聖女と邪龍の娘

りーさん

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第四章 隣国の少女達

第95話 叔父に会いに行く 1

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 私達は、対戦相手の学園に挨拶する事に。リーズは、深めにフードを被っていて、母様も珍しくフードを被っている。
 そういえば、あまり気にしていなかったけど、馬車に乗っているときから被っていたな。

「かあ……マリア先生。そのフードはなんですか?」
「これは幻魔の隠れ蓑という魔道具ですよ。私が指定した相手以外には、私の姿が違って見えるんです」
「顔見知りがいるかもしれないから被ってるのか」
「ええ。それに、こうしてるとカオルちゃんとリーズちゃんとお揃いのような気がしまして♪」

 確かに、私もリーズもフードは被っているけど、それはお揃いなのかな……?
 私達は、力が暴走しないように被っているけど、母様は正体がバレないためという、完全に別の理由だし……。まぁ、髪色を隠さないといけないリーズはともかく、今の私にはフードを被るような理由はないかもしれないけど……

「そういえば、フードまで分離したのはなんでなんですか?」

 思えば不思議な事だった。リーズは普段からフードを被っていたから、あまり違和感を感じなかったけど、よくよく考えたら、私もフードを被っているのに、リーズも被っているのはおかしい。

「いや、それは分かれたんじゃなくて、母上と父上が分けたんだよ」
「ええ。分離させて、それぞれに着せたほうがいいと思いますから」

 リーズと母様がそれぞれ説明してくれる。そんな事なんて出来るのかと、私が後ろを向いてみる。
 すると、全員が首を横に振った。やっぱり、これはおかしな事みたいだ。

「さて、ささっと挨拶を済ませてきて、オーくんに会いに行きますよー!」
「「「「オー!」」」」

 なぜか、精霊のみんなが乗り気になっている。
 それにしても、オーくんという事は、アウノール様……私とリーズにとっては、叔父様になる人だよね。どんな人なんだろう……?

ーーーーーーーーーーーーーー

 母様は、宣言通りに、速攻で挨拶を済ませてきた。幻魔の隠れ蓑のお陰か、そもそも母様の顔を知る者があまりいないせいか、母様が聖女というのは気づかれなかった。
 そして、ルーフェミア様達は学園に用意された宿に戻って、私とリーズは母様と一緒に、お城の前に来ている。

「なぁ、紹介もなくて入れるのか?」
「大丈夫よ。エルミナーラに書いてもらったわ。これを城門で渡せば何の問題もないわよ」
「エルミナーラ……?」

 そんな名前は聞いた事がなくて、首をかしげる。

「ほら、学園長のことよ。あの人は、元はラクエルシェンドの王家に仕えていたからね」
「へぇ~。そんな名前だったのか」

 私も知らなかったな。皆は学園長としか呼んでいなかったから。
 でも、隣国の王家に仕えていたという話は聞いた覚えがある。

「そうなんですよ~。私にもオーくんにも良くしてくれましたよ。ぶっちゃけ、ああいう母親がほしかったです!」
「お婆様はどんな人なんですか……?」

 母様にここまで言わせてしまうなんて、相当ではないだろうか。

「お母様は、王妃の座にしか興味がなかった人ですから。私が聖女となる時も、自分の立場が更に上がる事しか考えていなかったからね」
「そうですか……」

 どうやら、母様はお爺様やお婆様とは仲が悪いみたい。
 そういえば、レティア神が以前に、母様が聖女となった事を、お爺様が利用しようとしたと言っていたような気がする。そんな事をされてしまえば、嫌いになるのも仕方ないのかもしれない。
 そんな話をしている間に、城門についた。母様は、学園長からもらった手紙を門兵に渡している。門兵は、差出人を確認したあと、すぐに顔を青くした。

「か、確認して参りますので、少々お待ちください!」

 慌てた様子で、早口でそう言いながら、お城の中に入っていく。

「あらあら。何が書いてあったのかしらね?」

 ふふふと微笑んでいる母様が、この状況を楽しんでいるように見えて仕方なかった。

ーーーーーーーーーーーーーー

 ペンを走らせる音が、静かな部屋に響く。この部屋の主であるアウノールは、仕事を一段落終えて、背もたれに倒れかかる。

「まったく……いつまでも問題というのはなくならないのだな」

 ため息をついて、再び仕事を再開しようとすると、ノックが鳴る。

「入れ」

 アウノールがそう言うと、入ってきたのは城に勤めている兵の一人だった。
 この兵士は、今は城門の警備をしているはずだが、どうしたというのだろう。

「何の用だ?」
「じ、実は、エルミナーラ様の紹介状を持ってこられた方がおりまして……」
「老師のか?」

 エルミナーラは、今でこそ隣国の学園長をしているが、元は、ラクエルシェンドのフォルスト王家に仕えていた。
 そんなエルミナーラから招待状を貰ってくるような相手など、よほどの大物だろう。

「今すぐに通せ。老師の紹介なら危険はない」

 老師は、元は城に勤めていただけはあって、悪人を見分ける目は持っている。
 紹介状が本物であれば、その紹介状を持ってきた人物は危険ではないのだろう。

「かしこまりました」

 兵士は、頭を下げると部屋を出ていく。おそらくは、その客人を呼びに行ったのだろう。
 それにしても、あの老師が紹介状をわざわざ書くなんて、相手はどんなお方なのだろうか。わざわざ王家にお伺いを立てるくらいなのだから、それなりの立場がそれに見合う実力を持っているのだろうが、そんな存在があの国にあるというのだろうか。

 謎の客人の事が気になってしまい、仕事に手がつかない。
 しばらくして、やっと客人がここまで来たようだった。

「懐かしいですね~」
「ここが部屋なんですか?」
「ええ。そうですよ」

 そんな会話が扉越しから聞こえてくる。アウノールは、それに目を見開いた。
 片方は知らないが、もう一人の方は、アウノールには聞き覚えがある声だった。いや、聞き覚えがあるどころではない。
 一時期は、毎日のように聞いていた声だ。

「オーくん!お久しぶりです!」
「姉上!?」
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