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第86話
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「おーがみー。かーえろ!」
いつでもニコニコ笑顔の西河原は、今日も真夏の太陽みたいな明るさを背負って、教室に入ってきた。
俺と目が合うと一目散に走ってきて、がばっと抱きつく。
ガードした鞄ごと腕の中。
周りの視線が痛いから、マジで止めて下さい。
「ちょっ。ニッシー!俺のハニーになにやってんの!」
誰が誰のハニーだ。と突っ込む暇もなく、お調子者の大山が西河原ごと抱きついてきた。
そして、大山に引っ付いてクラスのノリよい男子たちが乗っかる。
「浮気はゆるさぁぁん!!」
「オガミンワンコは俺のモノだー!!」
「いや俺のだ!」
「俺だ俺だ」
「じゃ。俺は大山貰うわ」
「いやん。田村くんたらっ。残念だけど大山くんはみんなのアイドルだからっ」
取りあえず。大山は黙ればいい。一番最初に抱きついてきた西河原がきっかけだけど、周りの男子が調子に乗ったのは確実に大山の所為だ。
はじめは皆、見た目がアレな西河原を(とゆーかいつも一緒にいる椎名を)ちょっぴし怖がって遠巻きにしていたクセに、頭に超がつくお天気男、大山が先陣を切って人見知りな壁を飛び越えた。いや、蹴り崩した。
大山だったら言葉も通じず、文化も違う少数部族の中に放り込まれても、難なくやっていけそうな気がする。
バカだから。
「どいつもこいつもうぜぇ!離れろボケ!」
「きゃー!尾上殿ご乱心。ご乱心じゃぁ」
「殿中でござる!殿中でござる!!」
「君は完全に包囲されている!大人しく投降して肉球を触らせなさい」
「ちょー。最後だけ時代がおかしいよ春野くん!時代統一して」
時代うんぬんはどうでもいい。そんなことよりも肉球はどっからきた?
お前等みんな小学生か。
う○こ、う○こ連呼しながら走り回る小学生並みだぞ。……うん。ちょっと偏見甚だしかったね、ごめん。
「なぁなぁ。おーやま、ニッシーって俺?」
西河原が大山を捕まえて訊いた。
大山はね、テキトーなあだ名をふざけて付けまくるんです。
おがみんって言い出したのも大山が最初ではなかっただろうか……。ま。普段はちゃんと尾上って呼んでくれるけどな。
「おう。ニシガワラって言い終わる前に舌噛みそうでさ。ニッシーってカッコ良くね?ネッシーみたいでさ」
ネッシー=格好いいなんて方程式、誰が生み出したよ?
お前の勝手な思い込みだ大山。
西河原はキョトンとしたあと、まるで星を浮かべたかのように目を輝かせた。
「ニッシー!いいね!あだ名とかはじめてー」
嬉しいよー。と西河原は大山に抱き付いて、ほっぺにキスをする。
西河原は……キス魔らしい。
きゃーぁ!と一部の女子が黄色い悲鳴をあげた。
大山がほっぺたを押さえて「いやん、突然なにするのさニッシー。照れるじゃない」とフザケる。
大山強い……俺はヤローにキスされるとか例えほっぺたでも、ゾワゾワ鳥肌モノでしたけど?
いや、まぁ……久賀は例外ですけども。
「むっふー。ほっぺちゅーくらいで照れるとかかぁいいのー。なんならガチちゅーでもいいよー」
「うははー!!お気持ちだけで腹一杯ですー」
流石にマジで唇奪われたら堪らないと、予想外な行動をとる相手を警戒し、大山が賢く逃げた。
うん、生存本能高そうだな、大山。
「ちぇー、じゃあ別のヒトでいいや……おーがみ」
「へ?」
そして、どうやら俺は生存本能があまり高く無いらしい。
周りを見れば、男子たちは先程より数歩ほど離れた場所にさっさと避難していた。
ぼけっと間抜け面を晒して、立っていたのは俺だけだったらしい。
ふ、ふ、ふ!と悪役よろしく、演技掛かった笑い声をあげながら、西河原が距離を詰めた。
やべぇ。と思ったときにはすでに遅し、ガシッと肩を掴まれて、にやにや顔と向き合うカタチ。
ひゅーひゅー。だの。
オガミンにげてぇー。だの。
いいぞーニッシー。だの。
キースしろ!キースしろ!だの。
みんな好き勝手に囃したててくれやがって貴様らぁぁ。
「にゃは。みんなノリ良いね。もう、コレは期待に応えるしかないっしょ?」
「はぁー?冗談じゃっ」
「だいじょーぶ。俺テクニシャンだから。いただきまーす」
「いい加減にしろ。歩く猥褻物がっ!!」
すぱーん!とコントの突っ込みみたいな小気味よい音を発し、西河原の頭をブッ叩いた上履き……を握り締めた久賀。
久賀さん。今まで散々、下半身男だの節操なしだの、嘘吐きだのテキトーだの、不誠実だの冷酷だの血も涙もない最低ヤローだとか、お前を悪く言ったり、思ったりしたけれど、全部訂正するよ。
お前は俺の救世主だ。
いつでもニコニコ笑顔の西河原は、今日も真夏の太陽みたいな明るさを背負って、教室に入ってきた。
俺と目が合うと一目散に走ってきて、がばっと抱きつく。
ガードした鞄ごと腕の中。
周りの視線が痛いから、マジで止めて下さい。
「ちょっ。ニッシー!俺のハニーになにやってんの!」
誰が誰のハニーだ。と突っ込む暇もなく、お調子者の大山が西河原ごと抱きついてきた。
そして、大山に引っ付いてクラスのノリよい男子たちが乗っかる。
「浮気はゆるさぁぁん!!」
「オガミンワンコは俺のモノだー!!」
「いや俺のだ!」
「俺だ俺だ」
「じゃ。俺は大山貰うわ」
「いやん。田村くんたらっ。残念だけど大山くんはみんなのアイドルだからっ」
取りあえず。大山は黙ればいい。一番最初に抱きついてきた西河原がきっかけだけど、周りの男子が調子に乗ったのは確実に大山の所為だ。
はじめは皆、見た目がアレな西河原を(とゆーかいつも一緒にいる椎名を)ちょっぴし怖がって遠巻きにしていたクセに、頭に超がつくお天気男、大山が先陣を切って人見知りな壁を飛び越えた。いや、蹴り崩した。
大山だったら言葉も通じず、文化も違う少数部族の中に放り込まれても、難なくやっていけそうな気がする。
バカだから。
「どいつもこいつもうぜぇ!離れろボケ!」
「きゃー!尾上殿ご乱心。ご乱心じゃぁ」
「殿中でござる!殿中でござる!!」
「君は完全に包囲されている!大人しく投降して肉球を触らせなさい」
「ちょー。最後だけ時代がおかしいよ春野くん!時代統一して」
時代うんぬんはどうでもいい。そんなことよりも肉球はどっからきた?
お前等みんな小学生か。
う○こ、う○こ連呼しながら走り回る小学生並みだぞ。……うん。ちょっと偏見甚だしかったね、ごめん。
「なぁなぁ。おーやま、ニッシーって俺?」
西河原が大山を捕まえて訊いた。
大山はね、テキトーなあだ名をふざけて付けまくるんです。
おがみんって言い出したのも大山が最初ではなかっただろうか……。ま。普段はちゃんと尾上って呼んでくれるけどな。
「おう。ニシガワラって言い終わる前に舌噛みそうでさ。ニッシーってカッコ良くね?ネッシーみたいでさ」
ネッシー=格好いいなんて方程式、誰が生み出したよ?
お前の勝手な思い込みだ大山。
西河原はキョトンとしたあと、まるで星を浮かべたかのように目を輝かせた。
「ニッシー!いいね!あだ名とかはじめてー」
嬉しいよー。と西河原は大山に抱き付いて、ほっぺにキスをする。
西河原は……キス魔らしい。
きゃーぁ!と一部の女子が黄色い悲鳴をあげた。
大山がほっぺたを押さえて「いやん、突然なにするのさニッシー。照れるじゃない」とフザケる。
大山強い……俺はヤローにキスされるとか例えほっぺたでも、ゾワゾワ鳥肌モノでしたけど?
いや、まぁ……久賀は例外ですけども。
「むっふー。ほっぺちゅーくらいで照れるとかかぁいいのー。なんならガチちゅーでもいいよー」
「うははー!!お気持ちだけで腹一杯ですー」
流石にマジで唇奪われたら堪らないと、予想外な行動をとる相手を警戒し、大山が賢く逃げた。
うん、生存本能高そうだな、大山。
「ちぇー、じゃあ別のヒトでいいや……おーがみ」
「へ?」
そして、どうやら俺は生存本能があまり高く無いらしい。
周りを見れば、男子たちは先程より数歩ほど離れた場所にさっさと避難していた。
ぼけっと間抜け面を晒して、立っていたのは俺だけだったらしい。
ふ、ふ、ふ!と悪役よろしく、演技掛かった笑い声をあげながら、西河原が距離を詰めた。
やべぇ。と思ったときにはすでに遅し、ガシッと肩を掴まれて、にやにや顔と向き合うカタチ。
ひゅーひゅー。だの。
オガミンにげてぇー。だの。
いいぞーニッシー。だの。
キースしろ!キースしろ!だの。
みんな好き勝手に囃したててくれやがって貴様らぁぁ。
「にゃは。みんなノリ良いね。もう、コレは期待に応えるしかないっしょ?」
「はぁー?冗談じゃっ」
「だいじょーぶ。俺テクニシャンだから。いただきまーす」
「いい加減にしろ。歩く猥褻物がっ!!」
すぱーん!とコントの突っ込みみたいな小気味よい音を発し、西河原の頭をブッ叩いた上履き……を握り締めた久賀。
久賀さん。今まで散々、下半身男だの節操なしだの、嘘吐きだのテキトーだの、不誠実だの冷酷だの血も涙もない最低ヤローだとか、お前を悪く言ったり、思ったりしたけれど、全部訂正するよ。
お前は俺の救世主だ。
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