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第二章 神殿の少女達
第37話 助けに来た者達
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少し時間は戻り、カオルが祈りを捧げてレティア神と会話している時。
学園長からの手紙を受け取ったクラウドは顔を歪めて机を思いっきり叩いた。
「クラウド様、何が書いてあったんです?」
「……カオルとルーが神殿に囚われているらしい」
「あの学園は警備は厳重なはずですよ!?たとえ学園側に協力者がいたとしても、連れ去るのはほぼ不可能なはずです。何でそんな事に……」
「……あの学園には、神官も通っている。それと、連れ去った方法は転移石だと思う。それなら、見つからずに連れ去る事は可能だ」
クラウドの予想は大当たりだ。神官であるナルミスが転移石で連れ出した。
クラウドは、書類をそのままにし、席を立つ。
「今すぐ神殿に向かう」
「……せめて、護衛は連れてくださいよ」
「分かっている。レナードとグレンを呼んでこい」
「了解しました」
ーーーーーーーーーーーーーー
神殿についたクラウドは、入り口で止められていた。
「いくらファルメール公爵でも、そのような様子で入れる訳にはいきません」
明らかに武力行使も厭わないような状態で神殿に来たので、神官も中に入れない。
(どうするか……)
どう押し入ろうか悩んでいると、一回り小さな少女が来た。当たり前のように、神殿に入ろうとする。
「ちょっと待ちなさい。君は?」
「私は、ティーナと言います。お祈りしちゃダメですか?」
少し拙い敬語で、目的を話す。顔はきれいだが、容姿はありふれている茶髪に緑の瞳だったので、変に疑われずに中に入っていった。
「さて、あなた方はお帰りください。ご息女方はおられませんよ」
「私は自分の目で見ないと信じる事は出来ない」
そう言う目は、何かを決意したように冷たい目だった。
ーーーーーーーーーーーーーー
(どこにおられるのでしょうか)
ティーナと名乗っていた少女は、祈るための場所には向かわず、神殿のあちこちを探し回っている。
ティーナの正体はセレスティーナ。セレスティーナはありきたりな見た目に変える事で、疑われないように神殿に入り、カオルとルーフェミアを助けようと考えた。
カオルとルーフェミアを助けるために、探している。ルーフェミアは部屋にいるが、カオルは今はレティア神と会話している所だ。
そんな事は露知らず、あちこちを行ったり来たりしているうちに、迷い始めた。
(うぅ……どうしましょう)
敵の本拠地と言っても過言ではない場所で本格的に迷子になってしまった。
(頑張って、知っている道に出るまで歩いてみましょうか)
ーーーーーーーーーーーーーー
「オーヴェ」
「了解しました」
そう言って、小さな声でブツブツと呟き始める。
「何をするつもりですか?」
「強行突破ですよ!」
呟くのを終えて、神殿に攻撃した。先ほどの呟いていたのは、魔法の詠唱。アウベルクは、護衛の中では一番の魔法の使い手。詠唱も一般人と比べたらはるかに短く、威力も高い。
アウベルクの放った魔法は、神殿の一部を破壊した。それを見て、先ほどまで強気だった神官は、腰を抜かして震えている。
「じゃあ、入らせて貰いますよ。ルー様とカオルちゃんを助けないといけないので」
神殿内に入る彼らを、今度は止める事はなかった。
ーーーーーーーーーーーーーー
「イタタタ……」
座り込んでいたが、お尻を押さえながら立ち上がる。
(先ほどの揺れは何だったのでしょうか?)
アウベルクが放った魔法によって、大きな揺れが発生し、その時にセレスティーナは尻餅をついていた。
(もしや……神殿が何かしたのでは……ならば、急がないと!)
早くカオルとルーフェミアを見つけようと思い、先ほどよりも気合いを入れる。
走りながら、辺りをキョロキョロ見回していたので、前から来た存在に気づかず、ぶつかってしまった。
またもや尻餅をついてしまい、ゆっくりと起き上がる。
「……セレスティーナ様ですか?」
「あなたは……ナルミス様」
自分とぶつかった相手はナルミスだった。ナルミスは、軽く汗もかいており、急いでいたのがよく分かる。
「どこかに向かう予定だったのですか?」
「……あなたには関係ありませんわ。それよりも、よくわたくしだと気づきましたわね」
他の人達は気づかなかったのに、なぜかナルミスだけ気づいている。
「髪色と瞳の色が違うだけで、雰囲気や顔は同じですからね。なんとなくです」
「そうですか。では、失礼いたしますわ」
カオルとルーフェミアを連れ去ったかもしれない存在と、長く会話をしたくはなく、さっさとその場から離れようとしたが、次のナルミスの言葉で動きが止まった。
「カオル様なら、あなたから見て右に。ルーフェミア様なら左側に囚われております」
「どういう事ですの!?」
「そのままの意味です。先ほどの揺れの騒ぎで、他の神官や聖騎士は少ないですから、助けるなら今ですよ」
「……分かりましたわ」
お礼を言って、カオルが捕まっている場所を詳しく聞き出して、そこに向かった。
(急がないと……)
セレスティーナは、カオルが囚われている方に向かった。
学園長からの手紙を受け取ったクラウドは顔を歪めて机を思いっきり叩いた。
「クラウド様、何が書いてあったんです?」
「……カオルとルーが神殿に囚われているらしい」
「あの学園は警備は厳重なはずですよ!?たとえ学園側に協力者がいたとしても、連れ去るのはほぼ不可能なはずです。何でそんな事に……」
「……あの学園には、神官も通っている。それと、連れ去った方法は転移石だと思う。それなら、見つからずに連れ去る事は可能だ」
クラウドの予想は大当たりだ。神官であるナルミスが転移石で連れ出した。
クラウドは、書類をそのままにし、席を立つ。
「今すぐ神殿に向かう」
「……せめて、護衛は連れてくださいよ」
「分かっている。レナードとグレンを呼んでこい」
「了解しました」
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神殿についたクラウドは、入り口で止められていた。
「いくらファルメール公爵でも、そのような様子で入れる訳にはいきません」
明らかに武力行使も厭わないような状態で神殿に来たので、神官も中に入れない。
(どうするか……)
どう押し入ろうか悩んでいると、一回り小さな少女が来た。当たり前のように、神殿に入ろうとする。
「ちょっと待ちなさい。君は?」
「私は、ティーナと言います。お祈りしちゃダメですか?」
少し拙い敬語で、目的を話す。顔はきれいだが、容姿はありふれている茶髪に緑の瞳だったので、変に疑われずに中に入っていった。
「さて、あなた方はお帰りください。ご息女方はおられませんよ」
「私は自分の目で見ないと信じる事は出来ない」
そう言う目は、何かを決意したように冷たい目だった。
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(どこにおられるのでしょうか)
ティーナと名乗っていた少女は、祈るための場所には向かわず、神殿のあちこちを探し回っている。
ティーナの正体はセレスティーナ。セレスティーナはありきたりな見た目に変える事で、疑われないように神殿に入り、カオルとルーフェミアを助けようと考えた。
カオルとルーフェミアを助けるために、探している。ルーフェミアは部屋にいるが、カオルは今はレティア神と会話している所だ。
そんな事は露知らず、あちこちを行ったり来たりしているうちに、迷い始めた。
(うぅ……どうしましょう)
敵の本拠地と言っても過言ではない場所で本格的に迷子になってしまった。
(頑張って、知っている道に出るまで歩いてみましょうか)
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「オーヴェ」
「了解しました」
そう言って、小さな声でブツブツと呟き始める。
「何をするつもりですか?」
「強行突破ですよ!」
呟くのを終えて、神殿に攻撃した。先ほどの呟いていたのは、魔法の詠唱。アウベルクは、護衛の中では一番の魔法の使い手。詠唱も一般人と比べたらはるかに短く、威力も高い。
アウベルクの放った魔法は、神殿の一部を破壊した。それを見て、先ほどまで強気だった神官は、腰を抜かして震えている。
「じゃあ、入らせて貰いますよ。ルー様とカオルちゃんを助けないといけないので」
神殿内に入る彼らを、今度は止める事はなかった。
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「イタタタ……」
座り込んでいたが、お尻を押さえながら立ち上がる。
(先ほどの揺れは何だったのでしょうか?)
アウベルクが放った魔法によって、大きな揺れが発生し、その時にセレスティーナは尻餅をついていた。
(もしや……神殿が何かしたのでは……ならば、急がないと!)
早くカオルとルーフェミアを見つけようと思い、先ほどよりも気合いを入れる。
走りながら、辺りをキョロキョロ見回していたので、前から来た存在に気づかず、ぶつかってしまった。
またもや尻餅をついてしまい、ゆっくりと起き上がる。
「……セレスティーナ様ですか?」
「あなたは……ナルミス様」
自分とぶつかった相手はナルミスだった。ナルミスは、軽く汗もかいており、急いでいたのがよく分かる。
「どこかに向かう予定だったのですか?」
「……あなたには関係ありませんわ。それよりも、よくわたくしだと気づきましたわね」
他の人達は気づかなかったのに、なぜかナルミスだけ気づいている。
「髪色と瞳の色が違うだけで、雰囲気や顔は同じですからね。なんとなくです」
「そうですか。では、失礼いたしますわ」
カオルとルーフェミアを連れ去ったかもしれない存在と、長く会話をしたくはなく、さっさとその場から離れようとしたが、次のナルミスの言葉で動きが止まった。
「カオル様なら、あなたから見て右に。ルーフェミア様なら左側に囚われております」
「どういう事ですの!?」
「そのままの意味です。先ほどの揺れの騒ぎで、他の神官や聖騎士は少ないですから、助けるなら今ですよ」
「……分かりましたわ」
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