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第二章 溺愛はいりません
7. 筆記テスト
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それからイルーミアに付き合って勉強(そのふり)をして、数日後、ついにテスト本番。
彩花は、この数日間、クラスメイトの勉強している様子を観察したり、今までのクラスメイトが取っていた点数を鑑みて、だいたい一科目60点くらい出せばいいかという結論にいたった。
筆記はなんとかなりそうだが、問題は実技。実技は、そのときになってどんな内容か発表している。それだけを対策されたら、テストの意味がない。全体の評価を知りたいのだから、内容は隠しているのだ。
そして、本人の実力やクラスによって、その内容は異なる。筆記は、基本問題は共通しているが、応用問題が難易度が違う。クラスのレベルに合わせて、わざわざ作り変えている。
でも、中身が大学生の彩花なら、余裕で全問正解はできる。だが、やらない。これ以上目立つようなことはしたくないのだ。もうほとんど手遅れになりかけているかもしれないが、それでも自分はあがきたい。
「エルルーアさま。私、不安です……」
「大丈夫よ。フランお姉さまからお墨付きももらったじゃない」
「そ、そうかもしれませんけどぉ……」
それでも不安は消えてくれない。クラスの降格だけでなく、家の名誉も関わっている。ものすごいプレッシャーだ。
「一時間目から数学ですよ!?死んでしまいます!」
「商会の令嬢なら数学はできてなさいよ……」
ずっと心の中で思ってきたことが、ついに口に出た。
こんな風に泣きついてくるイルーミアがちょっとうざくなってしまって、完全に無意識で言ってしまっていた。やばいと思うも、時すでに遅し。
「そうですよね……一番できないとダメですよね……」
メンタルが弱っているイルーミアにとっては、先ほどのエルルーアの言葉は、わずかに残っていた応援してくれるという思いを粉々に砕かれた。
「で、でも大丈夫よ。あれだけ勉強したんだから、降格はないと思うわ」
「気を遣わなくてもいいんですよ。どうせ私は馬鹿ですから」
完全に自分を自虐し始めてしまった。こうなると、どう励ましても、ネガティブにとられてしまいそうだ。
放っておくしかないかと思って、試験会場に入った。
*ー*ー*ー
彩花が席に着いて、チャイムが鳴る。この時点で席についていなければ、完全に失格だ。自分たちは、ちょっとぎりぎりになっていた。
テスト用紙が配られる。
「開始!」
そして、試験官の合図とともに、全員が一斉に問題文を表に向ける。
どんなものかと思っていたが、やはり簡単だった。まず、彩花のときと違うのは、筆算がないこと。そして、初等部の間に出てくるのは、足し算、引き算、かけ算、わり算。それも、どんなに多くても3桁を1桁でというくらいまで。
応用問題も、ただの文章問題になったくらいだ。計算はあまり変わらない。それぞれの点数配分を予想して、だいたい50~60点くらいになるように調整する。
何も書かないでは少し違和感を感じさせてしまうかもしれないので、とりあえず式は書いておく。
他の教科の問題も同じようなものだ。歴史は、似たような言葉を書いたりして点数調整をした。
そして、午前の筆記のテストが終わったとき。まだ実技が残っているのに、クラスのほとんどが意気消沈していた。
(そんなに難しかった?)
自分が大学生まで過ごしていたというのを差し引いたとしても、基本問題が半分を占めているのだから、50点は、授業をちゃんと聞いていれば解ける問題だ。
クラス降格のテストの点の基準は30点。そんなに問題があるようには思えなかった。強いていえば、問題数が多いかもな、というくらい。
「エルルーアしゃまぁ。どうしましょう……自信がありましぇん……」
「とりあえず、半分は取れたら問題ないんだしいいんじゃない?」
自分も、半分くらいを意識していた。多少の誤差はあるかもしれないが、これで高得点になることはないだろう。
「そうなんですけどぉ。わり算が3問も出てきたじゃないですか!」
「そうね」
たった3問だろと思っていると、イルーミアがぐずりだす。
「逃したらやばいんですよぉ!あれだけで10点も配点があるのに!」
「へぇー」
わり算は難しいから、配点が高かったのは、以前までのエルルーアの記憶にある。それでも、されど10点だ。逃したとしても、他で稼げば降格回避は充分にあり得る。
「ちょっとは心配してくれてもいいじゃないですか!」
「だって、ミアさんならきっと大丈夫だと思うし」
彩花がそう言うと、イルーミアは一瞬きょとんとしたが、すぐに笑顔になった。
「ありがとうございます!」
「それよりも、次は実技よ」
「その前に、お昼ご飯ですよー!ほら、食べましょう、食べましょう!」
「あっ、ちょっと!」
イルーミアが、彩花の腕を引っ張りながら食堂に向かって走っていく。
(そういえば、食べるのが好きだったわね、この子……)
授業が終わったら、真っ先に自分を捕まえて食堂に直行していたくらいには、イルーミアは食べることが好きだったのを思い出した。
ちょっと違うような気はするが、励ませたので、結果オーライだろうと、彩花もイルーミアに連れられて食堂に向かった。
彩花は、この数日間、クラスメイトの勉強している様子を観察したり、今までのクラスメイトが取っていた点数を鑑みて、だいたい一科目60点くらい出せばいいかという結論にいたった。
筆記はなんとかなりそうだが、問題は実技。実技は、そのときになってどんな内容か発表している。それだけを対策されたら、テストの意味がない。全体の評価を知りたいのだから、内容は隠しているのだ。
そして、本人の実力やクラスによって、その内容は異なる。筆記は、基本問題は共通しているが、応用問題が難易度が違う。クラスのレベルに合わせて、わざわざ作り変えている。
でも、中身が大学生の彩花なら、余裕で全問正解はできる。だが、やらない。これ以上目立つようなことはしたくないのだ。もうほとんど手遅れになりかけているかもしれないが、それでも自分はあがきたい。
「エルルーアさま。私、不安です……」
「大丈夫よ。フランお姉さまからお墨付きももらったじゃない」
「そ、そうかもしれませんけどぉ……」
それでも不安は消えてくれない。クラスの降格だけでなく、家の名誉も関わっている。ものすごいプレッシャーだ。
「一時間目から数学ですよ!?死んでしまいます!」
「商会の令嬢なら数学はできてなさいよ……」
ずっと心の中で思ってきたことが、ついに口に出た。
こんな風に泣きついてくるイルーミアがちょっとうざくなってしまって、完全に無意識で言ってしまっていた。やばいと思うも、時すでに遅し。
「そうですよね……一番できないとダメですよね……」
メンタルが弱っているイルーミアにとっては、先ほどのエルルーアの言葉は、わずかに残っていた応援してくれるという思いを粉々に砕かれた。
「で、でも大丈夫よ。あれだけ勉強したんだから、降格はないと思うわ」
「気を遣わなくてもいいんですよ。どうせ私は馬鹿ですから」
完全に自分を自虐し始めてしまった。こうなると、どう励ましても、ネガティブにとられてしまいそうだ。
放っておくしかないかと思って、試験会場に入った。
*ー*ー*ー
彩花が席に着いて、チャイムが鳴る。この時点で席についていなければ、完全に失格だ。自分たちは、ちょっとぎりぎりになっていた。
テスト用紙が配られる。
「開始!」
そして、試験官の合図とともに、全員が一斉に問題文を表に向ける。
どんなものかと思っていたが、やはり簡単だった。まず、彩花のときと違うのは、筆算がないこと。そして、初等部の間に出てくるのは、足し算、引き算、かけ算、わり算。それも、どんなに多くても3桁を1桁でというくらいまで。
応用問題も、ただの文章問題になったくらいだ。計算はあまり変わらない。それぞれの点数配分を予想して、だいたい50~60点くらいになるように調整する。
何も書かないでは少し違和感を感じさせてしまうかもしれないので、とりあえず式は書いておく。
他の教科の問題も同じようなものだ。歴史は、似たような言葉を書いたりして点数調整をした。
そして、午前の筆記のテストが終わったとき。まだ実技が残っているのに、クラスのほとんどが意気消沈していた。
(そんなに難しかった?)
自分が大学生まで過ごしていたというのを差し引いたとしても、基本問題が半分を占めているのだから、50点は、授業をちゃんと聞いていれば解ける問題だ。
クラス降格のテストの点の基準は30点。そんなに問題があるようには思えなかった。強いていえば、問題数が多いかもな、というくらい。
「エルルーアしゃまぁ。どうしましょう……自信がありましぇん……」
「とりあえず、半分は取れたら問題ないんだしいいんじゃない?」
自分も、半分くらいを意識していた。多少の誤差はあるかもしれないが、これで高得点になることはないだろう。
「そうなんですけどぉ。わり算が3問も出てきたじゃないですか!」
「そうね」
たった3問だろと思っていると、イルーミアがぐずりだす。
「逃したらやばいんですよぉ!あれだけで10点も配点があるのに!」
「へぇー」
わり算は難しいから、配点が高かったのは、以前までのエルルーアの記憶にある。それでも、されど10点だ。逃したとしても、他で稼げば降格回避は充分にあり得る。
「ちょっとは心配してくれてもいいじゃないですか!」
「だって、ミアさんならきっと大丈夫だと思うし」
彩花がそう言うと、イルーミアは一瞬きょとんとしたが、すぐに笑顔になった。
「ありがとうございます!」
「それよりも、次は実技よ」
「その前に、お昼ご飯ですよー!ほら、食べましょう、食べましょう!」
「あっ、ちょっと!」
イルーミアが、彩花の腕を引っ張りながら食堂に向かって走っていく。
(そういえば、食べるのが好きだったわね、この子……)
授業が終わったら、真っ先に自分を捕まえて食堂に直行していたくらいには、イルーミアは食べることが好きだったのを思い出した。
ちょっと違うような気はするが、励ませたので、結果オーライだろうと、彩花もイルーミアに連れられて食堂に向かった。
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