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第二章 神殿の少女達
第46話 穴の先で
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「うっ……」
なんとかティルを避難させて、私が対応しているけど、魔獣の攻撃を喰らってしまった。
回復魔法で治す暇もない。
「カオルサマ!」
後ろから声が聞こえた。やってきたのは、精霊達だった。
「どうしたの?」
「クラウド、ツタエテキタ!」
「シキョウ、ワルイ、ツタエタ!」
なかなか来ないと思っていたら、クラウド様に伝えていたんだ。
「カオルサマ。コイツ、ボクラタオス」
「カオルサマ、サキニイッテ」
「でも、ティルを置いていくには……」
「私なら大丈夫です。行きましょう」
いつの間にか、近くまで来ていた。ティルは、決心したように、私を見る。
「それと、ナルミス様も……」
「ナルミス……コッチ……」
「分かるの?」
そう聞くと、コクンとうなずく。もしかして、司教様が連れていくのを見たのかもしれない。闇の精霊の後についていく。ティルもこっちに着いてきている。やっぱり、あんな風に言いながら、本当は心配していたんだな。魔獣は、精霊が気を引いてくれていたので、なんとか抜けられた。
「そうです、カオルさん」
「何ですか?」
「兄には言うんですか?カオルさんが聖女と邪龍の娘だと」
そう聞かれて、戸惑ってしまった。正直、まだ決まってない。正直に話すか、それとも黙っているか。ナルミス様の事は信じたい。でも、私はそれで痛い目を見ている。人を信じたいと思って、悪と認められなくて、周りを巻き込んでしまう。
ナルミス様を、悪とするべきなのか、私には分からない。同じように、私達の事を話しても良いのかも。リーズは、神殿内で表に出てきてしまったせいで、しばらく会話も出来ない。だから、相談する事が出来ない。
決められないまま、闇の精霊の案内に従って走っていく。
「オク……イル」
「ありがとう」
精霊の頭を撫でると、他の精霊の後ろに隠れてしまった。すると、他の精霊達が「ジブンモ!」と訴えてきた。
「そんな事をすればそうなりますよ」
そんな事を言っていないで、助けて欲しい。とりあえず、訴えてきた子は、みんな撫でる。
「それよりも、どうするんです?話すんですか?」
「……」
答えが出せない。
「私の意見ですが、話しても大丈夫だと思いますよ。身内の欲目なのかもしれませんが、兄は秘密は厳守する人です。良い意味でも、悪い意味でも、秘密にして欲しいと言われたら、誰にも口外しません」
ティルが、そこまで言いきるなら、良いんじゃないのだろうか。一度は、信用しないと。覚悟を決めないと。……話そう。
闇の精霊の案内通りに歩いていくと、先の牢屋にナルミス様が閉じ込められていた。鍵がかかっているだろうし、どうやって開けよう?
「ナルミス様!」
「兄さん!」
「カオル様!ティルもどうしてここに?」
私達は、ナルミス様に今までの事を話す。もちろん、私の事も。
「司教がカオル様の事を探るように言ってきたのは、そういう事でしたか」
納得がいったかのように、ナルミス様はそう言った。
「兄さん、この事は……」
「分かっている。誰にも口外しない」
はっきりとそう言ってくれた。その姿は、ティルと重なって見えた。やっぱり、兄妹なんだな。
「とりあえず、どうやって開けましょうか?」
「精霊でどうにかなりませんか?」
精霊が鍵を持ってこれるかは分からないけど……一応、聞いてみよう。
「出来る?」
「コワセバイイ」
…………えっ?今、何て言ったの?
「サガッテテ、カオルサマ。ナルミスモ」
言われた通りに下がる。ナルミス様にも、少し離れるように言った。すると、火の精霊が、小さな光を生み出して、牢屋に放つ。その光が牢屋の柵にぶつかると、強く光って、大きな音と共に、牢屋が崩れた。
これって、爆発魔法!?コワセバイイってそういう事?壊せば良いって事だったの?
魔法を使う時は、少し抑えて欲しいって言ったのに、明らかに威力が強いし……でも、誉めてと訴えてくる精霊を叱る事は出来ない。こんなだから、優しすぎるとか甘いとか言われるのかな……
「相変わらず、すごい魔法ですね」
そう言ってはいるけど、少し呆れているかのような目で見られている。この音で誰かが来るかもしれないからだろう。
「それで、どうやったら出られるのでしょうか?司教の後を着いていくのは危険すぎますし……」
「だが、入り口はおそらく一つしかない。天井に開いている穴から出られるのなら話は別だが……」
「イケルヨ?」
えっ?
「いけるって……どういう事?」
「カゼデ、トバス」
風で……飛ばす?
「精霊が何か言っているのですか?」
「風で飛ばすと言っているんです」
「なるほど。風魔法なら、宙に浮く事は出来ると思います」
「それなら、戻ってみましょう。精霊達なら、倒せていなかったとしても、負けている事はないと思います」
「なるほど。なぜここにいるのかと思っていたら、そう言えばあなたは精霊術士でしたね」
後ろから声がして、振り返ると、そこには司教様がいた。
なんとかティルを避難させて、私が対応しているけど、魔獣の攻撃を喰らってしまった。
回復魔法で治す暇もない。
「カオルサマ!」
後ろから声が聞こえた。やってきたのは、精霊達だった。
「どうしたの?」
「クラウド、ツタエテキタ!」
「シキョウ、ワルイ、ツタエタ!」
なかなか来ないと思っていたら、クラウド様に伝えていたんだ。
「カオルサマ。コイツ、ボクラタオス」
「カオルサマ、サキニイッテ」
「でも、ティルを置いていくには……」
「私なら大丈夫です。行きましょう」
いつの間にか、近くまで来ていた。ティルは、決心したように、私を見る。
「それと、ナルミス様も……」
「ナルミス……コッチ……」
「分かるの?」
そう聞くと、コクンとうなずく。もしかして、司教様が連れていくのを見たのかもしれない。闇の精霊の後についていく。ティルもこっちに着いてきている。やっぱり、あんな風に言いながら、本当は心配していたんだな。魔獣は、精霊が気を引いてくれていたので、なんとか抜けられた。
「そうです、カオルさん」
「何ですか?」
「兄には言うんですか?カオルさんが聖女と邪龍の娘だと」
そう聞かれて、戸惑ってしまった。正直、まだ決まってない。正直に話すか、それとも黙っているか。ナルミス様の事は信じたい。でも、私はそれで痛い目を見ている。人を信じたいと思って、悪と認められなくて、周りを巻き込んでしまう。
ナルミス様を、悪とするべきなのか、私には分からない。同じように、私達の事を話しても良いのかも。リーズは、神殿内で表に出てきてしまったせいで、しばらく会話も出来ない。だから、相談する事が出来ない。
決められないまま、闇の精霊の案内に従って走っていく。
「オク……イル」
「ありがとう」
精霊の頭を撫でると、他の精霊の後ろに隠れてしまった。すると、他の精霊達が「ジブンモ!」と訴えてきた。
「そんな事をすればそうなりますよ」
そんな事を言っていないで、助けて欲しい。とりあえず、訴えてきた子は、みんな撫でる。
「それよりも、どうするんです?話すんですか?」
「……」
答えが出せない。
「私の意見ですが、話しても大丈夫だと思いますよ。身内の欲目なのかもしれませんが、兄は秘密は厳守する人です。良い意味でも、悪い意味でも、秘密にして欲しいと言われたら、誰にも口外しません」
ティルが、そこまで言いきるなら、良いんじゃないのだろうか。一度は、信用しないと。覚悟を決めないと。……話そう。
闇の精霊の案内通りに歩いていくと、先の牢屋にナルミス様が閉じ込められていた。鍵がかかっているだろうし、どうやって開けよう?
「ナルミス様!」
「兄さん!」
「カオル様!ティルもどうしてここに?」
私達は、ナルミス様に今までの事を話す。もちろん、私の事も。
「司教がカオル様の事を探るように言ってきたのは、そういう事でしたか」
納得がいったかのように、ナルミス様はそう言った。
「兄さん、この事は……」
「分かっている。誰にも口外しない」
はっきりとそう言ってくれた。その姿は、ティルと重なって見えた。やっぱり、兄妹なんだな。
「とりあえず、どうやって開けましょうか?」
「精霊でどうにかなりませんか?」
精霊が鍵を持ってこれるかは分からないけど……一応、聞いてみよう。
「出来る?」
「コワセバイイ」
…………えっ?今、何て言ったの?
「サガッテテ、カオルサマ。ナルミスモ」
言われた通りに下がる。ナルミス様にも、少し離れるように言った。すると、火の精霊が、小さな光を生み出して、牢屋に放つ。その光が牢屋の柵にぶつかると、強く光って、大きな音と共に、牢屋が崩れた。
これって、爆発魔法!?コワセバイイってそういう事?壊せば良いって事だったの?
魔法を使う時は、少し抑えて欲しいって言ったのに、明らかに威力が強いし……でも、誉めてと訴えてくる精霊を叱る事は出来ない。こんなだから、優しすぎるとか甘いとか言われるのかな……
「相変わらず、すごい魔法ですね」
そう言ってはいるけど、少し呆れているかのような目で見られている。この音で誰かが来るかもしれないからだろう。
「それで、どうやったら出られるのでしょうか?司教の後を着いていくのは危険すぎますし……」
「だが、入り口はおそらく一つしかない。天井に開いている穴から出られるのなら話は別だが……」
「イケルヨ?」
えっ?
「いけるって……どういう事?」
「カゼデ、トバス」
風で……飛ばす?
「精霊が何か言っているのですか?」
「風で飛ばすと言っているんです」
「なるほど。風魔法なら、宙に浮く事は出来ると思います」
「それなら、戻ってみましょう。精霊達なら、倒せていなかったとしても、負けている事はないと思います」
「なるほど。なぜここにいるのかと思っていたら、そう言えばあなたは精霊術士でしたね」
後ろから声がして、振り返ると、そこには司教様がいた。
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