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第三章 学園の少女達
第65話 似た者同士
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「カオル様。こちらを」
「ありがとうございます。イリアさん」
早めに寮の部屋に戻った私に、イリアさんがお水を渡してくる。イリアさんは、ルーフェミア様の専属侍女らしいけど、私はルーフェミア様の友達だからって事で、イリアさんは私の事も気にかけてくれる。
私が早めに部屋に戻ったのは、精霊の契約の手伝いが、ちょうど授業の途中で終わってしまったから。残り数分くらいだし、それだけのために教室に戻るくらいならと、部屋に戻っていた。
「戻りましたわ」
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「お帰りなさい、ルーフェミア様」
椅子で本を読んでいたら、ルーフェミア様が戻ってきた。
「イリア。カオルさんとお話がありますから、今日はさがって」
「かしこまりました」
今までイリアさんを出ていかせた事なんてないから、私はかなり驚いた。
ルーフェミア様は、一回息を吐いて、話し始めた。
「どうしたんですか?ルーフェミア様」
「ルドニーク様に何かされませんでしたか?」
「……えっ?」
イリアさんを出ていかせたくらいだから、よっぽど大事な話があるんだろうと思ったけど、まさかのルドニーク様の事だった。
「どうして、そのような事を……?」
「だって、ルドニーク様にあのブレスレットを渡したのでしょう?魔憑きなのもありますけど、結構な問題児ですから、傷つくような事を言われてないかと……」
ルーフェミア様の言葉に疑問を持った。問題児?私が殴られた時に庇ってくれたのに、何でそんな風に言われているんだろう。
話がしたいと言えば応じてくれたし、私が緊張してうまく話せないのを言いきるまで待ってくれたし。
むしろ、優しいといわれるような人だと思う。
「そこまで言われるような人ではないと思いますけど……渡しても、少し驚いていたくらいで、嫌がるような素振りはありませんでしたよ?」
「それなら良いのですが……」
「なぜそのような事を聞くのですか?」
「ルドニーク様は、授業にあまり出席されませんし、人ともあまり関わらないのですわ。ですから、魔憑きなのも相まって、性格に問題があるのではないか、という噂になっているのですわ」
それを聞いて、私は理解したけど、納得は出来なかった。魔憑きなだけで、何でそんな風に見られないといけないんだろう。
「私は、そんな考えをする人は、好きではありません」
「それは、なぜですか?」
「私も、声が聞こえるだけで、そういう風に見られるんですから」
精霊の声が聞こえる。それだけで、最初はクラウド様に特別な目で見られていた。今はそんな事はないと思うけど、まだここの人達は私をそういう風に見る。
“精霊の声が聞こえる少女”。“強力な精霊術を使う少女”としか見てくれない。今まで、私を“カオル”として見てくれた人は、両親やリーズ、精霊達くらいだった。
ティルは、最初から私をカオルとして見てくれた人だと思う。精霊の声が聞こえると言っても、すごいとか、そういう風には言わなかったし、邪龍の娘だと言っても、そんなのは気にしないと言ってくれた。
「……それは、すみません」
自分もそういう目で見ていたと思ったのか、謝罪してきた。私は慌てて否定する。
「いえいえ!悪気がある訳ではないのですから……」
私とルドニーク様の違う所は、悪気があるかないかだと思う。私の場合は、憧れとか、そういう目で見られていて、悪気がある訳ではないと思う。
でも、ルドニーク様は完全に悪気があると思う。噂は悪い噂だ。私のように、すごいとか、そういう風に見られない。出来るだけ、近づかないようにしようという考えの方が生まれそう。
似た者同士かもしれないけど、ちょっと違う。いや、だから似た者同士って言うんだよね……
「では、わたくしもお会いしたら話してみますわ」
「そうですか!」
それは良いと思う。私も、また会う事があったらお話をしてみようと思った。
「ありがとうございます。イリアさん」
早めに寮の部屋に戻った私に、イリアさんがお水を渡してくる。イリアさんは、ルーフェミア様の専属侍女らしいけど、私はルーフェミア様の友達だからって事で、イリアさんは私の事も気にかけてくれる。
私が早めに部屋に戻ったのは、精霊の契約の手伝いが、ちょうど授業の途中で終わってしまったから。残り数分くらいだし、それだけのために教室に戻るくらいならと、部屋に戻っていた。
「戻りましたわ」
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「お帰りなさい、ルーフェミア様」
椅子で本を読んでいたら、ルーフェミア様が戻ってきた。
「イリア。カオルさんとお話がありますから、今日はさがって」
「かしこまりました」
今までイリアさんを出ていかせた事なんてないから、私はかなり驚いた。
ルーフェミア様は、一回息を吐いて、話し始めた。
「どうしたんですか?ルーフェミア様」
「ルドニーク様に何かされませんでしたか?」
「……えっ?」
イリアさんを出ていかせたくらいだから、よっぽど大事な話があるんだろうと思ったけど、まさかのルドニーク様の事だった。
「どうして、そのような事を……?」
「だって、ルドニーク様にあのブレスレットを渡したのでしょう?魔憑きなのもありますけど、結構な問題児ですから、傷つくような事を言われてないかと……」
ルーフェミア様の言葉に疑問を持った。問題児?私が殴られた時に庇ってくれたのに、何でそんな風に言われているんだろう。
話がしたいと言えば応じてくれたし、私が緊張してうまく話せないのを言いきるまで待ってくれたし。
むしろ、優しいといわれるような人だと思う。
「そこまで言われるような人ではないと思いますけど……渡しても、少し驚いていたくらいで、嫌がるような素振りはありませんでしたよ?」
「それなら良いのですが……」
「なぜそのような事を聞くのですか?」
「ルドニーク様は、授業にあまり出席されませんし、人ともあまり関わらないのですわ。ですから、魔憑きなのも相まって、性格に問題があるのではないか、という噂になっているのですわ」
それを聞いて、私は理解したけど、納得は出来なかった。魔憑きなだけで、何でそんな風に見られないといけないんだろう。
「私は、そんな考えをする人は、好きではありません」
「それは、なぜですか?」
「私も、声が聞こえるだけで、そういう風に見られるんですから」
精霊の声が聞こえる。それだけで、最初はクラウド様に特別な目で見られていた。今はそんな事はないと思うけど、まだここの人達は私をそういう風に見る。
“精霊の声が聞こえる少女”。“強力な精霊術を使う少女”としか見てくれない。今まで、私を“カオル”として見てくれた人は、両親やリーズ、精霊達くらいだった。
ティルは、最初から私をカオルとして見てくれた人だと思う。精霊の声が聞こえると言っても、すごいとか、そういう風には言わなかったし、邪龍の娘だと言っても、そんなのは気にしないと言ってくれた。
「……それは、すみません」
自分もそういう目で見ていたと思ったのか、謝罪してきた。私は慌てて否定する。
「いえいえ!悪気がある訳ではないのですから……」
私とルドニーク様の違う所は、悪気があるかないかだと思う。私の場合は、憧れとか、そういう目で見られていて、悪気がある訳ではないと思う。
でも、ルドニーク様は完全に悪気があると思う。噂は悪い噂だ。私のように、すごいとか、そういう風に見られない。出来るだけ、近づかないようにしようという考えの方が生まれそう。
似た者同士かもしれないけど、ちょっと違う。いや、だから似た者同士って言うんだよね……
「では、わたくしもお会いしたら話してみますわ」
「そうですか!」
それは良いと思う。私も、また会う事があったらお話をしてみようと思った。
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