3 / 107
第一章 森の少女達
第2話 お断りします
しおりを挟む
私、おかしな事を聞いたのかな?
「君は、物の価値を知らないのかい?」
「ずっとここにいたので。“カチ”って何ですか?」
首を傾げて聞いてみると、教えてくれた。
「何か買うには、お金というものが必要なんだ。それがたくさんいるものが高級な物となって、なかなか手に入らないんだ」
お金って確か、欲しい物がある時に渡す物だったっけ。お金を渡して欲しい物を貰う事を買うって言うんだ。外の世界は分からない事が多いな。とりあえず、コウキュウはなかなか手に入らない事は分かった。なかなか手に入らないって言う事は、なかなか見る事が無いという事だろう。
それが、当たり前のように出てきたから驚いたのか。
「君はいつからここにいるんだ?」
あの時レナードと呼ばれていた人が私に聞いてくる。
「生まれた時からずっとここにいます。今は一人ですが、寂しくはありません」
心配そうに話しかけてきたので、心配する必要はない事を伝える。本当はリーズもいるけれど、秘密にしておこう。私達の事を理解できるとは思えないし、まだ完全に信用している訳ではない。
「一人って……親はいないのかい?」
「両親は……五年前に亡くなりました。それから、一人ですが、この子達がいるから、全く寂しくも辛くもないですよ」
そう言って、精霊達の方を見る。私の声に答えるように、精霊達は私の周りを飛び回る。
「この子達とは……?」
「見えないんですか?」
発光が弱い訳ではない。むしろ、強い光なのに、見えないなんて事があるの?
男の人の言葉に疑問を持っていると、精霊達が耳元に寄ってきて教えてくれた。
「ボクタチ、ミエルニンゲン、スクナイ」
「カオルサマ、ハナセル、メズラシイ」
精霊達は普通は見えない存在なのか。むしろ、見えて、しかも話す事が出来る私の方が珍しいと。
「この子達とは精霊の事ですよ。あなた達の周りにもいますよ」
「「「「何だって!?」」」」
大きな声にまたビクッとなる。
そうだった。この人達は珍しい事に驚くんだった。出来るだけ、正直に話した方が良いと思ったんだけど……何か不味かったかな?
「君は精霊が見えるのか!?」
「はい。毎日お話しています」
精霊達は、視界などを共有出来るらしく、外の世界の事を教えてくれる。お金の事も精霊達が教えてくれた。
「……精霊が見えて……しかも話せる……これはかなりの才能だ……」
男の人がぶつぶつ呟いている。
……やっぱり、私は特別な存在として見られるのは変わらないのかな?私が精霊を見る事が出来るのは、聖女である母様の娘だからだろうし。
母様からも父様からも、自分が聖女と邪龍の娘である事は誰にも言ってはいけないと言われているから、何で精霊達が見えるのか聞かれても、答える事が出来ない。
「君の名前は何と言うんだい?」
「カ、カオルです」
急に名前を聞かれて、慌てて答える。
「そういや、俺らの名前も知らないよな。俺の名前は、グレン。で、俺らの主の───」
グレン様がここまで言うと、さっきから話していた男の人が言葉を繋ぐ。
「ファルメール公爵家の当主、クラウド・ファルメールだ。カオルちゃん、この森を出ないか?」
この……森を?一体、どうしてなんだろう?
「ここを……ですか?」
「あぁ、君は才能がある。精霊が見えるだけでも希少な存在なのに、話す事が出来る。君には、精霊術士の才能があるんだ」
精霊術士?精霊が何かするのかな?
「クラウド様、精霊術士とは何ですか?」
「君は、魔法があるのを知っているかい?」
クラウド様の質問にこくりと頷く。
母様や父様から聞いた。魔法とは、この世界の人達全員が使えるらしい。普通は一人一つの属性を持っていて、複数持っている人はとても稀らしい。魔法は、精霊に魔力というものを渡して、精霊が術を起こす事で使えるらしい。
「精霊術士の使う精霊術は、魔法と根本的な所は同じだ。だが、威力などの性能に天と地程の差がある。魔法使いの中でも、精霊術士と呼ばれる存在は、一万人に一人と言われている」
一万人!?そんな存在が目の前にいるとなったら、そりゃあ、驚くに決まってる。
「なぜ、魔法使いと精霊術士に差が出るのか、根本的な理由は分かっていない。だが、魔法使いと精霊術士とは違いは、繋がりだ」
「繋がり……ですか?」
「魔法使いは、その場にいる精霊に魔力を渡すから、場所によって差が出てしまうが、精霊術士にその心配はない」
場所によって、魔法に差が出る?
言ってる事が良く分からない。すると、私が理解出来ていないのを察してか、また精霊達が耳元で教えてくれる。
「シゼンノエネルギー、オオイトコロ、セイレイ、オオイ」
「ヒ、オオイトコロ、ヒノセイレイ、ウマレルカラ、オオイ。ミズ、オオイトコロ、ミズノセイレイ、ウマレルカラ、オオイ」
つまり、こんな森みたいな自然が溢れている所には、精霊の数が多いけど、場所によっては、種類も変わってくるって事か。
「じゃあ、あなた達は何の精霊なの?」
私がそう聞くと、みんな一斉に話し出す。
ごめんなさい、一斉に話されると分からない。
「一人ずつ話してくれる?」
「ボクハ、カゼノセイレイ」
「ワタシハ、ミズノセイレイ」
……もしかして、この数の全部を聞かないといけないの?一人が代表して話してくれると嬉しかったんだけど。
そのまま話を聞き続ける。チラッと横を見ると、クラウド様達も何か話しているみたいだけど、声は聞こえてこない。私に気を使ってくれているのかな?
話を聞き続けた結果、今この場所には、風の精霊、水の精霊、地の精霊、光の精霊が大半を占めていて、火の精霊と闇の精霊が少しいるだけみたい。
「話は終わったかい?」
やっぱり、私に気を使って、静かに話してくれていた。
「はい」
「精霊達は何て言ってたんだい?」
「自然が多い所には、精霊の数が多くて、今この場所には、風、水、地、光の精霊が多くて、少しだけ火の精霊と闇の精霊がいると」
「全種類いるのか!?」
精霊に聞いた事を話すと、クラウド様が驚いた。全種類……?もしかして、それもすごい事なんだろうか。
「珍しい事なんですか?」
「少なくとも、私が生きている中で、全種類の精霊が生まれる場所なんて聞いた事がない。特に、水の精霊と火の精霊が同じ場所で生まれるなんてあり得ないと言われていたんだ。前例も無いしね」
水と火の精霊が同じ場所で生まれない?精霊達は、水が多い所で水の精霊が生まれやすく、火が多い所で、火の精霊が生まれやすいんだっけ?
でも、水は近くに泉があるけど、火は何かあったかな?火、火、火……
──もしかして、父様が住んでいた火山の事?
この位置からちょっと離れてるけど、歩いていける所に火山があって、危ないから近づいちゃ駄目だって父様が言ってた。
「クラウド様、火山から火の精霊が生まれる事はあるんですか?」
「分からない。精霊自体、どうやって生まれるのか分かってないしね。だけど、確かに火山帯の所には火の精霊が圧倒的に多いね」
「なら、火の精霊はそこで生まれたんだと思います。近くに最近は噴火していませんが火山がありますから」
私の側に火の精霊が少ないのもこれなら説明がつく。私は火山の側には、二回しか行った事がない。駄目だって言われてたけど、その時は、食料が見つからなくて、あまり行かない火山の側ならあるかもしれないと思ったから。
「君は、精霊が生まれる条件も知ってるのかい!?」
「は、はい……精霊達が教えてくれましたから」
そう言えば、さっき精霊がどうやって生まれるのか分からないって言ってたな。
「それで、何なんだ?」
「精霊自体、自然のエネルギーが多い所で生まれるみたいです。火の精霊は火元が多い所に生まれて、水の精霊は、水源がある所に。なので、そのように考えていくと、残りはおそらく──」
ここまで言うと、クラウド様が後の言葉を繋ぐ。
「地の精霊は、おそらく自然が溢れている場所にある土。光の精霊は太陽光。闇の精霊は、自然に出来た暗闇。風の精霊は何だろう……」
クラウド様の言葉を聞いて、チラッと隣を見る。
「カゼノセイレイ、ショクブツ。カゼアタッタショクブツ」
風の精霊は、風だけでは生まれないのか。
「何で風だけじゃ生まれないの?」
「エネルギー、タマラナイ。ショクブツ、エネルギー、タメル。ヒカリエネルギータメタラ、ヒカリノセイレイ。ヤミエネルギータメタラ、ヤミノセイレイ」
水は、エネルギーを貯めて、火もエネルギーを貯める。と言う事は、おそらく、実体が無いものは、エネルギーを貯められないんだろう。
「風、光、闇の精霊は、エネルギーを貯めたら植物から生まれるそうです」
「そうか……そう考えたら納得がいく事が多い。精霊の謎がどんどん解けていく……!」
何か喜んでいるみたい。喜んでいる人を見ると、こっちまで嬉しくなる。
「やっぱり、君をこんな森に置いておくのはもったいない!私達と一緒に来ないか?」
こんな森……?
その言葉を聞いた私の中で何かが切れた。
「お断りします」
「えっ……?」
「お断りしますと言ったんです。皆さん、お帰りください」
冷たく言い放つ。自分でも、こんなに怒ったのは初めてだ。周りにいる精霊達も怒っている。
当然の事。自分の生まれて育った所をこんなで片づけられたら誰だって怒ると思う。この人は、そんな事も分からないの?
「私にも拾った責任はあるので、道が分からなければ案内します。分かるのでしたら、お帰りください」
「いや、道は分かるが……」
「では、今すぐ出ていってください。道中倒れられても困るので、回復ポーションと魔力回復ポーションは差し上げます」
私は、増血剤と一緒に持ってきていたポーションを渡す。
「……分かった。今日は帰ろう。ポーションもありがたく貰っていくよ」
とぼとぼと歩いていくクラウド様の後を他の三人がついていく。
グレン様だけ、私の方をチラチラ見ていたけど、私は姿が見えている内から、入り口を閉じた。
「君は、物の価値を知らないのかい?」
「ずっとここにいたので。“カチ”って何ですか?」
首を傾げて聞いてみると、教えてくれた。
「何か買うには、お金というものが必要なんだ。それがたくさんいるものが高級な物となって、なかなか手に入らないんだ」
お金って確か、欲しい物がある時に渡す物だったっけ。お金を渡して欲しい物を貰う事を買うって言うんだ。外の世界は分からない事が多いな。とりあえず、コウキュウはなかなか手に入らない事は分かった。なかなか手に入らないって言う事は、なかなか見る事が無いという事だろう。
それが、当たり前のように出てきたから驚いたのか。
「君はいつからここにいるんだ?」
あの時レナードと呼ばれていた人が私に聞いてくる。
「生まれた時からずっとここにいます。今は一人ですが、寂しくはありません」
心配そうに話しかけてきたので、心配する必要はない事を伝える。本当はリーズもいるけれど、秘密にしておこう。私達の事を理解できるとは思えないし、まだ完全に信用している訳ではない。
「一人って……親はいないのかい?」
「両親は……五年前に亡くなりました。それから、一人ですが、この子達がいるから、全く寂しくも辛くもないですよ」
そう言って、精霊達の方を見る。私の声に答えるように、精霊達は私の周りを飛び回る。
「この子達とは……?」
「見えないんですか?」
発光が弱い訳ではない。むしろ、強い光なのに、見えないなんて事があるの?
男の人の言葉に疑問を持っていると、精霊達が耳元に寄ってきて教えてくれた。
「ボクタチ、ミエルニンゲン、スクナイ」
「カオルサマ、ハナセル、メズラシイ」
精霊達は普通は見えない存在なのか。むしろ、見えて、しかも話す事が出来る私の方が珍しいと。
「この子達とは精霊の事ですよ。あなた達の周りにもいますよ」
「「「「何だって!?」」」」
大きな声にまたビクッとなる。
そうだった。この人達は珍しい事に驚くんだった。出来るだけ、正直に話した方が良いと思ったんだけど……何か不味かったかな?
「君は精霊が見えるのか!?」
「はい。毎日お話しています」
精霊達は、視界などを共有出来るらしく、外の世界の事を教えてくれる。お金の事も精霊達が教えてくれた。
「……精霊が見えて……しかも話せる……これはかなりの才能だ……」
男の人がぶつぶつ呟いている。
……やっぱり、私は特別な存在として見られるのは変わらないのかな?私が精霊を見る事が出来るのは、聖女である母様の娘だからだろうし。
母様からも父様からも、自分が聖女と邪龍の娘である事は誰にも言ってはいけないと言われているから、何で精霊達が見えるのか聞かれても、答える事が出来ない。
「君の名前は何と言うんだい?」
「カ、カオルです」
急に名前を聞かれて、慌てて答える。
「そういや、俺らの名前も知らないよな。俺の名前は、グレン。で、俺らの主の───」
グレン様がここまで言うと、さっきから話していた男の人が言葉を繋ぐ。
「ファルメール公爵家の当主、クラウド・ファルメールだ。カオルちゃん、この森を出ないか?」
この……森を?一体、どうしてなんだろう?
「ここを……ですか?」
「あぁ、君は才能がある。精霊が見えるだけでも希少な存在なのに、話す事が出来る。君には、精霊術士の才能があるんだ」
精霊術士?精霊が何かするのかな?
「クラウド様、精霊術士とは何ですか?」
「君は、魔法があるのを知っているかい?」
クラウド様の質問にこくりと頷く。
母様や父様から聞いた。魔法とは、この世界の人達全員が使えるらしい。普通は一人一つの属性を持っていて、複数持っている人はとても稀らしい。魔法は、精霊に魔力というものを渡して、精霊が術を起こす事で使えるらしい。
「精霊術士の使う精霊術は、魔法と根本的な所は同じだ。だが、威力などの性能に天と地程の差がある。魔法使いの中でも、精霊術士と呼ばれる存在は、一万人に一人と言われている」
一万人!?そんな存在が目の前にいるとなったら、そりゃあ、驚くに決まってる。
「なぜ、魔法使いと精霊術士に差が出るのか、根本的な理由は分かっていない。だが、魔法使いと精霊術士とは違いは、繋がりだ」
「繋がり……ですか?」
「魔法使いは、その場にいる精霊に魔力を渡すから、場所によって差が出てしまうが、精霊術士にその心配はない」
場所によって、魔法に差が出る?
言ってる事が良く分からない。すると、私が理解出来ていないのを察してか、また精霊達が耳元で教えてくれる。
「シゼンノエネルギー、オオイトコロ、セイレイ、オオイ」
「ヒ、オオイトコロ、ヒノセイレイ、ウマレルカラ、オオイ。ミズ、オオイトコロ、ミズノセイレイ、ウマレルカラ、オオイ」
つまり、こんな森みたいな自然が溢れている所には、精霊の数が多いけど、場所によっては、種類も変わってくるって事か。
「じゃあ、あなた達は何の精霊なの?」
私がそう聞くと、みんな一斉に話し出す。
ごめんなさい、一斉に話されると分からない。
「一人ずつ話してくれる?」
「ボクハ、カゼノセイレイ」
「ワタシハ、ミズノセイレイ」
……もしかして、この数の全部を聞かないといけないの?一人が代表して話してくれると嬉しかったんだけど。
そのまま話を聞き続ける。チラッと横を見ると、クラウド様達も何か話しているみたいだけど、声は聞こえてこない。私に気を使ってくれているのかな?
話を聞き続けた結果、今この場所には、風の精霊、水の精霊、地の精霊、光の精霊が大半を占めていて、火の精霊と闇の精霊が少しいるだけみたい。
「話は終わったかい?」
やっぱり、私に気を使って、静かに話してくれていた。
「はい」
「精霊達は何て言ってたんだい?」
「自然が多い所には、精霊の数が多くて、今この場所には、風、水、地、光の精霊が多くて、少しだけ火の精霊と闇の精霊がいると」
「全種類いるのか!?」
精霊に聞いた事を話すと、クラウド様が驚いた。全種類……?もしかして、それもすごい事なんだろうか。
「珍しい事なんですか?」
「少なくとも、私が生きている中で、全種類の精霊が生まれる場所なんて聞いた事がない。特に、水の精霊と火の精霊が同じ場所で生まれるなんてあり得ないと言われていたんだ。前例も無いしね」
水と火の精霊が同じ場所で生まれない?精霊達は、水が多い所で水の精霊が生まれやすく、火が多い所で、火の精霊が生まれやすいんだっけ?
でも、水は近くに泉があるけど、火は何かあったかな?火、火、火……
──もしかして、父様が住んでいた火山の事?
この位置からちょっと離れてるけど、歩いていける所に火山があって、危ないから近づいちゃ駄目だって父様が言ってた。
「クラウド様、火山から火の精霊が生まれる事はあるんですか?」
「分からない。精霊自体、どうやって生まれるのか分かってないしね。だけど、確かに火山帯の所には火の精霊が圧倒的に多いね」
「なら、火の精霊はそこで生まれたんだと思います。近くに最近は噴火していませんが火山がありますから」
私の側に火の精霊が少ないのもこれなら説明がつく。私は火山の側には、二回しか行った事がない。駄目だって言われてたけど、その時は、食料が見つからなくて、あまり行かない火山の側ならあるかもしれないと思ったから。
「君は、精霊が生まれる条件も知ってるのかい!?」
「は、はい……精霊達が教えてくれましたから」
そう言えば、さっき精霊がどうやって生まれるのか分からないって言ってたな。
「それで、何なんだ?」
「精霊自体、自然のエネルギーが多い所で生まれるみたいです。火の精霊は火元が多い所に生まれて、水の精霊は、水源がある所に。なので、そのように考えていくと、残りはおそらく──」
ここまで言うと、クラウド様が後の言葉を繋ぐ。
「地の精霊は、おそらく自然が溢れている場所にある土。光の精霊は太陽光。闇の精霊は、自然に出来た暗闇。風の精霊は何だろう……」
クラウド様の言葉を聞いて、チラッと隣を見る。
「カゼノセイレイ、ショクブツ。カゼアタッタショクブツ」
風の精霊は、風だけでは生まれないのか。
「何で風だけじゃ生まれないの?」
「エネルギー、タマラナイ。ショクブツ、エネルギー、タメル。ヒカリエネルギータメタラ、ヒカリノセイレイ。ヤミエネルギータメタラ、ヤミノセイレイ」
水は、エネルギーを貯めて、火もエネルギーを貯める。と言う事は、おそらく、実体が無いものは、エネルギーを貯められないんだろう。
「風、光、闇の精霊は、エネルギーを貯めたら植物から生まれるそうです」
「そうか……そう考えたら納得がいく事が多い。精霊の謎がどんどん解けていく……!」
何か喜んでいるみたい。喜んでいる人を見ると、こっちまで嬉しくなる。
「やっぱり、君をこんな森に置いておくのはもったいない!私達と一緒に来ないか?」
こんな森……?
その言葉を聞いた私の中で何かが切れた。
「お断りします」
「えっ……?」
「お断りしますと言ったんです。皆さん、お帰りください」
冷たく言い放つ。自分でも、こんなに怒ったのは初めてだ。周りにいる精霊達も怒っている。
当然の事。自分の生まれて育った所をこんなで片づけられたら誰だって怒ると思う。この人は、そんな事も分からないの?
「私にも拾った責任はあるので、道が分からなければ案内します。分かるのでしたら、お帰りください」
「いや、道は分かるが……」
「では、今すぐ出ていってください。道中倒れられても困るので、回復ポーションと魔力回復ポーションは差し上げます」
私は、増血剤と一緒に持ってきていたポーションを渡す。
「……分かった。今日は帰ろう。ポーションもありがたく貰っていくよ」
とぼとぼと歩いていくクラウド様の後を他の三人がついていく。
グレン様だけ、私の方をチラチラ見ていたけど、私は姿が見えている内から、入り口を閉じた。
11
あなたにおすすめの小説
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、俺は必死についていった。
だけど、自分には何もできないと思っていた。
それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。
だけどある日、彼らは言った。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。
俺も分かっていた。
だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。
「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」
そう思っていた。そのはずだった。
――だけど。
ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、
“様々な縁”が重なり、騒がしくなった。
「最強を目指すべくして生まれた存在」
「君と一緒に行かせてくれ。」
「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」
穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、
世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい――
◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
学生時代、私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私が実は本物の聖女で、いじめていた女は災厄を呼ぶ魔女でした。
さら
恋愛
いじめていた女と一緒に異世界召喚された私。
聖女として選ばれたのは彼女で、私は無能扱いされ追放された。
だが、辺境の村で暮らす中で気づく。
私の力は奇跡を起こすものではなく、
壊れた世界を“元に戻す”本物の聖女の力だった。
一方、聖女として祭り上げられた彼女は、
人々の期待に応え続けるうち、
世界を歪め、災厄を呼ぶ魔女へと変わっていく――。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる