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第1章 売却少女
第12話 伝説
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さて、グウェントの試合だが、なんともまあ一方的な試合になってしまっていた。いや、グウェントが強いのは知っていたし、そうそう負けることもないだろうとは思っていたが、まさか試合開始20秒で勝負がつくとは思わないだろう、普通。
グウェントの相手は斧使いだったようで、試合開始と同時にちょうどグウェントの背後に現れることができたらしく、奇襲を仕掛けたようだったけれども。
グウェントがそれを察知して、振り向きざまに一閃。その1発で試合終了してしまった。なんだそりゃ。
「グウェントさんもなんとも味気ない顔してますね。」
「あー、ティナもそう思うか?すごい微妙な顔してるよな。」
「まぁ、グウェント気合い入れてたしね・・・。」
「グウェントかわいそー。」
びっくりした。いつのまにかクーネが会話に混じってる。・・・あれ、そう言えばクーネの試合って何番目なんだ?確認し忘れてたから、わからないぞ。
「おや、クーネではないか。調子はどうだ?」
「げんきー!」
「はっはっは!それはいいことだな!ところで、貴殿は何番目に試合があるのだ?」
「えーと、123ー!」
ーーえ、123?それは確か、ディーナと同じじゃないか?
「わお、じゃあ私とクーネちゃんで試合なんだ?」
さらにびっくりした。頭上からまるでコウモリのように頭をぶら下げてくるのはやめてほしい。ていうか、それどうなってるんだ?・・・あ、チェーンソーを突き立ててそれに足をかけてるのか。いや、武器の使い方としてそれはどうなんだ?
「ディーナと試合?」
「うん、そうだよ。クーネちゃんと私が戦うみたいだよ。」
「まけないもん!」
「あはは、私も負けないよ!」
微笑ましや、友情が芽生えている。そう言えば、クーネの戦闘能力はまだ何もわかってないのか。いきなりディーナの相手は荷が重いかもしれないが、今からこの2人の試合が楽しみだ。
ーーその後、アリスとティナは危なげなく試合に勝利。そして、アマリア様の順番が回って来た。先ほどの俺にファンクラブのことを教えてくれたエミリアとの試合だ。
アマリア様の魔法は、初見で回避するのが非常に難しい。なにせ、残留した軌道は見えないので、戦いの最中にその位置をある程度把握し続けなければならない。だけど普通、相手の振るった武器の軌道なんて覚えてない。だから、知らなければ避けられないのが普通の厄介な魔法なのだ。
「はーい、じゃあ42回戦を始めまーす!次の子達出てきてねー!」
それにしても。校長先生は体感時間的には既に1.2日くらい経ってそうなんだが、ピンピンしてるな。おかしいだろ、あの人。
お、アマリア様が出てきた。その逆側にはエミリアも出てきた。俺を見つけたらしく、手を振っている。一応俺も手を振っておく。それを見て、嬉しそうな顔になった。なんか、後輩感が強いな。
「んとー、場所はー、山岳地帯ですー!お互いに、全力を尽くしてくださいねー!では、始めー!」
途端視界が歪む。その歪みに耐え切れず、目を閉じ、次に目を開ければ。俺は既に宙に浮いていた。四方八方をガラスの壁に包まれた状態で上空に座っていると言えばわかるだろうか。これは、高所恐怖症の人は耐え切れないだろうな、と今日何度目かわからないが、そんな感想を抱く。
ちなみにこの空間も幻なので、かなり融通がきく。例えば、望んだ光景を写したり。周囲に他の観客もいるが、皆が別の光景を見ていることがほとんどだ。あ、それとまさかそんなことをする奴がいるとは思えないが、もしスカートの中を覗こう、なんて考えるとロクデモナイことが起きる。
というか実際、さっき実行した奴がいたがその瞬間にそいつが何かから逃げるような動きを見せ、
「ひ、うわぁぁ!!??やめ、来るなぁぁぁ!」
と泣き喚いていたので、何事かと思えば、セレナ校長がとても和やかな顔で、
「あー、その人は猥褻行為、つまりー、エッチなことをしようとしたのでー、黒いナニカたちからモテモテになる、幻を見せてあげてまーす。」
などという世界最悪であり、この世で最低な拷問をしていたので、もうやる奴はいないだろう。
さて、それはそれとして。俺も目の前の光景を移しかえ、アマリア様を映し出す。見た所、槍を構え警戒中といったところだろうか。罠のように周囲に、残滓を残さないのは、魔法がどんなものかを推測されないようにするためか?
さて、エミリアはどこだろうか。画面を移し替える、しかし。
「・・・ん、どこだ?」
いない。確かにエミリアを映しているはずなのだが、その画面には誰も映っていない。せいぜい映っているのは、少し霞みがかった、霧のような空気だけでーー。すると、驚くことが起きる。その霧のような空気が集まったかと思えば、そこにはエミリアが立っていた。どういうことなんだ?
俺の疑念を他所に、エミリアはもう一度霧となる。その様子を見るに、原理はわからないがずっと霧になっていられる訳ではないのだろう。
さて、俺の視界にアマリア様が映る。これは、エミリアがアマリア様の周辺まで来たということだ。しかし、エミリアが、姿を消しているも同然なので、アマリア様はおそらく気づけていない。これは、エミリアが先手を打つか?
そう思いながら見ていたら、エミリアが行動を起こした。アマリア様の背後に視点が移り、霧が集まって来てエミリアを形作り、そしてエミリアが獲物であるロングソードを振り下ろす。
が、アマリア様は直前で察知したようで、振り向きざまに槍を横に持ち、そのロングソードを受け止める。そしてそのまま力づくでエミリアを弾き飛ばす。
「ーーびっくりした。あなたどこから現れたのよ。」
と、アマリア様が構えを崩さずに問いかける。その問いに、エミリアも驚いた顔で、
「あや、私の方がびっくりですよ。なんで気づけたんです?」
「どうも後ろに誰かいる気がしただけ、まぐれよ。というか、私の質問に答えなさいな。」
「あはは、戦う相手にそんなこと教えたりしませんよー。」
「ま、それもそうね。」
2人が同時に動き始め、何度か武器を交わす。その様子を見て、アマリア様の方が武芸に富んでいることがわかる。このまま続ければ、エミリアは押し切られて負けるのがオチだ。さらに、
「ーーいたっ!?」
アマリア様の魔法、残留によら残された武器の軌跡にエミリアの脇腹が切れ、血をこぼす。これは勝負ついたな。
「隙ありっ!」
アマリア様がエミリアの隙を見逃すわけもなく、見事にエミリアは腹を貫かれ、血を吹き出し倒れる。うーむ、エミリアの負けか。
「ーーあ、これ自殺しないといけないのでしたね。」
アマリア様がひとりごちる。俺はリヒター殿との戦いでは自殺せずとも直後に死んでいるので問題なかったが、みんなは自殺しないといけないのか。そういえばグウェントも腹切ってたな。
ーーん、待てよ。血を吹き出し、倒れる?いや、それはおかしい。ここは、幻想の世界で、死ねば元の世界に戻るはず。てことは、まさか。映し出された映像を見て、俺は自分の仮説を確信する。
「ーー油断大敵ですよ、アマリア様。」
アマリア様の体を後ろからロングソードが貫く。そこには、先ほど死んだはずのエミリアが無傷で再度立ち上がっていた。アマリア様がゆっくりと振り返りながら、
「な、なん、で・・・?」
と聞くと、エミリアは口元に指をやり、
「んー、それは秘密です。他の人に手の内を晒したくないので。ただ、1つだけ言いますと。」
そして背中からばさっ、と翼を生やし、妖艶な笑みを浮かべて
「ーー私、吸血鬼なんです。」
と、伝説の生物であることをさらりと明かすのだった。
#####
その後、アマリア様が戻ってくると早速、
「まさか、一回戦敗退なんて・・・。」
「はっはっは、お揃いだな、アマリア!」
「うるさいわね、このバカ!」
なんて、兄弟仲睦まじくやっていたが、それはほっといて、俺としては吸血鬼が気になって仕方ない。なぜか真横に座っているミーナ様に聞いてみよう。
「ミーナ様、吸血鬼って知ってますか?」
「ミーナ。」
「へ?」
「堅苦しい、ウザい。」
お、おおう。心に来たぞ今の。つまり、なんだ。呼び捨てにしろと。
「いや、しかし王族相手に呼び捨ては・・・。」
「二度は言わない。」
・・・なんだろう、有無を言わさぬ圧力がある。まぁ、俺としても最近もしかして俺って堅苦しいのかな、なんて思っていたところだ。これを機に少しずつ砕けた喋り方ができるようにしてみよう。
「ええと、ミーナ。吸血鬼って知ってます、あー、知ってるか?」
「うん。ていうか、逆に知らないの珍しい。大丈夫?」
「あ、まあ「頭。」別、あー、そういう意味ですか。」
待てよ、ミーナ様こんな毒舌だっけ。ビックリするくらい心エグりにくるんだが。隣に座ってたし、嫌われてはないと思うんだが。
「・・・ん、まあ説明したげる。」
と、まあありがたくもミーナさ、いやミーナに説明してもらったところ。
いわく、吸血鬼とは伝説上だけの存在だったと。
いわく、吸血鬼とは不死の存在だと。
いわく、吸血鬼とは変幻自在だと。
まぁ、俺のいた世界とほぼ同じ感じである。ただ、違ったのは。
「日光で燃えたりしないのか?」
「するわけない。なんで、人型の生物がいきなり日光に燃やされるの?」
という感じに、おおよそ弱点と呼べるものが無かった。やばくないか、それ。伝説レベルにハイスペックで、かつ弱点がないとかおかしいぞ。
「まあ、そんな感じ。わかった?」
「あ、はい、あー、じゃなくて、あぁ、わかったよ。」
とりあえずミーナとの会話を終える。うーむしかし、弱点がない、なんてことはないと思う。生物である以上、何かしら欠点というものを抱えているはずなのだ。だが、今の戦闘のみでは、その事について推測すらも立てられない。
ーー次のエミリアの戦いで、また情報を集めるのが一番か。とりあえずは、94試合目のミーナの試合を見よう。そういえば、ミーナの魔法もわかってないのだった。今回の試合で何かわかればいいけれど。
グウェントの相手は斧使いだったようで、試合開始と同時にちょうどグウェントの背後に現れることができたらしく、奇襲を仕掛けたようだったけれども。
グウェントがそれを察知して、振り向きざまに一閃。その1発で試合終了してしまった。なんだそりゃ。
「グウェントさんもなんとも味気ない顔してますね。」
「あー、ティナもそう思うか?すごい微妙な顔してるよな。」
「まぁ、グウェント気合い入れてたしね・・・。」
「グウェントかわいそー。」
びっくりした。いつのまにかクーネが会話に混じってる。・・・あれ、そう言えばクーネの試合って何番目なんだ?確認し忘れてたから、わからないぞ。
「おや、クーネではないか。調子はどうだ?」
「げんきー!」
「はっはっは!それはいいことだな!ところで、貴殿は何番目に試合があるのだ?」
「えーと、123ー!」
ーーえ、123?それは確か、ディーナと同じじゃないか?
「わお、じゃあ私とクーネちゃんで試合なんだ?」
さらにびっくりした。頭上からまるでコウモリのように頭をぶら下げてくるのはやめてほしい。ていうか、それどうなってるんだ?・・・あ、チェーンソーを突き立ててそれに足をかけてるのか。いや、武器の使い方としてそれはどうなんだ?
「ディーナと試合?」
「うん、そうだよ。クーネちゃんと私が戦うみたいだよ。」
「まけないもん!」
「あはは、私も負けないよ!」
微笑ましや、友情が芽生えている。そう言えば、クーネの戦闘能力はまだ何もわかってないのか。いきなりディーナの相手は荷が重いかもしれないが、今からこの2人の試合が楽しみだ。
ーーその後、アリスとティナは危なげなく試合に勝利。そして、アマリア様の順番が回って来た。先ほどの俺にファンクラブのことを教えてくれたエミリアとの試合だ。
アマリア様の魔法は、初見で回避するのが非常に難しい。なにせ、残留した軌道は見えないので、戦いの最中にその位置をある程度把握し続けなければならない。だけど普通、相手の振るった武器の軌道なんて覚えてない。だから、知らなければ避けられないのが普通の厄介な魔法なのだ。
「はーい、じゃあ42回戦を始めまーす!次の子達出てきてねー!」
それにしても。校長先生は体感時間的には既に1.2日くらい経ってそうなんだが、ピンピンしてるな。おかしいだろ、あの人。
お、アマリア様が出てきた。その逆側にはエミリアも出てきた。俺を見つけたらしく、手を振っている。一応俺も手を振っておく。それを見て、嬉しそうな顔になった。なんか、後輩感が強いな。
「んとー、場所はー、山岳地帯ですー!お互いに、全力を尽くしてくださいねー!では、始めー!」
途端視界が歪む。その歪みに耐え切れず、目を閉じ、次に目を開ければ。俺は既に宙に浮いていた。四方八方をガラスの壁に包まれた状態で上空に座っていると言えばわかるだろうか。これは、高所恐怖症の人は耐え切れないだろうな、と今日何度目かわからないが、そんな感想を抱く。
ちなみにこの空間も幻なので、かなり融通がきく。例えば、望んだ光景を写したり。周囲に他の観客もいるが、皆が別の光景を見ていることがほとんどだ。あ、それとまさかそんなことをする奴がいるとは思えないが、もしスカートの中を覗こう、なんて考えるとロクデモナイことが起きる。
というか実際、さっき実行した奴がいたがその瞬間にそいつが何かから逃げるような動きを見せ、
「ひ、うわぁぁ!!??やめ、来るなぁぁぁ!」
と泣き喚いていたので、何事かと思えば、セレナ校長がとても和やかな顔で、
「あー、その人は猥褻行為、つまりー、エッチなことをしようとしたのでー、黒いナニカたちからモテモテになる、幻を見せてあげてまーす。」
などという世界最悪であり、この世で最低な拷問をしていたので、もうやる奴はいないだろう。
さて、それはそれとして。俺も目の前の光景を移しかえ、アマリア様を映し出す。見た所、槍を構え警戒中といったところだろうか。罠のように周囲に、残滓を残さないのは、魔法がどんなものかを推測されないようにするためか?
さて、エミリアはどこだろうか。画面を移し替える、しかし。
「・・・ん、どこだ?」
いない。確かにエミリアを映しているはずなのだが、その画面には誰も映っていない。せいぜい映っているのは、少し霞みがかった、霧のような空気だけでーー。すると、驚くことが起きる。その霧のような空気が集まったかと思えば、そこにはエミリアが立っていた。どういうことなんだ?
俺の疑念を他所に、エミリアはもう一度霧となる。その様子を見るに、原理はわからないがずっと霧になっていられる訳ではないのだろう。
さて、俺の視界にアマリア様が映る。これは、エミリアがアマリア様の周辺まで来たということだ。しかし、エミリアが、姿を消しているも同然なので、アマリア様はおそらく気づけていない。これは、エミリアが先手を打つか?
そう思いながら見ていたら、エミリアが行動を起こした。アマリア様の背後に視点が移り、霧が集まって来てエミリアを形作り、そしてエミリアが獲物であるロングソードを振り下ろす。
が、アマリア様は直前で察知したようで、振り向きざまに槍を横に持ち、そのロングソードを受け止める。そしてそのまま力づくでエミリアを弾き飛ばす。
「ーーびっくりした。あなたどこから現れたのよ。」
と、アマリア様が構えを崩さずに問いかける。その問いに、エミリアも驚いた顔で、
「あや、私の方がびっくりですよ。なんで気づけたんです?」
「どうも後ろに誰かいる気がしただけ、まぐれよ。というか、私の質問に答えなさいな。」
「あはは、戦う相手にそんなこと教えたりしませんよー。」
「ま、それもそうね。」
2人が同時に動き始め、何度か武器を交わす。その様子を見て、アマリア様の方が武芸に富んでいることがわかる。このまま続ければ、エミリアは押し切られて負けるのがオチだ。さらに、
「ーーいたっ!?」
アマリア様の魔法、残留によら残された武器の軌跡にエミリアの脇腹が切れ、血をこぼす。これは勝負ついたな。
「隙ありっ!」
アマリア様がエミリアの隙を見逃すわけもなく、見事にエミリアは腹を貫かれ、血を吹き出し倒れる。うーむ、エミリアの負けか。
「ーーあ、これ自殺しないといけないのでしたね。」
アマリア様がひとりごちる。俺はリヒター殿との戦いでは自殺せずとも直後に死んでいるので問題なかったが、みんなは自殺しないといけないのか。そういえばグウェントも腹切ってたな。
ーーん、待てよ。血を吹き出し、倒れる?いや、それはおかしい。ここは、幻想の世界で、死ねば元の世界に戻るはず。てことは、まさか。映し出された映像を見て、俺は自分の仮説を確信する。
「ーー油断大敵ですよ、アマリア様。」
アマリア様の体を後ろからロングソードが貫く。そこには、先ほど死んだはずのエミリアが無傷で再度立ち上がっていた。アマリア様がゆっくりと振り返りながら、
「な、なん、で・・・?」
と聞くと、エミリアは口元に指をやり、
「んー、それは秘密です。他の人に手の内を晒したくないので。ただ、1つだけ言いますと。」
そして背中からばさっ、と翼を生やし、妖艶な笑みを浮かべて
「ーー私、吸血鬼なんです。」
と、伝説の生物であることをさらりと明かすのだった。
#####
その後、アマリア様が戻ってくると早速、
「まさか、一回戦敗退なんて・・・。」
「はっはっは、お揃いだな、アマリア!」
「うるさいわね、このバカ!」
なんて、兄弟仲睦まじくやっていたが、それはほっといて、俺としては吸血鬼が気になって仕方ない。なぜか真横に座っているミーナ様に聞いてみよう。
「ミーナ様、吸血鬼って知ってますか?」
「ミーナ。」
「へ?」
「堅苦しい、ウザい。」
お、おおう。心に来たぞ今の。つまり、なんだ。呼び捨てにしろと。
「いや、しかし王族相手に呼び捨ては・・・。」
「二度は言わない。」
・・・なんだろう、有無を言わさぬ圧力がある。まぁ、俺としても最近もしかして俺って堅苦しいのかな、なんて思っていたところだ。これを機に少しずつ砕けた喋り方ができるようにしてみよう。
「ええと、ミーナ。吸血鬼って知ってます、あー、知ってるか?」
「うん。ていうか、逆に知らないの珍しい。大丈夫?」
「あ、まあ「頭。」別、あー、そういう意味ですか。」
待てよ、ミーナ様こんな毒舌だっけ。ビックリするくらい心エグりにくるんだが。隣に座ってたし、嫌われてはないと思うんだが。
「・・・ん、まあ説明したげる。」
と、まあありがたくもミーナさ、いやミーナに説明してもらったところ。
いわく、吸血鬼とは伝説上だけの存在だったと。
いわく、吸血鬼とは不死の存在だと。
いわく、吸血鬼とは変幻自在だと。
まぁ、俺のいた世界とほぼ同じ感じである。ただ、違ったのは。
「日光で燃えたりしないのか?」
「するわけない。なんで、人型の生物がいきなり日光に燃やされるの?」
という感じに、おおよそ弱点と呼べるものが無かった。やばくないか、それ。伝説レベルにハイスペックで、かつ弱点がないとかおかしいぞ。
「まあ、そんな感じ。わかった?」
「あ、はい、あー、じゃなくて、あぁ、わかったよ。」
とりあえずミーナとの会話を終える。うーむしかし、弱点がない、なんてことはないと思う。生物である以上、何かしら欠点というものを抱えているはずなのだ。だが、今の戦闘のみでは、その事について推測すらも立てられない。
ーー次のエミリアの戦いで、また情報を集めるのが一番か。とりあえずは、94試合目のミーナの試合を見よう。そういえば、ミーナの魔法もわかってないのだった。今回の試合で何かわかればいいけれど。
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