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第二章 神殿の少女達
第57話 仲直り
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カオルはクラウドの屋敷に戻ってすぐに、ルーフェミアの部屋に来た。
「ルーフェミア様。カオルです。入りますよ?」
「……すみません。一人にしてください」
ルーフェミアはそう言ったが、カオルはお構いなしに入ってきた。ベッドの上で座り込んでいるルーフェミアの元に近づく。
「ルーフェミア様。私が……何かしましたでしょうか?」
カオルはおそるおそるそうたずねた。ルーフェミアは、少し焦るようにカオルの方を見た。
「いえ!カオルさんは関係ありませんわ!ただ……」
ルーフェミアは、目をそらす。それ以上話す事はなかった。いや、話す事が出来なかった。自分が、誰かに知らせておくなど、もう少し考える事が出来れば、誘拐される事はないと思っていた。誘拐されるとしてもすぐに助けが来たはずだった。
ルーフェミアが出かける時は、周りに護衛がいて、守られるのが当たり前だった。だから、無理やり誘拐される可能性が頭になかった。
カオルの周りには、精霊もいるから大丈夫だろうという考えもあった。
でも、自分やカオルが捕まっていたら、攻撃は出来ない。カオル達に当たる可能性があるからだ。護衛達だってそうだ。だから、人質というのが成り立つ。
「私は気にしてませんよ」
「わたくしが自分を許せないのですわ」
「それなら私もそうですよ。ルーフェミア様を巻き込んだのですから」
神殿の狙いは、カオルただ一人だった。そのため、ナルミスもルーフェミアが一緒にいる時は狙わなかった。
ルーフェミアは、完全に巻き込まれたのだ。カオルへの人質として。
「……」
何も言わなくなったルーフェミアを見て、カオルは少し不安に感じた。
「……わたくしは、気にしておりませんわ」
「それなら良いでしょう。お互い気にしてないのですから。次から気をつければ良いだけですよ」
(二回目だからなのに……)
以前、カオルを一人にしてしまったせいで、カオルが行方不明になってしまった。それから、なるべく一人にさせないようにしてしまった。
食事をした時も、少し気まずくなったから先に出ていくように言っただけで、一人にさせるつもりはなかった。
「私は、迷惑をかけられるより、ルーフェミア様が元気でいない方が辛いです。もしかしたら、巻き込まれた事を怒っているのかとか、不安になってしまいますから」
カオルは、この数日間不安だった。会いに来てくれないから、自分が何か怒らせるような事をしてしまったのではないか、だから会いに来てくれないのではないかと不安になっていた。
ルーフェミアがカオルの方をもう一回見る。すると、精霊達がカオルの周りを飛んでいる。ルーフェミアが見る事が出来るのは、水と光の精霊だけだが、他の属性の精霊も飛んでいるであろう事は容易に想像出来た。
「この子達も気にしていないみたいですよ。むしろ、自分達が守れなかった事を悔しがっています」
精霊と会話していたようだった。精霊達も気にしていない。むしろ、自分達が悪いと思っている事を知った。
ルーフェミアは、自分の周りにいるアクアとルクスを見る。
「あなた達はどうなのですか?」
そう聞くと、二人はカオルの方に向かった。そして、少しして戻ってくる。
「アクアもルクスも守れなかった自分達が悪いと言ってますよ」
二人の言葉をカオルが通訳してくれた。
「そうですか……分かりましたわ」
みんな、自分が悪いと言っている。他の誰も悪くないと。そう言ってくれると、なぜか辛くて仕方なかった思いが、少しずつ減っていくように感じた。
「そんなに自分が悪いというなら、私は許します。だから、ルーフェミア様も許してくれませんか?」
その言葉が、ルーフェミアの悩みに終止符を打った。悩んでいた事が、どうでも良い事のように。
「……分かりましたわ。わたくしも許します」
「では、お話しましょう?私達が学園を休んでいる間、セレスティーナ様が今までの授業の事を教えてくれたんです」
カオルは、いつものようにルーフェミアに笑いかける。
「ええ」
ルーフェミアも、そう言ってカオルに笑いかけた。
「ルーフェミア様。カオルです。入りますよ?」
「……すみません。一人にしてください」
ルーフェミアはそう言ったが、カオルはお構いなしに入ってきた。ベッドの上で座り込んでいるルーフェミアの元に近づく。
「ルーフェミア様。私が……何かしましたでしょうか?」
カオルはおそるおそるそうたずねた。ルーフェミアは、少し焦るようにカオルの方を見た。
「いえ!カオルさんは関係ありませんわ!ただ……」
ルーフェミアは、目をそらす。それ以上話す事はなかった。いや、話す事が出来なかった。自分が、誰かに知らせておくなど、もう少し考える事が出来れば、誘拐される事はないと思っていた。誘拐されるとしてもすぐに助けが来たはずだった。
ルーフェミアが出かける時は、周りに護衛がいて、守られるのが当たり前だった。だから、無理やり誘拐される可能性が頭になかった。
カオルの周りには、精霊もいるから大丈夫だろうという考えもあった。
でも、自分やカオルが捕まっていたら、攻撃は出来ない。カオル達に当たる可能性があるからだ。護衛達だってそうだ。だから、人質というのが成り立つ。
「私は気にしてませんよ」
「わたくしが自分を許せないのですわ」
「それなら私もそうですよ。ルーフェミア様を巻き込んだのですから」
神殿の狙いは、カオルただ一人だった。そのため、ナルミスもルーフェミアが一緒にいる時は狙わなかった。
ルーフェミアは、完全に巻き込まれたのだ。カオルへの人質として。
「……」
何も言わなくなったルーフェミアを見て、カオルは少し不安に感じた。
「……わたくしは、気にしておりませんわ」
「それなら良いでしょう。お互い気にしてないのですから。次から気をつければ良いだけですよ」
(二回目だからなのに……)
以前、カオルを一人にしてしまったせいで、カオルが行方不明になってしまった。それから、なるべく一人にさせないようにしてしまった。
食事をした時も、少し気まずくなったから先に出ていくように言っただけで、一人にさせるつもりはなかった。
「私は、迷惑をかけられるより、ルーフェミア様が元気でいない方が辛いです。もしかしたら、巻き込まれた事を怒っているのかとか、不安になってしまいますから」
カオルは、この数日間不安だった。会いに来てくれないから、自分が何か怒らせるような事をしてしまったのではないか、だから会いに来てくれないのではないかと不安になっていた。
ルーフェミアがカオルの方をもう一回見る。すると、精霊達がカオルの周りを飛んでいる。ルーフェミアが見る事が出来るのは、水と光の精霊だけだが、他の属性の精霊も飛んでいるであろう事は容易に想像出来た。
「この子達も気にしていないみたいですよ。むしろ、自分達が守れなかった事を悔しがっています」
精霊と会話していたようだった。精霊達も気にしていない。むしろ、自分達が悪いと思っている事を知った。
ルーフェミアは、自分の周りにいるアクアとルクスを見る。
「あなた達はどうなのですか?」
そう聞くと、二人はカオルの方に向かった。そして、少しして戻ってくる。
「アクアもルクスも守れなかった自分達が悪いと言ってますよ」
二人の言葉をカオルが通訳してくれた。
「そうですか……分かりましたわ」
みんな、自分が悪いと言っている。他の誰も悪くないと。そう言ってくれると、なぜか辛くて仕方なかった思いが、少しずつ減っていくように感じた。
「そんなに自分が悪いというなら、私は許します。だから、ルーフェミア様も許してくれませんか?」
その言葉が、ルーフェミアの悩みに終止符を打った。悩んでいた事が、どうでも良い事のように。
「……分かりましたわ。わたくしも許します」
「では、お話しましょう?私達が学園を休んでいる間、セレスティーナ様が今までの授業の事を教えてくれたんです」
カオルは、いつものようにルーフェミアに笑いかける。
「ええ」
ルーフェミアも、そう言ってカオルに笑いかけた。
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