アルザカリア

pizzeman

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15.本棚

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 アルザは星の本を思いっきり開けた。

 部屋はただ白に包まれる。

 音も聞こえない。光は動いているはずなのに白紙のようにただの白、視界が変わることはなかった。しかしなんだろう。すごくボーっとしてしまう、頭が動かない。

 本を閉じようにも思うように動かず立ち尽くす。

「私は何をやっているんだろう。どうして何もできないんだろう」

 母の言葉を思い出そう、美しいものには危害がある……だったはず。だとするとここにある本は全部最後まで開いてはいけないんだろう。星の本は目を奪う、だったら花の本は嗅覚かどこかを奪うのだろう。

 でも目を奪うだけだったら本を閉じればいいのでは?

「……体が動いているかわからない」

 アルザは認識ができない。体が動いているのか、本をもっているかすらわからない。

「誰か……助けて」

 自らの行いを後悔してももう遅いのか。全てをあきらめるしかないのか。

「こら、だから言ったでしょ」

 アルザは本を取られ、意識を取り戻した。

「全く、お茶を入れてきたら本を持って立ち尽くしちゃって。一人だったら死んでいたかもしれないのよ」

 視界がはっきりと見える。殺風景な部屋、数冊の本に今持ってきたお茶、母。異世界から帰ってきたみたいだ。またこの部屋に来ることが喜ばしく思えてくるとは。

「どうしたの? 私の顔をそんなにじっと見つめて。黙っているだけじゃわからないわよ」

 視界がはっきりとしたのにぼやけてくる。それに頬が熱くなってきた。心は悪いことをしてしまったと思いこんでいる。胸の食道あたりにつまっている何か。誰が見てもわかる。アルザは泣いているのだろう。

「……もうここにある本は読んだら駄目よ。次も助けてあげられるかわからないからね」

 それから数秒して「うん」



 お茶を飲み、目の晴れも落ち着いてきたころ。それまで会話なく座っていた二人。母が話しかけてきた。

「アルザはどうしてこんなところにきたの?」

 嗚咽でいつもと違うのどの使い方、なるべくいつも通りの声が出せるよう調節しながら話し始める。

「カリアを探しているの、この屋敷の中でたまに消えちゃうの」

「カリアはお友達なのね。でもこんな地下じゃなくてもっといろんなところを調べたほうがいいんじゃない?」

 そのことはもっともだ。実際今日のアルザは一直線でこの地下に来た。

「前にも同じようなことがあったの。その時も地下で見つけたから今回持って思って」

「だったら私も探してあげる」

「いいの?」

「いいわよ。だって私はあなたの母なんですから」
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