私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん

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第三章 地方視察

139.

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 街の人への聞き込み……は、お兄さまたちがやってたみたいだし、ハーステッドお兄さまやシルヴェルスお兄さまから特に何も言われなかったならたいした情報はなかった可能性がある。
 それなら、やっぱりさっきの湖をもうちょっと念入りに調べるところから……

『アナスタシア!!』
「はひっ!?」

 急に脳内に声が響いて、私はすっとんきょうな声をあげてしまう。街の人にも聞こえていたのか、こちらの様子を伺うように見ている。めっちゃ恥ずかしい。
 犯人はもちろんこの人。

『ちょっとお兄さま!いきなり念話で大声を出さないでください!』
『お前が呼びかけに応じないからだ。つねるなと言われたからこうしただけだが』

 それならまだつねられるほうがましだ。この方法は周りの視線が気になるということ以前に、心臓に悪いんだよ。
 まだ心臓の鼓動は大きいままだし。
 深呼吸してどうにか気持ちを落ち着かせる。その間、エルクトお兄さまは素知らぬ顔だ。

『ひとまず、人目につかないところに行くぞ。話したいことがある』
『はーい……』

 なんか、毎度毎度エルクトお兄さまのペースに飲み込まれて、私ばかりが驚かされたりされている気がする。
 いつかこの人のことをぎゃふんと言わせてやりたい。

『君には一生無理だと思うけど』

 ペンダントの言葉は聞かなかったことにして、私たちは場所を移動した。

 その場所は、先ほどの湖があった場所。ここなら人が来ることはないだろうということ。
 お屋敷に戻らないということは、他の兄姉たちにも知られたくないことなのだろうか。

「屋敷に戻れば、もう外には出られんだろうからな」
「……また顔に出てました?」

 私はいつになったらポーカーフェイスができるようになるんだ?それとも、お兄さまたちの察知能力が高すぎるだけなのかな。……いや、カイエンにもよく見抜かれるから、私のポーカーフェイスの技術不足だな。
 いや、それは今はいい。お兄さまの言葉に無視するわけにはいかないことがある。

「外に出られないって、まるで閉じ込められるみたいな……」
「奴らならそれくらいはするぞ。俺と行動しているのが気に入らんだろうからな」

 そういえば、神器たちも同じこと言ってたな。でも、神器のことを知ってるのはエルクトお兄さまだけだから、エルクトお兄さまに頼ってしまうのは仕方ない。
 だって、本当に有能なんだもん、この人。神器たちがエルクトお兄さまのほうに期待をかけてるのも、納得はいかないけど理解はできるし。

「本題に戻るが、湖の件は堕ちた神器とやらが関わっている可能性が高い」
「えっ、そうなんですか?」

 まぁ、黒結晶なんていう堕ちた神器が生み出したものが落ちていたわけだから、その可能性はあるかなと思っていたからそこに関しては驚きはない。
 でも、エルクトお兄さまはそれなりの確信を持っているように見える。一体なんでだろう?

「ハーステッドが黒いものが見えたと言っていたからな」
「……ハーステッドお兄さまがですか……」

 確かにそう言っていたし、ハーステッドお兄さまの力のことを知っていそうな感じはしてたけど、どうして濁すような言い方をするかなぁ。どうせなら教えてくれてもいいのに。

「知りたいなら本人から聞け」
「何かあるんですか?」

 どうしてお兄さまが教えてくれないのかくらいは教えてくれないだろうか。

「奴に限った話ではないが、自分のことを勝手に話されるのを嫌うからな。ただでさえ奴らの当たりが強いのに、これ以上突っかかられても面倒だ」

 それを言われると無理強いはできないな……。当たりが強いのは私が理由だし。

「でも、なんでそんなことをしたんですかね?」
「そのことは俺よりもそいつに聞け」

 お兄さまは私の胸元を指差す。そこにはペンダントがぶら下がっている。
 まぁ、神器のことなら普通は神器に聞きますよね。でも、なんとなく答えはわかってる。

『なんでだと思う?』
『知らない』

 でしょうね。知ってたら途中から口を挟んできただろうし。

『まぁ、心当たりはあると言えばある』

 いや、心当たりはあるんかい!それならもっと早く言ってくれてもいいんじゃないかな。

『あの時は金剣がいたからな』
『金剣……?』

 金剣って、ライのことだよね。ライがいることと心当たりを話さなかったことって何の関係があるんだろう?

『……いや、やっぱり君には話せない。金剣に伝わったら僕が怒られそうだし』
『えー!!』

 そりゃないよ!そんなこと言われたら気になって仕方ないのに!

『お~し~え~て~!!』
『うるさいな。言わないって言ってるだろ』
『私たちに協力するって言うならちゃんと話してよ!それなら中途半端に言うことないじゃん!』

 話す気がないなら最初から知らないと言えばいいだけのこと。私の思考は神器たちには筒抜けだけど、神器たちの思考を私が読み取ることはできないんだから、嘘をつかれたって私にはきっとわからない。

『君たちに協力するのは断る理由がなかっただけだ。それと、話すつもりはあったけど、今までの君の言動を考えてやめただけだ』
『だから、それがどうしてなの?』
『まず、僕も詳しく知っているわけじゃないからすべて話せるわけじゃない。それで、君は中途半端なことを聞いたらそれを気にするんだろ。金剣のいるところでそのことを思い浮かべられたら、僕が話したことがバレるじゃないか』

 それはそうかもしれないけど……。でも、今回のことを話しちゃった時点でアウトなんじゃないかな?

『詳細は話してないから大丈夫じゃないかな』
『むぅ……』

 さすがに私の誘導に引っ掛かったりはしないか。ここまで来ると本当に話してくれないだろうなぁ……気になるのに。

「ペンダントも知らないみたいです」
「そうか。なら、これ以上この場所にいても情報は得られないだろう。屋敷に戻るぞ」
「はーい」

 私はお兄さまに抱えられて屋敷に戻った。
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