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第1章 売却少女
第10話 決闘祭
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ブレイザーズを訪問してから、1週間が経ち、決闘祭の日を迎えた。ちなみに、クーネは俺と寝たがったが、女性陣が却下。結局アリスの部屋で寝ているらしい。クーネは俺の従魔として学校にも認可され、決闘祭で共に戦うのもありということになった。
ただ、それだとあまり面白くもないので、クーネには別枠で参加してもらう。もしかしたら俺とクーネが戦うこともあるかもしれない。
あと、この学校には2年、3年がいるはずだが彼らと俺はまだあったことがない。なんでも、半年後にある修学旅行とかは一緒に行くらしいので、その時に会うかもしれない。とりあえず今回の決闘祭は俺たち一年のみのものらしい。
また、今回の決闘祭だがなんとステージが50通りもある。校長がランダムにくじを引いて当たった世界でやるらしい。さらに、校長は幻想の中の世界に観客を拉致できるので、見たい人は観客席にいれば幻想側の観客席に連れて行ってもらえる。また見たくない人はこちらに残れば、幻想の中の時間はなかったことにできるので、一瞬で戦いが終わったように見える。
そのため、全ての試合自体は早く終わる。ただ、体感時間的にはかなりの長丁場となるということだ。・・・ていうか、生徒全員の試合で魔法を使う校長ってこの人も、いろいろ常識から外れてるよな。魔力容量どうなってるんだ。
ちなみに、今俺は。
「とうとう貴殿とやれる時が来たな。」
「そうですね。リヒター殿。手加減なしで行きましょう。」
「はっはっは、貴殿相手に手加減などできるわけないだろう。」
一回戦の相手であるリヒター殿と朝食食べてます。前日に初戦の相手が張り出されたので、それは皆把握している。ちなみにちなみに、
「ひゃいかわらひゅおいひい。」
「ヴェーナ、何言ってるかわからないぞ。」
「ほいひー!」
「クーネさん、食べてから話しましょう。」
「きゃっ!?ちょっとヴェーナ、クーネ!米粒が飛んでますわ!」
「お姉ちゃんうるさい。」
「あはは・・・。ミーナちゃんもう少しお姉さんに優しくしてあげてね?」
なぜか最近俺の部屋が食堂みたいになってる。最初はリヒター殿だけだったのに、ヴェーナが来るようになって、ちゃっかりグウェントも来るように。で貢献部の面々もこれ幸いと次の日から来るようになって、王族2人も当然のような顔でいつのまにかいた。
いや、まぁ食材とさらに手土産とかを律儀に皆持って来るので作ってあげてますけど。いかんせん便利に扱われているような気がしてならない。
「ごちそうさまー。」
「うむ、今日もうまかったな。」
「一般的な料理なんですけどね。」
「なんか最近寮のご飯が薄味に感じちゃうのよね・・・。」
「アリスさんもですか。私もです。」
この世界にはない調味料使ってますからね。醤油とか諸々。まぁ再現してるだけだし、モノホンとは違いますけど。
「じゃあそろそろ行きましょう。王族として遅れるわけにもいかないしね。」
「お姉ちゃんが仕切るとなんかムカつく。」
「ねぇミーナ。最近私何かしたかしら?なんでそんなに当たり強いの?」
「別に。」
アマリア様泣きそうなんだけど。ミーナ様昔からこうなのか?ちらりとリヒター殿に視線を向けると。
「いや、時々だな。なぜかたまにミーナはアマリアに冷たくなる。」
ということらしい。なんでなんだろうか。まあ、いま気にすることでもないか。
「まぁ、2人ともそこまでにして。とにかく、会場まで行こう。」
苦笑いしながら2人をなだめる。まぁ、見てて面白いんだけどね。ずっとやってたらきりがない。
そして支度をして、皆で寮から出て会場へと向かった。
#####
「はーい、みなさーん待ちに待った決闘祭でーす!この1ヶ月学んだことを生かしてー、前回の入学試験よりいい成績を残せるように頑張ってくださーい!」
なんだろう。相変わらず緊張感が抜けるな、セレナ校長のこの、間延びした感じ。まぁ、美人だから役得という風にも考えられるかな?
「ではではー、1回戦を始めて行きまーす。15分後に、1試合目なのでー、準備をしておいてくださーい!」
さて、俺は7試合目だし、少し時間を潰せるな。確か、グウェントは9試合目、アリスが17試合目、ティナが24試合目、アマリア様が42試合目、ミーナ様が94試合目、ディーナが123試合目だったかな?知り合いのは見たいのでこの辺のやつは見に行くつもりだ。
・・・ん?なんだろ。少し遠くで俺の方見てワイワイしてる女の子達がいる。んー、話したことは、ないはずだけど。何かしてしまったのだろうか。
「と、トランさんっ!」
む、なんだ。少し小さめのポニテ少女が話しかけてきたぞ。
「は、はじめまして!エミリアともうしまヒュ!」
・・・噛んだな。あ、みるみる真っ赤に。これはフォロー入れてあげないとダメだな。
「あぁ、初めまして。何か用事かな?」
「い、いえ。その、実は私入学試験の時、トランさんとアマリア様の戦いを影から見てたんです。それで、凄いなあって思ってまして、ずっとお話しして見たかったんです!」
「はは、それは光栄だな・・・。」
待てよ、見ていただって?いやいや、確かに俺は索敵の類の色を持ってないけれど、さすがにずっと見られていたら気がつくはずだ。この子、どこで見ていたんだ?・・・まぁ、いいか。少なくとも、この子の嬉しそうな顔を見て警戒する気にはなれない。あ、そうだ。一つ聞いてみよう。
「ついでに少し聞いていいかい?」
「はい!なんでしょう?」
「あそこらへんの女性達に、俺は何かしてしまったのか凄いワイワイと俺の方を見ながら話しているのだけれど。何か知らないだろうか?」
「あー、あれですか。確かあれはトランさんファンクラブのメンバーじゃなかったでしょうか?」
「ちょっと待ってくれ。聞き捨てならない単語が出てなかったかいま。」
「あれ?知らないんですか。」
「知らないよ・・・。」
なんだファンクラブって。初耳なんだが。
「あとリヒター様と、グウェントさんのもありましたよ確か。」
「ーー。」
口が塞がらないってのはこういうことなのかな。ていうか、あの2人と俺が同列みたいな感じやめてほしい。あいつらの方がはるかにイケメンだろうに。それに、
「まったく、他にもイケメンはいるだろうに、なぜ俺なんだ。」
「え?」
「え?」
なにその反応は。
「トランさん、自分の顔ってどうおもってますか?」
「俺なんて特に際立った顔もしてないし、普通だと思うんだけど。」
「よく言えますねそのセリフ。その辺の男子に言えば夜後ろから刺されますよ。」
そんなに!?
「あはは、冗談ですよ。さらにトランさん貢献部としていろんな人助けてますし、そりゃ人気も出ますよ。」
「でも、ファンクラブってのはなんか分不相応な感じがするんだけれど・・・。なんとかやめさせられないかな?」
「残念ながら、もう一大派閥になっちゃってるので無理です。」
「そっかぁ・・・。」
一大派閥になってるって聞いてこれ以上首を突っ込むのはまずいと感じてしまう。なんかもっと闇がありそうで怖い。
「あ、そろそろ始まりますね。トランさん、私42試合目なので見に来てくださいね!」
「あぁ、見に行くよ。」
「はい、じゃあまた!」
うーむ、笑顔が眩しい、いい子だったな。42試合目か・・・、ん、42?アマリア様の試合も確か42試合目だったような。てことは、エミリアと、アマリア様の試合になるのか。アマリア様は、結構強いから普通なら負けないだろうが、エミリアも未知数だからな。どちらが勝つかはわからないな。
ーーさて、ファンクラブの子達には悪いけど、ずっと見られてるのはどうも落ち着かない。人波に紛れて、逃げよう。
ちょうど俺がファンクラブの子たちを撒いたところで、再び校長先生の声が響く。
「はーい!じゃあ一試合目開始しまーす!」
お、もうそんな時間か。俺は7試合目だけど、合間合間に確か2分の空きがあるから、俺の番は12分後か。もう近くまで行ってようかな。
「おぉ、トラン。」
「あ、リヒター殿。」
「そろそろだからな、貴殿も準備をしに来たか。」
「準備って言ってもそんなにやることないんですが、まぁそんなところです。・・・ところで、リヒター殿。」
「なんだ?」
「俺たちのファンクラブあるって知ってました?」
「もちろんではないか。」
知ってたんかい。
「俺はさっき知ったのでびっくりしました。」
「だろうな。貴殿は気づいてないだろうなとは思っていた。」
「はは、リヒター殿と、グウェントはわかるんですが、なんで俺なんでしょうかね。」
「は?」
「え?」
またその反応?
「・・・以前から思っていたが、貴殿のその自己評価の低さはなんとかせねばならんな。」
「いえ、客観的に正確な判断をしているつもりなんですが。」
「全くもってできていないな。」
「・・・。」
まじかぁ。全くか。なんだろう、でもみんな俺を過大評価しすぎだと思うんだ。
「ま、貴殿のそれは直らんのだろうな。」
「はは、恐らく。」
「全く、だからこそ貴殿は厄介なのだ。そこまでの実力、人脈、人柄を持ちながら、全くもって欲がない。故に、自身に対しての評価が低くなる。変わり者にもほどがあるぞ。」
そんなに変わってるだろうか。人並みに欲はある気がするけれど。美味しいご飯は食べたいし、眠い時は寝るし。
「貴殿今、睡眠欲とかあるんだけどな、とか思っているだろう?」
バレた。
「そういう欲ではない、俺が言っているのはもっと強欲なものだ。だが、貴殿にはそれがないからな。勝とうとする俺がたまに馬鹿らしくなってくるぞ。」
「そうでしょうかね。」
「そうなのだ。しかしそれでも俺は、貴殿に勝ちたいのだ。だからこそ今日は。」
リヒター殿が、俺を見てニッと笑う。
「貴殿に膝をつかせてやろうではないか。」
「ーーはは、仕返しにしてやりますよ。」
「はっはっは、そう簡単に行くかな?」
顔を見合わせ、互いに笑う。やはり俺には欲がありますよリヒター殿。だって、あなたには負けたくないのです。あなたには、俺は勝ちたい・・・と、心から思うのですから。
「はーい、次は7試合目でーす!選手は出て来てねー!」
ちょうど俺たちの番だ。さぁ、ライバルとの戦いだ。負けるつもりは毛頭ない。
「行くぞ、トラン。」
「行きましょう、リヒター殿。」
互いに向かい合って立つ。あぁ、くそ。思わず顔がにやけてしまう。
「はーい、場所はー、廃都でーす!あら、入学試験上位の2人ですねー?これはいい試合が見れそうですー。じゃあー、開始っ!」
視界が歪む。次に目を開けると、瓦礫の山が目に入って来た。近くにリヒター殿がいない。恐らく別々の場所にワープしたのだろう。空を見上げると、観客たちがいる。なるほど、上から見下ろす形なのか。
さて、始まったが、リヒター殿のやることは決まっているし、俺のやることも決まっている。俺は大きく息を吸い。叫ぶ。
「「かかってこい、親友よ!」」
廃都、王城の前。そこから声が聞こえる。空を見ると、皆呆けている。そりゃそうか、普通ならどちらが奇襲成功するかで始まるからな。だけど俺もリヒター殿も、そういう戦いは望んでいない。正々堂々と、互いの本気をぶつけ合う。
だからこその、俺たちはライバルなのだ。
ただ、それだとあまり面白くもないので、クーネには別枠で参加してもらう。もしかしたら俺とクーネが戦うこともあるかもしれない。
あと、この学校には2年、3年がいるはずだが彼らと俺はまだあったことがない。なんでも、半年後にある修学旅行とかは一緒に行くらしいので、その時に会うかもしれない。とりあえず今回の決闘祭は俺たち一年のみのものらしい。
また、今回の決闘祭だがなんとステージが50通りもある。校長がランダムにくじを引いて当たった世界でやるらしい。さらに、校長は幻想の中の世界に観客を拉致できるので、見たい人は観客席にいれば幻想側の観客席に連れて行ってもらえる。また見たくない人はこちらに残れば、幻想の中の時間はなかったことにできるので、一瞬で戦いが終わったように見える。
そのため、全ての試合自体は早く終わる。ただ、体感時間的にはかなりの長丁場となるということだ。・・・ていうか、生徒全員の試合で魔法を使う校長ってこの人も、いろいろ常識から外れてるよな。魔力容量どうなってるんだ。
ちなみに、今俺は。
「とうとう貴殿とやれる時が来たな。」
「そうですね。リヒター殿。手加減なしで行きましょう。」
「はっはっは、貴殿相手に手加減などできるわけないだろう。」
一回戦の相手であるリヒター殿と朝食食べてます。前日に初戦の相手が張り出されたので、それは皆把握している。ちなみにちなみに、
「ひゃいかわらひゅおいひい。」
「ヴェーナ、何言ってるかわからないぞ。」
「ほいひー!」
「クーネさん、食べてから話しましょう。」
「きゃっ!?ちょっとヴェーナ、クーネ!米粒が飛んでますわ!」
「お姉ちゃんうるさい。」
「あはは・・・。ミーナちゃんもう少しお姉さんに優しくしてあげてね?」
なぜか最近俺の部屋が食堂みたいになってる。最初はリヒター殿だけだったのに、ヴェーナが来るようになって、ちゃっかりグウェントも来るように。で貢献部の面々もこれ幸いと次の日から来るようになって、王族2人も当然のような顔でいつのまにかいた。
いや、まぁ食材とさらに手土産とかを律儀に皆持って来るので作ってあげてますけど。いかんせん便利に扱われているような気がしてならない。
「ごちそうさまー。」
「うむ、今日もうまかったな。」
「一般的な料理なんですけどね。」
「なんか最近寮のご飯が薄味に感じちゃうのよね・・・。」
「アリスさんもですか。私もです。」
この世界にはない調味料使ってますからね。醤油とか諸々。まぁ再現してるだけだし、モノホンとは違いますけど。
「じゃあそろそろ行きましょう。王族として遅れるわけにもいかないしね。」
「お姉ちゃんが仕切るとなんかムカつく。」
「ねぇミーナ。最近私何かしたかしら?なんでそんなに当たり強いの?」
「別に。」
アマリア様泣きそうなんだけど。ミーナ様昔からこうなのか?ちらりとリヒター殿に視線を向けると。
「いや、時々だな。なぜかたまにミーナはアマリアに冷たくなる。」
ということらしい。なんでなんだろうか。まあ、いま気にすることでもないか。
「まぁ、2人ともそこまでにして。とにかく、会場まで行こう。」
苦笑いしながら2人をなだめる。まぁ、見てて面白いんだけどね。ずっとやってたらきりがない。
そして支度をして、皆で寮から出て会場へと向かった。
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「はーい、みなさーん待ちに待った決闘祭でーす!この1ヶ月学んだことを生かしてー、前回の入学試験よりいい成績を残せるように頑張ってくださーい!」
なんだろう。相変わらず緊張感が抜けるな、セレナ校長のこの、間延びした感じ。まぁ、美人だから役得という風にも考えられるかな?
「ではではー、1回戦を始めて行きまーす。15分後に、1試合目なのでー、準備をしておいてくださーい!」
さて、俺は7試合目だし、少し時間を潰せるな。確か、グウェントは9試合目、アリスが17試合目、ティナが24試合目、アマリア様が42試合目、ミーナ様が94試合目、ディーナが123試合目だったかな?知り合いのは見たいのでこの辺のやつは見に行くつもりだ。
・・・ん?なんだろ。少し遠くで俺の方見てワイワイしてる女の子達がいる。んー、話したことは、ないはずだけど。何かしてしまったのだろうか。
「と、トランさんっ!」
む、なんだ。少し小さめのポニテ少女が話しかけてきたぞ。
「は、はじめまして!エミリアともうしまヒュ!」
・・・噛んだな。あ、みるみる真っ赤に。これはフォロー入れてあげないとダメだな。
「あぁ、初めまして。何か用事かな?」
「い、いえ。その、実は私入学試験の時、トランさんとアマリア様の戦いを影から見てたんです。それで、凄いなあって思ってまして、ずっとお話しして見たかったんです!」
「はは、それは光栄だな・・・。」
待てよ、見ていただって?いやいや、確かに俺は索敵の類の色を持ってないけれど、さすがにずっと見られていたら気がつくはずだ。この子、どこで見ていたんだ?・・・まぁ、いいか。少なくとも、この子の嬉しそうな顔を見て警戒する気にはなれない。あ、そうだ。一つ聞いてみよう。
「ついでに少し聞いていいかい?」
「はい!なんでしょう?」
「あそこらへんの女性達に、俺は何かしてしまったのか凄いワイワイと俺の方を見ながら話しているのだけれど。何か知らないだろうか?」
「あー、あれですか。確かあれはトランさんファンクラブのメンバーじゃなかったでしょうか?」
「ちょっと待ってくれ。聞き捨てならない単語が出てなかったかいま。」
「あれ?知らないんですか。」
「知らないよ・・・。」
なんだファンクラブって。初耳なんだが。
「あとリヒター様と、グウェントさんのもありましたよ確か。」
「ーー。」
口が塞がらないってのはこういうことなのかな。ていうか、あの2人と俺が同列みたいな感じやめてほしい。あいつらの方がはるかにイケメンだろうに。それに、
「まったく、他にもイケメンはいるだろうに、なぜ俺なんだ。」
「え?」
「え?」
なにその反応は。
「トランさん、自分の顔ってどうおもってますか?」
「俺なんて特に際立った顔もしてないし、普通だと思うんだけど。」
「よく言えますねそのセリフ。その辺の男子に言えば夜後ろから刺されますよ。」
そんなに!?
「あはは、冗談ですよ。さらにトランさん貢献部としていろんな人助けてますし、そりゃ人気も出ますよ。」
「でも、ファンクラブってのはなんか分不相応な感じがするんだけれど・・・。なんとかやめさせられないかな?」
「残念ながら、もう一大派閥になっちゃってるので無理です。」
「そっかぁ・・・。」
一大派閥になってるって聞いてこれ以上首を突っ込むのはまずいと感じてしまう。なんかもっと闇がありそうで怖い。
「あ、そろそろ始まりますね。トランさん、私42試合目なので見に来てくださいね!」
「あぁ、見に行くよ。」
「はい、じゃあまた!」
うーむ、笑顔が眩しい、いい子だったな。42試合目か・・・、ん、42?アマリア様の試合も確か42試合目だったような。てことは、エミリアと、アマリア様の試合になるのか。アマリア様は、結構強いから普通なら負けないだろうが、エミリアも未知数だからな。どちらが勝つかはわからないな。
ーーさて、ファンクラブの子達には悪いけど、ずっと見られてるのはどうも落ち着かない。人波に紛れて、逃げよう。
ちょうど俺がファンクラブの子たちを撒いたところで、再び校長先生の声が響く。
「はーい!じゃあ一試合目開始しまーす!」
お、もうそんな時間か。俺は7試合目だけど、合間合間に確か2分の空きがあるから、俺の番は12分後か。もう近くまで行ってようかな。
「おぉ、トラン。」
「あ、リヒター殿。」
「そろそろだからな、貴殿も準備をしに来たか。」
「準備って言ってもそんなにやることないんですが、まぁそんなところです。・・・ところで、リヒター殿。」
「なんだ?」
「俺たちのファンクラブあるって知ってました?」
「もちろんではないか。」
知ってたんかい。
「俺はさっき知ったのでびっくりしました。」
「だろうな。貴殿は気づいてないだろうなとは思っていた。」
「はは、リヒター殿と、グウェントはわかるんですが、なんで俺なんでしょうかね。」
「は?」
「え?」
またその反応?
「・・・以前から思っていたが、貴殿のその自己評価の低さはなんとかせねばならんな。」
「いえ、客観的に正確な判断をしているつもりなんですが。」
「全くもってできていないな。」
「・・・。」
まじかぁ。全くか。なんだろう、でもみんな俺を過大評価しすぎだと思うんだ。
「ま、貴殿のそれは直らんのだろうな。」
「はは、恐らく。」
「全く、だからこそ貴殿は厄介なのだ。そこまでの実力、人脈、人柄を持ちながら、全くもって欲がない。故に、自身に対しての評価が低くなる。変わり者にもほどがあるぞ。」
そんなに変わってるだろうか。人並みに欲はある気がするけれど。美味しいご飯は食べたいし、眠い時は寝るし。
「貴殿今、睡眠欲とかあるんだけどな、とか思っているだろう?」
バレた。
「そういう欲ではない、俺が言っているのはもっと強欲なものだ。だが、貴殿にはそれがないからな。勝とうとする俺がたまに馬鹿らしくなってくるぞ。」
「そうでしょうかね。」
「そうなのだ。しかしそれでも俺は、貴殿に勝ちたいのだ。だからこそ今日は。」
リヒター殿が、俺を見てニッと笑う。
「貴殿に膝をつかせてやろうではないか。」
「ーーはは、仕返しにしてやりますよ。」
「はっはっは、そう簡単に行くかな?」
顔を見合わせ、互いに笑う。やはり俺には欲がありますよリヒター殿。だって、あなたには負けたくないのです。あなたには、俺は勝ちたい・・・と、心から思うのですから。
「はーい、次は7試合目でーす!選手は出て来てねー!」
ちょうど俺たちの番だ。さぁ、ライバルとの戦いだ。負けるつもりは毛頭ない。
「行くぞ、トラン。」
「行きましょう、リヒター殿。」
互いに向かい合って立つ。あぁ、くそ。思わず顔がにやけてしまう。
「はーい、場所はー、廃都でーす!あら、入学試験上位の2人ですねー?これはいい試合が見れそうですー。じゃあー、開始っ!」
視界が歪む。次に目を開けると、瓦礫の山が目に入って来た。近くにリヒター殿がいない。恐らく別々の場所にワープしたのだろう。空を見上げると、観客たちがいる。なるほど、上から見下ろす形なのか。
さて、始まったが、リヒター殿のやることは決まっているし、俺のやることも決まっている。俺は大きく息を吸い。叫ぶ。
「「かかってこい、親友よ!」」
廃都、王城の前。そこから声が聞こえる。空を見ると、皆呆けている。そりゃそうか、普通ならどちらが奇襲成功するかで始まるからな。だけど俺もリヒター殿も、そういう戦いは望んでいない。正々堂々と、互いの本気をぶつけ合う。
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