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第一章 森の少女達
第2話 お断りします
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私、おかしな事を聞いたのかな?
「君は、物の価値を知らないのかい?」
「ずっとここにいたので。“カチ”って何ですか?」
首を傾げて聞いてみると、教えてくれた。
「何か買うには、お金というものが必要なんだ。それがたくさんいるものが高級な物となって、なかなか手に入らないんだ」
お金って確か、欲しい物がある時に渡す物だったっけ。お金を渡して欲しい物を貰う事を買うって言うんだ。外の世界は分からない事が多いな。とりあえず、コウキュウはなかなか手に入らない事は分かった。なかなか手に入らないって言う事は、なかなか見る事が無いという事だろう。
それが、当たり前のように出てきたから驚いたのか。
「君はいつからここにいるんだ?」
あの時レナードと呼ばれていた人が私に聞いてくる。
「生まれた時からずっとここにいます。今は一人ですが、寂しくはありません」
心配そうに話しかけてきたので、心配する必要はない事を伝える。本当はリーズもいるけれど、秘密にしておこう。私達の事を理解できるとは思えないし、まだ完全に信用している訳ではない。
「一人って……親はいないのかい?」
「両親は……五年前に亡くなりました。それから、一人ですが、この子達がいるから、全く寂しくも辛くもないですよ」
そう言って、精霊達の方を見る。私の声に答えるように、精霊達は私の周りを飛び回る。
「この子達とは……?」
「見えないんですか?」
発光が弱い訳ではない。むしろ、強い光なのに、見えないなんて事があるの?
男の人の言葉に疑問を持っていると、精霊達が耳元に寄ってきて教えてくれた。
「ボクタチ、ミエルニンゲン、スクナイ」
「カオルサマ、ハナセル、メズラシイ」
精霊達は普通は見えない存在なのか。むしろ、見えて、しかも話す事が出来る私の方が珍しいと。
「この子達とは精霊の事ですよ。あなた達の周りにもいますよ」
「「「「何だって!?」」」」
大きな声にまたビクッとなる。
そうだった。この人達は珍しい事に驚くんだった。出来るだけ、正直に話した方が良いと思ったんだけど……何か不味かったかな?
「君は精霊が見えるのか!?」
「はい。毎日お話しています」
精霊達は、視界などを共有出来るらしく、外の世界の事を教えてくれる。お金の事も精霊達が教えてくれた。
「……精霊が見えて……しかも話せる……これはかなりの才能だ……」
男の人がぶつぶつ呟いている。
……やっぱり、私は特別な存在として見られるのは変わらないのかな?私が精霊を見る事が出来るのは、聖女である母様の娘だからだろうし。
母様からも父様からも、自分が聖女と邪龍の娘である事は誰にも言ってはいけないと言われているから、何で精霊達が見えるのか聞かれても、答える事が出来ない。
「君の名前は何と言うんだい?」
「カ、カオルです」
急に名前を聞かれて、慌てて答える。
「そういや、俺らの名前も知らないよな。俺の名前は、グレン。で、俺らの主の───」
グレン様がここまで言うと、さっきから話していた男の人が言葉を繋ぐ。
「ファルメール公爵家の当主、クラウド・ファルメールだ。カオルちゃん、この森を出ないか?」
この……森を?一体、どうしてなんだろう?
「ここを……ですか?」
「あぁ、君は才能がある。精霊が見えるだけでも希少な存在なのに、話す事が出来る。君には、精霊術士の才能があるんだ」
精霊術士?精霊が何かするのかな?
「クラウド様、精霊術士とは何ですか?」
「君は、魔法があるのを知っているかい?」
クラウド様の質問にこくりと頷く。
母様や父様から聞いた。魔法とは、この世界の人達全員が使えるらしい。普通は一人一つの属性を持っていて、複数持っている人はとても稀らしい。魔法は、精霊に魔力というものを渡して、精霊が術を起こす事で使えるらしい。
「精霊術士の使う精霊術は、魔法と根本的な所は同じだ。だが、威力などの性能に天と地程の差がある。魔法使いの中でも、精霊術士と呼ばれる存在は、一万人に一人と言われている」
一万人!?そんな存在が目の前にいるとなったら、そりゃあ、驚くに決まってる。
「なぜ、魔法使いと精霊術士に差が出るのか、根本的な理由は分かっていない。だが、魔法使いと精霊術士とは違いは、繋がりだ」
「繋がり……ですか?」
「魔法使いは、その場にいる精霊に魔力を渡すから、場所によって差が出てしまうが、精霊術士にその心配はない」
場所によって、魔法に差が出る?
言ってる事が良く分からない。すると、私が理解出来ていないのを察してか、また精霊達が耳元で教えてくれる。
「シゼンノエネルギー、オオイトコロ、セイレイ、オオイ」
「ヒ、オオイトコロ、ヒノセイレイ、ウマレルカラ、オオイ。ミズ、オオイトコロ、ミズノセイレイ、ウマレルカラ、オオイ」
つまり、こんな森みたいな自然が溢れている所には、精霊の数が多いけど、場所によっては、種類も変わってくるって事か。
「じゃあ、あなた達は何の精霊なの?」
私がそう聞くと、みんな一斉に話し出す。
ごめんなさい、一斉に話されると分からない。
「一人ずつ話してくれる?」
「ボクハ、カゼノセイレイ」
「ワタシハ、ミズノセイレイ」
……もしかして、この数の全部を聞かないといけないの?一人が代表して話してくれると嬉しかったんだけど。
そのまま話を聞き続ける。チラッと横を見ると、クラウド様達も何か話しているみたいだけど、声は聞こえてこない。私に気を使ってくれているのかな?
話を聞き続けた結果、今この場所には、風の精霊、水の精霊、地の精霊、光の精霊が大半を占めていて、火の精霊と闇の精霊が少しいるだけみたい。
「話は終わったかい?」
やっぱり、私に気を使って、静かに話してくれていた。
「はい」
「精霊達は何て言ってたんだい?」
「自然が多い所には、精霊の数が多くて、今この場所には、風、水、地、光の精霊が多くて、少しだけ火の精霊と闇の精霊がいると」
「全種類いるのか!?」
精霊に聞いた事を話すと、クラウド様が驚いた。全種類……?もしかして、それもすごい事なんだろうか。
「珍しい事なんですか?」
「少なくとも、私が生きている中で、全種類の精霊が生まれる場所なんて聞いた事がない。特に、水の精霊と火の精霊が同じ場所で生まれるなんてあり得ないと言われていたんだ。前例も無いしね」
水と火の精霊が同じ場所で生まれない?精霊達は、水が多い所で水の精霊が生まれやすく、火が多い所で、火の精霊が生まれやすいんだっけ?
でも、水は近くに泉があるけど、火は何かあったかな?火、火、火……
──もしかして、父様が住んでいた火山の事?
この位置からちょっと離れてるけど、歩いていける所に火山があって、危ないから近づいちゃ駄目だって父様が言ってた。
「クラウド様、火山から火の精霊が生まれる事はあるんですか?」
「分からない。精霊自体、どうやって生まれるのか分かってないしね。だけど、確かに火山帯の所には火の精霊が圧倒的に多いね」
「なら、火の精霊はそこで生まれたんだと思います。近くに最近は噴火していませんが火山がありますから」
私の側に火の精霊が少ないのもこれなら説明がつく。私は火山の側には、二回しか行った事がない。駄目だって言われてたけど、その時は、食料が見つからなくて、あまり行かない火山の側ならあるかもしれないと思ったから。
「君は、精霊が生まれる条件も知ってるのかい!?」
「は、はい……精霊達が教えてくれましたから」
そう言えば、さっき精霊がどうやって生まれるのか分からないって言ってたな。
「それで、何なんだ?」
「精霊自体、自然のエネルギーが多い所で生まれるみたいです。火の精霊は火元が多い所に生まれて、水の精霊は、水源がある所に。なので、そのように考えていくと、残りはおそらく──」
ここまで言うと、クラウド様が後の言葉を繋ぐ。
「地の精霊は、おそらく自然が溢れている場所にある土。光の精霊は太陽光。闇の精霊は、自然に出来た暗闇。風の精霊は何だろう……」
クラウド様の言葉を聞いて、チラッと隣を見る。
「カゼノセイレイ、ショクブツ。カゼアタッタショクブツ」
風の精霊は、風だけでは生まれないのか。
「何で風だけじゃ生まれないの?」
「エネルギー、タマラナイ。ショクブツ、エネルギー、タメル。ヒカリエネルギータメタラ、ヒカリノセイレイ。ヤミエネルギータメタラ、ヤミノセイレイ」
水は、エネルギーを貯めて、火もエネルギーを貯める。と言う事は、おそらく、実体が無いものは、エネルギーを貯められないんだろう。
「風、光、闇の精霊は、エネルギーを貯めたら植物から生まれるそうです」
「そうか……そう考えたら納得がいく事が多い。精霊の謎がどんどん解けていく……!」
何か喜んでいるみたい。喜んでいる人を見ると、こっちまで嬉しくなる。
「やっぱり、君をこんな森に置いておくのはもったいない!私達と一緒に来ないか?」
こんな森……?
その言葉を聞いた私の中で何かが切れた。
「お断りします」
「えっ……?」
「お断りしますと言ったんです。皆さん、お帰りください」
冷たく言い放つ。自分でも、こんなに怒ったのは初めてだ。周りにいる精霊達も怒っている。
当然の事。自分の生まれて育った所をこんなで片づけられたら誰だって怒ると思う。この人は、そんな事も分からないの?
「私にも拾った責任はあるので、道が分からなければ案内します。分かるのでしたら、お帰りください」
「いや、道は分かるが……」
「では、今すぐ出ていってください。道中倒れられても困るので、回復ポーションと魔力回復ポーションは差し上げます」
私は、増血剤と一緒に持ってきていたポーションを渡す。
「……分かった。今日は帰ろう。ポーションもありがたく貰っていくよ」
とぼとぼと歩いていくクラウド様の後を他の三人がついていく。
グレン様だけ、私の方をチラチラ見ていたけど、私は姿が見えている内から、入り口を閉じた。
「君は、物の価値を知らないのかい?」
「ずっとここにいたので。“カチ”って何ですか?」
首を傾げて聞いてみると、教えてくれた。
「何か買うには、お金というものが必要なんだ。それがたくさんいるものが高級な物となって、なかなか手に入らないんだ」
お金って確か、欲しい物がある時に渡す物だったっけ。お金を渡して欲しい物を貰う事を買うって言うんだ。外の世界は分からない事が多いな。とりあえず、コウキュウはなかなか手に入らない事は分かった。なかなか手に入らないって言う事は、なかなか見る事が無いという事だろう。
それが、当たり前のように出てきたから驚いたのか。
「君はいつからここにいるんだ?」
あの時レナードと呼ばれていた人が私に聞いてくる。
「生まれた時からずっとここにいます。今は一人ですが、寂しくはありません」
心配そうに話しかけてきたので、心配する必要はない事を伝える。本当はリーズもいるけれど、秘密にしておこう。私達の事を理解できるとは思えないし、まだ完全に信用している訳ではない。
「一人って……親はいないのかい?」
「両親は……五年前に亡くなりました。それから、一人ですが、この子達がいるから、全く寂しくも辛くもないですよ」
そう言って、精霊達の方を見る。私の声に答えるように、精霊達は私の周りを飛び回る。
「この子達とは……?」
「見えないんですか?」
発光が弱い訳ではない。むしろ、強い光なのに、見えないなんて事があるの?
男の人の言葉に疑問を持っていると、精霊達が耳元に寄ってきて教えてくれた。
「ボクタチ、ミエルニンゲン、スクナイ」
「カオルサマ、ハナセル、メズラシイ」
精霊達は普通は見えない存在なのか。むしろ、見えて、しかも話す事が出来る私の方が珍しいと。
「この子達とは精霊の事ですよ。あなた達の周りにもいますよ」
「「「「何だって!?」」」」
大きな声にまたビクッとなる。
そうだった。この人達は珍しい事に驚くんだった。出来るだけ、正直に話した方が良いと思ったんだけど……何か不味かったかな?
「君は精霊が見えるのか!?」
「はい。毎日お話しています」
精霊達は、視界などを共有出来るらしく、外の世界の事を教えてくれる。お金の事も精霊達が教えてくれた。
「……精霊が見えて……しかも話せる……これはかなりの才能だ……」
男の人がぶつぶつ呟いている。
……やっぱり、私は特別な存在として見られるのは変わらないのかな?私が精霊を見る事が出来るのは、聖女である母様の娘だからだろうし。
母様からも父様からも、自分が聖女と邪龍の娘である事は誰にも言ってはいけないと言われているから、何で精霊達が見えるのか聞かれても、答える事が出来ない。
「君の名前は何と言うんだい?」
「カ、カオルです」
急に名前を聞かれて、慌てて答える。
「そういや、俺らの名前も知らないよな。俺の名前は、グレン。で、俺らの主の───」
グレン様がここまで言うと、さっきから話していた男の人が言葉を繋ぐ。
「ファルメール公爵家の当主、クラウド・ファルメールだ。カオルちゃん、この森を出ないか?」
この……森を?一体、どうしてなんだろう?
「ここを……ですか?」
「あぁ、君は才能がある。精霊が見えるだけでも希少な存在なのに、話す事が出来る。君には、精霊術士の才能があるんだ」
精霊術士?精霊が何かするのかな?
「クラウド様、精霊術士とは何ですか?」
「君は、魔法があるのを知っているかい?」
クラウド様の質問にこくりと頷く。
母様や父様から聞いた。魔法とは、この世界の人達全員が使えるらしい。普通は一人一つの属性を持っていて、複数持っている人はとても稀らしい。魔法は、精霊に魔力というものを渡して、精霊が術を起こす事で使えるらしい。
「精霊術士の使う精霊術は、魔法と根本的な所は同じだ。だが、威力などの性能に天と地程の差がある。魔法使いの中でも、精霊術士と呼ばれる存在は、一万人に一人と言われている」
一万人!?そんな存在が目の前にいるとなったら、そりゃあ、驚くに決まってる。
「なぜ、魔法使いと精霊術士に差が出るのか、根本的な理由は分かっていない。だが、魔法使いと精霊術士とは違いは、繋がりだ」
「繋がり……ですか?」
「魔法使いは、その場にいる精霊に魔力を渡すから、場所によって差が出てしまうが、精霊術士にその心配はない」
場所によって、魔法に差が出る?
言ってる事が良く分からない。すると、私が理解出来ていないのを察してか、また精霊達が耳元で教えてくれる。
「シゼンノエネルギー、オオイトコロ、セイレイ、オオイ」
「ヒ、オオイトコロ、ヒノセイレイ、ウマレルカラ、オオイ。ミズ、オオイトコロ、ミズノセイレイ、ウマレルカラ、オオイ」
つまり、こんな森みたいな自然が溢れている所には、精霊の数が多いけど、場所によっては、種類も変わってくるって事か。
「じゃあ、あなた達は何の精霊なの?」
私がそう聞くと、みんな一斉に話し出す。
ごめんなさい、一斉に話されると分からない。
「一人ずつ話してくれる?」
「ボクハ、カゼノセイレイ」
「ワタシハ、ミズノセイレイ」
……もしかして、この数の全部を聞かないといけないの?一人が代表して話してくれると嬉しかったんだけど。
そのまま話を聞き続ける。チラッと横を見ると、クラウド様達も何か話しているみたいだけど、声は聞こえてこない。私に気を使ってくれているのかな?
話を聞き続けた結果、今この場所には、風の精霊、水の精霊、地の精霊、光の精霊が大半を占めていて、火の精霊と闇の精霊が少しいるだけみたい。
「話は終わったかい?」
やっぱり、私に気を使って、静かに話してくれていた。
「はい」
「精霊達は何て言ってたんだい?」
「自然が多い所には、精霊の数が多くて、今この場所には、風、水、地、光の精霊が多くて、少しだけ火の精霊と闇の精霊がいると」
「全種類いるのか!?」
精霊に聞いた事を話すと、クラウド様が驚いた。全種類……?もしかして、それもすごい事なんだろうか。
「珍しい事なんですか?」
「少なくとも、私が生きている中で、全種類の精霊が生まれる場所なんて聞いた事がない。特に、水の精霊と火の精霊が同じ場所で生まれるなんてあり得ないと言われていたんだ。前例も無いしね」
水と火の精霊が同じ場所で生まれない?精霊達は、水が多い所で水の精霊が生まれやすく、火が多い所で、火の精霊が生まれやすいんだっけ?
でも、水は近くに泉があるけど、火は何かあったかな?火、火、火……
──もしかして、父様が住んでいた火山の事?
この位置からちょっと離れてるけど、歩いていける所に火山があって、危ないから近づいちゃ駄目だって父様が言ってた。
「クラウド様、火山から火の精霊が生まれる事はあるんですか?」
「分からない。精霊自体、どうやって生まれるのか分かってないしね。だけど、確かに火山帯の所には火の精霊が圧倒的に多いね」
「なら、火の精霊はそこで生まれたんだと思います。近くに最近は噴火していませんが火山がありますから」
私の側に火の精霊が少ないのもこれなら説明がつく。私は火山の側には、二回しか行った事がない。駄目だって言われてたけど、その時は、食料が見つからなくて、あまり行かない火山の側ならあるかもしれないと思ったから。
「君は、精霊が生まれる条件も知ってるのかい!?」
「は、はい……精霊達が教えてくれましたから」
そう言えば、さっき精霊がどうやって生まれるのか分からないって言ってたな。
「それで、何なんだ?」
「精霊自体、自然のエネルギーが多い所で生まれるみたいです。火の精霊は火元が多い所に生まれて、水の精霊は、水源がある所に。なので、そのように考えていくと、残りはおそらく──」
ここまで言うと、クラウド様が後の言葉を繋ぐ。
「地の精霊は、おそらく自然が溢れている場所にある土。光の精霊は太陽光。闇の精霊は、自然に出来た暗闇。風の精霊は何だろう……」
クラウド様の言葉を聞いて、チラッと隣を見る。
「カゼノセイレイ、ショクブツ。カゼアタッタショクブツ」
風の精霊は、風だけでは生まれないのか。
「何で風だけじゃ生まれないの?」
「エネルギー、タマラナイ。ショクブツ、エネルギー、タメル。ヒカリエネルギータメタラ、ヒカリノセイレイ。ヤミエネルギータメタラ、ヤミノセイレイ」
水は、エネルギーを貯めて、火もエネルギーを貯める。と言う事は、おそらく、実体が無いものは、エネルギーを貯められないんだろう。
「風、光、闇の精霊は、エネルギーを貯めたら植物から生まれるそうです」
「そうか……そう考えたら納得がいく事が多い。精霊の謎がどんどん解けていく……!」
何か喜んでいるみたい。喜んでいる人を見ると、こっちまで嬉しくなる。
「やっぱり、君をこんな森に置いておくのはもったいない!私達と一緒に来ないか?」
こんな森……?
その言葉を聞いた私の中で何かが切れた。
「お断りします」
「えっ……?」
「お断りしますと言ったんです。皆さん、お帰りください」
冷たく言い放つ。自分でも、こんなに怒ったのは初めてだ。周りにいる精霊達も怒っている。
当然の事。自分の生まれて育った所をこんなで片づけられたら誰だって怒ると思う。この人は、そんな事も分からないの?
「私にも拾った責任はあるので、道が分からなければ案内します。分かるのでしたら、お帰りください」
「いや、道は分かるが……」
「では、今すぐ出ていってください。道中倒れられても困るので、回復ポーションと魔力回復ポーションは差し上げます」
私は、増血剤と一緒に持ってきていたポーションを渡す。
「……分かった。今日は帰ろう。ポーションもありがたく貰っていくよ」
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