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第一章
コンドミニアム
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「完敗だったなぁ……」
――思い起こすとあの人「神妙のブラッドスペル」使ってなかったんだ……素であれだけ強いってやばいだろ――
「もう大丈夫ですか?」
エリィが心配そうに覗き込む
――ああエリィ……覗き込む時に髪を耳にかける仕草いいわ~……――
「うん、エリィが癒してくれたから戦う前より良くなってるよ!」
「ふふっトーマくんは相変わらずですね」
――うん、相変わらず君が好きだよ……もうトーマくんってばそればっかり……えっだってそうだろう……オレ達の……愛、変わらない……からさ――
「トーマっち~!」
「どわっ!いきなり抱きつくな!」
「え~?いきなりじゃなかったら抱きついてよかったソ?」
「そういう事じゃないわ!気軽に男にそんな事すると勘違いするヤツがいるから注意してんの!」
「はっもしかして勘違いしたソ?」
「するかぁ!オレは余裕」
「そっか……残念……」
「えっそれって……」
「うっそ~ん!」
「おい!」
――はっエリィ……こんなところを見られたらエリィが勘違いするかも――
エリィはベッドのシワを伸ばしながらイジイジしていた
「お二人の相変わらずは……いつも可愛いらしくいいですね」
――いやエリィの相変わらずも可愛いよ……イジイジするやつ――
「でもトーマっち強い!ウチびっくりしたっちゃ!」
「いや~もっとイケると思ったけどなぁ……あの人強すぎ、あっ!挨拶しに行かないと」
そういえばとベッドから起き上がろうとすると
「トーマくんが寝てる間に来られましたよ」
エリィが少し慌てた様子で言う
「そっか~楽しかったから直接言いたかったなぁ…」 「いいっちゃ!いいっちゃ!よろしく言っといてって言ってたっちゃ!」
「「……」」
エリィとコーラルはシュンカが好きだと言っていた事を告げなかった
「んっどうしたの?何かあった?」
「……」
「んにゃ、べっつに~」
二人が答えないのでまいっかとベッドに潜った
夕方にはエリィはレイと会う予定だ
昨日はなんだかんだとレイには会っていたが、ゆっくり話すような状況でもなかったので、エリィは夕方予定通りレイと会うようだ
「夕方までまだ全然時間があるねエリィはそれまでどうするの?」
「わたしは大聖教に挨拶に行く予定ですのでトーマくん達は気にせずゆっくりしていて下さい」
――エリィは大聖教につながりのある貴族なんだ……だからレイさんの事を慕っているんだな……レイさんにはいっぱい迷惑かけたし、オレはいない方がエリィもゆっくり出来るだろう……明日には出発だし今日はレイさんにエリィを任せるか――
「いったん宿に戻ろっか、せっかくエリィが宿を取ってくれたのにまだ行ってもいないから」
三人はエリィが取ってくれた宿に着くとそれぞれの部屋の鍵を受け取ろうとするが、エリィがなんだかモジモジとしている
「どしたのエリィちん?」「エリィ鍵は?」
トーマとコーラルがエリィに尋ねると
「すいません……部屋、三人部屋しか空いて無くて鍵はひとつです」
――なん……だと……トーマくんわたし夜怖くて一緒に寝てもらっていいかな?、しょうがないなエリィは怖がりなんだね、もうトーマくん知ってるくせに、この怖がりさん!、トーマくんのイジワル!ハハハハッ……ハハハハッ…………――
「エリィちん!三人部屋とか楽しそうっちゃ」
コーラルは楽しそうにエリィの腰に抱きつく
「エリィが良ければオレは全然いいよ!」
部屋に入るとかなり広く立派な造りでベッドもそれぞれ扉付きの個室だった
料理も出来るようにキッチンもあるので異世界のコンドミニアムのような感じだ
「……」
――三人部屋と言っても個室なのね……――
「あれ~?トーマっちはもしかして三人で並んで寝ると思ってたのかにゃ~?」
「はっはぁ~?なっ何言っちゃってんのか分かんないなぁ~コーラルさん!」
「おっ図星ですな~トーマっちさん!そんなに期待してるならウチが添い寝をしてあげてもいいっちゃですぞ!」
「いやいやコーラルさん、おたく言葉遣いがおかしなことになってるでござるよ!」
「いえいえトーマっちさんもかなりの動揺で!」
「コーラルさんも」
「トーマっちさんも」
「……」
――はっいつもの!――
エリィは明かりを点けたり消したりしてイジイジしている
「お二人の会話にわたしは入れません……」
「えっエリィはそのままでいいんだよ!むしろそのままでいて欲しい!エリィにはいつも癒されているから!」
「エリィちんは可愛いっちゃ!」
「そうそうエリィは可愛いんだよ!可愛いく清楚で優しく気配りが良く思いやりがあって笑顔が素敵で可愛い、あっ可愛い二回言ってもうた……」
トーマとコーラルは落ち込むエリィをなんとか盛り上げようと頑張る
「そんな……そんなこと……」
エリィは照れて顔が赤くなっている
――ふぅ……持ち直した……――
「よし!トーマっち!ウチも褒めろ!」
とりあえずコーラルのことはスルーして今からの事を考える
「じゃあエリィは今から出掛けるとして、夕食はどうするの?」
「夕食はわたしも食べて来ますのでお二人で取っておいて下さい、でもそんなに遅くならないように帰りますよ」
明日はもう出発ですからとエリィは言う
「そっか……じゃあせっかく冒険者になったし依頼受けてみようかな!騎士を目指して!」
トーマは腰に手をあてドヤ顔する
「それは良いですね!頑張って下さい!騎士様!」
エリィは満面の笑みでトーマを乗せる
「それいい!ウチも行くっちゃ!」
「そうだな……じゃあパーティ組むか!」
「うん!目指せ勇者!目指せゼロ!」
各自部屋で準備を整えて出掛ける事にする
――え~と、セブンのコートを置いて……スタンガンを置いて行こう!――
「では!エリィ楽しんでね!」
「はい、ありがとうございます、いってらっしゃいトーマくん!」
――いってらっしゃいトーマくん………いってらっしゃいトーマくん……いってらっしゃいトーマくん、エリィお前もあまり遅くなるなよ、同窓会だからってハメを外さないようにな、トーマくん嫉妬ですか?トーマくんもわたしがいないからって浮気しちゃダメですよ、エリィ……トーマくん……――
「はい!行くっちゃ~」
「わ~今いいとこ……」
コーラルはトーマの襟を掴み引きずってギルドの方に向かい
その二人にエリィは笑顔で手を振って見送ったのだった
――思い起こすとあの人「神妙のブラッドスペル」使ってなかったんだ……素であれだけ強いってやばいだろ――
「もう大丈夫ですか?」
エリィが心配そうに覗き込む
――ああエリィ……覗き込む時に髪を耳にかける仕草いいわ~……――
「うん、エリィが癒してくれたから戦う前より良くなってるよ!」
「ふふっトーマくんは相変わらずですね」
――うん、相変わらず君が好きだよ……もうトーマくんってばそればっかり……えっだってそうだろう……オレ達の……愛、変わらない……からさ――
「トーマっち~!」
「どわっ!いきなり抱きつくな!」
「え~?いきなりじゃなかったら抱きついてよかったソ?」
「そういう事じゃないわ!気軽に男にそんな事すると勘違いするヤツがいるから注意してんの!」
「はっもしかして勘違いしたソ?」
「するかぁ!オレは余裕」
「そっか……残念……」
「えっそれって……」
「うっそ~ん!」
「おい!」
――はっエリィ……こんなところを見られたらエリィが勘違いするかも――
エリィはベッドのシワを伸ばしながらイジイジしていた
「お二人の相変わらずは……いつも可愛いらしくいいですね」
――いやエリィの相変わらずも可愛いよ……イジイジするやつ――
「でもトーマっち強い!ウチびっくりしたっちゃ!」
「いや~もっとイケると思ったけどなぁ……あの人強すぎ、あっ!挨拶しに行かないと」
そういえばとベッドから起き上がろうとすると
「トーマくんが寝てる間に来られましたよ」
エリィが少し慌てた様子で言う
「そっか~楽しかったから直接言いたかったなぁ…」 「いいっちゃ!いいっちゃ!よろしく言っといてって言ってたっちゃ!」
「「……」」
エリィとコーラルはシュンカが好きだと言っていた事を告げなかった
「んっどうしたの?何かあった?」
「……」
「んにゃ、べっつに~」
二人が答えないのでまいっかとベッドに潜った
夕方にはエリィはレイと会う予定だ
昨日はなんだかんだとレイには会っていたが、ゆっくり話すような状況でもなかったので、エリィは夕方予定通りレイと会うようだ
「夕方までまだ全然時間があるねエリィはそれまでどうするの?」
「わたしは大聖教に挨拶に行く予定ですのでトーマくん達は気にせずゆっくりしていて下さい」
――エリィは大聖教につながりのある貴族なんだ……だからレイさんの事を慕っているんだな……レイさんにはいっぱい迷惑かけたし、オレはいない方がエリィもゆっくり出来るだろう……明日には出発だし今日はレイさんにエリィを任せるか――
「いったん宿に戻ろっか、せっかくエリィが宿を取ってくれたのにまだ行ってもいないから」
三人はエリィが取ってくれた宿に着くとそれぞれの部屋の鍵を受け取ろうとするが、エリィがなんだかモジモジとしている
「どしたのエリィちん?」「エリィ鍵は?」
トーマとコーラルがエリィに尋ねると
「すいません……部屋、三人部屋しか空いて無くて鍵はひとつです」
――なん……だと……トーマくんわたし夜怖くて一緒に寝てもらっていいかな?、しょうがないなエリィは怖がりなんだね、もうトーマくん知ってるくせに、この怖がりさん!、トーマくんのイジワル!ハハハハッ……ハハハハッ…………――
「エリィちん!三人部屋とか楽しそうっちゃ」
コーラルは楽しそうにエリィの腰に抱きつく
「エリィが良ければオレは全然いいよ!」
部屋に入るとかなり広く立派な造りでベッドもそれぞれ扉付きの個室だった
料理も出来るようにキッチンもあるので異世界のコンドミニアムのような感じだ
「……」
――三人部屋と言っても個室なのね……――
「あれ~?トーマっちはもしかして三人で並んで寝ると思ってたのかにゃ~?」
「はっはぁ~?なっ何言っちゃってんのか分かんないなぁ~コーラルさん!」
「おっ図星ですな~トーマっちさん!そんなに期待してるならウチが添い寝をしてあげてもいいっちゃですぞ!」
「いやいやコーラルさん、おたく言葉遣いがおかしなことになってるでござるよ!」
「いえいえトーマっちさんもかなりの動揺で!」
「コーラルさんも」
「トーマっちさんも」
「……」
――はっいつもの!――
エリィは明かりを点けたり消したりしてイジイジしている
「お二人の会話にわたしは入れません……」
「えっエリィはそのままでいいんだよ!むしろそのままでいて欲しい!エリィにはいつも癒されているから!」
「エリィちんは可愛いっちゃ!」
「そうそうエリィは可愛いんだよ!可愛いく清楚で優しく気配りが良く思いやりがあって笑顔が素敵で可愛い、あっ可愛い二回言ってもうた……」
トーマとコーラルは落ち込むエリィをなんとか盛り上げようと頑張る
「そんな……そんなこと……」
エリィは照れて顔が赤くなっている
――ふぅ……持ち直した……――
「よし!トーマっち!ウチも褒めろ!」
とりあえずコーラルのことはスルーして今からの事を考える
「じゃあエリィは今から出掛けるとして、夕食はどうするの?」
「夕食はわたしも食べて来ますのでお二人で取っておいて下さい、でもそんなに遅くならないように帰りますよ」
明日はもう出発ですからとエリィは言う
「そっか……じゃあせっかく冒険者になったし依頼受けてみようかな!騎士を目指して!」
トーマは腰に手をあてドヤ顔する
「それは良いですね!頑張って下さい!騎士様!」
エリィは満面の笑みでトーマを乗せる
「それいい!ウチも行くっちゃ!」
「そうだな……じゃあパーティ組むか!」
「うん!目指せ勇者!目指せゼロ!」
各自部屋で準備を整えて出掛ける事にする
――え~と、セブンのコートを置いて……スタンガンを置いて行こう!――
「では!エリィ楽しんでね!」
「はい、ありがとうございます、いってらっしゃいトーマくん!」
――いってらっしゃいトーマくん………いってらっしゃいトーマくん……いってらっしゃいトーマくん、エリィお前もあまり遅くなるなよ、同窓会だからってハメを外さないようにな、トーマくん嫉妬ですか?トーマくんもわたしがいないからって浮気しちゃダメですよ、エリィ……トーマくん……――
「はい!行くっちゃ~」
「わ~今いいとこ……」
コーラルはトーマの襟を掴み引きずってギルドの方に向かい
その二人にエリィは笑顔で手を振って見送ったのだった
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