LABIS TRIP〜ラビストリップ〜異世界啓発冒険譚

ろきそダあきね

文字の大きさ
6 / 202
第一章

聴啞の騎士と盲目の少女

しおりを挟む
 リンリンと鈴を鳴らしドイルが帰って来た
ドイルは「こちらへどうぞ」と風呂に入るよう促している
 礼を言いつつトーマは風呂に入る

 みんなと話をすり合わせて、まずは風呂に交代で入り食事はその後ゆっくりという感じに決まった

 ――今日はたしかにいっぱい汚れてるからサッパリしたいよなぁ~たぶん体に粘液みたいなのも付いてるだろうし………虫も苦手なオレがこんな粘液付けて平気で半日以上過ごすなんて、アースにいた頃からすれば考えられない……虫系の魔物出て来たらどうしよう、エリィがドン引きするかも……ひっ!虫!、トーマくん虫ダメ何ですか?、うんちょっと苦手かな、男の子なのにカッコ悪いです!、えっ!そんな……エリィ……、知りません!ぷいっ……ぷいって、でも可愛いかも……――

 風呂は異世界でも一般的な風呂桶で特に新鮮さは無いが、普段から風呂につかることは無かったトーマにとってはこれだけでも十分に幸せを感じている

――こんなにお世話になって、はい「さよなら」って出来ないな~「呪い」ならけるんじゃないかな?なんとかしてあげれればいいけど……特に「解呪かいじゅ魔法」なんて使えるわけもないし、相談しようにもドイルさんは喋れないし……この村の呪いを解く方法さえ分かれば……後でエリィに相談してみようかな?――
 
 トーマがまずは風呂に入りドイルの後にエリィとサラは一緒に入った

 ――料理に引き続き風呂も一緒とはすっかり仲良くなって、はぁ、心なしかドイルさんも二人を微笑ほほえましく見てるよ……オレも今、ドイルさん!あなたと同じ気持ちですよ!……こんなに打ち解けてるなら食事の後に「呪い」について聞いてみるか!ドイルさんは喋れないからサラちゃんがいた方がいいしな――

 風呂上がりに四人はテーブルを囲んだ、ラビスでの家庭料理を初めて見るトーマは興奮気味に料理の品々を眺めている

 ――おお、普段コンビニ弁当しか食べてなかったから、このふわって香る出来ての料理はたまらん!エリィは料理も出来るのか……料理も出来て可愛いくて優しくて、治癒魔法使えて……オレは……おカネ無くてロン毛で「炎」も出せない……オレにはいったい何が出来るの?――

 トーマは料理の品々に興奮してテーブルを乗り出して見る
「エリィさんと頑張ったよ!」
「上手く出来たか自信は無いですがサラちゃんとお料理出来て楽しかったです」

 ――ああ…エリィ…サラちゃんと二人でこぶしグッとするやつ可愛い~な~…女の子がこぶしグッとするのいいんだよな~……本人に言って気持ち悪いって言われたら立ち直れないから言わないでおこう――

 エリィを見ると、スーツケースに入っていたのかベージュのワンピースを着ている

 ――ゴクリ……エリィ湯上がりバージョン……女子の湯上がりは修学旅行に参加しなかったオレには初めての体験、くっ!眩しくて直視出来ない!見るんだトーマ!見るともなく全体を見るんだ!俯瞰ふかんしろ!オレの視点を「イーグルアイ」に!トーマ!お前は「ラビストリップ」したんだぞ!――

 エリィは露出少な目でストンと体のラインが出ない、着ている感じがらくそうでえりすそには白のフリフリが付いてる服を着ている

――ふぅ……確認完了!これでオレはまた一つ能力を得たのか……しかも女の子と一緒に食事するのも初めて……ん?オレって女の子と食事もしたことなかったのか?……いや普通はまだないよな……ないよね――

 食卓を囲むような経験が少ないトーマは噛みしめながら食事をするのだった
 
 楽しい食事も終わり、団欒だんらんの中トーマはサラとドイルに質問することにした

「失礼だけど、サラちゃんはどうして村のみんなより目が見えないの?村の人達はうっすら見えていたみたいだけど……言いにくいなら無理はしなくていいよ……」
 トーマはなるべく優しく尋ねてみた

「……う~ん……それがわかんないだよね~六歳の時お父さんがお仕事であまり家にいなかったから、お母さんに内緒で「カリヨンの森」に一人で遊びに行ってたの、何度か遊びに行ってるうちに急に目がぼやけてきちゃって……」

――つまり六年くらい前ってことか……――

「でも村のみんなは一年くらい前に一斉にあんな感じになっちゃたんだ……お父さんはその後お仕事辞めて帰って来てくれたの、だから今お父さんがカリヨンの森を調査してくれてるんだよ……最初は生活するのも大変だったけどもう慣れちゃった」
 サラは笑顔で答えてくれる

 ――お母さんは居なさそうだけど……――

「そうなんだ……お母さんって今は……」
 トーマは慎重に聞いてみる

「うん……村のみんなの目が悪くなる少し前に魔獣に殺されたの……わたしのせいなんだ……わたしが「ヴィー」に会いに森に行っちゃたから……」

「「――っ」」

 サラは涙を流して震えた声で答えた、ドイルはそっと背中をさすってあげている

「ごッゴメン!サラちゃん…思い出させちゃったみたいで」
 トーマとエリィも慌てて謝罪した

「いいんです……今はお父さんも帰って来てくれたし…」
 サラは笑顔を作り直し、気丈きじょうに振る舞う
「でもお父さんは凄いんだよ!グリディア王国の第八騎士団!「英雄ドイル」なんだから!あの「戦鬼ガランド」と一緒に帝国と戦ったんだよ!」
 サラは腰に手を当て胸を張った

「「えっ」」

 ――騎士団ってめっちゃカッコいい――

「凄い!英雄~!カッコいい~どうりで……めちゃくちゃ強そうだもん」
 トーマは憧れの眼差しでドイルを見つめていたが隣のエリィは少し浮かない顔をしてたことが気になった

――という事はドイルさんは目の不自由な娘のサラちゃんのために騎士を辞めて「呪いを解く」ためにカリヨンの森に行ってるんだ……だったらオレも役に立てるかも―― 

「ドイルさんはサラちゃんと村の状態の原因がカリヨンの森にあることを何か知ってるんですね?」

「……」
 ドイルは腕を組み目を閉じている

「原因はおそらく「ネクロシープ」という魔獣でしょう」
 エリィが真剣な表情で言う

「魔獣の中にはまれに「呪い」を使う者がいます……「言語」を使う者もいるそうです、魔獣は狡猾こうかつな者もいるのでドイルさんが探しても姿を見せないかもしれませんね……ネクロシープは群れている時もあると聞いたことがありますので特に危険です……ただ「ネクロシープの進化前」は魔物の部類なんですがフラッディークほど厄介ではないらしいですよ」

 ――アーティファクトを使えば――

 エリィはトーマと目を合わせるとお互い同時にうなずいた
「もしかしたらオレ達協力出来るかも……です、オレなら弱いから警戒されないし……魔物が寄って来ちゃうんですよ、何故か」
 トーマはエリィを見て、エリィは頷く

「そういう体質みたいで……あと魔物の気配がわかるっていうかゾクゾクってするっていうか」
 トーマは「アーティファクト」を使って魔物を引き付けて「呪いの原因」である魔獣を探せると考えた

 もちろんエリィの許可がいるがエリィならここまで言えば分かってくれると思ったのだ
「……」
 ドイルは目を閉じて動かない
「それは危ないよ!トーマお兄ちゃん!死んじゃうかもしれないんだよ!魔獣だよ!」
 サラは必死に止めさせようとする

「……なんか役に立ちたいんだ……オレ前までただ生きてるだけだったから……真剣に生きたいんだ!」
 トーマは立ち上がって目を閉じているドイルのほうをしっかり見つめる

「だから、ドイルさんとエリィにお願いがあるんだ……「三日間」欲しい……エリィもやるべきことがあると思う……すぐにでも行動したほうがいいのは分かってるんだけどオレは弱いから……ドイルさん……ドイルさんに武器の使い方を教えて欲しい!」
 トーマはエリィの「務め」を理解した上でお願いしている
 これは「三日間」エリィも拘束してしまうことが大前提で「アーティファクト」ありきでの作戦なので三日間というのはトーマの完全なワガママだ

 はっきり言って戦いの素人が三日間で何が出来るのかと、トーマはわかっていたがエリィの「務め」の事やラビスに来ての「体の変化」がトーマの中でこの三日間という期間だった、三日あれば何とかなると感じる

 トーマはエリィとドイルに深く頭を下げて返事を待つ
「トーマくん、わたしもそれがいいと思っています!サラちゃんとこの村をこのまま放って置くなんて出来ません……わたしからもよろしくお願いします」
 エリィも立ち上がり頭を下げた

「…………」
 ドイルは少し考えて立ち上がり手を差し出した

「「――っ」」
「ありがとうございます、よろしくお願いします」
 トーマとエリィは目を合わせて破顔はがんしドイルの手を取った

「トーマお兄ちゃん…エリィお姉ちゃん…ありがとう……出会ってそんなに経ってないのに」

サラはそんな二人に感謝して手探りで二人の手を取った 
「それに……あと三日も一緒に居れるんだね」

サラの笑顔はトーマの闘志に火をつけた
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥
ファンタジー
町の電気屋として細々と暮らしていた俺、轟電次郎(とどろき でんじろう)。 ある日、感電事故であっけなく人生終了──のはずが、目を覚ましたら異世界だった。 そこは魔法がすべての世界。 スマホも、ドライヤーも、炊飯器も、どこにもない。 でもなぜか俺だけは、“電力を生み出し家電を召喚できる”という特異体質を持っていて── 「ちょっと暮らしやすくなればそれでいい」 そんなつもりで始めた異世界ライフだったのに…… 家電の便利さがバレて、王族に囲まれ、魔導士に拉致され、気が付けば── 「この男こそ、我らの神(インフラ)である!」 えぇ……なんでそうなるの!? 電気と生活の知恵で異世界を変える、 元・電気屋おっさんのドタバタ英雄(?)譚!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...