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第一章 悪役王女になりまして
11. やっとわかった
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医者が来て、エルルーアの体を診察する。その結果は、微量の毒の接種。種類は、ラエスと呼ばれるものだった。
ラエスは、薄めれば魔力の強化薬に使われるものだが、原液で使うと、必要以上に強化してしまい、場合によっては、魔力暴走を引き起こす。
エルルーアは、コントロール力が伴っていなかっただけで、魔力自体は強かった。そのため、ラエスの原液を少量接種するだけで、魔力が暴走してしまった。昼まで症状が出なかったのは、エルルーアの接種した量が少量だったからだ。
とりあえずは、魔力を弱体化させる薬を投与し、様子を見ることになった。アルフォンスは、毒が盛られた経緯を調べるために部屋を留守にしているので、その場にはマティアスしかいなかった。
マティアスは、寝息をたてているエルルーアを見ている。薬を投与したからか、乱れていた呼吸は落ち着き、顔色も戻り、今は、ただ寝ているだけのような感じだ。
実際は、魔力の暴走により、魔力が少なく、弱くなっているので、回復するために眠っている。そのために、起こそうとしても、起きることはない。
(毒に気づいていたのか?そうでなければ、少量にはならないはずだ)
毒は、通常は相手を死なせるつもりで盛るものだ。ただ苦しめたかっただけならまだしも、少量だけを盛るなんて普通はない。
それなら、エルルーアから検出された毒はなぜ少量だったのか。エルルーアが、何らかの理由で毒が混入しているのに気づいて、接種をやめたからだろう。
そんな考えにいたるのは当然だった。
「……う」
ほんのわずかな。耳をすまさなければ聞き取れないような音量で、エルルーアが声を発した。マティアスは意識が戻ったのかと確認してみるが、まだ寝息をたてている。だが、少し顔色が悪かった。
苦しいのかと思って、額に触れると、少し熱い。
(うなされてるのか……?)
そうは思ったが、だからといって、自分にできることなどない。
とりあえず、軽く汗をかいていたので、拭いてあげようと、タオルを探していると、また呟くような声が聞こえる。
「い……き……」
タオルを探すため、少し離れていたマティアスには、はっきりとは聞こえなかった。
声を聞くために、マティアスが側による。
「い……ないで……」
さっきよりは聞こえたが、それでもまだところどころしか聞き取れなかった。マティアスは、声を聞くのは諦めて、タオルを探そうとすると、今度ははっきりと聞こえた。
「妾の子じゃ……ないもん」
マティアスは、はっとなって振り返る。
「お母さまは……きっと、いい人だもん……」
汗なのかもしれないが、エルルーアは涙を流しているように見えた。マティアスは、タオルでそっと涙に見えたものを拭う。
「お父さま……お兄さま……お姉さま……エルを……見てよ……」
もう起きているんじゃないか。そう思ってしまうくらいに、はっきりと話していた。
マティアスは、その中の一つの言葉が引っかかる。
(妾の子……)
エルルーアがそう呼ばれているのは、社交界では、そこそこ知られたことだった。第二王女は妾の子だと。そういう話はマティアスの周りでもあった。
エルルーアの耳に入っていないわけがない。
(そういえば、昔に聞かれたことがあったか……)
マティアスは、昔のことを思い出す。それは、まだ今ほど冷めきった関係ではなかったころだ。
『ねぇ、マティアス。妾はおかしな人なの?』
『そんなことはないと思いますけど……なぜですか?』
『みんな、エルを妾の子って言って笑ってくるの。おかしいのかな。お母さまが妾なのが』
エルルーアは、不思議そうに首をかしげる。目の前の少女は、それが嘲りというのにも気づいていないのだ。
『お母上は妾ではないですよ。きちんと公認されている妃です』
『……そっか。マティアスが言うなら間違いないよね!』
エルルーアが交流として、ランドルバード公爵家に訪れて、バラ園を見ていたときの会話だ。
エルルーアが妾の子と言っている時点で、そのときには、すでにエルルーアの耳に、妾の子というものが入っていたことになる。
(そして、その数日後に友人が遊びに来たんだったか?)
どういう流れだったかは忘れたが、そのときに、マティアスの婚約者であるエルルーアが話題にのぼった。
『婚約者の王女様とはどうなんだ?』
『まあまあうまくやってるよ』
紅茶を一口飲んで、ぶっきらぼうにそう言った。
『へー。性格は結構いいのかな?』
『……どういう意味だ?』
今の答えの、何をどう聞いたらそんな結論にいたるのかわからず、マティアスは友人を訝しむ。
『だってさ、妾の子って言われてんだぞ?ひねくれてそうじゃん』
『そうはならないだろ。それなりに愛されてはいるだろうし。妾の子ならなおさらな』
妾をとるのは、それなりに愛してはいる証拠だ。少なくとも、政略結婚よりも、愛は深いだろう。
『まぁ、それもそうだな。でもさ、妾の子なら媚びを売るのもうまいんじゃね?』
『そうだな。そういう母親を見て育ったならそうなるかもしれないな』
(もしかして……この会話を聞いてたのか?)
エルルーアは、時々事前に知らせもなく訪問することがあった。手紙に、いつでも来ていいと書いてしまったせいだろう。
いつでもいいとは言ったが、さすがに前触れくらいは欲しいものだった。
そして、この日もエルルーアが来ていたとしたら。そして、会話を聞かれていたとしたら、どうだろうか?
(全部を聞いてたならともかく、後半だけだったら……)
そう考えたら、エルルーアが自分を責めた理由がわかるような気がした。
以前に、妾じゃないと否定したのに、裏では肯定している最悪な男に映っただろうから。
実際は、そんな風には見ていない。母親が側妃だろうが、王女は王女という目でしか見ていなかった。
第一王女の方がいいとは思っていたが、それは第二王女はわがままだという噂を聞いていて、相手がめんどくさそうだなと感じたからに過ぎない。交流してからは、あまりそんな風には感じなくなった。
『あんたのせいよ!』
少し涙目になっているような顔で、そう言われたのが、ふと頭に浮かんだ。
(もし、それであんな行動をするようになったのなら、確かにそれは僕のせいだな)
詳しい理由まではまだわかっていないが、きっかけは自分の発言だったのに気づいた。
それなら、きっかけはそれだとしても、それであのような行動をした理由はなんなのか。それがまだわからない。
自分がそう言われたらどうするんだろうか。悲しむのは間違いないだろう。その後、どうするのか。
(僕なら、見返してやろうとか……そう考えるが……)
もし、エルルーアもそう考えたとしたら?急に身分に笠を着るようになったのは?宝石やドレスを見せびらかすような行動をし始めたのは?
「僕を見返すため、か……」
ため息混じりに答えを呟いた。思わず、心の声が漏れてしまった。
(いや、全員だろうな。僕のはきっかけにすぎないだろう)
こんな風にうなされるくらいなら、そう言っているのが自分達だけなわけがない。友人も、妾の子って言われていると話していた。
(謝罪した方がいいのだろうが……)
マティアスは、そう思いながらも、少しためらっている。
謝罪したら、自分がエルルーアを妾の子だと見ていたのを肯定することになってしまうし、そもそもエルルーアが謝罪を受け入れないかもしれない。
たとえ、受け入れたとしても、今のエルルーアなら、「わかりました」と冷たく返されそうな気がした。
(僕は、どうするべきなんだろうか)
ラエスは、薄めれば魔力の強化薬に使われるものだが、原液で使うと、必要以上に強化してしまい、場合によっては、魔力暴走を引き起こす。
エルルーアは、コントロール力が伴っていなかっただけで、魔力自体は強かった。そのため、ラエスの原液を少量接種するだけで、魔力が暴走してしまった。昼まで症状が出なかったのは、エルルーアの接種した量が少量だったからだ。
とりあえずは、魔力を弱体化させる薬を投与し、様子を見ることになった。アルフォンスは、毒が盛られた経緯を調べるために部屋を留守にしているので、その場にはマティアスしかいなかった。
マティアスは、寝息をたてているエルルーアを見ている。薬を投与したからか、乱れていた呼吸は落ち着き、顔色も戻り、今は、ただ寝ているだけのような感じだ。
実際は、魔力の暴走により、魔力が少なく、弱くなっているので、回復するために眠っている。そのために、起こそうとしても、起きることはない。
(毒に気づいていたのか?そうでなければ、少量にはならないはずだ)
毒は、通常は相手を死なせるつもりで盛るものだ。ただ苦しめたかっただけならまだしも、少量だけを盛るなんて普通はない。
それなら、エルルーアから検出された毒はなぜ少量だったのか。エルルーアが、何らかの理由で毒が混入しているのに気づいて、接種をやめたからだろう。
そんな考えにいたるのは当然だった。
「……う」
ほんのわずかな。耳をすまさなければ聞き取れないような音量で、エルルーアが声を発した。マティアスは意識が戻ったのかと確認してみるが、まだ寝息をたてている。だが、少し顔色が悪かった。
苦しいのかと思って、額に触れると、少し熱い。
(うなされてるのか……?)
そうは思ったが、だからといって、自分にできることなどない。
とりあえず、軽く汗をかいていたので、拭いてあげようと、タオルを探していると、また呟くような声が聞こえる。
「い……き……」
タオルを探すため、少し離れていたマティアスには、はっきりとは聞こえなかった。
声を聞くために、マティアスが側による。
「い……ないで……」
さっきよりは聞こえたが、それでもまだところどころしか聞き取れなかった。マティアスは、声を聞くのは諦めて、タオルを探そうとすると、今度ははっきりと聞こえた。
「妾の子じゃ……ないもん」
マティアスは、はっとなって振り返る。
「お母さまは……きっと、いい人だもん……」
汗なのかもしれないが、エルルーアは涙を流しているように見えた。マティアスは、タオルでそっと涙に見えたものを拭う。
「お父さま……お兄さま……お姉さま……エルを……見てよ……」
もう起きているんじゃないか。そう思ってしまうくらいに、はっきりと話していた。
マティアスは、その中の一つの言葉が引っかかる。
(妾の子……)
エルルーアがそう呼ばれているのは、社交界では、そこそこ知られたことだった。第二王女は妾の子だと。そういう話はマティアスの周りでもあった。
エルルーアの耳に入っていないわけがない。
(そういえば、昔に聞かれたことがあったか……)
マティアスは、昔のことを思い出す。それは、まだ今ほど冷めきった関係ではなかったころだ。
『ねぇ、マティアス。妾はおかしな人なの?』
『そんなことはないと思いますけど……なぜですか?』
『みんな、エルを妾の子って言って笑ってくるの。おかしいのかな。お母さまが妾なのが』
エルルーアは、不思議そうに首をかしげる。目の前の少女は、それが嘲りというのにも気づいていないのだ。
『お母上は妾ではないですよ。きちんと公認されている妃です』
『……そっか。マティアスが言うなら間違いないよね!』
エルルーアが交流として、ランドルバード公爵家に訪れて、バラ園を見ていたときの会話だ。
エルルーアが妾の子と言っている時点で、そのときには、すでにエルルーアの耳に、妾の子というものが入っていたことになる。
(そして、その数日後に友人が遊びに来たんだったか?)
どういう流れだったかは忘れたが、そのときに、マティアスの婚約者であるエルルーアが話題にのぼった。
『婚約者の王女様とはどうなんだ?』
『まあまあうまくやってるよ』
紅茶を一口飲んで、ぶっきらぼうにそう言った。
『へー。性格は結構いいのかな?』
『……どういう意味だ?』
今の答えの、何をどう聞いたらそんな結論にいたるのかわからず、マティアスは友人を訝しむ。
『だってさ、妾の子って言われてんだぞ?ひねくれてそうじゃん』
『そうはならないだろ。それなりに愛されてはいるだろうし。妾の子ならなおさらな』
妾をとるのは、それなりに愛してはいる証拠だ。少なくとも、政略結婚よりも、愛は深いだろう。
『まぁ、それもそうだな。でもさ、妾の子なら媚びを売るのもうまいんじゃね?』
『そうだな。そういう母親を見て育ったならそうなるかもしれないな』
(もしかして……この会話を聞いてたのか?)
エルルーアは、時々事前に知らせもなく訪問することがあった。手紙に、いつでも来ていいと書いてしまったせいだろう。
いつでもいいとは言ったが、さすがに前触れくらいは欲しいものだった。
そして、この日もエルルーアが来ていたとしたら。そして、会話を聞かれていたとしたら、どうだろうか?
(全部を聞いてたならともかく、後半だけだったら……)
そう考えたら、エルルーアが自分を責めた理由がわかるような気がした。
以前に、妾じゃないと否定したのに、裏では肯定している最悪な男に映っただろうから。
実際は、そんな風には見ていない。母親が側妃だろうが、王女は王女という目でしか見ていなかった。
第一王女の方がいいとは思っていたが、それは第二王女はわがままだという噂を聞いていて、相手がめんどくさそうだなと感じたからに過ぎない。交流してからは、あまりそんな風には感じなくなった。
『あんたのせいよ!』
少し涙目になっているような顔で、そう言われたのが、ふと頭に浮かんだ。
(もし、それであんな行動をするようになったのなら、確かにそれは僕のせいだな)
詳しい理由まではまだわかっていないが、きっかけは自分の発言だったのに気づいた。
それなら、きっかけはそれだとしても、それであのような行動をした理由はなんなのか。それがまだわからない。
自分がそう言われたらどうするんだろうか。悲しむのは間違いないだろう。その後、どうするのか。
(僕なら、見返してやろうとか……そう考えるが……)
もし、エルルーアもそう考えたとしたら?急に身分に笠を着るようになったのは?宝石やドレスを見せびらかすような行動をし始めたのは?
「僕を見返すため、か……」
ため息混じりに答えを呟いた。思わず、心の声が漏れてしまった。
(いや、全員だろうな。僕のはきっかけにすぎないだろう)
こんな風にうなされるくらいなら、そう言っているのが自分達だけなわけがない。友人も、妾の子って言われていると話していた。
(謝罪した方がいいのだろうが……)
マティアスは、そう思いながらも、少しためらっている。
謝罪したら、自分がエルルーアを妾の子だと見ていたのを肯定することになってしまうし、そもそもエルルーアが謝罪を受け入れないかもしれない。
たとえ、受け入れたとしても、今のエルルーアなら、「わかりました」と冷たく返されそうな気がした。
(僕は、どうするべきなんだろうか)
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