43 / 50
第二章 溺愛はいりません
8. 実技テスト エルルーア編(小説の宣伝あり)
しおりを挟む
※息抜きに新しい小説も書いてます。この世でたった一人の魔法使い……ってやつです。ファンタジーが9割ですけど、恋愛要素もいれるつもりなんで、こっちでも宣伝してみます。読みたくなかったら読まなくて結構です。
↓本編
昼食が終わり、全員が実技の試験会場に移動する。
今回はカンニングなどはできないので、普通に全員が一緒になっている。
「エルルーアさまぁ。どうしましょう……自信がありましぇん……」
お昼を食べているときは、本当に幸せそうで余裕そうだったのに、テストになってから、急に自信がなくなってきている。
「大丈夫よ。平均もあれば、クラス降格にはならないわ」
「そ、そうですね!満点を出さなくてもいいんですものね!」
彩花の励ましに、少しは元気が出てきたようだった。
「実技テストの開始だ!クラスごとに並び直せ!」
一人の男教師の指示通りに、彩花とイルーミアはシルバークラスの場所に並ぶ。
そして、それぞれの列の前に、何か箱のようなものを持った教師が並んだ。
「今から、全員にくじを引いてもらう。それに書かれた内容を実践してもらう。内容を話したり、くじを相手に見せるのは禁止とする。その行動、または疑われるような行いをした場合は、即失格になる。理解した者から引くように」
エルルーアとイルーミアはそれぞれの列に並び、順番にくじを引いていく。エルルーアが先に並んでいたので、先に引いた。
「ミアさんも頑張ってね」
「はい!」
イルーミアに声をかけてから、エルルーアはくじの内容を確認する。
合成魔法を試験会場の的に当てよ
くじにはそう書いてあった。これをクリアするのは、エルルーアの魔力量と、彩花のイメージ力を持っていれば、朝飯前だ。でも、やりすぎると目立ってしまう。これ以上目立つと、出る杭は打たれるということになりかねない。
今も出かかっているかもしれないが、これ以上出たくはない。
彩花は、どうやって失敗しようか考えながら的のある場所に向かった。
以前も、似たようなことをやったことがある。そのときは、成功の方法もよくわかっていなかったので、平均くらいのやり方でやるしかなかったが、今は成功の方法は、授業を受け続けたのでわかる。
合成魔法の場合は、どれだけ二つの魔法を合わせられるか。お互いを打ち消すのではなく、お互いを喰い合うようにぶつけると、合成魔法の成功だ。
「私たちにくじを渡して、名前を名乗りなさい」
「エルルーア・フィン・ランディミアです」
「ではエルルーア王女殿下。合成魔法のテストは初めてだそうですので、先に説明をさせていただきます」
試験官は、一度そう前置きをした。聞いていて損はないので、魔法を練って、放とうとしていたが、すぐに破棄した。
「まず、ほかのテストと同じく、チャンスは3回。その中で、もっとも良かったものを評価させていただきます。そして、属性は、評価がしやすいように、すべて同じ属性でお願いします。それさえ守ってくれれば、いくらでも掛け合わせてくれてかまいません」
「あの、一つ質問をしても?」
今の説明に気になるところがあり、彩花が手をあげてたずねる。
「ええ、なんでしょう?」
「これでいいと思ったら、これ以上チャレンジしなくてもいいのですか?」
「それはかまいません。それしか評価するものがなくなりますが」
「わかりました」
いくらでも掛け合わせてくれてかまわないというが、複数でやると、評価が高くなりそうなので、最初から二つだけでやるつもりだった。
彩花は、体の魔力を練り始める。そして、火魔法と風魔法を合わせて、的に放った。
「ファイアー・ウィンド」
風魔法で、中心部分が空洞になるように球体を作り、その周りを炎で覆った。一見は、ただのファイアーボールにしか見えないが、炎は周りを覆っている分だけなので、中抜きができている状態。なので、こっちの方が魔力消費の効率がいい。
でも、威力は普通のファイアーボールと変わらない。的に命中するが、中心部分が傷ができて、少し焦げただけだ。
「これで結構です」
「かしこまりました。今のを評価させていただきます」
これで良くても中の上くらいだろう。そう思いながら、イルーミアの様子を見に行くことにした。
↓本編
昼食が終わり、全員が実技の試験会場に移動する。
今回はカンニングなどはできないので、普通に全員が一緒になっている。
「エルルーアさまぁ。どうしましょう……自信がありましぇん……」
お昼を食べているときは、本当に幸せそうで余裕そうだったのに、テストになってから、急に自信がなくなってきている。
「大丈夫よ。平均もあれば、クラス降格にはならないわ」
「そ、そうですね!満点を出さなくてもいいんですものね!」
彩花の励ましに、少しは元気が出てきたようだった。
「実技テストの開始だ!クラスごとに並び直せ!」
一人の男教師の指示通りに、彩花とイルーミアはシルバークラスの場所に並ぶ。
そして、それぞれの列の前に、何か箱のようなものを持った教師が並んだ。
「今から、全員にくじを引いてもらう。それに書かれた内容を実践してもらう。内容を話したり、くじを相手に見せるのは禁止とする。その行動、または疑われるような行いをした場合は、即失格になる。理解した者から引くように」
エルルーアとイルーミアはそれぞれの列に並び、順番にくじを引いていく。エルルーアが先に並んでいたので、先に引いた。
「ミアさんも頑張ってね」
「はい!」
イルーミアに声をかけてから、エルルーアはくじの内容を確認する。
合成魔法を試験会場の的に当てよ
くじにはそう書いてあった。これをクリアするのは、エルルーアの魔力量と、彩花のイメージ力を持っていれば、朝飯前だ。でも、やりすぎると目立ってしまう。これ以上目立つと、出る杭は打たれるということになりかねない。
今も出かかっているかもしれないが、これ以上出たくはない。
彩花は、どうやって失敗しようか考えながら的のある場所に向かった。
以前も、似たようなことをやったことがある。そのときは、成功の方法もよくわかっていなかったので、平均くらいのやり方でやるしかなかったが、今は成功の方法は、授業を受け続けたのでわかる。
合成魔法の場合は、どれだけ二つの魔法を合わせられるか。お互いを打ち消すのではなく、お互いを喰い合うようにぶつけると、合成魔法の成功だ。
「私たちにくじを渡して、名前を名乗りなさい」
「エルルーア・フィン・ランディミアです」
「ではエルルーア王女殿下。合成魔法のテストは初めてだそうですので、先に説明をさせていただきます」
試験官は、一度そう前置きをした。聞いていて損はないので、魔法を練って、放とうとしていたが、すぐに破棄した。
「まず、ほかのテストと同じく、チャンスは3回。その中で、もっとも良かったものを評価させていただきます。そして、属性は、評価がしやすいように、すべて同じ属性でお願いします。それさえ守ってくれれば、いくらでも掛け合わせてくれてかまいません」
「あの、一つ質問をしても?」
今の説明に気になるところがあり、彩花が手をあげてたずねる。
「ええ、なんでしょう?」
「これでいいと思ったら、これ以上チャレンジしなくてもいいのですか?」
「それはかまいません。それしか評価するものがなくなりますが」
「わかりました」
いくらでも掛け合わせてくれてかまわないというが、複数でやると、評価が高くなりそうなので、最初から二つだけでやるつもりだった。
彩花は、体の魔力を練り始める。そして、火魔法と風魔法を合わせて、的に放った。
「ファイアー・ウィンド」
風魔法で、中心部分が空洞になるように球体を作り、その周りを炎で覆った。一見は、ただのファイアーボールにしか見えないが、炎は周りを覆っている分だけなので、中抜きができている状態。なので、こっちの方が魔力消費の効率がいい。
でも、威力は普通のファイアーボールと変わらない。的に命中するが、中心部分が傷ができて、少し焦げただけだ。
「これで結構です」
「かしこまりました。今のを評価させていただきます」
これで良くても中の上くらいだろう。そう思いながら、イルーミアの様子を見に行くことにした。
16
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる