ダイヤモンド・リリー

zzz

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「ほら紫桜」

買った串焼きの様なものを1つ差し出す。

「ああ」

「え」 

手渡ししたつもりが、紫桜はそのままそれを口に含む。
多めにつけられたタレが紫桜の唇を汚していくのから目が離せられない。

フードのせいで口元しか見えない分、そこばかりに目が行ってしまう。

食べにくいと言いながら人差し指と舌で口元を拭う様子が艶かしく、思わず喉が鳴る。

「四悠、食べないのか?」

紫桜が声をかけた事で現実に戻ってこられた。

一部始終を見ていた屋台のおじさんがにやにやしているのでそそくさと場を離れる。

「餌付けが終わったら食べます」

「おい、僕をペット扱いするな」

遺憾だとでも言いたげな紫桜の口に残りの肉を押し込みながら、知らん顔で自分の分を食べ進める。

中々に美味い。


朝食には物足りない気もしたが、先に役所でギルドカードを作る事にした。

「おはようございます。ここは冒険者課です。ご要件をお伺いいたします。」

役所に着くとNPCの様な喋り方の女の人に声をかけられる。

失礼な言い方になってしまうが、可もなく不可もなくな顔をしていて、記憶に残りにくい様な女人だった。

「ええと、ギルドカード作りたいんだけど」

「ギルドカードは生涯1人1枚と決められています。以前作った事がないか確認でき次第銀貨3枚でお作りします。」

「お願いします」

受付の人は確認作業をする為に奥の扉にそそくさと入っていった。

「役所の人ってみんなあんな感じなのか?」

「人というか、ロボットだな。」

魔術が発達してる世界って科学は進歩しないんじゃないのか…。動きといい、向こうの世界よりも巧妙な作りになっている。

いや、もしかすると魔法も関与しているからこそのクオリティなのかもしれない。

「お待たせいたしました。調査の結果、ギルド未登録ということで、カードを発行致しました。冒険者名をお願いします」

扉から戻ってきた受け付ロボに若干ビビりながらも名前を告げる。

冒険者名は仕事名なので、本名でなくても良いらしく、後から何回でも変えられるらしい。

魔力によって個人を判断する為身分証の提示も要らないようだ。

「役職はどうしますか。」

「役職?」

剣士とか魔術師とかそういうやつか?

「役職はヒーロー・アタッカー・ディフェンダー・トリックスター・サモナーから選べます。」

なる程わからん。

ちらりと紫桜を見て助けを求める。

「ん?ああ…四悠はヒーローだな」

いや役職の説明をしてくれよ。

「ヒーローで登録致しました。」

話を聞いてくれよ。

後で聞くと、役職とは登録したものによって少しだけ神の加護が与えられるらしい。わかりやすくいうと攻撃力上昇とかそんな感じ。

ヒーローはバランスタイプ。一見最強の様に思えるし、実際その通りなんだそうだが、付与された能力を使いこなすのも難しく、ヒーローを選ぶのは結構少ないみたいだ。

俺は元々神(ネーレ)の加護を貰っていたからヒーローでもやっていけると紫桜が言い張っている。

紫桜はディフェンダー。
ディフェンダーの中にも種類がある様で、単なるガードマン的な能力もあるらしいが、紫桜の場合は味方の能力を上げたり敵の能力を下げたりする、言わばサポーターの様なものらしい。

俺が簡単に魔力を使えたのはこの能力のおかげかもしれない。

アタッカーは簡単に言うと「ガンガンいこうぜ!」「とりあえず殴っとけ」みたいな火力重視の役職。

トリックスターは鍵開けや気配消しが得意。器用職といえば聞こえがいいがいわゆる暗殺者だ。手癖が悪い人が多いらしい。

サモナーは召喚士。魔獣や精霊と心を交わし契約。必要な時に呼び出して力を借りる。強いのを味方に出来れば最強だと思うが、自分の力量により契約できなかったり、できてもナメられて全然言うことを聞かないなんてこともザラだとか。


そんなこんなで銀貨3枚を払い(王族のくせに紫桜は後で返せと何回も言ってくる。ケチだ。)、無事にギルドカードを手に入れた。

「ギルドマスターに挨拶した後、ダイヤモンドリリーを貰いに行くぞ。2つは心当たりがあるから紹介する。」


早速目当てのものを2つ手に入れられそうと言うことで俺の足取りは軽かった。




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