うそつきな友情(改訂版)

あきる

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第90話

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 予定がないなら問題ねぇーでしょ?何でYESって言わないかな。と、久賀がむくれてみせた。それ、演技なの?マジなの?……いや、どっちでもいいけど、この際。
 好きな相手からのクリスマスの誘いを、断る理由なんてどこにもない。

「YES」

「そうそう、そんな風にね。素直さは美徳だぜ。手料理&ケーキ。プレゼント。可愛い少女のハグ。彼女とのデートよりオススメ」

「だから彼女はいないし、YESだって。いいよ、サンタさんに変身して、美波ちゃんにハグすればいいのな」

「ん…………?んん?マジで?“やっぱやーめた”は無しだぞ?いいの?サンタコスもしちゃうの?」

「うん」

 俺が力強く頷いて答えると、自分から言い出した癖に、承諾なんてしてもらえるとは思わなかった、とでもいいたげな様子を見せる相手。
 変な久賀。

 首の後ろを掻きながら、久賀が「プレゼント奮発してやる。リクエストあるなら訊いてやらないでもないけれど?」なんて言った。ちょっぴり、居心地が悪そうだけど、どーしたよ?

 なんだろ……ホント意味もわからないまま、こいつカワイイなとか思った俺は、やっぱどっかおかしいのか?
 久賀にはカワイイなんて形容詞、まったく似合わないし、連想も出来ないのにな。

「えっと……リクエストは特にねぇから、まかせる。そっちは?プレゼントのリクエストあんの?」

「そーだな。ミナは……最近ぬり絵にハマってる」

「じゃあ美波ちゃんにはぬり絵の本をプレゼントしようかな。で、お前は」

「……ん、んん?俺?」

 立ち止まって、驚いている。演技じゃなくて本気で。
 俺は、また何か変なことを言ったのだろうか?

 自分の発言を頭の中で繰り返してみたが、特におかしな事は言っていない、はず。

「どうかしたのか?あ、もしかして、足痛ぇの?」

 それで動けないのか、と、相手に近寄って支えるつもりで腕を組む。

「やっぱお前、杖いるんじゃね?」

「……えっと、大丈夫だ、けど」

「けど?なんだよ」

 見上げた先に闇色の目。
 真っ黒い宝石をはめ込んでいるように見えるそれは、なんだか悲しそうだ。
 ほんの少し前の俺だったら、そんな風に感じたり出来なかったのかも。
 久賀のバイトを知った日に、コイツの心を読もうとして、ちっとも触れられなかったみたいにさ。

 今は、何か変わったかな。 
 ほんの少しだけでも、俺の心はコイツに近づけたのかな。
 わかんないや。
 いつか、答えがわかればいいなぁ。それから、ほんの少しだけでもいいから、コイツの中に俺の居場所があればいいな。
 そんな事を思いながら久賀を見る。

「やっぱ。お前って理解不能かも」

 唇だけで笑って、久賀が言った。
 やっぱりどこか悲しげだ。
 足が痛い所為なのかな。それとも、別の理由があんの?
 お前の心に触れてみたいよ。

「俺、なんか変なこと言った?」

 ひょこひょこ歩きを再開した相手を追いかける。やっぱ人間杖はいらないらしぃ。ちぇっ。

「言った。変なの」

「どこが?言ってみなさい久賀君よ」

「だって、プレゼントはお前に頼んだ“仕事”の対価でしょ。俺がプレゼント貰ったらダメじゃない。また、なんか返さなきゃ」

 あー。うん、そっか。
 ほんと、どーすっかな、コイツ。
 お前、マジで貸しとか借りとか嫌なんだな。
 そもそも、クリスマスのプレゼントなんて貸し借りに入るのかよ……要は気持ちだろ?
 特に裕福でもない平凡な高校生が用意できるモノなんて、たかがしれてるんだからさ、そんなディープに考えるなよ。ソフトにいこーぜ。

「お返しはいらない。別にプレゼントのために承諾したわけじゃないし」

「そーか。美少女のハグが目的か。ロリコンに走るつもりですか。そーですか」

「人聞きの悪いっ!!四歳児相手に何しろってゆーんだお前は。人を変態みたいにゆーなよな!」

「バカヤロー。男はみんな変態なんだよ」

「偏見」

「ぢゃあ。“男はみんなエロいんだよ?”」

「……それは、まぁ……否定しない」

「おがみんのえっち」

「それはお前だ。あぁ、もう。ハナシが進まないから、お前ちょっと黙って聞いて。後オガミン禁止」

 んー?と、気のない返事をする相手に、それでも真面目に語りかける。
 シリアスが嫌いだと主張する久賀には、もしかしたらウザがられるかも知れないけれど……沈黙してしまったら、何一つ、伝えることは出来ない。

「あのな、別に対価なんか無くても、美波ちゃんの為ならサンタの格好くらいするし、プレゼントだって用意するよ?俺が“したい”からするの。OK?」

「やべ、ガチでロリコンか」

「茶化すな!どっちかっつーとお前のタメだから!トモダチの頼み事だから、引き受けるんだよ」

「しぶしぶ」

「ちげぇ」

「イヤイヤ」

「だから違うって」

「おがみーは優しいですね。友人のために厄介ごとを引き受けるとか」

「別に厄介じゃねぇし」

 誰がおがみーだと付け足して言うと「ふーん」と曖昧な返事。
 なんだよ、言いたいことがあるなら言えよな。
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