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第三章 地方視察
138.
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さて、湖の問題をどのように解決するか。この街の領主が本当に把握していなかったのなら、この街の人たちも知っているかどうかわからない。
でも、意外と街のことは街の人のほうが詳しかったりするので、聞き込みをしてみよう。
そんなわけで、私たちはまっすぐ屋敷に戻ることはなく、街を歩くことに。
まずは、近くのレストランで食事でもして、腹ごしらえをしてからいろいろな人に聞いて回ろう。後はスイーツとかを食べ歩きしたり、街をぶらぶらとウィンドウショッピングしてみたりなんかしてもいいかも。
『聞き込みがついでになってない?』
『…………そんなことないよ?』
『だいぶ間があったけど』
だって。だってさ。せっかくの美食の街だったのにろくに美味しいものにもありつけずに街を出ることになったんだよ!?
郷土料理なんて旅行の醍醐味の一つのはずなのに、ろくに味わえてないんだよ、こっちは!
『それは観光目的の旅行の場合であって、君は王女の仕事の視察で来てるんだから味わえなくても仕方ないんじゃないのか?』
『……たとえそうだとしても私は食べたい!』
視察であっても、それくらいのわがままは許されてしかるべきではないか!食欲は人間の三大欲求!それを満たさずして仕事はできぬ!
『……食堂よりも頭の病院に行ったほうがいいと思う』
普段のペンダントとは似ても似つかないトーンに私の気持ちは沈む。
いつもみたいな軽口ではなく、本気でヤバイと思われているときの声のトーンだった。絶対にドン引きされている。
『……ごめん。ちゃんと現実見るからそんなこと言わないで』
普段の人を小馬鹿にする軽口よりも、今のほうが心に深く刺さった。
気分が沈んでいるところに追い討ちをかけるように、ぎゅっと頬をつねられる。
もちろん犯人はこの人。
「お兄さま、痛いです!」
もう!私の可愛らしいもちもちのほっぺが赤くなったらどうしてくれるんだ!
『可愛らしい……?』
そこは引っかからなくていいんだよ、ペンダント。
「さっきから呼んでいるのに返事をしないからだろう」
「だからってつねらないでください。それで、何の用ですか?」
「話を聞くのだろう?それなら飲食店から回るぞ。知っている奴がいるかもしれない」
確かにあの湖は観光名所だし、観光客の出入りが多いところから優先的に回ったほうが効率は良さそう。
ご飯食べたいと思ってたからちょうどいいし。
「わかりました!行きましょう!」
ようやくおいしいご飯にありつける~!
◇◇◇
そう思っていた時期が私にもありました。いや、ロニスニルみたいにご飯がおいしくないとか、そんなことはない。むしろお肉も柔らかいしスープもいろいろな調味料が使われているしで手間をかけて作られたのがわかる。わかる……んだけど。
「水の痕跡もなかったの?」
「ああ。単純に水が干上がったというわけではないだろう」
「父上に報告すべき案件ということですか」
「報告するには情報が足りない。だが、調査隊の申請はしておいてもいいだろう。フォルティオールに届けさせればいい」
エルクトお兄さまは、お店にいたハーステッドお兄さまとシルヴェルスお兄さまと話し合いをしている。
こんな空気でご飯なんか味わえるか!さっきから全然喉を通らなくて、スープをちびちび飲んだりお肉を齧ったりしてるだけだもん。
「アナ、どうかした?全然食べてないけど」
「いえ……なんでも」
それを言うならお兄さまたちもじゃないですかね。だって、食べてないどころか注文もしてないもん。ここは食事をする場所なんですから、せめて何か食べようよ。
「お兄さまたちはなんでここに……?」
「兄上から聞いてない?アナが湖のことを気にしてたから、僕たちも領主からいろいろと聞き出してたの」
「ああ……」
そういえば、そんなことも言ってましたね。他の兄姉たちは街に聞き込みに行ってたんだっけ?二人以外にいないのは、まだ聞き込みが終わってないのかな。
どうやら、エルクトお兄さまはこの二人を探すために飲食店に入りたかったみたい。そういうことは事前に言っておいてほしいものなんですけど。
というか、確か闇魔法を使って尋問してるって言ってなかった?話聞くの怖いんだけど。聞くけどさ。
「何か情報はあったんですか?」
「結論から言うと、領主は知ってたよ。でも、な~んか変なんだ」
「変……ですか?」
私が首をかしげると、ハーステッドお兄さまもう~んと悩みながら説明する。
「最初は知らないって断言してたけど、だんだん知らないはずって曖昧な言い方に変化していってね。それも尋常じゃない様子だったんだ。あのまま続けると心が壊れちゃいそうだったから、途中で切り上げたんだけど……」
「そこまでしておいて答えが変わらなかったのか?」
「そうそう。それに、あの領主に何か別の力が宿っていた感じもするんだよね。領主のものでも僕のものでもない、別の何か」
別の何か……?この街の領主は、何らかの魔法をかけられていたということなんだろうか。
「それって魔力ですか?」
「う~ん……なんか違う気がする。でも、黒かったし、良くないものなのは確かだから、アナは会わないようにしてね」
魔力じゃない何か……?それって、一体何なんだろう?この世界に魔力じゃない別の力なんてーーいや、まさか?まさか、そんなことがある?でも、可能性がないとは言いきれない。
もしもそうだとして、どうしてハーステッドお兄さまはそれに気づいたんだろう。
「その……良くないものっていうのは、どうしてわかるんですか?」
私がそう聞くと、ハーステッドお兄さまの目が静かに逸れる。うん?と思ってシルヴェルスお兄さまやエルクトお兄さまのほうを見ても、二人もハーステッドお兄さまと同じように目をそらした。
えっ?えっ?何か聞いちゃいけないことを聞きましたか?
「……やっぱり気になる?」
「そりゃあ、まぁ……」
良くないものって曖昧な表現をされたら気になりますよ。この兄姉たちが曖昧な表現をするときってだいたい隠し事をしてるときだからね。
「じゃあ、明日の朝にこの領地を出ていくって約束できるなら教えてあげる」
「えっ!?」
いや、確かにまだこの領地に留まっているのは私のわがままみたいなものだし、ロニスニルでの滞在時間が延びたから日程も押しているんだろうけど……
でも、明日の朝にというのは……まだ原因不明の干上がりってだけなら、私も仕方ないかって出ていたけど、今回は神器が関わっている可能性がある。それなのに街を離れてもいいものか。もしかしたら何かの手がかりがあるかもしれないのに。
だけど、このままお兄さまのことを聞かないままでいるのも嫌だ。私は、兄姉たちのことを外からの評価以外で何も知らない。
向こうが話してくれないのなら、こっちから聞きに行かないと、永遠に知らないままだ。
「……無理なら話は終わり。僕たちは屋敷に戻るけど、アナは観光したかったら兄上と回ってるといいよ」
ハーステッドお兄さまは席を立ち上がり、それに釣られるようにシルヴェルスお兄さまも立ち上がる。
「ま、待ってください!」
私が引き留めると、二人は私のほうを振り向いた。
「わかりました。明日の朝に出ていくと約束しますから、今日の夜に教えてください」
こうなったら、明日の朝までにどうにかしてみせる。
湖の問題は解決できなくても、黒結晶との関係性についてくらいは突き止めなければ。
「わかった。それじゃあ、夕食の後に僕の部屋を訪ねてきて。時間は作っておくから」
ハーステッドお兄さまはそう言うと、シルヴェルスお兄さまと一緒に店を出ていく。
タイムリミットは夕食まで。それまでに絶対に暴いてみせる!
でも、意外と街のことは街の人のほうが詳しかったりするので、聞き込みをしてみよう。
そんなわけで、私たちはまっすぐ屋敷に戻ることはなく、街を歩くことに。
まずは、近くのレストランで食事でもして、腹ごしらえをしてからいろいろな人に聞いて回ろう。後はスイーツとかを食べ歩きしたり、街をぶらぶらとウィンドウショッピングしてみたりなんかしてもいいかも。
『聞き込みがついでになってない?』
『…………そんなことないよ?』
『だいぶ間があったけど』
だって。だってさ。せっかくの美食の街だったのにろくに美味しいものにもありつけずに街を出ることになったんだよ!?
郷土料理なんて旅行の醍醐味の一つのはずなのに、ろくに味わえてないんだよ、こっちは!
『それは観光目的の旅行の場合であって、君は王女の仕事の視察で来てるんだから味わえなくても仕方ないんじゃないのか?』
『……たとえそうだとしても私は食べたい!』
視察であっても、それくらいのわがままは許されてしかるべきではないか!食欲は人間の三大欲求!それを満たさずして仕事はできぬ!
『……食堂よりも頭の病院に行ったほうがいいと思う』
普段のペンダントとは似ても似つかないトーンに私の気持ちは沈む。
いつもみたいな軽口ではなく、本気でヤバイと思われているときの声のトーンだった。絶対にドン引きされている。
『……ごめん。ちゃんと現実見るからそんなこと言わないで』
普段の人を小馬鹿にする軽口よりも、今のほうが心に深く刺さった。
気分が沈んでいるところに追い討ちをかけるように、ぎゅっと頬をつねられる。
もちろん犯人はこの人。
「お兄さま、痛いです!」
もう!私の可愛らしいもちもちのほっぺが赤くなったらどうしてくれるんだ!
『可愛らしい……?』
そこは引っかからなくていいんだよ、ペンダント。
「さっきから呼んでいるのに返事をしないからだろう」
「だからってつねらないでください。それで、何の用ですか?」
「話を聞くのだろう?それなら飲食店から回るぞ。知っている奴がいるかもしれない」
確かにあの湖は観光名所だし、観光客の出入りが多いところから優先的に回ったほうが効率は良さそう。
ご飯食べたいと思ってたからちょうどいいし。
「わかりました!行きましょう!」
ようやくおいしいご飯にありつける~!
◇◇◇
そう思っていた時期が私にもありました。いや、ロニスニルみたいにご飯がおいしくないとか、そんなことはない。むしろお肉も柔らかいしスープもいろいろな調味料が使われているしで手間をかけて作られたのがわかる。わかる……んだけど。
「水の痕跡もなかったの?」
「ああ。単純に水が干上がったというわけではないだろう」
「父上に報告すべき案件ということですか」
「報告するには情報が足りない。だが、調査隊の申請はしておいてもいいだろう。フォルティオールに届けさせればいい」
エルクトお兄さまは、お店にいたハーステッドお兄さまとシルヴェルスお兄さまと話し合いをしている。
こんな空気でご飯なんか味わえるか!さっきから全然喉を通らなくて、スープをちびちび飲んだりお肉を齧ったりしてるだけだもん。
「アナ、どうかした?全然食べてないけど」
「いえ……なんでも」
それを言うならお兄さまたちもじゃないですかね。だって、食べてないどころか注文もしてないもん。ここは食事をする場所なんですから、せめて何か食べようよ。
「お兄さまたちはなんでここに……?」
「兄上から聞いてない?アナが湖のことを気にしてたから、僕たちも領主からいろいろと聞き出してたの」
「ああ……」
そういえば、そんなことも言ってましたね。他の兄姉たちは街に聞き込みに行ってたんだっけ?二人以外にいないのは、まだ聞き込みが終わってないのかな。
どうやら、エルクトお兄さまはこの二人を探すために飲食店に入りたかったみたい。そういうことは事前に言っておいてほしいものなんですけど。
というか、確か闇魔法を使って尋問してるって言ってなかった?話聞くの怖いんだけど。聞くけどさ。
「何か情報はあったんですか?」
「結論から言うと、領主は知ってたよ。でも、な~んか変なんだ」
「変……ですか?」
私が首をかしげると、ハーステッドお兄さまもう~んと悩みながら説明する。
「最初は知らないって断言してたけど、だんだん知らないはずって曖昧な言い方に変化していってね。それも尋常じゃない様子だったんだ。あのまま続けると心が壊れちゃいそうだったから、途中で切り上げたんだけど……」
「そこまでしておいて答えが変わらなかったのか?」
「そうそう。それに、あの領主に何か別の力が宿っていた感じもするんだよね。領主のものでも僕のものでもない、別の何か」
別の何か……?この街の領主は、何らかの魔法をかけられていたということなんだろうか。
「それって魔力ですか?」
「う~ん……なんか違う気がする。でも、黒かったし、良くないものなのは確かだから、アナは会わないようにしてね」
魔力じゃない何か……?それって、一体何なんだろう?この世界に魔力じゃない別の力なんてーーいや、まさか?まさか、そんなことがある?でも、可能性がないとは言いきれない。
もしもそうだとして、どうしてハーステッドお兄さまはそれに気づいたんだろう。
「その……良くないものっていうのは、どうしてわかるんですか?」
私がそう聞くと、ハーステッドお兄さまの目が静かに逸れる。うん?と思ってシルヴェルスお兄さまやエルクトお兄さまのほうを見ても、二人もハーステッドお兄さまと同じように目をそらした。
えっ?えっ?何か聞いちゃいけないことを聞きましたか?
「……やっぱり気になる?」
「そりゃあ、まぁ……」
良くないものって曖昧な表現をされたら気になりますよ。この兄姉たちが曖昧な表現をするときってだいたい隠し事をしてるときだからね。
「じゃあ、明日の朝にこの領地を出ていくって約束できるなら教えてあげる」
「えっ!?」
いや、確かにまだこの領地に留まっているのは私のわがままみたいなものだし、ロニスニルでの滞在時間が延びたから日程も押しているんだろうけど……
でも、明日の朝にというのは……まだ原因不明の干上がりってだけなら、私も仕方ないかって出ていたけど、今回は神器が関わっている可能性がある。それなのに街を離れてもいいものか。もしかしたら何かの手がかりがあるかもしれないのに。
だけど、このままお兄さまのことを聞かないままでいるのも嫌だ。私は、兄姉たちのことを外からの評価以外で何も知らない。
向こうが話してくれないのなら、こっちから聞きに行かないと、永遠に知らないままだ。
「……無理なら話は終わり。僕たちは屋敷に戻るけど、アナは観光したかったら兄上と回ってるといいよ」
ハーステッドお兄さまは席を立ち上がり、それに釣られるようにシルヴェルスお兄さまも立ち上がる。
「ま、待ってください!」
私が引き留めると、二人は私のほうを振り向いた。
「わかりました。明日の朝に出ていくと約束しますから、今日の夜に教えてください」
こうなったら、明日の朝までにどうにかしてみせる。
湖の問題は解決できなくても、黒結晶との関係性についてくらいは突き止めなければ。
「わかった。それじゃあ、夕食の後に僕の部屋を訪ねてきて。時間は作っておくから」
ハーステッドお兄さまはそう言うと、シルヴェルスお兄さまと一緒に店を出ていく。
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