力を持っており、回復も早いほうですので、三日に一度ほどなら手紙の往復が可能です。
養父さまいわく、わたくしのこの強い魔力は、父からの遺伝である可能性が高いとのことで、お父さまとの繋がりを強く感じることができて嬉しい限りです。
(……そうだ。あの件も聞いておきましょう)
もう一枚目の手紙は封を閉じてしまったので、新たに二枚目の手紙で用件を書いていく。
わたくしが手紙に書いているのは、ルークから聞いたこと。
婚約破棄騒動に、皇族が関わっているかもしれないというもの。
もちろん、言葉を飾らずに書いてしまっては、中身を見られたときがまずいので、遠回しに書いておきます。
お父さまの目にだけ入ってほしいですが、それは不可能でしょうし。
言葉を飾りたてつつ、お父さまには伝わるような言葉選びをした結果、一枚目のときよりも時間はかかりましたが、なんとか書き終えることができました。
わたくしは、二枚の手紙を魔術陣が描いてあるほうに乗せて、魔力を通します。
「転移ーーハワード侯爵家」
わたくしが転移先を指定すると、置いてあった手紙はふっと消えます。
これで、無事にお父さまの元へと届いたはずです。
後は、返事を待つことといたしましょう。
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ルークとの距離が少し縮まって、公爵家の居心地がよくなってきたころ。朝食の時間に、養父さまがとある提案をしてきました。
「近いうちに、領地に顔を出してこようと思うのだが、ルークとエリスも来ないか」
「僕と……」
「わたくし……ですか?」
ルークはまだわかります。次期公爵となるのですから、領民に顔を覚えてもらう必要はありますし、領地の特色や暮らしを知っておく意味はあるでしょう。
ですが、なぜわたくしまで?
ルークも同じようなことを思っているのか、わたくしのほうを見ています。
「ああ。ルークはちょうど学園の休暇に入るし、エリスも帝国の文化を知る必要がある。直接経験すること以上に深く学べるものはないからね」
確かに、養父さまの言う通りです。ルミナーラ公爵令嬢となってしまった以上、それ相応の振る舞いが求められます。
それなのに、その令嬢が無知なのはいけません。学びの機会を与えてくださるというのであれば、それに甘えることといたしましょう。
「かしこまりました。同行させていただきますわ」
「ぼ、僕も行かせていただきます!」
「では、一週間後に出発するから、準備しておくように」
わたくしとルークは、「はい」と返事をしました。
それから、屋敷は騒がしい日々が続きました。
公爵だけでなく、わたくしとルークがしばらく屋敷を開けるということで、ついていく使用人の選別や仕事の引き継ぎ、持っていく荷物の整理など、使用人の仕事が普段以上に増えているので、当然のことではあるのですが。
わたくしはというと、やることがなさすぎるので、お父さまへの手紙を出しておこうと、文を認めておりました。
領地に向かってしまっては、あまり手紙が出せなくなりますものね。
わたくしは、まだ手紙で伝えていない近況や、領地に出かけるため手紙を出せなくなることを記し、封をします。
印籠を押し、わたくしは近くに置いてある四角い魔術具を手に取りました。
これは、養父さまがくださった小規模転移魔術の魔術具で、お父さまの屋敷にも同じものがございます。
今のわたくしは、ルミナーラ公爵令嬢。実の父とはいえ、あまり頻繁に交流を持つのは褒められる行いではございません。
そのため、手紙を送るときはこれを使うように言われました。本来なら、距離が広がれば広がるほど魔力を消費し、国境を超えるほどとなると、ほとんどの者は一ヶ月に一度使うのが限界のようですが、わたくしはそれなりに高い魔力を持っており、回復も早いほうですので、三日に一度ほどなら手紙の往復が可能です。
養父さまいわく、わたくしのこの強い魔力は、父からの遺伝である可能性が高いとのことで、お父さまとの繋がりを強く感じることができて嬉しい限りです。
(……そうだ。あの件も聞いておきましょう)
もう一枚目の手紙は封を閉じてしまったので、新たに二枚目の手紙で用件を書いていく。
わたくしが手紙に書いているのは、ルークから聞いたこと。
婚約破棄騒動に、皇族が関わっているかもしれないというもの。
もちろん、言葉を飾らずに書いてしまっては、中身を見られたときがまずいので、遠回しに書いておきます。
お父さまの目にだけ入ってほしいですが、それは不可能でしょうし。
言葉を飾りたてつつ、お父さまには伝わるような言葉選びをした結果、一枚目のときよりも時間はかかりましたが、なんとか書き終えることができました。
わたくしは、二枚の手紙を魔術陣が描いてあるほうに乗せて、魔力を通します。
「転移ーーハワード侯爵家」
わたくしが転移先を指定すると、置いてあった手紙はふっと消えます。
これで、無事にお父さまの元へと届いたはずです。
後は、返事を待つことといたしましょう。
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