聖女と邪龍の娘

りーさん

文字の大きさ
11 / 107
第一章 森の少女達

第10話 ギルド

しおりを挟む
 昨日は、突然ルーフェミア様が出ていってしまったから、てっきり怒らせたのかと思ってたけど、帰ってきてすぐに謝られた。

「カオルさん。今日はギルドに行ってみませんか?」
「ギルド……ですか?」

 “ギルド”って何だろう?行ってみようと言う事は、建物か何かかな?

「あの、無理にとは言いませんが……」
「いえ、大丈夫です。行きましょうか」

 出かけるのは、私とルーフェミア様だけではなく、護衛の一人であるレナード様がついてきてくれた。
 “ギルド”は宿の近くにあるみたいで、歩いて数分でついた。

「ここがギルドですわ」
「ムー……」

 唸る声が聞こえて、隣を見ると、精霊達が顔をしかめていた。

「どうしたの?」と小さな声で聞くと、「ココイヤ」と返してきた。

「ココ、キタナイノガイッパイ」
「イキタクナイ」

 汚いの……?

「どうなさったんですの?」
「精霊達がここは汚いのがいるから入りたくないと言っていて」
「それはおそらくだが、ここが冒険者ギルドだからだろう」

 “ボウケンシャ”?外の世界は分からない事が多すぎる。

「ボウケンシャって何ですか?」
「あぁ、そこからか。冒険者というのは、ここで様々な仕事の依頼を受ける者だ。依頼の内容によっては、国を出て行くのも多いから、世界各地を回る者だから、冒険者と呼ばれている」
「旅人って事ですか?」
「いや、少し違う。旅人は、自分の行きたい所に自由に行くが、冒険者は依頼を受けて、目的の物を探すために世界を回る」

 つまり、頼まれた事を行うために国を出たりする人達の事を冒険者って言うんだ。

「話を戻すが、冒険者は荒くれ者……つまり、心が汚ない者が多い。だから、精霊は嫌がっているんだろう。精霊はきれいなものを好むと言われているから」

 「そうなの?」と聞いてみると、精霊達は何度も頷く。
 精霊達が嫌がっているなら、入らない方が良いかな?中がどうなっているかは気になっていたけど。

「私はここに──」

 いますと言う前に、精霊達が止めてくる。

「カオルサマ、ハイリタイナラ、ガマンスル」
「ワタシモ!」
「ボクモ!」

 えっ?でも……

「ダイジョウブ」

 私が心配していたのを気づかれたのか、何も言っていないのに、そう言ってきた。そこまで言うなら、残るのはこの子達の思いを裏切っちゃう事になる。

「カオルさん、先程何か言いかけていませんでしたか?」
「いえ、何でもありません。中に入りましょうか。精霊達もそれで良いと言っているので」
「は、はい……」

 私達三人がギルドに入ると、そこには色々な大人がいる。好い人も……悪い人も。

 黒いもやがかかっている人が何人か見える。それは、纏わりついているというよりかは、内側から溢れている。溢れているのは、すでに何か悪い事をした人。
 何をしたのかな?それが一人二人じゃない。でも、纏わりついている人もいる。何か悪巧みしている人だ。

 逆に、白いもやがかかっている人もいる。白いもやは、逆に良い行いをした人。母様いわく、人を傷つけたり、泣かせたりすると黒いもやがかかって、感謝されるような行いをした人に白いもやがかかっているらしい。

「カオルさん、せっかくですので、わたくしと一緒にギルドに登録してみませんか?」
「トウロク……ですか?」
「ここにいる方達と仲間になるということですわ」
「……」

 仲間……ここにいる人達と……白いもやの人達はともかく、黒いもやの人達は……

「あの……お嫌でしたか?」
「あっ……いえ、そんな事はありません。登録しましょう」

 ダメダメ。人を差別するような事はしてはいけない。もしかしたら、悪い事をしたという自覚が無かったのかもしれない。それなら、きちんとその事を教えれば良いはず。

「あの……何で私と一緒に登録したいんですか?」
「だって、学園に入るにはギルドへの登録が必要ですし……カオルさんは一緒の学園に通うと聞きましたから、どうせなら一緒に登録したいと思いましたの」
「私、学園に通うんですか?」
「お父様から聞いてませんの?」

 聞いてない……

「その様子ですと、お聞きしていないようですわね」
「はい……」

 歩きながら話している内に、受付の所までついて、そのお姉さんから紙を貰った。

「その話はそこまでにしましょう。それよりも、必要事項を書かないといけませんよ」

 字を……書く?

「あの……私、字が書けないんですが……」
「ならば、私が代筆しよう。色々聞くが、構わないか?」
「大丈夫です」
「ではさっそく聞くが、カオルは魔法を使えるか?」
「使えます」

 使えると言っても、母様から教わった回復魔法と浄化だけだけど……

「そう言えば、回復魔法を使っていたな。後は、浄化魔法か?」
「そうですね」
「なら、聖属性か」

 属性……精霊にあった属性と同じようなものかな?

「カオルサマ、ミズモツカエル」
「カゼモ!アタシタチ、ツカウカラ!」

 横から精霊達が口出ししてくる。

「あの……レナード様。精霊達が、水や風魔法が使えると言っているのですが……」
「そうか。では、精霊術士として登録しておこう。使える属性は水と風だけか?」

 レナード様からの質問に、「どうなの?」と精霊達にたずねる。

「オレヒノセイレイダカラ、ヒモ!」
「ヒカリモヨ!」
「ヤミモ……」

 えっと……火と光と闇ね。

「チモデキルヨ!」

 あーっと、地属性も追加か。

「後は火と光と闇と地も使えるみたいです」
「全属性とは多いな。そうやって書いてはおくが、疑われる可能性もあるぞ」
「大丈夫です」
「これで書き終わったからもう大丈夫だ」
「わたくしも終わりましたわ」

 お姉さんに紙を渡すと、ある箱を差し出してきた。これは……?

「では、お一人ずつここに手をかざしてください」

 言われた通りに、ルーフェミア様が手をかざすと、白く光る。その後に私が手をかざしても、白く光った。

「虚偽は無いようですね。では、証明書を発行しますので、少々お待ちください」

 しばらく待っていると、お姉さんが戻ってきて、少し厚い紙を渡してくる。

「これが冒険者ギルドに所属している証です。再発行には銀貨一枚いただきますので、大事に持っていてくださいね」
「はい、分かりました」

 カオル、8歳。冒険者になりました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。

サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

学生時代、私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私が実は本物の聖女で、いじめていた女は災厄を呼ぶ魔女でした。

さら
恋愛
いじめていた女と一緒に異世界召喚された私。 聖女として選ばれたのは彼女で、私は無能扱いされ追放された。 だが、辺境の村で暮らす中で気づく。 私の力は奇跡を起こすものではなく、 壊れた世界を“元に戻す”本物の聖女の力だった。 一方、聖女として祭り上げられた彼女は、 人々の期待に応え続けるうち、 世界を歪め、災厄を呼ぶ魔女へと変わっていく――。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

処理中です...