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第一章 辺境の街 カルファ
12. 屋敷へご招待
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戻ってきたウォルターさんに連れられて、僕たちは馬車で屋敷へと向かう。
ちなみに、通行料は二人合わせて1000リーゼとお得だった。大銀貨を持っていなかったので、小金貨で渡して、お釣りも貰っておいた。
正式な身分証は、今日の夜にレイクスさんが屋敷まで届けてくれるとのこと。
そんなわけで今、本日の宿泊先である屋敷に向かうために馬車に揺られているというわけだ。
ルーナは、当たり前のように眠りこけている。なぜか肩枕で。
まぁ、もう夜だし無理もない。街の入り口でかなり足止めを喰らったからな。
馬車の外も結構暗くて、出歩いている人もほとんどいない。
「ルートさん」
僕も仮眠を取ろうかと、少し楽な体勢になるのと同時に、ウォルターさんが話しかけてきた。
「この際ですから、精霊のことをいろいろとお聞かせ願えませんか。屋敷では人目があるでしょうから」
「別にいいですけど……何が聞きたいんですか?」
「まずは、精霊の誕生の仕方でしょう。そして、自然と共に生きる理由や、様々な姿のものがいる理由なども……」
ウォルターさんは興奮したように早口になる。それは、地球のオタクを彷彿とさせた。
ウォルターさんは、精霊オタクなのかな?精霊が伝説扱いされている割には、強い魔法が使えることや、いろいろな姿がいることを知ってるし……。
「えっと……とりあえず、一つ一つ説明しますね」
精霊は、光精という状態の小さな光が周囲の魔力を集めることで形を成すこと。その取り込んだ魔力から周囲の状況を読み取り、環境に溶け込めるように形を成すため、姿は周囲の生物と似通ったものになること、自然の多いところにいる理由は、そこが暮らしやすい環境だからということ。
「では、お二人は実の兄妹ではないのですか?」
僕たちが父と母の魔力を注がれたことで今の姿となったことを説明すると、ウォルターさんからそのような疑問が飛んでくる。
う~ん……そういうわけではないんだけど。
「精霊にとっての兄妹とは、同じ魔力を保有している者です。僕たちは同じ親から魔力を注がれてこのような姿となりましたので、れっきとした兄妹ですよ。血の繋がりが実の兄妹という意味であるのならば、ウォルターさんにとっては実の兄妹ではないかもしれませんね」
感情が乗ってしまい、少し冷たく言い返してしまう。最後のは余計だったけど、つい口から出てしまった。
誰に何を言われようと、ルーナが僕の妹である事実は確かだし、ルーナもそう思ってくれてるだろう。僕のことをお兄ちゃんって呼んでるし。
……まぁ、ルーナも最初からお兄ちゃんって言ってたわけではないけど。
精霊として生まれたばかりのときは、僕のことをルートと呼んでいたし、今でも戦闘モードになったり、スイッチが入ったときは、ルートって呼ぶときはある。
気づいたら、ルーナは僕のことをお兄ちゃんって呼ぶようになったんだよなぁ……なんでだろ?
「すみません。失言でしたね」
「いえ、お気になさらず」
前世で人間として生きてきた記憶があるから、血の繋がりがないと実の兄妹ではないという考えはわからないこともないから。
こっちも柄にもなく感情的になってしまった。
「精霊の誕生についてはわかりました。では、ルーナさんが寝てばかりなのはなぜですか?精霊としての性質のようなものでしょうか」
「ええ。精霊は基本的にのんびりしていますから。ルーナは特に怠けているだけで、特別ではありませんよ。僕も寝るときは寝ますので」
さっきも仮眠しようと思っていたしね。
人間として生きた記憶があるから、理性的に行動できて、他の精霊に比べれば活発に見えるだけで、僕もだらだらとしたいという欲望はそれなりにある。
ルーナに釣られることもたまにあるし。
「では、ルーナさんは高級なフラッフィーのベッドで寝かせたほうがいいでしょうか」
「ほんーー」
「いや、ルーナは一度でも極楽を味わうと降りてこられないので、そこそこで結構です」
魅力的な提案で飛び起きたルーナの口を塞ぎながら、僕は静かに却下する。
ルーナが涙目になりながら僕を無言で訴えるけど、僕はつんとした態度を取る。
僕が折れないとわかったのか、ルーナはむむむと悔しそうな顔をするけど、すぐに何かひらめいたかのようにはっとした顔になった。
僕がそっとルーナの口から手を離すと、ルーナは、はぁとため息をつく。
「わかった。あきらめる」
口ではそう言うものの、ルーナはどこかそわそわとしていたり、頬が緩んだりしている。
これは……間違いないな。
「ウォルターさん、僕とルーナの部屋は同室にしてください」
「お兄ちゃん!?なんで……」
あわあわとするルーナに、僕はにこりと笑いかける。
「こっそり抜け出すつもりだったんでしょ?何年も一緒にいるんだから、ルーナの考えてることなんてすぐにわかるよ。僕はルーナと違ってずーっと起きていられるから、逃げられるなんて思わないでね?」
「ちょ、ちょっとだけだよ!」
「ルーナの“ちょっと”は三日以上になるからダメ。一度寝られちゃったら、ベッドから引き剥がせないしね」
「だって!どうせ使うんならいいやつ使いたいもん!」
それは同意するけど……ルーナに極楽を味わわせると、そこから出てきてくれないんだから、仕方ない。
「それなら、約束してたウァノスはいらないね。寝てるルーナにおやつを用意しても仕方ないし。僕だけで食べるよ」
「そ、それは……」
ルーナがぐらつく。
ウァノスへの欲求が、フラッフィーのベッドへの欲求とほぼ同等なのはいいな。ウァノスをちらつかせれば、ルーナを簡単に頷かせることがない。
「ウァノス作りは人間には頼めないもんね。ルーナは調理方法知らないし」
「うっ!」
「というか、ルーナはそもそも材料も知らなさそうだよね。用意してあるの食べるだけだから」
「うぬぬ……!」
僕は、ルーナを部屋から引きずり出すためにウァノスで釣る必要があったので、いつでも用意できるように精霊メイドから作り方を教えてもらったけど、ルーナはそんなことをするくらいなら、一秒でも長く寝るタイプだ。絶対に知らないと言いきれる。
ルーナの反応からして、僕の予想は当たってるのだろう。万が一知っていたとしても、都合よく材料が手に入るとも限らないから、すぐに口にはできない。
つまりは、ルーナがウァノスを手に入れるには、僕からもらうしかない。
「ほら、二択だよ。高級なベッドでウァノス無しか、そこそこのベッドでウァノスありか。どっちがいい?」
「……ウァノス、ほしい」
ルーナは悔しそうにしながらも、小さく呟く。
僕は、ちょっとからかいすぎたことを反省しながら、ルーナの頭をぽんぽんと叩く。
「じゃあ、お屋敷に着いたら食べようか。一つの約束だったけど、二つあげる」
「わーい!お兄ちゃん大好き!」
ぎゅっと抱きついてきたルーナを微笑ましく思いつつも、現金なところに呆れながら、もう一度頭を優しく撫でた。
ちなみに、通行料は二人合わせて1000リーゼとお得だった。大銀貨を持っていなかったので、小金貨で渡して、お釣りも貰っておいた。
正式な身分証は、今日の夜にレイクスさんが屋敷まで届けてくれるとのこと。
そんなわけで今、本日の宿泊先である屋敷に向かうために馬車に揺られているというわけだ。
ルーナは、当たり前のように眠りこけている。なぜか肩枕で。
まぁ、もう夜だし無理もない。街の入り口でかなり足止めを喰らったからな。
馬車の外も結構暗くて、出歩いている人もほとんどいない。
「ルートさん」
僕も仮眠を取ろうかと、少し楽な体勢になるのと同時に、ウォルターさんが話しかけてきた。
「この際ですから、精霊のことをいろいろとお聞かせ願えませんか。屋敷では人目があるでしょうから」
「別にいいですけど……何が聞きたいんですか?」
「まずは、精霊の誕生の仕方でしょう。そして、自然と共に生きる理由や、様々な姿のものがいる理由なども……」
ウォルターさんは興奮したように早口になる。それは、地球のオタクを彷彿とさせた。
ウォルターさんは、精霊オタクなのかな?精霊が伝説扱いされている割には、強い魔法が使えることや、いろいろな姿がいることを知ってるし……。
「えっと……とりあえず、一つ一つ説明しますね」
精霊は、光精という状態の小さな光が周囲の魔力を集めることで形を成すこと。その取り込んだ魔力から周囲の状況を読み取り、環境に溶け込めるように形を成すため、姿は周囲の生物と似通ったものになること、自然の多いところにいる理由は、そこが暮らしやすい環境だからということ。
「では、お二人は実の兄妹ではないのですか?」
僕たちが父と母の魔力を注がれたことで今の姿となったことを説明すると、ウォルターさんからそのような疑問が飛んでくる。
う~ん……そういうわけではないんだけど。
「精霊にとっての兄妹とは、同じ魔力を保有している者です。僕たちは同じ親から魔力を注がれてこのような姿となりましたので、れっきとした兄妹ですよ。血の繋がりが実の兄妹という意味であるのならば、ウォルターさんにとっては実の兄妹ではないかもしれませんね」
感情が乗ってしまい、少し冷たく言い返してしまう。最後のは余計だったけど、つい口から出てしまった。
誰に何を言われようと、ルーナが僕の妹である事実は確かだし、ルーナもそう思ってくれてるだろう。僕のことをお兄ちゃんって呼んでるし。
……まぁ、ルーナも最初からお兄ちゃんって言ってたわけではないけど。
精霊として生まれたばかりのときは、僕のことをルートと呼んでいたし、今でも戦闘モードになったり、スイッチが入ったときは、ルートって呼ぶときはある。
気づいたら、ルーナは僕のことをお兄ちゃんって呼ぶようになったんだよなぁ……なんでだろ?
「すみません。失言でしたね」
「いえ、お気になさらず」
前世で人間として生きてきた記憶があるから、血の繋がりがないと実の兄妹ではないという考えはわからないこともないから。
こっちも柄にもなく感情的になってしまった。
「精霊の誕生についてはわかりました。では、ルーナさんが寝てばかりなのはなぜですか?精霊としての性質のようなものでしょうか」
「ええ。精霊は基本的にのんびりしていますから。ルーナは特に怠けているだけで、特別ではありませんよ。僕も寝るときは寝ますので」
さっきも仮眠しようと思っていたしね。
人間として生きた記憶があるから、理性的に行動できて、他の精霊に比べれば活発に見えるだけで、僕もだらだらとしたいという欲望はそれなりにある。
ルーナに釣られることもたまにあるし。
「では、ルーナさんは高級なフラッフィーのベッドで寝かせたほうがいいでしょうか」
「ほんーー」
「いや、ルーナは一度でも極楽を味わうと降りてこられないので、そこそこで結構です」
魅力的な提案で飛び起きたルーナの口を塞ぎながら、僕は静かに却下する。
ルーナが涙目になりながら僕を無言で訴えるけど、僕はつんとした態度を取る。
僕が折れないとわかったのか、ルーナはむむむと悔しそうな顔をするけど、すぐに何かひらめいたかのようにはっとした顔になった。
僕がそっとルーナの口から手を離すと、ルーナは、はぁとため息をつく。
「わかった。あきらめる」
口ではそう言うものの、ルーナはどこかそわそわとしていたり、頬が緩んだりしている。
これは……間違いないな。
「ウォルターさん、僕とルーナの部屋は同室にしてください」
「お兄ちゃん!?なんで……」
あわあわとするルーナに、僕はにこりと笑いかける。
「こっそり抜け出すつもりだったんでしょ?何年も一緒にいるんだから、ルーナの考えてることなんてすぐにわかるよ。僕はルーナと違ってずーっと起きていられるから、逃げられるなんて思わないでね?」
「ちょ、ちょっとだけだよ!」
「ルーナの“ちょっと”は三日以上になるからダメ。一度寝られちゃったら、ベッドから引き剥がせないしね」
「だって!どうせ使うんならいいやつ使いたいもん!」
それは同意するけど……ルーナに極楽を味わわせると、そこから出てきてくれないんだから、仕方ない。
「それなら、約束してたウァノスはいらないね。寝てるルーナにおやつを用意しても仕方ないし。僕だけで食べるよ」
「そ、それは……」
ルーナがぐらつく。
ウァノスへの欲求が、フラッフィーのベッドへの欲求とほぼ同等なのはいいな。ウァノスをちらつかせれば、ルーナを簡単に頷かせることがない。
「ウァノス作りは人間には頼めないもんね。ルーナは調理方法知らないし」
「うっ!」
「というか、ルーナはそもそも材料も知らなさそうだよね。用意してあるの食べるだけだから」
「うぬぬ……!」
僕は、ルーナを部屋から引きずり出すためにウァノスで釣る必要があったので、いつでも用意できるように精霊メイドから作り方を教えてもらったけど、ルーナはそんなことをするくらいなら、一秒でも長く寝るタイプだ。絶対に知らないと言いきれる。
ルーナの反応からして、僕の予想は当たってるのだろう。万が一知っていたとしても、都合よく材料が手に入るとも限らないから、すぐに口にはできない。
つまりは、ルーナがウァノスを手に入れるには、僕からもらうしかない。
「ほら、二択だよ。高級なベッドでウァノス無しか、そこそこのベッドでウァノスありか。どっちがいい?」
「……ウァノス、ほしい」
ルーナは悔しそうにしながらも、小さく呟く。
僕は、ちょっとからかいすぎたことを反省しながら、ルーナの頭をぽんぽんと叩く。
「じゃあ、お屋敷に着いたら食べようか。一つの約束だったけど、二つあげる」
「わーい!お兄ちゃん大好き!」
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