聖女と邪龍の娘

りーさん

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第一章 森の少女達

第7話 ルーフェミアの精霊

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 森を出るまでは、歩いていかないといけない。道中で、マルミア様が話しかけてきた。

「カオルちゃんは今いくつなの?」
「今年で9になります」

 誕生日は来月なので、まだ8歳。森の中で、カレンダーを手作りして、印をつけていたから、今日が何日なのかはちゃんと分かっている。

「あら、ルーと同い年なのね」
「ルーフェミア様とですか?」
「ええ、ルーは先月に誕生日があったのよ」

 まだまだ子供っぽいんだけどねぇとマルミア様はため息をつく。

 その言葉に思わずクスッと笑ってしまう。

「カオルちゃんみたいにしっかりして欲しいわ」
「私は一人暮らしが長かったからですよ。親と一緒だったら、きっとルーフェミア様と変わらないと思います」

 私がそう言うと、マルミア様は悲しそうな顔をする。

「カオルちゃんは辛くない?」
「何がですか?」
「まだ親に甘えたい時期でしょう?それなのに一人なんて……」

 辛くない、と言えば嘘になる。両親が亡くなった時は、どれだけ泣いたか分からない。でも、泣いたって両親が帰ってくる訳ではない。誰かが助けてくれる訳ではない。そうリーズが言っていた。

 あの時は、リーズに対して怒っていたけど、今思えば、自分だって辛かったはずなのに、リーズは強くあろうとしたんだと分かる。

 あの時は私がしっかりしていなかったから。リーズが先に大人にならないといけなくなってしまった。

「辛い時は何度もありましたよ。でも、その度にこの子達が励ましてくれましたから」

 もちろん、リーズも支えてくれたけど、この人達にその事を言う訳にはいかない。それに、精霊達が支えてくれていた事は事実。 

「そういえば、カオルちゃんは精霊が見えて声が聞こえるんだったわね」

 その言葉に私は頷く。

「クラウド様が引き込みたがるのも分かるわ」
「何でですか?」
「精霊術士はただでさえ珍しいの。それに加えて、あなたは精霊の姿が見えて声を聞く事も出来る。でもね、それを色眼鏡で見る人は少なからずいるの。そんな人に狙われる前に、取り込んでおこうという考えなんだと思うわ」

 そういう事だったんだ。聖女と邪龍の娘である事を秘密にしてても、私達を狙う人はいる。その事実に不安になってくる。外の世界に行っても大丈夫なのだろうか。周りにも迷惑がかかるんじゃないか?

『そんなに心配する必要はないだろ』

 リーズが励ましてくるけど、不安は消えない。

『こいつらもそれが分かってて連れ出したんだろうし、いざとなったら私が守ってやる』
『ありがとう、リーズ』

 そう言われて、やっと不安が無くなってきた。リーズがそう言ってくれると、心強いから。

 不意に、上の方から声が聞こえてきて、パッと上を向く。

「カオルちゃん?急に静かになってどうしたの?さっきから声をかけてたけど、気づいてなかったみたいだし……」
「大丈夫です。少し不安になっていただけで……」

 リーズと話していたから、声をかけられていたのに気づかなかったのか。

「心配しなくても大丈夫よ。私達がちゃんと守るから」
「はい」

 そう話しているうちに、馬車の所までついていた。

「私達の家に向かう前に、まずは領地に向かうけど、構わないかい?」
「はい、構いませんよ」

 私の返事を聞いたクラウド様達が、馬車に乗り始めたので、私も同じ馬車に乗ろうとしたら、ルーフェミア様が止めてくる。

「カオルさんはわたくしと同じ馬車ですわ!」
「えっ、でも……」

 私を連れていくと決めたのはクラウド様だから、クラウド様の目に届く所にいた方が良いと思ったんだけど……

「カオル。ルーと一緒に乗ってくれないかい?」
「私達の事は気にしなくて良いのよ」

 クラウド様達がそう言ってくれたので、私はルーフェミア様の方の馬車に乗る。

「カオルさんはわたくしの隣でお願いしますわ」
「はい」

 そのまま10分。馬車の中は静かで少し気まずかった。今まで同い年の人の相手をした事が無いから、何を話して良いか分からない。まぁ、クラウド様の方に乗っていたとしても、話が出来たか分からないけど。

「カ、カオルさん!」
「は、はい!」

 大きな声でいきなり名前を呼ばれたので、私も大きな声で返事してしまった。ルーフェミア様の声が裏返ってた事にも驚いてしまった事は黙っておこう。

「カオルさんは、精霊が見えるんでしたわね」
「はい、そうですが……」
「では、わたくしの周りを見て貰えませんか?」

 ルーフェミア様の周りを?

「わたくしにも精霊がいるのか知りたいのですわ。いないならいないで構いませんから……」


 だんだん声が小さくなっている。自信がないのかな?

 ルーフェミア様の周りは、確かめるまでもなく精霊が何人かいる。森にいた子達かもしれないけど、私の周りにはいなかったはず。私よりも、ルーフェミア様の方に寄っているから、私よりもルーフェミア様の事が気に入ってるのはすぐに分かる。

「大丈夫です。何人か周りを飛んでいますよ」
「本当ですの?」

 途端にパァッとルーフェミア様の表情が明るくなる。

 でも、何となくだけど、飛んでいるのは一種類じゃない気がする。

 ルーフェミア様の周りを飛んでいた精霊に声をかけて、属性を聞いてみた。

「ボク、ミズゾクセイ」
「アタシ、ヒカリ」
「アタシモ!」
「アタシ、ミズ!」

 精霊は、全員で七人いたので、順番に聞いていく。

「ルーフェミア様の周りを飛んでいるのは、水と光属性の精霊ですよ」
「そうなのですか。わたくしはその二つの属性を持っておりますから、とてもありがたいですわ!」
「お嬢様、ご歓談中の所失礼しますが、まもなく目的地でございます」

 もうそんなに時間が経っていたんだ。

「カオルさん、一緒に回りませんか?」
「はい、良いですよ」

 ルーフェミア様が降りたのに続いて、私も馬車を引きずられるように降りた。
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