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side久賀2-5
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ヒトの痛みが、分からないわけではない。
ヒトを愛することの喜びと、不安を知らないわけではない。
多分、コイツと俺はちょっと似ている。
嫌悪があるとすれば、同族に対するソレだ。
痛みを知らないわけではなくて、ただ、誰がどうなろうがどうでも良い。知った上で、理解した上で、それがなに?と切り捨てられる。
最低とか冷酷なんて言葉は聞き飽きた。
自覚もしているし、改善する気もありません。
だからさ、誰かの心を捧げて貰う価値なんて、俺には無いんですよ。
早く気づいて、早々に諦めて。
「世界よりも、愛しているヒトがいるよ」
にっこりと笑って、俺の全霊を込めた言葉を音にした。
紛い物の愛情なら、いくらでもあげましょう。
ホンモノが欲しいヒトは回れ右。
俺の一番はとっくに売約済みだから、足掻くだけ無駄だと理解しましょう。
緋色の獣の補足情報をドエス帝から貰って下さい。
絶対無敵な孤高のノラネコは、無慈悲で残酷で自己中心的なんですよ。
ああ、救いようがないとはまさにこの事だな。
御愁傷さま、安田くん。
※※※※※※※※※
ケロケロ吐きながら夕暮れ道を進むのは、前回トモに助けを求めて以来だ。
あー……ぬるま湯につかりきった生活をしていたわけだ。まったくたかだか2日間寝てないだけでグロッキーだとか、勘弁して頂きたい。
飯もろくに喰わずにセックスに励んだ結果、胃の中は空っぽで吐き出せるのは胃液くらいだ。
寝不足でガンガン音を立てる頭。
脳みそが、半分くらい腐ってんじゃねぇの?なんて思えたんだけど……あー、マテマテ。脳みそ自体に痛覚はねぇーんだっけ?じゃぁトロトロにとけてもわかんねぇのかね。半分脳が腐っても図太く生きれるのは牛だっけか……じゃぁ猫には無理だ。俺は猫らしいから。
「うーん、シリアスモードがキライだからって脳の腐敗をネタにするとか、夜ですよ、りゅーじさん」
今からひとりで家までの道のりを帰るわけですよ?
脳みそ半分飛び出した落ち武者とか、ゾンビとか、飛び降り自殺者の霊とかにバッタリ出会ったらどうしよう。
ちょーいやだ。いっそ死にたい。
車で家まで送るよという申し出を断ったのは、自宅の場所を知られたくないから……って理由だけじゃなくて、明らかにカタギじゃねぇ雰囲気丸出しな車で家の前に乗り付けられたら困るからです。
史ちゃんにバレるってゆーか殺される。
あと、泣かれる。
他人への興味や執着が全くない分、史ちゃんとトモのふたりにいろいろ集中しすぎだよな。
自覚はしてる。こっちは、出来るコトなら改善もしたい。
史ちゃんもそーだけど、トモに頼るのもそろそろ止めなければ。
何時までもフザケたガキの足掻きに付き合わせたら可哀想だ。
ヒトリ寝が怖いとか、そーゆー情けない理由で膝枕希望するのは、高校生男子としてどーなの?と常々思ってはいるのだよ、諸君。……いや、諸君っつても、まわりは誰もいないですが。うん、そろそれガチで限界か、俺の脳みそ。
「……うぇ、だからさ、吐くモノ、ねぇよ」
気持ち悪い。
壁に片手をついて、崩れ落ちそうになりながら足を動かした。
見えるモノも触れるモノも聞こえるモノも、全部煩わしくて面倒くさい。
ただ、呼吸をする事だけに、あらゆる力が必要みたいだ。
帰りたいと、心のどこかが叫んでいる。
帰りたい、帰りたい、家に帰りたい。
あの人がいる場所に帰りたい。ああ、でも……。
「んな資格ねぇだろうが、ふざけんなよ糞がっ」
怒りは、何時でも、胸の中で煮えたぎっている。
自分自身に対する、狂わんばかりの恫喝と、情熱に満ちた憎悪だ。
熱く激しく、愛を語るよりも真摯に俺は俺自身を憎んでいる。だから決して俺は俺を許したりはしないだろう。
気紛れのカミサマが気紛れに微笑んでくれる日まで。
ヒトカケラの許しもいらない。
さぁ。
忘れたのなら、何度でも繰り返し繰り返し繰り返し繰り返して、魂に刻み込もうか。
いま何のために息をして。
何を得るために笑って。
誰を生かすために生きているのか。
目をそらすな、甘えるな、救われたいだなんて思うな。
自分が吐いた言葉を思い出せ。その代償も思い出せ。
忘れて、楽になりたいだなんて、死んで終わりにしたいだなんて、そんなことが許されると思うな。
俺は俺から唯一を奪ったんだ。
絶対にっ、たとえ家族や兄弟や友達が許しても、恋人や司法や世界が許しても、空にいるカミサマが許すと微笑んだって、俺は俺を絶対に……っ。
「ちょっ!どうしたんだよこんなとこで!!!」
赤くて暗い闇を吹き飛ばす、あり得ないくらいキラキラな光。
少しの陰りもない、きれいな光が、ぴかぴかの魂がそこにある。
呆然とその光を見上げた。
何だろう、このイキモノは。
何なのだろう、このイキモノは。
ヒトを愛することの喜びと、不安を知らないわけではない。
多分、コイツと俺はちょっと似ている。
嫌悪があるとすれば、同族に対するソレだ。
痛みを知らないわけではなくて、ただ、誰がどうなろうがどうでも良い。知った上で、理解した上で、それがなに?と切り捨てられる。
最低とか冷酷なんて言葉は聞き飽きた。
自覚もしているし、改善する気もありません。
だからさ、誰かの心を捧げて貰う価値なんて、俺には無いんですよ。
早く気づいて、早々に諦めて。
「世界よりも、愛しているヒトがいるよ」
にっこりと笑って、俺の全霊を込めた言葉を音にした。
紛い物の愛情なら、いくらでもあげましょう。
ホンモノが欲しいヒトは回れ右。
俺の一番はとっくに売約済みだから、足掻くだけ無駄だと理解しましょう。
緋色の獣の補足情報をドエス帝から貰って下さい。
絶対無敵な孤高のノラネコは、無慈悲で残酷で自己中心的なんですよ。
ああ、救いようがないとはまさにこの事だな。
御愁傷さま、安田くん。
※※※※※※※※※
ケロケロ吐きながら夕暮れ道を進むのは、前回トモに助けを求めて以来だ。
あー……ぬるま湯につかりきった生活をしていたわけだ。まったくたかだか2日間寝てないだけでグロッキーだとか、勘弁して頂きたい。
飯もろくに喰わずにセックスに励んだ結果、胃の中は空っぽで吐き出せるのは胃液くらいだ。
寝不足でガンガン音を立てる頭。
脳みそが、半分くらい腐ってんじゃねぇの?なんて思えたんだけど……あー、マテマテ。脳みそ自体に痛覚はねぇーんだっけ?じゃぁトロトロにとけてもわかんねぇのかね。半分脳が腐っても図太く生きれるのは牛だっけか……じゃぁ猫には無理だ。俺は猫らしいから。
「うーん、シリアスモードがキライだからって脳の腐敗をネタにするとか、夜ですよ、りゅーじさん」
今からひとりで家までの道のりを帰るわけですよ?
脳みそ半分飛び出した落ち武者とか、ゾンビとか、飛び降り自殺者の霊とかにバッタリ出会ったらどうしよう。
ちょーいやだ。いっそ死にたい。
車で家まで送るよという申し出を断ったのは、自宅の場所を知られたくないから……って理由だけじゃなくて、明らかにカタギじゃねぇ雰囲気丸出しな車で家の前に乗り付けられたら困るからです。
史ちゃんにバレるってゆーか殺される。
あと、泣かれる。
他人への興味や執着が全くない分、史ちゃんとトモのふたりにいろいろ集中しすぎだよな。
自覚はしてる。こっちは、出来るコトなら改善もしたい。
史ちゃんもそーだけど、トモに頼るのもそろそろ止めなければ。
何時までもフザケたガキの足掻きに付き合わせたら可哀想だ。
ヒトリ寝が怖いとか、そーゆー情けない理由で膝枕希望するのは、高校生男子としてどーなの?と常々思ってはいるのだよ、諸君。……いや、諸君っつても、まわりは誰もいないですが。うん、そろそれガチで限界か、俺の脳みそ。
「……うぇ、だからさ、吐くモノ、ねぇよ」
気持ち悪い。
壁に片手をついて、崩れ落ちそうになりながら足を動かした。
見えるモノも触れるモノも聞こえるモノも、全部煩わしくて面倒くさい。
ただ、呼吸をする事だけに、あらゆる力が必要みたいだ。
帰りたいと、心のどこかが叫んでいる。
帰りたい、帰りたい、家に帰りたい。
あの人がいる場所に帰りたい。ああ、でも……。
「んな資格ねぇだろうが、ふざけんなよ糞がっ」
怒りは、何時でも、胸の中で煮えたぎっている。
自分自身に対する、狂わんばかりの恫喝と、情熱に満ちた憎悪だ。
熱く激しく、愛を語るよりも真摯に俺は俺自身を憎んでいる。だから決して俺は俺を許したりはしないだろう。
気紛れのカミサマが気紛れに微笑んでくれる日まで。
ヒトカケラの許しもいらない。
さぁ。
忘れたのなら、何度でも繰り返し繰り返し繰り返し繰り返して、魂に刻み込もうか。
いま何のために息をして。
何を得るために笑って。
誰を生かすために生きているのか。
目をそらすな、甘えるな、救われたいだなんて思うな。
自分が吐いた言葉を思い出せ。その代償も思い出せ。
忘れて、楽になりたいだなんて、死んで終わりにしたいだなんて、そんなことが許されると思うな。
俺は俺から唯一を奪ったんだ。
絶対にっ、たとえ家族や兄弟や友達が許しても、恋人や司法や世界が許しても、空にいるカミサマが許すと微笑んだって、俺は俺を絶対に……っ。
「ちょっ!どうしたんだよこんなとこで!!!」
赤くて暗い闇を吹き飛ばす、あり得ないくらいキラキラな光。
少しの陰りもない、きれいな光が、ぴかぴかの魂がそこにある。
呆然とその光を見上げた。
何だろう、このイキモノは。
何なのだろう、このイキモノは。
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