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第二章 神殿の少女達
第32話 囚われの身
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「う…ん……」
しばらく眠っていた気がする。スクっと起き上がると、そこには見慣れない景色があった。
えっ?ここどこ?
辺りを見渡しても、誰もいない。精霊達も。どこに行ってしまったんだろう?
状況が飲み込めず、困惑していると、ノックをして誰かが入ってくる。
「お目覚めでしたか、カオル様」
「ナルミス様……その格好は?それに、ここは……」
入ってきたのはナルミス様。あの時は、制服を身につけていた気がするのに、服装が変わっていた。ここは、学園ではないの?
「これは神官の正装です。そしてここは、神殿の内部ですよ」
神殿……?そう言えば、クラウド様が神殿が私の事を狙っていると言っていた。ルーフェミア様があそこまでナルミス様の事を敵視しているような事を言っていたのも。そのせいなのかもしれない。
……でも、学園から神殿まではかなり距離があったはず。
「私さっきまで、学園にいましたよね?」
「あなたを気絶させた後、転移石を使って、ここまで転移しました。ルーフェミア様もおられますよ」
ナルミス様の言葉を聞いて、私は焦り出す。
「ルーフェミア様は!?どこにいるんですか!」
「それは話す事は出来ません」
「そうですか……」
ルーフェミア様は何ともないと思いたい。多分、私が目的で、ルーフェミア様は巻き込まれただけのはずだから。話せないのは、私と会わないようにって事だろうし。
「カオル様にはしばらくここにいていただきます。今朝食を持ってきますから」
そう言って、ナルミス様は静かに出ていった。
フードは被ったまま。これなら神殿内で暴走する事はないかもしれない。リーズとは話せるかな?
『リーズ』
『面倒な事になったな』
呼び掛けると答えてくれた。しかも、この現状を理解しているみたい。
『どうしよう』
『今は大人しくしていた方が良い』
『じゃあ、リーズもどうにかするのは無理って事?』
いつもなら、自分が何とかすると言うのに。ルーフェミア様が人質のようになっているからかな?
『聖女の血も引いているとはいえ、私は邪龍の血の方が濃いからな。神殿内は拒否反応を起こすんだ。だから、出れるのは一日一回、ほんの数分くらいだ』
そうだった。“聖”と“邪”は相反する存在。神殿は、母様がいた所だし、神聖な場所なのは私でも分かる。なのに、リーズが出てくるというのは難しい。むしろ、聖女の血を引いているから、数分の間だけでも出る事が出来るのかも。
『さすがに、同じ部屋の二人がどちらも部屋にいなくて、授業も出ていないとなれば、周りも何かあったと思うだろ。それまで待つしかない』
『うん。分かった』
リーズの言うとおり、大人しくベッドの上で座っていると、ナルミス様が食事を運んできた。パンとスープとサラダ。どれも食べた事があるものだ。
「どうぞ。毒などは入っていませんので」
「はい、いただきます」
何となく目についたパンから食べる。普通に美味しい。スープも温かいし、サラダもシャキシャキしてて、新鮮なのが分かる。
意外だな。私は囚われている身だから、ここまでちゃんとしたものを出して貰えるなんて。てっきり、残り物でも出されるのかと思っていたのに。
「どうしましたか?」
「いえ……意外と美味しいなと……」
「このような事をしておいて、何を言ってるんだと思うかもしれませんが、神殿はあなたの事を丁重に扱うつもりだそうですので。冷や飯を食べさせるつもりはないみたいです」
『本当に、何を言ってるんだ』
『……何でそんな大事にされるのかな?』
『……は?お前、分からないのか?』
えっ?リーズは分かるの?分からない私がおかしいの?
……もしかしてとは思うけど──
『お前が精霊が見えるどころか、声が聞けて、強力な精霊術を使うからだろ』
『そ、そっか。そうだよね……』
良かった。そっちの方だった。てっきり、聖女の方かと……家名で気づかれたのかなと思ったけど、大丈夫みたい。
……そう言えば、母様の本当の家名を知らないな。レティア神に聞けば分かるのかな?
「ごちそうさまでした。……あの、行きたいところがあるのですが……」
「今は難しいと思います。カオル様は警戒されておりますから」
「そうですか……」
それなら仕方ないな。
「なら、せめてルーフェミア様がどうしているかだけでも教えてくれませんか?」
「ルーフェミア様は、朝食を残されてはいますが、健康ですよ」
「良かった……!」
特に何か問題はなかったなら。私のせいで巻き込んでしまって、しかも怪我してるなんて事になったら、自分を責めずにはいられなかった。
「……しばらくそのように大人しくしていれば、神殿内なら許可をいただけると思います。許可がいただければお知らせしますね」
「は、はい。ありがとうございます」
……何か、優しいな。私が見間違えていなければ、あの時私を連れ去ったのは、ナルミス様だと思うんだけど。
「……どうしましたか?そのような顔をして」
あれっ?顔に出てたの?
「あの……何でこんなに優しくしてくれるのかなって」
「……私は、このような事がしたくてやっている訳ではありませんし……それに……」
「……それに?」
「……いえ、何でもありません。用があれば、そのベルで呼んでください。私は失礼します」
そう言って、出ていってしまった。それにって何だったんだろう?でも、そんな事で呼んでも、答えてくれないよね。
リーズも言っていたし、ナルミス様の言うとおりに大人しくしていよう。
クラウド様、レナード様、オーヴェ様、グレンさん、セレスティーナ様……みんな心配しているだろうな。
でも、必ずみんなの元に帰るから、待っていてくださいね。
しばらく眠っていた気がする。スクっと起き上がると、そこには見慣れない景色があった。
えっ?ここどこ?
辺りを見渡しても、誰もいない。精霊達も。どこに行ってしまったんだろう?
状況が飲み込めず、困惑していると、ノックをして誰かが入ってくる。
「お目覚めでしたか、カオル様」
「ナルミス様……その格好は?それに、ここは……」
入ってきたのはナルミス様。あの時は、制服を身につけていた気がするのに、服装が変わっていた。ここは、学園ではないの?
「これは神官の正装です。そしてここは、神殿の内部ですよ」
神殿……?そう言えば、クラウド様が神殿が私の事を狙っていると言っていた。ルーフェミア様があそこまでナルミス様の事を敵視しているような事を言っていたのも。そのせいなのかもしれない。
……でも、学園から神殿まではかなり距離があったはず。
「私さっきまで、学園にいましたよね?」
「あなたを気絶させた後、転移石を使って、ここまで転移しました。ルーフェミア様もおられますよ」
ナルミス様の言葉を聞いて、私は焦り出す。
「ルーフェミア様は!?どこにいるんですか!」
「それは話す事は出来ません」
「そうですか……」
ルーフェミア様は何ともないと思いたい。多分、私が目的で、ルーフェミア様は巻き込まれただけのはずだから。話せないのは、私と会わないようにって事だろうし。
「カオル様にはしばらくここにいていただきます。今朝食を持ってきますから」
そう言って、ナルミス様は静かに出ていった。
フードは被ったまま。これなら神殿内で暴走する事はないかもしれない。リーズとは話せるかな?
『リーズ』
『面倒な事になったな』
呼び掛けると答えてくれた。しかも、この現状を理解しているみたい。
『どうしよう』
『今は大人しくしていた方が良い』
『じゃあ、リーズもどうにかするのは無理って事?』
いつもなら、自分が何とかすると言うのに。ルーフェミア様が人質のようになっているからかな?
『聖女の血も引いているとはいえ、私は邪龍の血の方が濃いからな。神殿内は拒否反応を起こすんだ。だから、出れるのは一日一回、ほんの数分くらいだ』
そうだった。“聖”と“邪”は相反する存在。神殿は、母様がいた所だし、神聖な場所なのは私でも分かる。なのに、リーズが出てくるというのは難しい。むしろ、聖女の血を引いているから、数分の間だけでも出る事が出来るのかも。
『さすがに、同じ部屋の二人がどちらも部屋にいなくて、授業も出ていないとなれば、周りも何かあったと思うだろ。それまで待つしかない』
『うん。分かった』
リーズの言うとおり、大人しくベッドの上で座っていると、ナルミス様が食事を運んできた。パンとスープとサラダ。どれも食べた事があるものだ。
「どうぞ。毒などは入っていませんので」
「はい、いただきます」
何となく目についたパンから食べる。普通に美味しい。スープも温かいし、サラダもシャキシャキしてて、新鮮なのが分かる。
意外だな。私は囚われている身だから、ここまでちゃんとしたものを出して貰えるなんて。てっきり、残り物でも出されるのかと思っていたのに。
「どうしましたか?」
「いえ……意外と美味しいなと……」
「このような事をしておいて、何を言ってるんだと思うかもしれませんが、神殿はあなたの事を丁重に扱うつもりだそうですので。冷や飯を食べさせるつもりはないみたいです」
『本当に、何を言ってるんだ』
『……何でそんな大事にされるのかな?』
『……は?お前、分からないのか?』
えっ?リーズは分かるの?分からない私がおかしいの?
……もしかしてとは思うけど──
『お前が精霊が見えるどころか、声が聞けて、強力な精霊術を使うからだろ』
『そ、そっか。そうだよね……』
良かった。そっちの方だった。てっきり、聖女の方かと……家名で気づかれたのかなと思ったけど、大丈夫みたい。
……そう言えば、母様の本当の家名を知らないな。レティア神に聞けば分かるのかな?
「ごちそうさまでした。……あの、行きたいところがあるのですが……」
「今は難しいと思います。カオル様は警戒されておりますから」
「そうですか……」
それなら仕方ないな。
「なら、せめてルーフェミア様がどうしているかだけでも教えてくれませんか?」
「ルーフェミア様は、朝食を残されてはいますが、健康ですよ」
「良かった……!」
特に何か問題はなかったなら。私のせいで巻き込んでしまって、しかも怪我してるなんて事になったら、自分を責めずにはいられなかった。
「……しばらくそのように大人しくしていれば、神殿内なら許可をいただけると思います。許可がいただければお知らせしますね」
「は、はい。ありがとうございます」
……何か、優しいな。私が見間違えていなければ、あの時私を連れ去ったのは、ナルミス様だと思うんだけど。
「……どうしましたか?そのような顔をして」
あれっ?顔に出てたの?
「あの……何でこんなに優しくしてくれるのかなって」
「……私は、このような事がしたくてやっている訳ではありませんし……それに……」
「……それに?」
「……いえ、何でもありません。用があれば、そのベルで呼んでください。私は失礼します」
そう言って、出ていってしまった。それにって何だったんだろう?でも、そんな事で呼んでも、答えてくれないよね。
リーズも言っていたし、ナルミス様の言うとおりに大人しくしていよう。
クラウド様、レナード様、オーヴェ様、グレンさん、セレスティーナ様……みんな心配しているだろうな。
でも、必ずみんなの元に帰るから、待っていてくださいね。
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