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第一章 辺境の街 カルファ
29. コーゼル大森林 5
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異様なウルフ相手に強力な魔法を放ってしまったことで、全員に戦力認定された僕たちは、前線へと移動させられた。
ルーナはずっと起きているからか、すごく眠そうにしている。
「お兄ちゃん、眠い……」
「う~ん……」
正直言うと、僕も少し疲れてきた。料理したり、魔法使ったり、謎の視線に神経を尖らせたりなんかするのは、怠け者の精霊には結構辛いのだ。
ルーナは寝落ちしてもおかしくないだろうな。ちゃんと起きてるだけでもえらいものだ。
ルーナのためを思うなら、そろそろ休憩したほうがいいかもしれない。そろそろ日も暮れそうだし、ここで休憩をとってもいいかもしれない。
「じゃあ、ここで休む?」
「やったー!」
「おい、ちょっと待て」
僕たちの会話に、レイクスさんが割り込んでくる。
「勝手に決めるな。こっちに聞け」
「でも、このままじゃルーナここで寝落ちしますよ?」
僕がルーナのほうを見ると、ルーナはすでに休む気満々で、半分寝てる……というか、もう寝てる。
これ以上このルーナを連れて歩くのは無理だ。
「……まぁ、結構移動したし、今日はここまでにするか」
「そうですね。夜営の準備をしましょうか」
ウォルターさんの言葉に、周りの隊員たちも嬉しそうな顔をする。どうやら、相当疲れていたらしい。
まぁ、ウルフとはいえ魔物と戦い続けて、昼食以外に休憩らしい休憩もなく歩き続けたら、いくら軍隊に所属しているからって疲れるよね。
「じゃあ、こっちは準備してるから、嬢ちゃんを寝かしときな」
「はーい」
レイクスさんの言葉に返事して、ルーナを少し離れたところに連れていく。
さすがにすぐ側で寝させてしまうと、設営の邪魔になってしまうだろうから。
「ルーナ、夜営の準備できたら起こすから、それまでは寝てていいよ」
「うん、わかった……」
ルーナは、ごそごそとカバンからクッションを取り出して、それを地面に置く。そして、その上に寝転がると、瞬きもしない間に寝息をたて始めた。
「ルーナは寝ましたよ。僕は手伝いましょうか?」
「早いな……。手伝いはいらないが、暇なら食事の準備でもしててくれないか?」
「あっ、はい」
僕は食事係なんですね。まぁ、料理は嫌いじゃないからいいけど、こうも食材が少ないと、同じような献立になってしまう。
でも、お肉がないしなぁ……さすがに干し肉は使えないし……
仕方ない。ちょっと取ってくるか。
僕は、近くにいたウォルターさんの袖をちょいちょいと引っ張る。
「ウォルターさん。ルーナを見ててくれますか?」
「別にかまいませんけど……どうしてですか?」
「ちょっとお肉を取ってくるので」
「……はい?」
ウォルターさんのすっとんきょうな声が聞こえた気がしたけど、僕は聞こえなかったことにして、魔力探知の範囲をさらに広げる。すると、何匹かヒットした。あまり遠くなさそうだから、すぐに戻ってこれるな。
「では、行ってきます。すぐに戻ってくるので」
「ルートさん!?行くってどこに……」
ウォルターさんが話し終える前に、僕は反応があった場所に駆け出した。
◇◇◇
『身体強化』をして走ること数分、目的の魔物の姿が見えてきた。
その魔物は、イノシシみたいな見た目の魔物だ。実に美味しそう。大きさは五メートルくらいはあるので、全員分ありそうだ。
「恨みはないけど、ごめんね!」
僕は、水魔法の『スプラッシュ』で眉間を集中狙いする。
不意打ちを食らったイノシシの魔物は、避ける暇もなかったようで、全弾命中した。眉間を撃ち抜かれた魔物は、即死したようで、そのまま倒れた。
「よし、運ぼう」
さすがにそのまま持ち上げるのは無理なので、精霊術で重さを軽くしておいて、そのまま引きずるように運ぶ。
早く戻らないと。
◇◇◇
行きよりも時間はかかったけど、思ったよりは早めに帰ってこられた。
「ただいま戻りました~……って、どうしたんですか?」
みんなの元に戻った僕が見たのは、なぜか臨戦態勢になっている防衛軍だった。
僕と目があったレイクスさんが、こちらに向かってくる。どこかおっかない空気を感じるのは気のせいだろうか。
「どうしたんですか……じゃ、ねぇよ!!」
レイクスさんの叫びにも近い怒声に、僕は体をびくりと震わせる。
「勝手にふらっといなくなりやがって!しかも、これはなんだ!?」
レイクスさんは、ビシッとイノシシの魔物を指差した。
「今日の夕食のメインメニューです。全員分ありますよ」
「そういうことじゃねぇよ!魔物を退治するんならそう言ってから行け!魔物の襲撃かと思っただろうが!」
ああ、なるほど。でも……
「こいつ、死んでますよ?ほら、眉間に傷跡が……」
「そんな小さな傷跡なんか、遠目で見えるわけないだろうが!」
それは申し訳ない。なるべく原型を留めたかったから、最小限の攻撃にしたのが仇になったか。
「わたしは死んでるから大丈夫って言ったよ?」
ルーナがふわぁとあくびをしながら口を挟んでくる。どうやら、ルーナが魔力を感知してレイクスさんたちに報告していたらしい。
「その後、『移動してきてるけど』ってボソッと呟かれたら信用できないだろ」
確かに、それは信用できない。普通ならどっちだよってなる言葉だ。
でも、ルーナは悪くない。悪いのは僕だ。再発を防ぐためにも、やり方を変えないと。
「今度は、バラバラにしてから持ってくることにしますね」
「そういうことでもねぇっての……」
レイクスさんは頭を抱えてしまった。そういうことじゃないって、じゃあどういうことなのか詳しく教えてくれませんかね。
「もういい。とりあえず、それを使ってメシを作ってくれるってことでいいんだな?」
「はい。ご迷惑をおかけした分、張り切って作りますよ」
「それはいいけど、お兄ちゃんって解体できるの?」
精霊界には、精霊以外の生き物は住んでおらず、肉は稀に迷い込んできた動物くらいしか食べたことがないから、精霊メイドの独学のやり方は知ってるけど、正式なものは知らない。
「とりあえずやってみるよ。まぁ、血抜きくらいはちゃっちゃとできるでしょ」
「……いや、解体は俺たちがやってやる。お前は手を出すな」
いざ取りかかろうとすると、なぜかレイクスさんから止められてしまった。解せぬ。
ルーナはずっと起きているからか、すごく眠そうにしている。
「お兄ちゃん、眠い……」
「う~ん……」
正直言うと、僕も少し疲れてきた。料理したり、魔法使ったり、謎の視線に神経を尖らせたりなんかするのは、怠け者の精霊には結構辛いのだ。
ルーナは寝落ちしてもおかしくないだろうな。ちゃんと起きてるだけでもえらいものだ。
ルーナのためを思うなら、そろそろ休憩したほうがいいかもしれない。そろそろ日も暮れそうだし、ここで休憩をとってもいいかもしれない。
「じゃあ、ここで休む?」
「やったー!」
「おい、ちょっと待て」
僕たちの会話に、レイクスさんが割り込んでくる。
「勝手に決めるな。こっちに聞け」
「でも、このままじゃルーナここで寝落ちしますよ?」
僕がルーナのほうを見ると、ルーナはすでに休む気満々で、半分寝てる……というか、もう寝てる。
これ以上このルーナを連れて歩くのは無理だ。
「……まぁ、結構移動したし、今日はここまでにするか」
「そうですね。夜営の準備をしましょうか」
ウォルターさんの言葉に、周りの隊員たちも嬉しそうな顔をする。どうやら、相当疲れていたらしい。
まぁ、ウルフとはいえ魔物と戦い続けて、昼食以外に休憩らしい休憩もなく歩き続けたら、いくら軍隊に所属しているからって疲れるよね。
「じゃあ、こっちは準備してるから、嬢ちゃんを寝かしときな」
「はーい」
レイクスさんの言葉に返事して、ルーナを少し離れたところに連れていく。
さすがにすぐ側で寝させてしまうと、設営の邪魔になってしまうだろうから。
「ルーナ、夜営の準備できたら起こすから、それまでは寝てていいよ」
「うん、わかった……」
ルーナは、ごそごそとカバンからクッションを取り出して、それを地面に置く。そして、その上に寝転がると、瞬きもしない間に寝息をたて始めた。
「ルーナは寝ましたよ。僕は手伝いましょうか?」
「早いな……。手伝いはいらないが、暇なら食事の準備でもしててくれないか?」
「あっ、はい」
僕は食事係なんですね。まぁ、料理は嫌いじゃないからいいけど、こうも食材が少ないと、同じような献立になってしまう。
でも、お肉がないしなぁ……さすがに干し肉は使えないし……
仕方ない。ちょっと取ってくるか。
僕は、近くにいたウォルターさんの袖をちょいちょいと引っ張る。
「ウォルターさん。ルーナを見ててくれますか?」
「別にかまいませんけど……どうしてですか?」
「ちょっとお肉を取ってくるので」
「……はい?」
ウォルターさんのすっとんきょうな声が聞こえた気がしたけど、僕は聞こえなかったことにして、魔力探知の範囲をさらに広げる。すると、何匹かヒットした。あまり遠くなさそうだから、すぐに戻ってこれるな。
「では、行ってきます。すぐに戻ってくるので」
「ルートさん!?行くってどこに……」
ウォルターさんが話し終える前に、僕は反応があった場所に駆け出した。
◇◇◇
『身体強化』をして走ること数分、目的の魔物の姿が見えてきた。
その魔物は、イノシシみたいな見た目の魔物だ。実に美味しそう。大きさは五メートルくらいはあるので、全員分ありそうだ。
「恨みはないけど、ごめんね!」
僕は、水魔法の『スプラッシュ』で眉間を集中狙いする。
不意打ちを食らったイノシシの魔物は、避ける暇もなかったようで、全弾命中した。眉間を撃ち抜かれた魔物は、即死したようで、そのまま倒れた。
「よし、運ぼう」
さすがにそのまま持ち上げるのは無理なので、精霊術で重さを軽くしておいて、そのまま引きずるように運ぶ。
早く戻らないと。
◇◇◇
行きよりも時間はかかったけど、思ったよりは早めに帰ってこられた。
「ただいま戻りました~……って、どうしたんですか?」
みんなの元に戻った僕が見たのは、なぜか臨戦態勢になっている防衛軍だった。
僕と目があったレイクスさんが、こちらに向かってくる。どこかおっかない空気を感じるのは気のせいだろうか。
「どうしたんですか……じゃ、ねぇよ!!」
レイクスさんの叫びにも近い怒声に、僕は体をびくりと震わせる。
「勝手にふらっといなくなりやがって!しかも、これはなんだ!?」
レイクスさんは、ビシッとイノシシの魔物を指差した。
「今日の夕食のメインメニューです。全員分ありますよ」
「そういうことじゃねぇよ!魔物を退治するんならそう言ってから行け!魔物の襲撃かと思っただろうが!」
ああ、なるほど。でも……
「こいつ、死んでますよ?ほら、眉間に傷跡が……」
「そんな小さな傷跡なんか、遠目で見えるわけないだろうが!」
それは申し訳ない。なるべく原型を留めたかったから、最小限の攻撃にしたのが仇になったか。
「わたしは死んでるから大丈夫って言ったよ?」
ルーナがふわぁとあくびをしながら口を挟んでくる。どうやら、ルーナが魔力を感知してレイクスさんたちに報告していたらしい。
「その後、『移動してきてるけど』ってボソッと呟かれたら信用できないだろ」
確かに、それは信用できない。普通ならどっちだよってなる言葉だ。
でも、ルーナは悪くない。悪いのは僕だ。再発を防ぐためにも、やり方を変えないと。
「今度は、バラバラにしてから持ってくることにしますね」
「そういうことでもねぇっての……」
レイクスさんは頭を抱えてしまった。そういうことじゃないって、じゃあどういうことなのか詳しく教えてくれませんかね。
「もういい。とりあえず、それを使ってメシを作ってくれるってことでいいんだな?」
「はい。ご迷惑をおかけした分、張り切って作りますよ」
「それはいいけど、お兄ちゃんって解体できるの?」
精霊界には、精霊以外の生き物は住んでおらず、肉は稀に迷い込んできた動物くらいしか食べたことがないから、精霊メイドの独学のやり方は知ってるけど、正式なものは知らない。
「とりあえずやってみるよ。まぁ、血抜きくらいはちゃっちゃとできるでしょ」
「……いや、解体は俺たちがやってやる。お前は手を出すな」
いざ取りかかろうとすると、なぜかレイクスさんから止められてしまった。解せぬ。
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