聖女と邪龍の娘

りーさん

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第一章 森の少女達

第11話 契約

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「さっそくですが、何か依頼を受けてみませんか?」
「そうですね」

 依頼が貼り出されている紙を見ると、様々な内容がある。その紙の隅には、何やら記号みたいなものが書かれている。私のフードについているイニシャルみたい。

「わたくし達は一番下のランクですから、受けられるのはこれらだけですわね。カオルさんは何が良いですか?」

 何枚か紙を見せてくる。でも、よく分からない。森でずっと過ごしていたから、文字なんて分からない。

「あの……私、字が読めないので……」
「あぁ、そうでしたか。では、わたくしが説明いたしますわ」

 ルーフェミア様は、丁寧に説明してくれた。その内容は、今まで私がやってきた事が多い。

「じゃあ、この薬草採取で良いですか?」
「わたくし、あまり知識はありませんが……」
「大丈夫です。この薬草はあの森にあったものなので、私は知っていますし、採る時に教えますよ」
「なら、これにいたしましょうか」

 受付の人に、薬草採取の依頼の紙を渡す。

「これは、少々距離がある森にありますが、大丈夫ですか?」
「道なら分かります」
「カオルさん、そういう事ではありませんわ。それと、大丈夫ですわよ。その距離までなら歩けますわ」
「分かりました。この薬草は五本で銅貨一枚になります。最低でも、銅貨五枚分は採ってきてくださいね」
「はい」

 ルーフェミア様とレナード様と一緒にギルドを出る。スタスタと歩いていくと、後ろから声が聞こえる。

「カオルさん、もう少しゆっくり歩けませんか?」
「はい、すみません」

 歩くのが速すぎたみたい。一緒に行動するんだから、相手に合わせないといけないのに。

 スピードを落として歩く事40分。ようやく森の入り口まで来た。

「ルーフェミア様、疲れていませんか?」
「大丈夫ですわ。思ったよりも疲れにくかったですわね」

 ルーフェミア様もそう感じるんだ。私も、森で過ごしていた頃から、疲れは感じにくかった。てっきり、私が邪龍の血を引いているからだと思ってたけど……ルーフェミア様もそう感じると言う事は、関係しているのは精霊なのかな?

「大丈夫なら、薬草を探しましょうか。あなた達も手伝ってくれる?」
「ウン!」
「カオルサマ、トッテキタ!」

 精霊の一人が、もう薬草を採ってきてた。

「これが依頼の薬草ですの?」
「はい。ウルエ草だと母は言っていました」

 ウルエ草は、回復薬の材料になる。あの時、クラウド様達に渡した回復薬にもこの薬草を使っている。

「ルーフェミア様も、精霊に協力して貰うと良いですよ。精霊は植物の事は詳しいですし」
「そうなのですね。どこにいるのか分かりませんが……お願いできますか?」

 辺りを見渡しながら、ルーフェミア様がたずねる。それに精霊も答えているけど、ルーフェミア様には聞こえていない。

「任せろって言っていますよ」

 私が精霊の言葉を翻訳する。

「そうですの?ありがとうございますわ」

 そう言ってルーフェミア様はニコッと笑っていたけど、すぐに落ち込んでしまった。

「ど、どうしたんですか?」
「いえ……わたくしもせめて精霊が見えればと思いまして……」

 そっか。見えるのなら見たいよね。私は見えるのが当たり前だったけど、他の人はそうじゃない。自分の事を好いている存在を見る事が出来ないなんて、悲しいと思う。

「私は生まれてから見えていたけど、後で見えるようにはならないの?」
「ケイヤクスル。ツヨイセイレイイルカラ、ケイヤクスレバ、オナジゾクセイノセイレイミエル!」

 つまり、ルーフェミア様の周りにいる強い精霊と契約すれば良いという事?でも、どれが強い精霊なのか分からない。

「どれが強い子?」
「ヒカリツヨイノガ、ツヨイセイレイ」

 光が強い……?輝きが強い精霊が強い精霊という事?この中で他の子よりも光が強いのは、二人だけだ。

「あなた達。ちょっと良い?」

 輝きが強い子に声をかける。その子達は、ルーフェミア様の方から私の方に振り向いて、何?とたずねるように首を傾げてくる。

「あなた達とルーフェミア様が契約すれば、ルーフェミア様は笑顔になるの。ルーフェミア様と契約して貰っても良い?」

 私がそう聞くと、精霊達は何度も頷く。どうやって契約するのか聞くと、あまり難しい事はなかった。

「あの……ルーフェミア様」
「何ですの?」
「この二人の精霊に名前をつけてあげてくれませんか?」
「名前……ですか?」

 精霊と契約するには、名前をつけるだけで良いらしい。

「はい。契約すれば、精霊を見る事が出来るそうです。その契約は、精霊への名付けなんです。この二人もつけてくれて良いと言っていますよ」
「そうですか……」
「あっ、属性は水と光が一人ずつですよ」
「分かりましたわ。今考えますので、少々お待ちいただけます?」

 ルーフェミア様は、レナード様と一緒に名前を考えている。そう言えば、私の周りにいる精霊には、名前を考えなくても良いのかな?私の事を好いてくれている訳だし、つけてあげた方が喜ぶんじゃないかな?

「あなた達は名前はいらないの?」
「イッパイイルカラ!」
「ミンナナマエナイトイヤ!」

 ……つまり、精霊の数が多いから、私が全員分の名前を考えられないと思って、名前をつけて欲しいとは言わなかったって事かな。確かに、確実に200人はいるだろうし、それだけの人数の名前を考えるのは大変。

「決めましたわ!」
「何ですか?」
「光の精霊がルクス。水の精霊がアクアでどうでしょうか?」
「良いと思いますよ。あなた達もそれで良いよね?」

 二人の精霊は、コクンと頷いて、ルーフェミア様の方に向かう。その二つの光は、ルーフェミア様の顔の前まで移動する。すると、ルーフェミア様の顔がパアッと明るくなる。

「見えますわ!この二人だけでなく、カオルさんの周りにいる精霊も見えます!」

 良かった。私が何かした訳でもないのに、笑顔を見ると嬉しくなる。

「では、そろそろ薬草を探しに行きませんか?」
「そ、そうですわね!あなた達、頼めますか?」

 今度はしっかり精霊達の方を見てルーフェミア様がたずねる。当然、精霊達はさっきと同じ答えだ。

 「ここには魔獣もいるので、注意してくださいね」
「はい」

 魔獣が出てきたら大変かもしれないなぁ。そんな事を思いながら、故郷の森に入っていった。
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