8 / 21
8
しおりを挟む
シアンは、ちょっと離れたところで待機している。
厨房を覗いてみると、今は晩餐の用意をしているみたいだった。
ふむふむ。これは邪魔するのは良くないかな。わざわざ手を止めさせてまで、料理の品数減らせ!なんて言える度胸は私にはない。さっき公爵夫人としての決意を固めたばかりなのに、その決意は一瞬にして砕けかけている。
私がじーっと見ていたからか、お皿洗いをしていた一人が私に気づいた。お皿洗いをしているなら、多分見習いの子だろう。
その見習いの子が、慌てて手を拭いて私に応対してくれる。
「お、奥様!いかがされましたか!?」
結構大きな声で私を奥様と呼んだので、他のみんなも気がつく。
悪いことをしたわけではないはずなのに、なんかいたずらしているところを見つかった子どもみたいな心境になった。
もう見つかってしまったので、堂々と姿を現す。
「ここのシェフに少し頼みたいことがあって……」
私がそう言うと、おそらくシェフであろう人が私の前に出てくる。
「な、何か料理に不手際が……」
やけに怯えたように聞いてくる。
もしかしたら、私が食べて倒れたということが伝わっているのかもしれない。そうなると、私が難癖をつけにきたのかと思っているのかも。それなら、まずはその誤解を解かなければ。
「ううん!料理はおいしかったわよ。ただ、量が多かったから、もうちょっと減らしてくれると嬉しいな~と思って」
「そ、そうでしたか。好みがわかりませんでしたので、いろいろと用意させていただいたのですが……申し訳ございません……」
あーっと!そんな理由だったのか!それは申し訳ない!伝えておけばよかったわね。
「いやいや、そんなに謝らなくてもいいわよ!私は、お皿一つで充分だから!それに、嫌いなものはないから、なんでもいいわよ」
あっ、作る側からすれば、なんでもいいが一番困るって聞いたことあるな。この言葉はまずかった……?
「そ、そうですか……。では、晩餐は少なめにいたします」
「ありがとう!」
どうやら、心配の種はもう大丈夫そうだ。
「終わりましたか?」
「ええ。行きましょう!」
晩餐をおいしく食べるためにも、ジルと楽しく遊ばなきゃね!
そして、安全に遊ぶためにも、騎士団に護衛をお願いしなければ。
*ー*ー*ー
食事多すぎ問題が解決したところで、私たちは騎士団に向かっている。その道中で、シアンが騎士団について説明してくれた。
この国、ファルリア王国の騎士には、大きく分けて、3つの種類?といっていいのかな。区分があって、ほとんどが貴族の出身で、王族や王都の警備をしたり、パーティーなどの警備をしたりする近衛騎士。要請があれば、地方に出張することもある。ちなみに、公爵様はこの近衛騎士になる。
国境の警備や、戦、魔物の討伐をしたりする地方騎士。
貴族が個人的に雇っている私兵。これは、騎士であっても、私兵という区分に入るそう。
公爵家の騎士団は、私兵という扱いになるそうだが、それでも人数は多い。なので、三部隊に分けているのだそう。
一部隊15人、計45人だって。覚えられる気がしないよ。時間をかければできるかもしれないけど。
三部隊がローテーションとなって活動しているが、もちろん全部隊が出動することもあるので、ローテーションは、あくまでも目安なのだとか。
なら、なんでローテーションにするんだというと、訓練場の優先権をそれで決めているらしい。全部の部隊に公平にということみたいね。
ちなみに、今日は第二部隊だそうだ。
「第二部隊の隊長は、ジーク・クレマリンという名です。当然ですが、奥様は呼び捨てでかまいませんからね」
私がシアンさんと呼んだ前科があるからか、シアンはそんな風に忠告してくる。
そんなに言わなくても、ちゃんとわかっているつもりなんだけど……。でも、そんなことを言ったら、さらにグチグチ言われそうなので、黙っておいた。
騎士団の訓練場に来ると、汗水を流して、訓練している騎士たちがいた。なんか、懐かしい感じがする。騎士なんてものはいなかったから、自衛をしていたけど、自衛のために訓練もしていたからなぁ。あれを見ていると、私も剣が振りたくなる。
そんなことを言えば、この隣にいる人から説教をされるのが目に見えているから、言わないけど。シアンは、私に公爵夫人らしくいてくれることを望んでいるみたいだからね。いらぬいさかいは招きたくないし、シアンが望むならがんばってみるよ。
……まぁ、最悪公爵様に言ってしまえば、どうにでもなりそうだしね。ふふふ。
おっと。悪巧みはこれくらいにしておいて、護衛のお願いをしなければ……どうやって?
近づいたら危ない。遠ければ声なんて聞こえない。大声を出せば、シアンに怒られる。八方塞がりとはまさにこのこと。何も手段がない!
私が悩んでいると、シアンが、普段よりも少し大きめの声で言った。
「アルスフェイス公爵夫人がお見えです!訓練はお止めなさい!」
それで聞こえるの?と思ったけど、騎士たちはすぐに気がついて、持っていた剣を鞘に仕舞った。気づくものなんだね。騎士って、耳もいいのかな。
「お初にお目にかかります、奥様。わたくしは第二部隊隊長、ジーク・クレマリンと申します」
「フィリス・アリジェント・アルスフェイスと申しますわ。こちらこそよろしくお願いいたしますわ」
夫人らしい言葉遣いって、疲れるなぁ……。でも、契約だからがんばらないと!
「それで、我々には何のご用で」
「わたくしの弟が来ているのだけど、その子が外で遊びたいと申しておりますの。ですので、警備をお願いしたいのですわ」
私もそれに混じりまーすと堂々と言ったらダメよね。侍女長がどこで聞いているかわからないんだから!気を抜いてはダメだ。
「それならば、喜んでお引き受けしましょう。差し支えなければ、どのようなことをするのかお教えいただけますか」
「ボール遊びですわ。けれど、ボール遊びは危険ですから」
「危険……とは?」
……あれ?ボール遊びって、結構危ないわよね?周りに被害が出るもの。私たちも、敷地内でしかやってはいけないと言われていたのに。
「木を折ったりするからに決まってるではないですか」
「「……えっ?」」
私がボソッと呟くと、ジークとシアンの声がそろった。う~ん?この時点でおかしいの?
あれ?もしかして……普通は木を折ったりしないものなの?いつも折ってたんだけど……?
「……奥様。そのボール遊びとやらは、訓練場でさせてください」
「えっ?……ええ、わかったわ」
確かに、訓練場のほうが安心かもしれないわね。
「それなら、ジルを連れてくるわね」
ずっと待たせてしまっていたから、また機嫌が悪くなっているかもしれないけど……遊んだら発散してくれるでしょ!……現実逃避は、これくらいにしておこう。
どうか、怒りが増していないようにと祈りながら、私はジルの元に向かった。
厨房を覗いてみると、今は晩餐の用意をしているみたいだった。
ふむふむ。これは邪魔するのは良くないかな。わざわざ手を止めさせてまで、料理の品数減らせ!なんて言える度胸は私にはない。さっき公爵夫人としての決意を固めたばかりなのに、その決意は一瞬にして砕けかけている。
私がじーっと見ていたからか、お皿洗いをしていた一人が私に気づいた。お皿洗いをしているなら、多分見習いの子だろう。
その見習いの子が、慌てて手を拭いて私に応対してくれる。
「お、奥様!いかがされましたか!?」
結構大きな声で私を奥様と呼んだので、他のみんなも気がつく。
悪いことをしたわけではないはずなのに、なんかいたずらしているところを見つかった子どもみたいな心境になった。
もう見つかってしまったので、堂々と姿を現す。
「ここのシェフに少し頼みたいことがあって……」
私がそう言うと、おそらくシェフであろう人が私の前に出てくる。
「な、何か料理に不手際が……」
やけに怯えたように聞いてくる。
もしかしたら、私が食べて倒れたということが伝わっているのかもしれない。そうなると、私が難癖をつけにきたのかと思っているのかも。それなら、まずはその誤解を解かなければ。
「ううん!料理はおいしかったわよ。ただ、量が多かったから、もうちょっと減らしてくれると嬉しいな~と思って」
「そ、そうでしたか。好みがわかりませんでしたので、いろいろと用意させていただいたのですが……申し訳ございません……」
あーっと!そんな理由だったのか!それは申し訳ない!伝えておけばよかったわね。
「いやいや、そんなに謝らなくてもいいわよ!私は、お皿一つで充分だから!それに、嫌いなものはないから、なんでもいいわよ」
あっ、作る側からすれば、なんでもいいが一番困るって聞いたことあるな。この言葉はまずかった……?
「そ、そうですか……。では、晩餐は少なめにいたします」
「ありがとう!」
どうやら、心配の種はもう大丈夫そうだ。
「終わりましたか?」
「ええ。行きましょう!」
晩餐をおいしく食べるためにも、ジルと楽しく遊ばなきゃね!
そして、安全に遊ぶためにも、騎士団に護衛をお願いしなければ。
*ー*ー*ー
食事多すぎ問題が解決したところで、私たちは騎士団に向かっている。その道中で、シアンが騎士団について説明してくれた。
この国、ファルリア王国の騎士には、大きく分けて、3つの種類?といっていいのかな。区分があって、ほとんどが貴族の出身で、王族や王都の警備をしたり、パーティーなどの警備をしたりする近衛騎士。要請があれば、地方に出張することもある。ちなみに、公爵様はこの近衛騎士になる。
国境の警備や、戦、魔物の討伐をしたりする地方騎士。
貴族が個人的に雇っている私兵。これは、騎士であっても、私兵という区分に入るそう。
公爵家の騎士団は、私兵という扱いになるそうだが、それでも人数は多い。なので、三部隊に分けているのだそう。
一部隊15人、計45人だって。覚えられる気がしないよ。時間をかければできるかもしれないけど。
三部隊がローテーションとなって活動しているが、もちろん全部隊が出動することもあるので、ローテーションは、あくまでも目安なのだとか。
なら、なんでローテーションにするんだというと、訓練場の優先権をそれで決めているらしい。全部の部隊に公平にということみたいね。
ちなみに、今日は第二部隊だそうだ。
「第二部隊の隊長は、ジーク・クレマリンという名です。当然ですが、奥様は呼び捨てでかまいませんからね」
私がシアンさんと呼んだ前科があるからか、シアンはそんな風に忠告してくる。
そんなに言わなくても、ちゃんとわかっているつもりなんだけど……。でも、そんなことを言ったら、さらにグチグチ言われそうなので、黙っておいた。
騎士団の訓練場に来ると、汗水を流して、訓練している騎士たちがいた。なんか、懐かしい感じがする。騎士なんてものはいなかったから、自衛をしていたけど、自衛のために訓練もしていたからなぁ。あれを見ていると、私も剣が振りたくなる。
そんなことを言えば、この隣にいる人から説教をされるのが目に見えているから、言わないけど。シアンは、私に公爵夫人らしくいてくれることを望んでいるみたいだからね。いらぬいさかいは招きたくないし、シアンが望むならがんばってみるよ。
……まぁ、最悪公爵様に言ってしまえば、どうにでもなりそうだしね。ふふふ。
おっと。悪巧みはこれくらいにしておいて、護衛のお願いをしなければ……どうやって?
近づいたら危ない。遠ければ声なんて聞こえない。大声を出せば、シアンに怒られる。八方塞がりとはまさにこのこと。何も手段がない!
私が悩んでいると、シアンが、普段よりも少し大きめの声で言った。
「アルスフェイス公爵夫人がお見えです!訓練はお止めなさい!」
それで聞こえるの?と思ったけど、騎士たちはすぐに気がついて、持っていた剣を鞘に仕舞った。気づくものなんだね。騎士って、耳もいいのかな。
「お初にお目にかかります、奥様。わたくしは第二部隊隊長、ジーク・クレマリンと申します」
「フィリス・アリジェント・アルスフェイスと申しますわ。こちらこそよろしくお願いいたしますわ」
夫人らしい言葉遣いって、疲れるなぁ……。でも、契約だからがんばらないと!
「それで、我々には何のご用で」
「わたくしの弟が来ているのだけど、その子が外で遊びたいと申しておりますの。ですので、警備をお願いしたいのですわ」
私もそれに混じりまーすと堂々と言ったらダメよね。侍女長がどこで聞いているかわからないんだから!気を抜いてはダメだ。
「それならば、喜んでお引き受けしましょう。差し支えなければ、どのようなことをするのかお教えいただけますか」
「ボール遊びですわ。けれど、ボール遊びは危険ですから」
「危険……とは?」
……あれ?ボール遊びって、結構危ないわよね?周りに被害が出るもの。私たちも、敷地内でしかやってはいけないと言われていたのに。
「木を折ったりするからに決まってるではないですか」
「「……えっ?」」
私がボソッと呟くと、ジークとシアンの声がそろった。う~ん?この時点でおかしいの?
あれ?もしかして……普通は木を折ったりしないものなの?いつも折ってたんだけど……?
「……奥様。そのボール遊びとやらは、訓練場でさせてください」
「えっ?……ええ、わかったわ」
確かに、訓練場のほうが安心かもしれないわね。
「それなら、ジルを連れてくるわね」
ずっと待たせてしまっていたから、また機嫌が悪くなっているかもしれないけど……遊んだら発散してくれるでしょ!……現実逃避は、これくらいにしておこう。
どうか、怒りが増していないようにと祈りながら、私はジルの元に向かった。
9
あなたにおすすめの小説
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
虐げられてる私のざまあ記録、ご覧になりますか?
リオール
恋愛
両親に虐げられ
姉に虐げられ
妹に虐げられ
そして婚約者にも虐げられ
公爵家が次女、ミレナは何をされてもいつも微笑んでいた。
虐げられてるのに、ひたすら耐えて笑みを絶やさない。
それをいいことに、彼女に近しい者は彼女を虐げ続けていた。
けれど彼らは知らない、誰も知らない。
彼女の笑顔の裏に隠された、彼女が抱える闇を──
そして今日も、彼女はひっそりと。
ざまあするのです。
そんな彼女の虐げざまあ記録……お読みになりますか?
=====
シリアスダークかと思わせて、そうではありません。虐げシーンはダークですが、ざまあシーンは……まあハチャメチャです。軽いのから重いのまで、スッキリ(?)ざまあ。
細かいことはあまり気にせずお読み下さい。
多分ハッピーエンド。
多分主人公だけはハッピーエンド。
あとは……
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる