62 / 135
side久賀2-3
しおりを挟む
ちょっぴり、黒曜さまに似ていなくもないが、鋭い光は、雇い主を上回る淀みっぷり。
多分、本能はヤベェと警告を発したと思う。
「いいいま、ヒイロって言った?」
「いや、言ったのは俺じゃないけど……」
「久賀君が緋色なんだね!!あ、ああ、夢みたい!夢みたいだよ。黒曜さんにお願いしても、ずっと緋色には会わせて貰えなかったから。死んだとか海外に移住したとか薬中で病院に送られたとか人を殺して刑務所にいるとかいろんな噂はきいたけど、ああ、やっぱり僕の緋色は無敵で不死身なんだ」
……どうしよう。あぶないこの子。
目がイってる。
薬チュウなのはお前じゃないの、なんて失礼なセリフを飲み込んで、痛いくらいに強い力で掴まれている腕を解放して貰おうと、さり気なく身体を引いたが無駄だった。
ちらりと視線を動かし助けを求めた雇い主は、氷のように冷ややかな眼差しを向けてくる。
「ふん、男と見ればすぐに咥えるあばずれが。ちょうど良い、謹慎中はソレと遊んでいろ」
ガンとドアは閉じられて、あまりの言い分にちょっぴり……いやマジで腹が立った。
よくも人をヤれたらOKなビッチ呼ばわりしてくれやがったな、この野郎。
こっちは生活かかってんだよ。
つーか咥える相手ぐらい選ぶっての!最低指五本は出していただかなければ、股なんざホイホイ開けるかっ。
ドアを蹴り上げて誰がアバズレだドエスが、クタバレ。と叫んでやった。
天下のコクヨーさまにそんな口の効き方が出来るのは、余程空気の読めない救い用のない馬鹿か、自殺願望があるキチガイくらいだなんて言われていたり。
ドエス帝の冷酷さを知ってるヤツは、命知らずなガキに関わってとばっちり喰うのが恐ろしいらしく、大抵は向こうから距離を置いてくれるわけですがね。
「すごい……黒曜さんにそんな態度とれるなんて……やっぱり緋色は凄いよ」
今回ばかりは逆効果。
どこでどう道を誤っちゃったのかは知らないが、命知らずで守銭奴な俺に注がれるのは、理想と妄想と偶像を塗り固めたようなイかれた眼差し。
昔の俺なら、気に入らなければ誰だろうが蹴り飛ばしてとんずらしただろうけど、生活かかってる今は違う。
バイト先で、明らかに関係者っぽいヤツが相手だとつい利害の事を考えちゃうんだよね。さて、黒曜の言葉に逆らって逃げるべきか、コレを相手に金を稼ぐべきか。
嫌だなだの、面倒くさいなだの思ったのは、何故でしょうね。
詳しく話を聞いてみたら、どうやらコイツは黒曜さまの従兄弟で、現若頭の弟という立場&金銭面では十分な相手じゃないですか。
余談ですが、黒曜さまは所謂、地元一帯でしのぎを削る一家の頭で、いろいろ手広く事業をおこなっていまして(表も裏もだ)俺はその端っこの方でちょろっと稼がせて貰っているわけですよ。
因みに俺はあくまでもカタギなので門弟だの舎弟だのに名を連ねた記憶はないので悪しからず。
閑話休題っと。
バイトを謹慎させられてる現在、収入源は押さえとくに限るのに、どうも気乗りしない。
最近、ぬるま湯のような日常に浸りすぎだった所為だろうか。
キラキラな光を放っていても、歪みを抱いた眼差しには少しも心引かれなかった。
寧ろ、どっかのワンコとは全然違うななんて考えて、自分の腑抜け加減に吐き気がした。
おかしいな、歪んでいるくらいが俺にはちょうど良いはずなのに。
「ちゃんと家帰って寝ろよ」とついさっき別れたわんこの言葉が蘇って、その通りにしときゃぁ良かったと思わないでもなかったが……。
そもそもいま職を失いかけてるのはお前の所為だぞワンコ、と理不尽に八つ当たりをしてみたり。
結局、脳内でキラキラの笑顔を放つバカ犬の記憶は、無理矢理頭の隅に追いやって、歪んだキラキラを相手にすることにした。
「えーと、安田くん、だっけ?取りあえず緋色って呼ぶのは止めてね」
にっこり営業スマイルと、精一杯の色気を含んだ声音でお客様のお相手をする。
一円でも多く稼ぐためならば、コネだろうが色だろうが利用しつくしてあげましょう。
愛はいりません。
優しさも不必要です。
カラダと偽物の愛情ならいくらでも差し上げますから、ねぇお客様。
俺にお金を下さいな。
さぁ、紛い物の天国へイってみようか。
多分、本能はヤベェと警告を発したと思う。
「いいいま、ヒイロって言った?」
「いや、言ったのは俺じゃないけど……」
「久賀君が緋色なんだね!!あ、ああ、夢みたい!夢みたいだよ。黒曜さんにお願いしても、ずっと緋色には会わせて貰えなかったから。死んだとか海外に移住したとか薬中で病院に送られたとか人を殺して刑務所にいるとかいろんな噂はきいたけど、ああ、やっぱり僕の緋色は無敵で不死身なんだ」
……どうしよう。あぶないこの子。
目がイってる。
薬チュウなのはお前じゃないの、なんて失礼なセリフを飲み込んで、痛いくらいに強い力で掴まれている腕を解放して貰おうと、さり気なく身体を引いたが無駄だった。
ちらりと視線を動かし助けを求めた雇い主は、氷のように冷ややかな眼差しを向けてくる。
「ふん、男と見ればすぐに咥えるあばずれが。ちょうど良い、謹慎中はソレと遊んでいろ」
ガンとドアは閉じられて、あまりの言い分にちょっぴり……いやマジで腹が立った。
よくも人をヤれたらOKなビッチ呼ばわりしてくれやがったな、この野郎。
こっちは生活かかってんだよ。
つーか咥える相手ぐらい選ぶっての!最低指五本は出していただかなければ、股なんざホイホイ開けるかっ。
ドアを蹴り上げて誰がアバズレだドエスが、クタバレ。と叫んでやった。
天下のコクヨーさまにそんな口の効き方が出来るのは、余程空気の読めない救い用のない馬鹿か、自殺願望があるキチガイくらいだなんて言われていたり。
ドエス帝の冷酷さを知ってるヤツは、命知らずなガキに関わってとばっちり喰うのが恐ろしいらしく、大抵は向こうから距離を置いてくれるわけですがね。
「すごい……黒曜さんにそんな態度とれるなんて……やっぱり緋色は凄いよ」
今回ばかりは逆効果。
どこでどう道を誤っちゃったのかは知らないが、命知らずで守銭奴な俺に注がれるのは、理想と妄想と偶像を塗り固めたようなイかれた眼差し。
昔の俺なら、気に入らなければ誰だろうが蹴り飛ばしてとんずらしただろうけど、生活かかってる今は違う。
バイト先で、明らかに関係者っぽいヤツが相手だとつい利害の事を考えちゃうんだよね。さて、黒曜の言葉に逆らって逃げるべきか、コレを相手に金を稼ぐべきか。
嫌だなだの、面倒くさいなだの思ったのは、何故でしょうね。
詳しく話を聞いてみたら、どうやらコイツは黒曜さまの従兄弟で、現若頭の弟という立場&金銭面では十分な相手じゃないですか。
余談ですが、黒曜さまは所謂、地元一帯でしのぎを削る一家の頭で、いろいろ手広く事業をおこなっていまして(表も裏もだ)俺はその端っこの方でちょろっと稼がせて貰っているわけですよ。
因みに俺はあくまでもカタギなので門弟だの舎弟だのに名を連ねた記憶はないので悪しからず。
閑話休題っと。
バイトを謹慎させられてる現在、収入源は押さえとくに限るのに、どうも気乗りしない。
最近、ぬるま湯のような日常に浸りすぎだった所為だろうか。
キラキラな光を放っていても、歪みを抱いた眼差しには少しも心引かれなかった。
寧ろ、どっかのワンコとは全然違うななんて考えて、自分の腑抜け加減に吐き気がした。
おかしいな、歪んでいるくらいが俺にはちょうど良いはずなのに。
「ちゃんと家帰って寝ろよ」とついさっき別れたわんこの言葉が蘇って、その通りにしときゃぁ良かったと思わないでもなかったが……。
そもそもいま職を失いかけてるのはお前の所為だぞワンコ、と理不尽に八つ当たりをしてみたり。
結局、脳内でキラキラの笑顔を放つバカ犬の記憶は、無理矢理頭の隅に追いやって、歪んだキラキラを相手にすることにした。
「えーと、安田くん、だっけ?取りあえず緋色って呼ぶのは止めてね」
にっこり営業スマイルと、精一杯の色気を含んだ声音でお客様のお相手をする。
一円でも多く稼ぐためならば、コネだろうが色だろうが利用しつくしてあげましょう。
愛はいりません。
優しさも不必要です。
カラダと偽物の愛情ならいくらでも差し上げますから、ねぇお客様。
俺にお金を下さいな。
さぁ、紛い物の天国へイってみようか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕の王子様
くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。
無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。
そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。
見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。
元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。
※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる