67 / 107
第三章 学園の少女達
第65話 似た者同士
しおりを挟む
「カオル様。こちらを」
「ありがとうございます。イリアさん」
早めに寮の部屋に戻った私に、イリアさんがお水を渡してくる。イリアさんは、ルーフェミア様の専属侍女らしいけど、私はルーフェミア様の友達だからって事で、イリアさんは私の事も気にかけてくれる。
私が早めに部屋に戻ったのは、精霊の契約の手伝いが、ちょうど授業の途中で終わってしまったから。残り数分くらいだし、それだけのために教室に戻るくらいならと、部屋に戻っていた。
「戻りましたわ」
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「お帰りなさい、ルーフェミア様」
椅子で本を読んでいたら、ルーフェミア様が戻ってきた。
「イリア。カオルさんとお話がありますから、今日はさがって」
「かしこまりました」
今までイリアさんを出ていかせた事なんてないから、私はかなり驚いた。
ルーフェミア様は、一回息を吐いて、話し始めた。
「どうしたんですか?ルーフェミア様」
「ルドニーク様に何かされませんでしたか?」
「……えっ?」
イリアさんを出ていかせたくらいだから、よっぽど大事な話があるんだろうと思ったけど、まさかのルドニーク様の事だった。
「どうして、そのような事を……?」
「だって、ルドニーク様にあのブレスレットを渡したのでしょう?魔憑きなのもありますけど、結構な問題児ですから、傷つくような事を言われてないかと……」
ルーフェミア様の言葉に疑問を持った。問題児?私が殴られた時に庇ってくれたのに、何でそんな風に言われているんだろう。
話がしたいと言えば応じてくれたし、私が緊張してうまく話せないのを言いきるまで待ってくれたし。
むしろ、優しいといわれるような人だと思う。
「そこまで言われるような人ではないと思いますけど……渡しても、少し驚いていたくらいで、嫌がるような素振りはありませんでしたよ?」
「それなら良いのですが……」
「なぜそのような事を聞くのですか?」
「ルドニーク様は、授業にあまり出席されませんし、人ともあまり関わらないのですわ。ですから、魔憑きなのも相まって、性格に問題があるのではないか、という噂になっているのですわ」
それを聞いて、私は理解したけど、納得は出来なかった。魔憑きなだけで、何でそんな風に見られないといけないんだろう。
「私は、そんな考えをする人は、好きではありません」
「それは、なぜですか?」
「私も、声が聞こえるだけで、そういう風に見られるんですから」
精霊の声が聞こえる。それだけで、最初はクラウド様に特別な目で見られていた。今はそんな事はないと思うけど、まだここの人達は私をそういう風に見る。
“精霊の声が聞こえる少女”。“強力な精霊術を使う少女”としか見てくれない。今まで、私を“カオル”として見てくれた人は、両親やリーズ、精霊達くらいだった。
ティルは、最初から私をカオルとして見てくれた人だと思う。精霊の声が聞こえると言っても、すごいとか、そういう風には言わなかったし、邪龍の娘だと言っても、そんなのは気にしないと言ってくれた。
「……それは、すみません」
自分もそういう目で見ていたと思ったのか、謝罪してきた。私は慌てて否定する。
「いえいえ!悪気がある訳ではないのですから……」
私とルドニーク様の違う所は、悪気があるかないかだと思う。私の場合は、憧れとか、そういう目で見られていて、悪気がある訳ではないと思う。
でも、ルドニーク様は完全に悪気があると思う。噂は悪い噂だ。私のように、すごいとか、そういう風に見られない。出来るだけ、近づかないようにしようという考えの方が生まれそう。
似た者同士かもしれないけど、ちょっと違う。いや、だから似た者同士って言うんだよね……
「では、わたくしもお会いしたら話してみますわ」
「そうですか!」
それは良いと思う。私も、また会う事があったらお話をしてみようと思った。
「ありがとうございます。イリアさん」
早めに寮の部屋に戻った私に、イリアさんがお水を渡してくる。イリアさんは、ルーフェミア様の専属侍女らしいけど、私はルーフェミア様の友達だからって事で、イリアさんは私の事も気にかけてくれる。
私が早めに部屋に戻ったのは、精霊の契約の手伝いが、ちょうど授業の途中で終わってしまったから。残り数分くらいだし、それだけのために教室に戻るくらいならと、部屋に戻っていた。
「戻りましたわ」
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「お帰りなさい、ルーフェミア様」
椅子で本を読んでいたら、ルーフェミア様が戻ってきた。
「イリア。カオルさんとお話がありますから、今日はさがって」
「かしこまりました」
今までイリアさんを出ていかせた事なんてないから、私はかなり驚いた。
ルーフェミア様は、一回息を吐いて、話し始めた。
「どうしたんですか?ルーフェミア様」
「ルドニーク様に何かされませんでしたか?」
「……えっ?」
イリアさんを出ていかせたくらいだから、よっぽど大事な話があるんだろうと思ったけど、まさかのルドニーク様の事だった。
「どうして、そのような事を……?」
「だって、ルドニーク様にあのブレスレットを渡したのでしょう?魔憑きなのもありますけど、結構な問題児ですから、傷つくような事を言われてないかと……」
ルーフェミア様の言葉に疑問を持った。問題児?私が殴られた時に庇ってくれたのに、何でそんな風に言われているんだろう。
話がしたいと言えば応じてくれたし、私が緊張してうまく話せないのを言いきるまで待ってくれたし。
むしろ、優しいといわれるような人だと思う。
「そこまで言われるような人ではないと思いますけど……渡しても、少し驚いていたくらいで、嫌がるような素振りはありませんでしたよ?」
「それなら良いのですが……」
「なぜそのような事を聞くのですか?」
「ルドニーク様は、授業にあまり出席されませんし、人ともあまり関わらないのですわ。ですから、魔憑きなのも相まって、性格に問題があるのではないか、という噂になっているのですわ」
それを聞いて、私は理解したけど、納得は出来なかった。魔憑きなだけで、何でそんな風に見られないといけないんだろう。
「私は、そんな考えをする人は、好きではありません」
「それは、なぜですか?」
「私も、声が聞こえるだけで、そういう風に見られるんですから」
精霊の声が聞こえる。それだけで、最初はクラウド様に特別な目で見られていた。今はそんな事はないと思うけど、まだここの人達は私をそういう風に見る。
“精霊の声が聞こえる少女”。“強力な精霊術を使う少女”としか見てくれない。今まで、私を“カオル”として見てくれた人は、両親やリーズ、精霊達くらいだった。
ティルは、最初から私をカオルとして見てくれた人だと思う。精霊の声が聞こえると言っても、すごいとか、そういう風には言わなかったし、邪龍の娘だと言っても、そんなのは気にしないと言ってくれた。
「……それは、すみません」
自分もそういう目で見ていたと思ったのか、謝罪してきた。私は慌てて否定する。
「いえいえ!悪気がある訳ではないのですから……」
私とルドニーク様の違う所は、悪気があるかないかだと思う。私の場合は、憧れとか、そういう目で見られていて、悪気がある訳ではないと思う。
でも、ルドニーク様は完全に悪気があると思う。噂は悪い噂だ。私のように、すごいとか、そういう風に見られない。出来るだけ、近づかないようにしようという考えの方が生まれそう。
似た者同士かもしれないけど、ちょっと違う。いや、だから似た者同士って言うんだよね……
「では、わたくしもお会いしたら話してみますわ」
「そうですか!」
それは良いと思う。私も、また会う事があったらお話をしてみようと思った。
0
あなたにおすすめの小説
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、俺は必死についていった。
だけど、自分には何もできないと思っていた。
それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。
だけどある日、彼らは言った。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。
俺も分かっていた。
だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。
「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」
そう思っていた。そのはずだった。
――だけど。
ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、
“様々な縁”が重なり、騒がしくなった。
「最強を目指すべくして生まれた存在」
「君と一緒に行かせてくれ。」
「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」
穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、
世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい――
◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
学生時代、私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私が実は本物の聖女で、いじめていた女は災厄を呼ぶ魔女でした。
さら
恋愛
いじめていた女と一緒に異世界召喚された私。
聖女として選ばれたのは彼女で、私は無能扱いされ追放された。
だが、辺境の村で暮らす中で気づく。
私の力は奇跡を起こすものではなく、
壊れた世界を“元に戻す”本物の聖女の力だった。
一方、聖女として祭り上げられた彼女は、
人々の期待に応え続けるうち、
世界を歪め、災厄を呼ぶ魔女へと変わっていく――。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる