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第三章 学園の少女達
第58話 契約の仕組み
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「ご迷惑をおかけしました……」
「お気になさらず」
学園の寮に戻り、真っ先にセレスティーナ様にルーフェミア様と謝りに行った。
「ルーフェミア様が立ち直られたようで何よりですわ」
「ご心配をおかけしましたわね……」
「……まぁ、そうですけど……わたくしは、あくまでカオルさんがお気になさるからですわ!」
ふん、とセレスティーナ様はどこかに行ってしまった。怒っていないようで安心した。でも、さっきのセレスティーナ様は、顔が赤くなっていたような気がする。私の気のせいかもしれないけど。
ふと、ルーフェミア様が隣で、「結構可愛らしい方だったのですわね」と笑っていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
翌日。私達は授業の終わりに補修を受けていた。数日間休んでいたので、その間どのような授業をしたのか、教えてくれるみたい。
ノートに書いていって、ルーフェミア様と寮の部屋に戻ろうとすると、廊下で魔法の実技の先生とすれ違った。
「ちょうど良かったです。学園長があなたを呼んでいますよ」
「私をですか?」
「それなら、わたくしも──」
「いえ、学園長は、カオルさん一人で来るようにと言っていました」
顔をうつむきながら、ルーフェミア様は何も言わなかった。何か言いたいけど、何も言えない。そんな感じだった。
「学園長室まで一緒に行きましょう?学園長と一緒ならおそらく大丈夫ですよ」
「……そうかもしれませんわね」
二度も自分の失態で私が拐われたと思っているからか、かなり疑り深くなっている。ルーフェミア様は、しぶしぶ納得してくれたようで、「ついていきますからね!」と言って、本当についてきた。
しばらく廊下を歩いて、何事もなく学園長室に着いた。
「ここからは一人で行きますね」
「分かりましたわ。ここで待っていますわね」
……一緒に入ると言わなかっただけ、マシだと思わないと……
ーーーーーーーーーーーーーー
「学園長、カオルです」
「よく来たわね」
学園長は、暖かく私を出迎えてくれた。
「ファルメール家のお嬢様とご一緒だったみたいね」
「私が神殿に連れていかれてから、ずっとあんな感じでして……」
私を心配してくれているのはちゃんと分かっているんだけど、本当にずっと一緒にいるので、ちょっと大変だと思ってしまう。
「でも、あなたはそれくらいがちょうど良いわよ。それだけ皆が欲しがる存在だもの。それを、しっかりと自覚しなさい」
「……はい」
「さて、カオルさん。今から防音の結界を張りますから、遠慮なくお話いただいて結構です」
「……はい」
学園長の言葉にうなずくと、学園長は言葉を続けた。
「今回の黒幕は司教だそうですね。狙われたのは、あなたが王女の娘だからですか?」
そう言われて、驚いてしまった。クラウド様が言うとは思えない。精霊達の声は聞こえないから、精霊も絶対に違う。じゃあ、どうやって知ったんだろう……?
「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。私は、聖女が王女だったのを知っているだけですから。まぁ、初めにあなたに会った時、もしかしたら聖女の娘かもと思いましたがね。顔がそっくりですから」
学園長は、母様と面識があるのかな。迷いの森にはいなかったような気がするから、多分、母様が父様に会う前の事だろう。
「私はもともとラクエルシェンドの出身で、王宮仕えでしたから。王族とは全員面識があります」
「そうだったんですか!?」
学園長の肩書きが思ったよりもすごくて、思わず大きな声が出てしまう。
「だって私は、虹の加護の保持者ですから」
「……えっ?」
学園長が私と同じ虹の加護!?世界に五人しかいないと言われている虹の加護持ちが、ここに二人いるの……?
「と言っても、カオルさんほど強い加護ではありませんよ。以前も言ったように、私は光がうっすらと見えるだけですから」
加護の強さで、精霊の見え方が変わるんだ……学園長、詳しいな。それなら、あれも分かるかな。
「あの……精霊と契約したら、魔法が強くなって、契約した属性の精霊が見えるじゃないですか。名前を与えるだけで、そこまでしてくれるのが不思議で……」
「……名前は、生物を生物たらしめるものですから」
…………?言い方が難しくてよく分からない。
「どういう事ですか?」
「精霊は、概念のようなものなのです。確かにいるのですが、しっかりと存在している訳ではありません。ですから、普通は見えません。存在していないのですから」
精霊は、いるのに存在していない……だから、人には見えない。
でも、精霊達は、確かにいて、私はいつもお話ししていて……頭がこんがらがってきた。
「そして、精霊は気に入った者から名前を欲しがります。気に入ったものに存在を認識されたいから。なので、認識されたいので、名前を呼ばれたら自分の仲間が見えるようにしてくれるのです。それが、精霊が与える加護ですよ。自分の大切な仲間達も知ってほしいという思いですね」
それが、精霊との契約の仕組みなんだ……自分を、この世界に繋げてくれるから、喜んで加護を与える。そんな存在を、喜ばせたいから。
なんとなく、気持ちは分かるな。
「さて、話が終わったところで本題ですが、カオルさんに提案があるのです」
「何でしょう?」
「みなさんに精霊と契約する手伝いをしてくれませんか?」
……えっ?
「お気になさらず」
学園の寮に戻り、真っ先にセレスティーナ様にルーフェミア様と謝りに行った。
「ルーフェミア様が立ち直られたようで何よりですわ」
「ご心配をおかけしましたわね……」
「……まぁ、そうですけど……わたくしは、あくまでカオルさんがお気になさるからですわ!」
ふん、とセレスティーナ様はどこかに行ってしまった。怒っていないようで安心した。でも、さっきのセレスティーナ様は、顔が赤くなっていたような気がする。私の気のせいかもしれないけど。
ふと、ルーフェミア様が隣で、「結構可愛らしい方だったのですわね」と笑っていた。
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翌日。私達は授業の終わりに補修を受けていた。数日間休んでいたので、その間どのような授業をしたのか、教えてくれるみたい。
ノートに書いていって、ルーフェミア様と寮の部屋に戻ろうとすると、廊下で魔法の実技の先生とすれ違った。
「ちょうど良かったです。学園長があなたを呼んでいますよ」
「私をですか?」
「それなら、わたくしも──」
「いえ、学園長は、カオルさん一人で来るようにと言っていました」
顔をうつむきながら、ルーフェミア様は何も言わなかった。何か言いたいけど、何も言えない。そんな感じだった。
「学園長室まで一緒に行きましょう?学園長と一緒ならおそらく大丈夫ですよ」
「……そうかもしれませんわね」
二度も自分の失態で私が拐われたと思っているからか、かなり疑り深くなっている。ルーフェミア様は、しぶしぶ納得してくれたようで、「ついていきますからね!」と言って、本当についてきた。
しばらく廊下を歩いて、何事もなく学園長室に着いた。
「ここからは一人で行きますね」
「分かりましたわ。ここで待っていますわね」
……一緒に入ると言わなかっただけ、マシだと思わないと……
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「学園長、カオルです」
「よく来たわね」
学園長は、暖かく私を出迎えてくれた。
「ファルメール家のお嬢様とご一緒だったみたいね」
「私が神殿に連れていかれてから、ずっとあんな感じでして……」
私を心配してくれているのはちゃんと分かっているんだけど、本当にずっと一緒にいるので、ちょっと大変だと思ってしまう。
「でも、あなたはそれくらいがちょうど良いわよ。それだけ皆が欲しがる存在だもの。それを、しっかりと自覚しなさい」
「……はい」
「さて、カオルさん。今から防音の結界を張りますから、遠慮なくお話いただいて結構です」
「……はい」
学園長の言葉にうなずくと、学園長は言葉を続けた。
「今回の黒幕は司教だそうですね。狙われたのは、あなたが王女の娘だからですか?」
そう言われて、驚いてしまった。クラウド様が言うとは思えない。精霊達の声は聞こえないから、精霊も絶対に違う。じゃあ、どうやって知ったんだろう……?
「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。私は、聖女が王女だったのを知っているだけですから。まぁ、初めにあなたに会った時、もしかしたら聖女の娘かもと思いましたがね。顔がそっくりですから」
学園長は、母様と面識があるのかな。迷いの森にはいなかったような気がするから、多分、母様が父様に会う前の事だろう。
「私はもともとラクエルシェンドの出身で、王宮仕えでしたから。王族とは全員面識があります」
「そうだったんですか!?」
学園長の肩書きが思ったよりもすごくて、思わず大きな声が出てしまう。
「だって私は、虹の加護の保持者ですから」
「……えっ?」
学園長が私と同じ虹の加護!?世界に五人しかいないと言われている虹の加護持ちが、ここに二人いるの……?
「と言っても、カオルさんほど強い加護ではありませんよ。以前も言ったように、私は光がうっすらと見えるだけですから」
加護の強さで、精霊の見え方が変わるんだ……学園長、詳しいな。それなら、あれも分かるかな。
「あの……精霊と契約したら、魔法が強くなって、契約した属性の精霊が見えるじゃないですか。名前を与えるだけで、そこまでしてくれるのが不思議で……」
「……名前は、生物を生物たらしめるものですから」
…………?言い方が難しくてよく分からない。
「どういう事ですか?」
「精霊は、概念のようなものなのです。確かにいるのですが、しっかりと存在している訳ではありません。ですから、普通は見えません。存在していないのですから」
精霊は、いるのに存在していない……だから、人には見えない。
でも、精霊達は、確かにいて、私はいつもお話ししていて……頭がこんがらがってきた。
「そして、精霊は気に入った者から名前を欲しがります。気に入ったものに存在を認識されたいから。なので、認識されたいので、名前を呼ばれたら自分の仲間が見えるようにしてくれるのです。それが、精霊が与える加護ですよ。自分の大切な仲間達も知ってほしいという思いですね」
それが、精霊との契約の仕組みなんだ……自分を、この世界に繋げてくれるから、喜んで加護を与える。そんな存在を、喜ばせたいから。
なんとなく、気持ちは分かるな。
「さて、話が終わったところで本題ですが、カオルさんに提案があるのです」
「何でしょう?」
「みなさんに精霊と契約する手伝いをしてくれませんか?」
……えっ?
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