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第一章 森の少女達
第15話 人助け
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リーズと仲直りした翌日。昨日は夜遅くまで話していたから、まだ眠い。でも、いつもの習慣で早起きしてしまった。私は一度起きたら寝られない体質なので、うとうとしながらもベッドから出る。
「ふわぁ~」
ちょっと外に出てみようかな。精霊達はまだ寝ている。私に付き合って遅くまで起きていたから、まだ眠いんだろう。
置き手紙を書きたいけど、字が書けないので仕方ない。
一応、言付けはした方が良いかと思ったけど、寝ていたら起こすのも悪いし、静かに外に出る。ちょうど今は日の出の時間だった。この時間はどこのお店も開いていない。
街の様子を見てみても、あまり人は出歩いていない。
そろそろ戻ろうかな?
「きゃあああ!」
悲鳴?すぐ近くの路地裏の方から聞こえる。急いで駆けつけてみると、大きな男の人が誰かを囲んでいる。
あの人達、ギルドで見た人達だ。あの時、黒いもやに覆われていた人達。その黒いもやが濃くなって、体に複雑に絡み、体に入り込み始めている。
今悪い事をしている証拠。助けたいけど、どうしよう。私が行っても被害者が増えるだけな気がする。それに、人違いかもしれないし、眠いから黒いもやが見えているのかもしれない。精霊達がいないから任せる事も出来ないし……
『変われ』
『えっ?』
『助けたいんだろ?なら変われ。私がやる』
私が戸惑っているうちに、左腕を操って、左胸のイニシャルを二回叩かれた。フードは裏返しになり、リーズは表に出てきてしまった。大丈夫かな?頭の部分が見えたら人間じゃないと気づかれてしまう。
リーズはフードを押さえながら高く宙返りして、あの男の人達の前に出る。リーズと共有している視界からはハッキリと見える。間違いなくあの時の男の人達だった。人違いだと思いたかったけど……
「なんだてめぇ」
「ガキは引っ込んでな」
「なぁ、こいつ、どっかで見なかったか?」
左にいる人がリーズを指差す。この人達はリーズと会った事はないはず。フードを被っているから、私だと思っているのかもしれない。
「私はお前らのようなクズは知らねぇよ。それに、引っ込むのはお前らの方だ」
「ずいぶんと生意気なガキだな」
「立場ってもんを教えてやるよ!」
「あぁ、教えられるほど強いならな」
リーズは襲いかかってきた男の攻撃を躱すと、男の人はバランスを崩す。こちら側に倒れてきたのを見て、足で払う。
しゃがんでいる状態だから、男の人達に押さえつけられたけど、リーズは押し返す。そのまま軽く突き飛ばした。
「なっ……!」
「ガキに力で負ける気分はどうだ?」
駄目だよリーズ。そんな風に言ったらもっと怒っちゃうじゃん!
『リーズ。あまりそんな風に言うのは……』
『お前は優しすぎるんだよ。何でこんな小悪党に情けをかけるんだ』
『それに、リーズにその人達を傷つけて欲しくないし……』
『……分かった。なら、あれを使うしかないか』
“あれ”?あれってもしかして──
リーズは、こちらの方を睨みつけている男の人を視界に入れる。その瞬間、その男の人は固まったように動かなくなった。その男の人の様子に、回りも気づいたみたい。
「おい、どうした!?」
「分か…ら……ない。指一本……動かせ……ない。口も上手く……」
「おい、てめぇ何を──」
そう言いかけてリーズの方を見たリーダーらしき男の人は目を見開く。もうこの人も動けない。
「おまっ……目の……色が……」
この人の言う通り、リーズは今目の色が変わっている。例えじゃなくて、物理的に。リーズいわく、普段の目の色は黒だけど、ある技を使う時は目の色が赤くなる。
邪龍の能力の一つ、邪眼。
その目を見たものは、天敵に睨まれたように動けなくなる。
目を合わせるだけで動けなくなるので、結構便利だと言っていた。
リーズの力で、全員動けなくなった。その隙に襲われていた女の人は逃がしてくれた。もちろん、彼女の目を見ずに。
邪眼にも弱点はあって、邪眼の状態じゃなくなると、効力は無くなってしまい、邪眼は目が疲れるのと、多くの力を使うため、一日に一回しか使えない。なので、女の人を逃がすために邪眼を解除してしまうと、男の人達が動き始めて、もう無傷で捕らえる事は出来なくなってしまう。
女の人が逃げたのを確認すると、再び男の人達を見る。
「今回は生かしておいてやるが、次はないぞ」
リーズは、そう言って、ピョンと跳ねて建物を飛び越える。さっきの宙返りも、このジャンプ力も、龍としての身体能力らしい。なので、私もやろうと思えば普通の人間以上には出来るのだとか。
あくまでも昨日リーズが父様から引き継いだ記憶にあった知識だそうだから、確信は持てない。
『変わるぞ』
リーズは右胸のイニシャルを二回叩く。フードは黒から白に裏返しになり、私は表に出てきた。
その瞬間、どっと疲れが来た。寝起きで、あまり寝れてないのに、あんなに激しく動き、力の消費が激しい邪眼を使ってしまったからだろう。
その原因である当の本人は、心の奥で寝てしまっている。久々に邪眼を使ったから、リーズも疲れたみたい。これは、しばらくは表に出てきそうにないな。
疲れも出てきたし、一旦宿に戻ろう。もう一回寝ないと動けなさそう。
宿はここから南の方角だったはず。
「あの男の人達、今度は悪さをしないと良いな」
あの女の人のためにも、そう願わずにはいられない。
女の人の無事も祈りながら、宿に戻っていった。
「ふわぁ~」
ちょっと外に出てみようかな。精霊達はまだ寝ている。私に付き合って遅くまで起きていたから、まだ眠いんだろう。
置き手紙を書きたいけど、字が書けないので仕方ない。
一応、言付けはした方が良いかと思ったけど、寝ていたら起こすのも悪いし、静かに外に出る。ちょうど今は日の出の時間だった。この時間はどこのお店も開いていない。
街の様子を見てみても、あまり人は出歩いていない。
そろそろ戻ろうかな?
「きゃあああ!」
悲鳴?すぐ近くの路地裏の方から聞こえる。急いで駆けつけてみると、大きな男の人が誰かを囲んでいる。
あの人達、ギルドで見た人達だ。あの時、黒いもやに覆われていた人達。その黒いもやが濃くなって、体に複雑に絡み、体に入り込み始めている。
今悪い事をしている証拠。助けたいけど、どうしよう。私が行っても被害者が増えるだけな気がする。それに、人違いかもしれないし、眠いから黒いもやが見えているのかもしれない。精霊達がいないから任せる事も出来ないし……
『変われ』
『えっ?』
『助けたいんだろ?なら変われ。私がやる』
私が戸惑っているうちに、左腕を操って、左胸のイニシャルを二回叩かれた。フードは裏返しになり、リーズは表に出てきてしまった。大丈夫かな?頭の部分が見えたら人間じゃないと気づかれてしまう。
リーズはフードを押さえながら高く宙返りして、あの男の人達の前に出る。リーズと共有している視界からはハッキリと見える。間違いなくあの時の男の人達だった。人違いだと思いたかったけど……
「なんだてめぇ」
「ガキは引っ込んでな」
「なぁ、こいつ、どっかで見なかったか?」
左にいる人がリーズを指差す。この人達はリーズと会った事はないはず。フードを被っているから、私だと思っているのかもしれない。
「私はお前らのようなクズは知らねぇよ。それに、引っ込むのはお前らの方だ」
「ずいぶんと生意気なガキだな」
「立場ってもんを教えてやるよ!」
「あぁ、教えられるほど強いならな」
リーズは襲いかかってきた男の攻撃を躱すと、男の人はバランスを崩す。こちら側に倒れてきたのを見て、足で払う。
しゃがんでいる状態だから、男の人達に押さえつけられたけど、リーズは押し返す。そのまま軽く突き飛ばした。
「なっ……!」
「ガキに力で負ける気分はどうだ?」
駄目だよリーズ。そんな風に言ったらもっと怒っちゃうじゃん!
『リーズ。あまりそんな風に言うのは……』
『お前は優しすぎるんだよ。何でこんな小悪党に情けをかけるんだ』
『それに、リーズにその人達を傷つけて欲しくないし……』
『……分かった。なら、あれを使うしかないか』
“あれ”?あれってもしかして──
リーズは、こちらの方を睨みつけている男の人を視界に入れる。その瞬間、その男の人は固まったように動かなくなった。その男の人の様子に、回りも気づいたみたい。
「おい、どうした!?」
「分か…ら……ない。指一本……動かせ……ない。口も上手く……」
「おい、てめぇ何を──」
そう言いかけてリーズの方を見たリーダーらしき男の人は目を見開く。もうこの人も動けない。
「おまっ……目の……色が……」
この人の言う通り、リーズは今目の色が変わっている。例えじゃなくて、物理的に。リーズいわく、普段の目の色は黒だけど、ある技を使う時は目の色が赤くなる。
邪龍の能力の一つ、邪眼。
その目を見たものは、天敵に睨まれたように動けなくなる。
目を合わせるだけで動けなくなるので、結構便利だと言っていた。
リーズの力で、全員動けなくなった。その隙に襲われていた女の人は逃がしてくれた。もちろん、彼女の目を見ずに。
邪眼にも弱点はあって、邪眼の状態じゃなくなると、効力は無くなってしまい、邪眼は目が疲れるのと、多くの力を使うため、一日に一回しか使えない。なので、女の人を逃がすために邪眼を解除してしまうと、男の人達が動き始めて、もう無傷で捕らえる事は出来なくなってしまう。
女の人が逃げたのを確認すると、再び男の人達を見る。
「今回は生かしておいてやるが、次はないぞ」
リーズは、そう言って、ピョンと跳ねて建物を飛び越える。さっきの宙返りも、このジャンプ力も、龍としての身体能力らしい。なので、私もやろうと思えば普通の人間以上には出来るのだとか。
あくまでも昨日リーズが父様から引き継いだ記憶にあった知識だそうだから、確信は持てない。
『変わるぞ』
リーズは右胸のイニシャルを二回叩く。フードは黒から白に裏返しになり、私は表に出てきた。
その瞬間、どっと疲れが来た。寝起きで、あまり寝れてないのに、あんなに激しく動き、力の消費が激しい邪眼を使ってしまったからだろう。
その原因である当の本人は、心の奥で寝てしまっている。久々に邪眼を使ったから、リーズも疲れたみたい。これは、しばらくは表に出てきそうにないな。
疲れも出てきたし、一旦宿に戻ろう。もう一回寝ないと動けなさそう。
宿はここから南の方角だったはず。
「あの男の人達、今度は悪さをしないと良いな」
あの女の人のためにも、そう願わずにはいられない。
女の人の無事も祈りながら、宿に戻っていった。
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