28 / 33
28話 【決 着】
しおりを挟む
ドラゴンの頑丈さと執念には驚かされる。なんて言葉は決着が付いた後だからこそ言えるというものだとオレは改めて思い知らされた。
「マジ……疲れた。」
「しぶといドラゴンだったね…」
シエラの言葉に頷いた。ドラギネスの巨大な死骸を前にして自分達がやり遂げた偉業の意味を未だ知らないまま……戦利品として死骸をマルっと回収して帰路に着いた。
「あっ、シエラ待って!さすがにギルドに報告せずに宿屋に戻るとあのマスターから怒られそうだ」
「ハーイ!せっかくだし、ドラギネスを換金しよ!そしたら夕飯は豪華だよぉ~♪」
期待に胸を弾ませているシエラの口元にヨダレがチラリと流れていた。
よほどお腹が空いたと見える…
「分かった 分かった。今日の功労者はシエラだし、美味い飯を食べさせてやるから少し待っててくれな!」
シエラに約束してオレ達は冒険者ギルドを目指して歩き出した。
冒険者ギルドは24時間フル稼働しているような会社みたいだ。顧客からしたら嬉しい限りだろうけど、受付嬢のお姉様方はたまったもんじゃない!
……と思っていたけど、彼女たち受付嬢はこれと言って不満があるって顔はしていない。
常に笑顔で接客する様はまさに接客のプロだと思うよ。
「ギルドアルカディア支部へようこそお越しくださいました。私は夜間の担当しているマリーシアと言います。今日はどう言ったご用向きでしょうか?」
日中帯とは異なり、夜間は大人なお姉さんが対応してくれた。言葉の使い方が丁寧で聞き取りやすいのはベテランさんだからだろうか?なんて事を考えながらオレはドラギネスの経緯と討伐したことを彼女に告げた。
「へ?」
ベテランのマリーシアお姉様はオレの話を聞いて今までの落ち着いた対応が一変した。
「な、なんですと!?」
「えっと…討伐したんですよ ドラギネス」
「しかも、二人でですか?」
「はい、もちろん!」
「あのドラギネスを二人で……!?
あはは…さすがに夜間だからって冗談が過ぎますよタクト様!」
完全に冗談だと思われている……周りにも人がいるし、騒ぎは起こしたくないのだが。
隣に立っていたシエラがプンプンって顔をしながらマリーシアを睨んでいるのを見て一刻の猶予もないのだと腹をくくることにした。
「ハァー。
ちょっとこの広い場所を借りますよ?どうせ、後でコッソリと換金してもらおうと思っていたので、ついでにお願いしますよ!」
ギルドの広々としたロビーを使う為に冒険者達にも協力してもらってスペースを作った。
周りからは『嘘くさい』だの『頭おかしい』だのと聞こえる声で罵られた。オレはそれを聞きながら内心は今から悲鳴が上がるだろう状況にニヤニヤが止まらないでいた。
「それじゃ……取り出します。」
「はい、どうぞ…ご覧あれ!」
巨大なドラギネスの死骸がロビーを埋め尽くすとギルド職員や冒険者達が驚きと悲鳴が響き渡るのだった。
「マジ……疲れた。」
「しぶといドラゴンだったね…」
シエラの言葉に頷いた。ドラギネスの巨大な死骸を前にして自分達がやり遂げた偉業の意味を未だ知らないまま……戦利品として死骸をマルっと回収して帰路に着いた。
「あっ、シエラ待って!さすがにギルドに報告せずに宿屋に戻るとあのマスターから怒られそうだ」
「ハーイ!せっかくだし、ドラギネスを換金しよ!そしたら夕飯は豪華だよぉ~♪」
期待に胸を弾ませているシエラの口元にヨダレがチラリと流れていた。
よほどお腹が空いたと見える…
「分かった 分かった。今日の功労者はシエラだし、美味い飯を食べさせてやるから少し待っててくれな!」
シエラに約束してオレ達は冒険者ギルドを目指して歩き出した。
冒険者ギルドは24時間フル稼働しているような会社みたいだ。顧客からしたら嬉しい限りだろうけど、受付嬢のお姉様方はたまったもんじゃない!
……と思っていたけど、彼女たち受付嬢はこれと言って不満があるって顔はしていない。
常に笑顔で接客する様はまさに接客のプロだと思うよ。
「ギルドアルカディア支部へようこそお越しくださいました。私は夜間の担当しているマリーシアと言います。今日はどう言ったご用向きでしょうか?」
日中帯とは異なり、夜間は大人なお姉さんが対応してくれた。言葉の使い方が丁寧で聞き取りやすいのはベテランさんだからだろうか?なんて事を考えながらオレはドラギネスの経緯と討伐したことを彼女に告げた。
「へ?」
ベテランのマリーシアお姉様はオレの話を聞いて今までの落ち着いた対応が一変した。
「な、なんですと!?」
「えっと…討伐したんですよ ドラギネス」
「しかも、二人でですか?」
「はい、もちろん!」
「あのドラギネスを二人で……!?
あはは…さすがに夜間だからって冗談が過ぎますよタクト様!」
完全に冗談だと思われている……周りにも人がいるし、騒ぎは起こしたくないのだが。
隣に立っていたシエラがプンプンって顔をしながらマリーシアを睨んでいるのを見て一刻の猶予もないのだと腹をくくることにした。
「ハァー。
ちょっとこの広い場所を借りますよ?どうせ、後でコッソリと換金してもらおうと思っていたので、ついでにお願いしますよ!」
ギルドの広々としたロビーを使う為に冒険者達にも協力してもらってスペースを作った。
周りからは『嘘くさい』だの『頭おかしい』だのと聞こえる声で罵られた。オレはそれを聞きながら内心は今から悲鳴が上がるだろう状況にニヤニヤが止まらないでいた。
「それじゃ……取り出します。」
「はい、どうぞ…ご覧あれ!」
巨大なドラギネスの死骸がロビーを埋め尽くすとギルド職員や冒険者達が驚きと悲鳴が響き渡るのだった。
11
あなたにおすすめの小説
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜
小林一咲
ファンタジー
「普通がいちばん」と教え込まれてきた佐藤啓二は、日本の平均寿命である81歳で平凡な一生を終えた。
死因は癌だった。
癌による全死亡者を占める割合は24.6パーセントと第一位である。
そんな彼にも唯一「普通では無いこと」が起きた。
死後の世界へ導かれ、女神の御前にやってくると突然異世界への転生を言い渡される。
それも生前の魂、記憶や未来の可能性すらも次の世界へと引き継ぐと言うのだ。
啓二は前世でもそれなりにアニメや漫画を嗜んでいたが、こんな展開には覚えがない。
挙げ句の果てには「質問は一切受け付けない」と言われる始末で、あれよあれよという間に異世界へと転生を果たしたのだった。
インヒター王国の外、漁業が盛んな街オームで平凡な家庭に産まれ落ちた啓二は『バルト・クラスト』という新しい名を受けた。
そうして、しばらく経った頃に自身の平凡すぎるステータスとおかしなスキルがある事に気がつく――。
これはある平凡すぎる男が異世界へ転生し、その普通で非凡な力で人生を謳歌する物語である。
ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました
たぬきち
ファンタジー
1部が12/6に完結して、2部に入ります。
「俺だけ不幸なこんな世界…認めない…認めないぞ!!」
どこにでもいる、さえないおじさん。特技なし。彼女いない。仕事ない。お金ない。外見も悪い。頭もよくない。とにかくなんにもない。そんな主人公、アレン・ロザークが死の間際に涙ながらに訴えたのが人生のやりなおしー。
彼は30年という短い生涯を閉じると、記憶を引き継いだままその意識は幼少期へ飛ばされた。
幼少期に戻ったアレンは前世の記憶と、飼い猫と喋れるオリジナルスキルを頼りに、不都合な未来、出来事を改変していく。
記憶にない事象、改変後に新たに発生したトラブルと戦いながら、2度目の人生での仲間らとアレンは新たな人生を歩んでいく。
新しい世界では『魔宝殿』と呼ばれるダンジョンがあり、前世の世界ではいなかった魔獣、魔族、亜人などが存在し、ただの日雇い店員だった前世とは違い、ダンジョンへ仲間たちと挑んでいきます。
この物語は、記憶を引き継ぎ幼少期にタイムリープした主人公アレンが、自分の人生を都合のいい方へ改変しながら、最低最悪な未来を避け、全く新しい人生を手に入れていきます。
主人公最強系の魔法やスキルはありません。あくまでも前世の記憶と経験を頼りにアレンにとって都合のいい人生を手に入れる物語です。
※ ネタバレのため、2部が完結したらまた少し書きます。タイトルも2部の始まりに合わせて変えました。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる